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月次公表企業のチェックポイント
当該コラムは、2020年11月に「トレーダーズ・プレミアム」向けに掲載したものを加筆・修正しております。 「トレーダーズ・プレミアム」では定期的に新作コラムを掲載しております。 ぜひご加入をご検討ください。

月次公表企業のチェックポイント

 今回は月次情報について解説します。企業によっては、年に4回の決算発表とは別に、毎月の経営情報を公開しているところもあります。 材料を多く出してくれる企業は、そうでない企業と比べて、業績のトレンドを推測しやすいといえます。月次情報を上手に活用できるようになれば、トレードで勝利する確率も高まることでしょう。

月次の基本知識

 まず、月次情報に関する基本的な見方を押さえておきましょう。

・全店売上高と既存店売上高
 外食やアパレルなど、店舗を多く出している企業では、全店売上高既存店売上高を分けて公表することが一般的です。既存店というのは、決まったルールがあるわけではありませんが、普通は出店して1年経過した店舗のことを言います。 また、株式投資においては、既存店売上高の前年同月比が重要な意味を持ちます。オープンしたばかりの店舗というのは、会社としても宣伝に力を入れますし、近隣の人も物珍しさで来店してくれるので、売上高もかさ上げされることが多くなります。 そういった影響を排除したものが既存店売上高となります。これが前年同月と比べて何%上がった(下がった)という点が、株価にも大きな影響を与えることが多いです。

・客数・客単価
 企業によっては、客数および客単価を公表しているところもあります。こちらもチェックするのは前年同月比(%)の数値となります。どちらも高い方が良く、両方が前年同月比プラスというのが理想ではありますが、 企業の置かれているステージと照らし合わせてチェックすることも重要です。成長途上の企業であれば、客数増のトレンドは続いてほしいところです。成熟企業であれば、収益力アップのためには客単価の上昇が求められるでしょう。

良い内容も悪い内容も織り込みは進む

 ここからは、トレードの際の注意点について話を進めます。4月、5月、6月の月次が良ければ、4~6月の決算内容が良いことは容易に想像がつきます。また、決算を見る前に毎月の月次でも株価は動きます。そのため、月次好調企業の決算発表時は、良い内容が出てきても、織り込み済みで売り反応となることがよくあります。逆もしかりです。

4月、5月、6月の月次が良ければ4~6月の決算内容が良い
良好な月次に株価の反応が鈍くなったら要注意

 前年同月比2桁増といった成績を何カ月も続けるような企業があれば、当然、株式市場での評価も高まります。そういった企業はメディアで取り上げられることも増えるため、好循環がしばらく続くことも多いです。 ただし、そういった企業が、良好な月次を発表しても株価の反応が鈍くなった場合には要注意です。業績が良いことが当たり前と多くの投資家が考えているということでもあり、 そうなると、伸び率が若干鈍化しただけで売られるといった反応も出てきます。月次が悪化して株価が下がるのであればわかりやすいですが、好調が続く中でも、株価の方が先にピークをつけることは珍しくありません。

天候が月次に大きく影響することも

 天候要因が月次に大きく影響する業態は多いです。猛暑の場合には、飲料メーカーなどは売り上げ増が期待できます。レジャー産業では、週末に天気が良い日が多いかどうかが売り上げを大きく左右します。 またアパレルでは、秋から冬にかけて、どのタイミングで気温が低下してくるかが重要なポイントとなります。一般的に冬物の方が製品単価が高いため、秋の早い時期から気温が低下した方が、販売面での好影響が期待できます。

天候要因が月次に大きく影響する業態

 ただし、天候要因に関しては不可抗力の面もあるため、これを原因として月次が落ち込み、株価が下落した場合などは、むしろエントリーのチャンスとなることもあります。 また、短期トレードでは、こういった習性を踏まえて、秋口に気温の落ち込みが大きくなったら、月次発表前にアパレル株を仕込んでみるといった戦略も有効と考えられます。

まとめ

 月次を出している企業は、出していない企業に比べて情報量が多いため、決算よりも月次動向が株価に大きく影響することがあります。ただ、天候要因やセール開催などで、前年同月のハードルが一時的に高くなることもありますので、単月の数値が悪化したらすぐに売るというのではなく、ある程度トレンドを見極めた方が良いでしょう。 良い内容に対して月次の反応が甘くなった際には、天井感が出てきた可能性があります。そうなると、決算に対する反応も鈍くなる傾向がありますので、業績好調が続いていたとしても利益確定を検討するタイミングと考えられます。

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