IPO銘柄詳細

PKSHA Technology

コード 市場 業種 売買単位 注目度
3993 マザーズ 情報・通信業 100株 A
スケジュール
スケジュール
仮条件決定 2017/09/05
ブックビルディング期間 2017/09/06 - 09/12
公開価格決定 2017/09/13
申込期間 2017/09/14 - 09/20
払込期日 2017/09/21
上場日 2017/09/22
価格情報
想定価格 1,690円
仮条件 1,700 - 2,400円
公開価格 2,400円
初値予想 5,600円
初値 5,480円
  • スケジュールは上場企業都合により変更になる場合があります。
基本情報
代表者名 上野山 勝也 (上場時35歳2カ月)/1982年生
本店所在地 東京都文京区本郷
設立年 2012年
従業員数 28人 (2017/06/30現在)(平均30.8歳、年収632.6万円)、連結30人
事業内容 機械学習技術などを利用したアルゴリズムの開発およびライセンス提供
URL http://www.pkshatech.com
株主数 11人 (目論見書より)
資本金 204,650,000円 (2017/08/18現在)
上場時発行済株数 12,779,000株(別に潜在株式1,480,000株)
公開株数 2,385,100株(公募2,074,000株、オーバーアロットメント311,100株)
調達資金使途 研究開発、ソフトウエア開発、採用教育費、人件費、サーバー費用、広告宣伝費
連結会社 1社
シンジケート
公開株数1,696,000株(別に311,100株)/(国内分)
種別 証券会社名 株数 比率
主幹事証券 SMBC日興 1,459,000 86.03%
引受証券 SBI 50,800 3.00%
引受証券 大和 33,900 2.00%
引受証券 三菱UFJモルガン・スタンレー 33,900 2.00%
引受証券 みずほ 33,900 2.00%
引受証券 いちよし 16,900 1.00%
引受証券 岩井コスモ 16,900 1.00%
引受証券 岡三 16,900 1.00%
引受証券 極東 16,900 1.00%
引受証券 マネックス 16,900 1.00%
大株主(潜在株式を含む)
大株主名 摘要 株数 比率
上野山 勝也 代表取締役 5,432,000 44.58%
山田 尚史 取締役 1,780,000 14.61%
NKリレーションズ(同) 資本業務提携先 1,517,000 12.45%
(株)SMBC信託銀行信託口 ベンチャーキャピタル(ファンド) 990,000 8.12%
浅利 圭佑 顧問税理士 877,000 7.20%
(株)LUCE Capital 代表取締役の資産管理会社 660,000 5.42%
松尾 豊 外部協力者 267,000 2.19%
佐藤 裕介 監査役 125,000 1.03%
(株)NTTドコモ 資本業務提携先 107,000 0.88%
伊藤忠商事(株) 資本業務提携先 71,000 0.58%
業績動向(単位:百万円)
は予想
決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益
2017/09 連結3Q累計実績 704 370 367 250
2017/09 連結予想 890 361 342 230
2016/09 単独実績 459 157 157 116
2015/09 単独実績 292 149 149 100
売上高
営業利益
経常利益
純利益
1株あたりの数値(単位:円)
は予想
決算期 種別 EPS BPS 配当
2017/09 連結予想 21.47 362.78 0.00
参考類似企業
銘柄 今期予想PER(8/22)
NSSOL
14.7倍 (連結予想)
モルフォ
40.9倍 (連結予想)
ユーザーロカ
96.3倍 (単独予想)
事業詳細
 東京大学発IT(情報技術)ベンチャーのアルゴリズムサプライヤー。機械学習技術などを利用したアルゴリズムモジュールや、それらを組み合わせたソフトウエアを開発・販売している。
 代表取締役の上野山勝也氏はかつて大手外資系コンサルティングファームで大規模解析などに従事。人工知能やウェブ工学などを研究する東大松尾研究室にて博士号(機械学習)を取得し、研究室メンバーとともに創業した。

ケースA:.アルゴリズムモジュール
 機械学習技術・自然言語処理技術・深層学習技術を中心にアルゴリズムモジュールを開発し、顧客企業のソフトウエアもしくはハードウエアに組み込み、販売している。
 主なモジュールには、テキストデータを理解するものや自然言語処理技術での対話・応答を制御するもの、画像・映像データ内の物体認識、レコメンデーションによる情報出し分け、異常値の検知などの機能を有するものがある。

ケースB:アルゴリズムソフトウエア
 自社で開発したアルゴリズムモジュールを自社のソフトウエアに組み込み、アルゴリズムソフトウエアとして販売している。主な製品には、機械学習技術を用いたCRM(顧客関係管理)ソリューション「セラー」や、深層学習技術を用いた画像・動画像の識別エンジン「パークシャ・ヴァーティカル・ビジョン」、チャット対応・FAQ対応の自動化ソリューション「ベドア」がある。

 2016年9月期の売上高構成比は、アルゴリズムライセンス事業100%(アルゴリズムモジュール84.7%、アルゴリズムソフトウエア15.3%)。主な販売先はNTTドコモ20.9%、リクルートホールディングス11.3%、電通10.2%。
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・社名の読み方は「パークシャテクノロジー」。
・直近(2017年3月)の特別利害関係者らによる株式売買単価は、分割を遡及(そきゅう)すると1400円。
・公開株式の一部は海外販売に回される(株数未定)。
・全ての法人株主(信託口を管理する運用会社含む)と、役員(財産管理会社含む)には180日間もしくは半年間のロックアップが掛かる。
・新株予約権のうち、上場時点で行使期間入りしているのは、従業員3名の5万2000株分。
・大株主のSMBC信託銀行信託口はスパークスが運営し、トヨタ自動車が出資する投資事業組合のもの。
・10億円分の株式数を上限にトヨタ自動車に親引けの予定。


<ファーストインプレッション>
 技術力を武器にした最先端分野のIT(情報技術)ベンチャーとして人気化の公算。日本の人工知能研究の第一人者とされる松尾豊准教授の研究室が関わるベンチャーであるうえ、複数の大手企業との資本提携をテコに業績が急拡大している。9月の目玉案件ということになりそうだ。半面、人気化を見越してか、吸収金額は50億円とかなり多め。PERも高く設定されており、希薄化込みなら111倍に上る。相場変調のなかスタート当初の値は抑えられそう。売り出しゼロ、ロックアップ解除条項なしと売り抜け色が一切ないIPOだけに、既存株主とともにエンゼル気分で投資するのも一考か。
仮条件分析 (BB参加妙味 :S)
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想定価格: 1,690円
 吸収資金レンジ: 35.1億円 - 40.3億円(今期予想連結PER: 78.8倍)
 時価総額レンジ: 216.0億円

仮条件: 1,700円 - 2,400円
 吸収資金レンジ: 35.3億円 - 57.2億円(今期予想連結PER: 79.3倍 - 111.9倍)
 時価総額レンジ: 217.2億円 - 306.7億円

 仮条件は想定価格を0.59~42.01%上回って設定された。併せて新株発行数を257万0400株→207万4000株、オーバーアロットメントによる売り出しを 38万5500株→ 31万1100株とそれぞれ2割弱削減した。

<強材料>
仮条件大幅上振れ、国内最高頭脳集団とのパイプ、業績拡大、技術力高い、複数の大手と提携

<弱材料>
高PER、荷もたれ感あり、技術面の国際競争激しい、一般にはなじみなし、マザーズ崩壊

<結論>
 Sとする。公開価格が仮条件上限ならば、初値は5000~8000円(PER:232.9~372.6倍)を想定する。
 もともと高めPERの想定価格だったが、さらに最大4割超の上振れはポジティブサプライズ。下限は想定価格を意識したままで、半ばプライシングを放棄したかのようなレンジ設定には苦笑だが、人気のほどはうかがえる。株数削減は需給の面からは矛盾するが、価格が引き上がった分、調達金額はほとんど変わらない。引き締め効果で過熱感はさらに高まりそうだ。

 東大発ITベンチャーのアルゴリズムサプライヤー。人工知能(AI)の中核となる機械学習などを使ったアルゴリズムモジュールを開発しており、顧客のソフトウエアやハードウエア、もしくは自社のソフトに組み込み販売している。
 社名は仏教における守護神、四天王の一尊に数えられる広目天のサンスクリット語名「ヴィルーパークシャ」を由来とする。「普通とは違う目を持つ者」などの意味を持ち、漢語では千里眼と拡大解釈された。日本の像は筆と巻物を持つものが多いようだ。

 業績は大手との資本提携をテコに急拡大しており、設立5期目となる2017年9月期の営業利益は前期比2.3倍の3億6100万円の予想。ライセンス販売のため、売り切り型ではなく、毎期伸びた売り上げの分はほぼ新規顧客の分で占められるという。機械学習、深層学習の技術を使ったソフトは学習機能で使い込まれるたびに精度が上昇するため、解約が生じにくいという。また、ケースBの自社ソフト事業は16.9期から始めたばかりだが、モジュールだけを売る場合に比べて収益性が高く、今期はケースAに近い額まで売り上げが急拡大する計画になっている。

 AIは古くて新しい技術だが、ここ最近に起こったこととして、機械学習や言語処理技術に加え、人の脳の構造をまねた深層学習(ディープラーニング)技術の登場で飛躍的に技術力が向上していることだ。これらの技術はこれまでコンピューターが処理不可能と思われてきた、「感覚」や「人間関係」「言語処理」などといった社会的な問題さえ処理できるようになってきた。株式市場でもたびたびテーマ化するゆえんだ。機械学習とは要は技術者に変わって自動で大量のプログラムを書けるようにしたものだが、そこでは学習させるためのデータが重要になってくる。

 同社は日本のAI研究の第一人者でもある東大松尾豊准教授の研究室が母体だが、研究室内ではデータ収集の量や質に限界があるため、現実社会のデータを集めるために事業化した。松尾准教授は大株主にも名を連ねている。技術者採用ではグーグルなど米大手との取り合いが想定されるが、数少ない国内最高頭脳集団に直接パイプを持つことは大きな強みといえよう。

 とかく海外と比べるとAI研究は遅れが指摘される日本勢だが、言語処理に関しては日本語の壁がある。同社は日本語処理技術の面では独壇場と推測される。出資元大手のほかではLINEや伊藤忠傘下のベルシステム24などが同社の技術を採用する。目論見書の売掛金の項目では電通やリクルート、東京電力HDなども名を連ねる。加えて上場にあたってはトヨタ自動車が親引け10億円分(上限38万3300株)を引き受けることになっている。トヨタは既にスパークスの運営するファンド(SMBC信託銀行信託口)を通してツバは付けている状態だが、直接出資に発展させる。日本経済新聞の報道によれば、自動運転やコネクテッドカー(つながる車)などの研究開発で連携を深めるという。

 仮条件上限は想定価格を42%上回る設定となった。下限に関しては想定価格を10円上回るだけで、いつになくレンジが広い。ほとんど主幹事のプライシング作業を放棄したかのような設定には苦笑だが、期待の高さはうかがえる。日興案件ではこうした、注目の高い案件では上にやたらに広いレンジ設定は過去にもたびたび見られたことだ。ただし、継続的に黒字を計上する企業のプライシングとしては、PER3桁に乗せるのは例がほとんどない。

 不可解なのは株数を削減したことで需給の観点から言えば、価格を上げておいて株数削減は矛盾する。ただ今回は必要な調達金額からの逆算で、価格引き上げの分、単純に新株発行を減らせるとの判断と考えられる。昨年末のZMPと同じ措置だが、ZMPのように、新株発行を減らしながら、売り出しを増やす(実施する)といったことは発生していない。黒字会社であり、ZMPのように資金調達の必要性が差し迫っているわけでもなく、ましてイグジットのための上場でもない。弊社の聞く限りだが、ZMPの時のように「欲しいのは個人だけで、機関投資家は見送り」のようなマイナス情報も入っていない。減らしたことで市場サイドからは恨み節さえ聞こえてくるくらいだ。

 過去に上方向に幅広い設定となった日興案件としては、CYBERDYNE、リプロセルが挙げられ、他社案件ではペプチドリームも該当する。いずれも初値売買代金は100億円を超えたお化け案件だった。サイバダインだけは初日に初値が付いたが、リプロセルとペプチドはロックアップの解除要件が初値後に限定されていたためで、需給要件が異なるためだ。また、観点が異なるが、トヨタの出資案件で注目されたアドバンスト・メディアも初値売買代金は100億円を超えていた。

 仮条件の上振れは単に最初の設定が保守的過ぎたという可能性もなくはないが、国内屈指のAIベンチャーへの市場参加者の視線は熱いと考える。パークシャもこうした銘柄に匹敵する買いを集める可能性がある。株数削減で吸収額が従来想定の額とさほど変わらないため、初日は初値付かずも想定しておきたい。
 一方、足元では新興市場が崩壊。マザーズ指数は一時4月以来1000P割れとなった。UUUMでは強烈な買いが入ったものの、8月以降の地合いは盤石とは言い難い。経済環境は良好なため、北朝鮮の建国記念日を無事に過ぎれば、出尽くしなって切り返す可能性も考えられるが、先行きは見通しづらい状況だ。米国では債務上限問題もクローズアップされつつある。実力が伴い、加速度的に成長できる業態なことから、新興市場ではUUUMを超えて今年最大の売買代金を記録すると予想するが、レンジには幅を持たせたい。2日目の規制の影響も含め、80億~150億円程度を前提に、倍値超から3倍超の初値を想定する。
公開価格分析
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公開価格: 2,400円
 吸収資金: 57.2億円(今期予想連結PER: 111.8倍)
 時価総額: 306.7億円

 公開価格、追加売り出し株数ともに上限で決まった。引受価額は2223.42円。訂正目論見書によればブックビルディングの状況は、申告された総需要株式数が公開株式数を十分に上回り総件数が多数にわたっていたうえ、価格ごとの分布は仮条件の上限価格に集中していたことが特徴だった。トヨタ自動車への親引けも38万3300株と上限で決まった。
 海外へ配分は31万1100株になった。公開株数のうち13%に当たる株数で、簡易型のグローバルオファリングとしては標準的な配分となった。

 今のところ吸収サイズもあってか、弊社ほどの強気な見方はかなり少数派なもよう。そうしたなか弊社が超強気に見るのは、過去に売買代金が100億円を超えたIPOに相似点が多いためで、その根拠は既に示した通りである。マネーフォワードに比べると一般的な知名度で劣っていることが不利に働く可能性はあるが、海外配分と親引けを除くと吸収額は実質40億円程度である。株式相場にも落ち着きが見られ始めたことで、強気な見方は維持しておきたい。
初値予想
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初値予想: 5,600円(今期予想連結PER: 260.8倍)
初値買い妙味: B

 高い初値を予想する。東京大学発の本格派人工知能(AI)ベンチャーとして注目を浴びる案件。大手との資本提携をテコに業績を拡大しており、上場に伴いトヨタ自動車に親引けを実施した。吸収額60億円弱と軽い案件ではないが、過去に初値売買代金が100億円を超える大にぎわいとなったお祭り級のIPOと似た雰囲気を漂わす。相場全体が上昇しながらも初値買い機運は低下と、逆風も吹く環境ではあるが、初日から需給は逼迫することになりそうだ。

 AIの中核となる機械学習などを使ったアルゴリズムモジュールを開発しており、顧客のソフトウエアやハードウエア、もしくは自社のソフトに組み込みライセンス販売している。AIやウェブ工学の国内の第一人者である松尾豊特任准教授の研究室出身者が中核メンバー。代表取締役の上野山勝也氏もそこで博士号を取得した。松尾准教授も大株主に名を連ねる。研究対象が実際のデータを大量に必要とする段階に入り、研究室内だけでは事足りなくなってきたことから事業化した。
 社名の前半部分は「パークシャ」と読み、仏教における守護神、四天王の一尊に数えられる「広目天」のサンスクリット語名「ヴィルーパークシャ」を由来とする。「普通とは違う目を持つ者」などの意味を持ち、漢語では「千里眼」と拡大解釈された。

 業績は大手との資本提携をテコにした取引先の増加で急拡大しており、設立5期目となる2017年9月期の営業利益は前期比2.3倍の3億6100万円の予想となっている。毎期伸びた売り上げの分はほぼ新規顧客の分で占められる。学習機能で使い込まれるたびに精度が上がるため、解約が生じにくいという。自社ソフト事業は16.9期から始めたばかりだが、モジュールだけを売る場合に比べて収益性が高い。2期目にしてモジュール事業に近い額まで売り上げが急拡大する計画で、利益率改善の主因となる。

 とかく海外と比べるとAI研究は後れが指摘される日本勢だが、言語処理に関しては日本語の壁がある。同社は日本語処理技術の面では独壇場と推測される。出資元大手のほかではLINEや伊藤忠傘下のベルシステム24などが同社の技術を採用しているとのこと。目論見書の売掛金の項目では電通やリクルート、東京電力HDなども名を連ねる。さらに上場にあたってはトヨタ自動車が親引けで38万3300株を引き受けた。人工知能技術分野における共同研究・開発契約締結先としての関係強化を目的としている。

 大手が列を作る本格派ベンチャーとあって、公開価格はPER3桁台で決まった。想定価格からは異例の4割超の引き上げだ。機関投資家の尋常ではない期待の高さがうかがえる。過去に同様のプロセスをたどったIPOとしては、CYBERDYNEやリプロセル、ペプチドリームなどが挙げられる。どの銘柄も初値売買代金は100億円を超えるお祭り級のIPOだった。また、時価総額断トツなトヨタへの市場の信頼は絶大で、同社の出資があることで注目された2005年6月に上場したアドバンス・メディアも139億円に上った。しかもサイバダインを除く3社は、規制の掛かる2日目以降の初値形成だった。

 既存株主には数名のエンゼルを除いて解除条項なしのロックアップが掛かる。親引けを除いても吸収額は48億円に上り軽い案件ではないが、過去のお祭り級銘柄と同様の買いが入れば初日付かずで3倍超のスタートも考えられる。株主順位が外部株主としてはトップで12%の持ち分を持つNKソリューションズの親会社、ノーリツ鋼機の株価は上場承認以降、好調だ。公開価格はPER3桁台でのプライシングでありながら、既存株主からの売り出しはなく、高騰しても誰も売らない姿勢は買い手をさらに奮い立たせそうだ。

 半面、気掛かりなのは足元で初値買い機運がしぼんでいることだ。直近IPOは2銘柄連続で売買代金が10億円を下回った。高騰銘柄への警戒感が強く、倍値以上で付いたものは短期で取る機会がほとんどないうちに下落するパターンが続いている。日経平均株価は2万円台を回復するもマザーズの売買代金は8月の下落以降、縮小したままだ。
 今のところ選別色が強まっているだけともいえるが、流れの変化は留意したい。人気を考慮してPERは既に高め設定されていることからも2日目に持ち越すかは不透明な部分もあるため、初日の気配上限を意識した5600円を予想初値としたい。
初値分析
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初値: 5,480円(今期予想連結PER: 255.2倍) / 上昇率: 128.3% / 高値: 6,200円 / 安値: 4,890円 / 終値: 5,840円
出来高: 2,330,800株 / 対公開株数: 97.7% / 初値出来高: 1,154,000株 / 初値売買代金: 6,323,920,000円

 高い初値が付いた。北朝鮮リスクが再び高まり、地合いはよくなかったが、本格派AIベンチャーへの期待は高く、買い上げられた。1口1000株、1万株といった大口の買い板が上の方まで見られ、機関投資家の介在も疑われる状況。初値売買代金は上昇した銘柄としては今年トップの63億円に上った。
 ただ過去のお祭り級IPOが初値売買代金100億円を超えていたのと比べると、初日に付いてこの額は物足りなさも残る。初値買い機運がしぼむなか日本郵政の大規模売り出しを控え、個人マネーが動きにくいタイミングだったことが響いたか。PERが高く設定されたことでちゅうちょする向きも多かったとみられる。

 寄り付き後は乱高下の展開となった。直後は追随買いが入らず売りに押されたが、5000円割れでは下げ渋り。大引けが近くなると一気に巻き返し、高値を更新した。ただ6000円を抜けると動きは鈍り、最後は利益確定売りに押されて大引けを迎えた。

 しばらく乱高下は続きそうだ。取引時間は1時間6分しかなかったが、売買代金は新興市場で堂々のトップとなった。出来高は公開株数の98%に達しており、トヨタへの親引け分を除けば大型IPOにもかかわらず初日に消化した計算になる。実際には短期目的だった初値買い組が投げさせられ、売り板がなくなったところを駆け上がった形だろう。
 だが、初値から機関投資家も巻き込んだ売買がなされているとみなすと、今後は市場が懸念するほど売りが出てこない可能性が高い。週明けは大引けにかけて買い上げられた反動安が警戒されるところだが、その後は短期的にさらに買い上げられる場面が出てきそうだ。お祭り級IPOとしては物足りない初値だった分、ザラ場に余力を残している可能性に期待したい。
追加情報
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(9/5)新株発行数削減
 公募:257万0400株→207万4000株
 OA : 38万5500株→ 31万1100株
 上場時発行済み株式数:1327万5400株→1277万9000株
 会社予想EPS:21.44円→21.47円
IPOスケジュール
マーケットデータ
日経平均 37,068.35 -1011.35
TOPIX 2,626.32 -51.13
グロース250 638.74 -21.13
NYダウ 37,986.40 +211.02
ナスダック総合 15,282.01 -319.49
ドル/円 154.42 -0.22
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