DZHフィナンシャルリサーチ 総合サイト 中国株専門サイト 外国為替専門サイト
ご意見ボックス
当ウェブサービスの問題点や提供してほしい情報など、トレーダーズ・ウェブへのご意見・ご要望を、お気軽にお寄せください。
【注意事項】
※ご意見ボックスでは「ご質問」や「問い合わせ」には対応しておりません。 御用のお客様は「お問い合わせ」フォームをご利用ください。
※「トレーダーズ・メールマガジン」の配信停止につきましては、お申込いただいたメール配信サービス「まぐまぐ」にてお手続きください。 まぐまぐの配信停止は こちら をクリック。
【入力フォーム】
年齢をご入力下さい ※半角数字
性別をご選択下さい 男性  女性
ご覧のコンテンツ 「

本日の更新状況

インフォメーション
コラム(7/16分)を追加
株式マーケットの変動に影響を与える“先物取引の仕組み”や“特徴”を分かりやすくまとめました。ぜひお役立てください。
≫ 「先物取引とは〜仕組みや特徴〜」はこちら

掲載終了のお知らせ@
日本株や米国株のマーケット情報に記載されている「NY原油先物」と「NY金先物」の掲載を5月末をもって終了いたします。NYコモディティー市場のNY原油先物とNY金先物の掲載は継続となります。

掲載終了のお知らせA
併せて、世界の株式指数に掲載している「米国債利回り10」と「ドイツ国債10に」の掲載を終了させていただきます。ご不便をおかけいたしますが、ご了承くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。
≫ 世界の株式指数

緊急事態宣言に伴う当社のサービスについて
≫ 詳しくはこちらをご覧ください

日本株アナリストを募集中
日本株情報のプロとして、個別株や株式市場全般に関する材料・分析コメントを作成・配信するお仕事です。
≫募集の詳細はこちら

会員サービス『 トレーダーズ・プレミアム 』のご案内
毎朝寄り付き前にお届けする 『推奨銘柄』 はもろん、インターネット情報では珍しい、株式アナリストのアドバイスが1対1で受けられるサービス 『投資相談室』 も提供しています!
≫ 詳細はこちら
アナリスト田中の上場企業分析! 特集記事バックナンバー
第2回
【仮条件分析】
公開価格が仮条件上限なら、初値は公開価格前後を予想
想定仮条件:2,800円前後
 吸収資金レンジ:1,127.0億円 - 1,127.0億円(今期予想PER:倍)
 時価総額レンジ:5,879.8億円 - 5,879.8億円

仮条件:2,900円 - 3,300円
 吸収資金レンジ:1,167.3億円 - 1,328.3億円(今期予想PER:倍)
 時価総額レンジ:6,089.8億円 - 6,929.7億円

 公開価格が仮条件上限ならば、初値は公開価格前後を予想する。
 Brexit(ブリグジット)ショックを挟んでいるのにもかかわらず、想定仮条件からの上振れレンジは意外な設定。弊社が把握している限り、同社株の将来性には懐疑的な見方が多く、ショックがなかったとしても同様である。
 また、業績予想が非開示なため、各自で独自に予想してブックビルディングに臨むことになるが、事業入れ替えや先行投資などで実績も安定しておらず、予想が難しい。ゆえん闇鍋のようなブックビルともいえ、リスクの非常に高いIPOとなる。今回、個人人気が高く、世界中のマスコミがやたらと取り上げている効果が発揮されるのかもしれないが、投資という観点より、「祭り」に参加するといった割り切りが必要だろう。

 対話アプリは相手がいる性質上、トップが総取りする傾向があり地域性が高い。LINEは日本のほかでは、台湾とタイで覇権を握るものの、世界的にはフェイスブックメッセンジャーやワッツアップ、中華系などに後れを取っている。ユーザー数上位4カ国とされるインドネシアの1位はワッツアップで覇権は握れていない。中国は規制の問題から閉め出されているうえ、欧米ではやはりフェイスブック系が強い状況といえる。
 なお、フェイスブックメッセンジャーはフェイスブックの付録として付いてくるため、かなり追い上げているもよう。筆者の利用状況としてはLINEを使うのはフェイスブックでつながっていない人用か若年層とのやり取り用といった感覚だ。あくまで個人の話だが、利用する機会は減っている。スタンプに興味がなければ、LINEの利用勝手は決していいわけではない。

 利用者は伸び悩みが指摘されている。MAU(月間アクティブ利用者数)の推移を見ると、上位4カ国については順調に伸びているが、その他の地域では減少傾向にあり、全体の伸びは横ばいに近づいている。

 一方、株価については割安感も指摘される。業績予想が開示されてないため、修正後の前期実績を使うとPSRは4.7〜5.6倍。これに対し、ツイッターは5.2倍、フェイスブックは14.5倍だ。成熟化が指摘されるツイッターを基準とすれば、仮条件はこれを挟む形になっている。

 ただ株価評価は予想に対して行われるもので、PSRはぶれが大きい。実質的には各自で業績予想を作成してブックに臨むことになろう。ここで対話アプリ各社の予想PERを見ると、米社2社をはじめ32倍前後といった水準が強く意識される。

対話アプリ各社PER(6/29時点)
------------------------------------------
フェイスブック(ワッツアップ) 31.50倍
ツイッター31.88倍
カカオ46.59倍
テンセント(微信)32.95倍
楽天(バイバー)21.96倍
(出所:ブルームバーグ)

 LINEの通期業績を予想してみる。事業の入れ替わりが激しいため、これを修正したみなし要約損益計算書を使う。前期1Qの通期売上収益実績(1207億円)に対する進ちょく率は23%。今期の1Q実績と利益率から通期に引き直すと売上収益1455億円、株式報酬費用計上前の帰属純利益は193億円といった数字が得られる。期中平均発行済み株式数による修正EPSは100.78円となる。
 なおマーケティング費用は季節変動があることから前年実績を基に調整し、通期純利益率は1Q実績より14ポイント高くなることを見込んだ。また、株式報酬は上場前だけのボーナスといった側面があるため、これも差し戻すこととした。

 上記計算結果を基にすると仮条件のPERは26.8〜31.8倍となる。上限では類似企業並みの評価となるため、公開価格が上限ならば、初値も公開価格前後の評価にとどまると考える。


 仮条件は同業他社との比較では妥当な水準といえる。ただし、上記の業績予想自体がかなり情報アクセスが限られた状態で作成しているうえ、各自がどのような予想をするのかが見えにくい。また、英文メディアでも今回のIPOについては数多く取り上げられているものの、内容はおよそ辛らつなものばかりだ。特に成熟化とガラパゴス化を指摘する声が多く、「LINE」に行列の意味があることにかけて「LINEには並ぶな!」と題するものもあった。

 口コミで聞く評判も今のところ消極的なものばかりで、仮条件のレンジがブリグジットショックのなかで想定価格よりも上振れした理由がおよそ分からない。訂正目論見書を素直に読めば、全体よりも4カ国、特にインドネシアでのユーザーの伸びが評価されているほか、広告商材の伸びが評価されていることになる。インドネシアではワッツアップやブラックベリーメッセンジャーに後れをとっているとの調査結果があるが、これを逆転できるとの期待があるのだろうか?

 今期業績についても「マーケティング費用を削って利益を出しているだけ」との指摘も聞かれる。対話アプリは勝者総取りのため、いち早くシェアを獲得する必要があり、広告宣伝費は先行費用の性質がある。つまりマーケティング費用の削減は、既にシェアを獲得した段階としては合理的ともいえるが、それは同時に成熟化を認めた証左ともいえてしまう。
 また、同社の収益はゲームからの売り上げが多く、この面では常に宣伝費用を計上していなければならない分野だ。昨年は「LINEミュージック」についてのTVCMが多かったような印象があるが、ダウンロード数は500万にとどまっている。感想欄を見ると品ぞろえの悪さが指摘されているが、この分野の収益化は既にあきらめたということなのだろうか?確かにiTunesに対抗するには無謀なようにも思える。

 日米同時上場で、米国で先行上場することによる効果も見通しづらい。米国預託証券(ADR)に変換できるのは海外販売分のみで、国内投資家は真の初値で売却することはできない。割合も海外6:国内4の比率となっており、出来高もニューヨークの方が多くなる可能性が高い。東証はローカル市場の扱いだ。今回は実質的に外国株のIPOと認識しておいた方がいいのだろう。
 ただし、米国のIT(情報技術)系IPOは冬の時代といわれる。先日はトゥイリオが好発進し、回復が期待されるものの、メディアで酷評されるうえに彼らは使用しないアプリに対し、買いが先行するかどうかは見通しにくい。買いからであれば日本の投資家も参加できるわけだが、もともと日本のIPOも小型の銘柄が需給要素で高騰するといった面が強い。IT系でも規模が大きいにもかかわらず利益面の実績が伴わないGunosyやメタップス、gumiの初値パフォーマンスは芳しくなかった。

 今回のIPOはさまざまな例外事項があり、不確定要素が多い。前例がないため見通しもしづらい。つまりハイリスクな案件だといえる。それに対し、仮条件が妥当範囲では、リスクに見合わない案件だといえる。弊社以外の業績予想が弊社のものより強気なのかもしれないが、弊社の判断としてはそう判断する。大型IPOのため需給でどうにかなるといった案件でもない。
 マスコミの注目度が高く、意外と盛り上がるのかもしれないが、少なくとも会社が業績予想に必要なガイダンスを開示するか、業績予想の市場集計がでそろうまでは株価の評価は定まりにくいだろう。投資よりも「祭り」と割り切る必要のあるIPOだといえる。

(2016/06/29)

特集記事バックナンバー
・第1回、 事業詳細とファーストインプレッション
・第2回、【仮条件分析】公開価格が仮条件上限なら、初値は公開価格前後を予想
・第3回、【仮条件追加分析】公開価格が新たな仮条件上限なら、初値は3500円程度を想定
・第4回、【公開価格分析】総需要多く申込価格も上限価格に集中し、人気化の様相
・第5回、【初値分析】東証初値はNY終値オーバーシュートでザラ場にツケ払う
さらに詳しい投資情報ならこちら!
その他のIPO銘柄の詳細など、更にパワフルな情報をお求めのお客様は
会員サービス 『 トレーダーズ・プレミアム 』(有料) をご利用ください

入会申込