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アナリスト田中の上場企業分析! 特集記事バックナンバー
第3回
【仮条件追加分析】
公開価格が新たな仮条件上限なら、初値は3500円程度を想定
仮条件:2,900円 - 3,300円
 吸収資金レンジ:1,167.3億円 - 1,328.3億円(今期予想PER:倍)
 時価総額レンジ:6,089.8億円 - 6,929.7億円

<追加分析>
 弱めBに引き上げる。公開価格が新たな仮条件上限ならば初値は3500円程度を想定する。

 仮条件は2700〜3200円から2900〜3300円に引き上げられた。平均価格は5.08%の引き上げとなる。同社と主幹事はブックビルディング開始以降の需要動向と株式市場の動向などを総合的に勘案したとしている。

 うがった見方をすれば臨場感を演出しているようにも見えるが、訂正目論見書を素直に読めば、機関投資家の需要は相当に強いようだ。グローバルオファリングでは海外投資家がシビアなプライシングをしてくることが多く、特に販売力に物言わせることができる野村証券が主幹事の案件は、それほど割安感を付ける必要がなく、公開価格が仮条件上限で決まること自体が少ない。だが今回は相場が混乱期にあったにもかかわらず、想定価格から一貫して価格は引き上げ傾向にある。海外需要の強さが推測され、ニューヨークを無事に通過できれば国内は買い意欲の旺盛さから公開価格を上回れると予想する。

 日本では異例の仮条件引き上げで、ネット上を見ると個人からは「ゴールポストを途中で動かす連中のやりそうなことだ」と批判が相次ぐ。だが、米国ではよくあることで、同社株のメーン市場がニューヨークであることの証左ともいえる。状況から判断するに、海外機関投資家の需要が強いということになる。海外配分の比率が高い以上、国内勢だけの需要では引き上げは難しい。
 かつては類似企業のフェイスブックやツイッターのIPOでもブックビルディング中に仮条件が引き上げられた。ゼネラルモーターズの再上場も同様で、この時は売り出し株も追加で増やされた。
 日本でもないわけではなく、かつてはマザーズ上場第1号のインターネット総合研究所が当たる。手元に記録がなく記憶ベースのため、ネット総研以外にこうした例があるのか不明だが、日米ともいずれも初値は公開価格を上回る反応を見せた。仮条件を引き上げた揚げ句に公開価格割れでは、主幹事としては立つ瀬がなくなる。類似企業の株価も上昇しており、心理的な節目伴う3500円ならば、弊社算出の業績予想によるPERで34.7倍と許容範囲だろう。もう一つの指標であるEV/EBITDAはあまり収れん性がないため前回の分析では参考にしなかったが、仮条件中心の3100円では13.42倍となり類似企業を下回る。

<対話アプリ各社>(7/5時点)  PER EV/EBITDA
----------------------------------------------------
フェイスブック(ワッツアップ)  31.93倍   17.98倍
ツイッター 33.95倍   13.49倍
カカオ 47.40倍   23.27倍
ネイバー 32.03倍   19.10倍
テンセント(微信) 33.87倍   27.44倍
楽天(バイバー) 22.87倍     -
(出所:ブルームバーグ)

 日本で仮条件の変更がほとんどないのは、日米のIPO制度の違いが関係している。日本では承認後にプレヒアリングを経て仮条件を発表、ブックビルディングに入るが、米国ではいきなりブックビルにはいる。日本では仮条件掲示前の想定価格が米国でいえば最初の仮条件のようなもので、日本でも仮条件が想定価格からかい離するのはよくあることだ。つまり今回は実質的には既に2回の上限引き上げが実施されたようなものということになる。

 LINEを評価できる面としては、マネタイズが進んでいる点と、Gunosyも狙うスマートフォンのポータルに近い位置取りができていることだろう。基本的にラインのこれまで事業戦略はスタンプ以外は、海外での成功例をまねる「タイムマシン経営」によるもので、当初の対話アプリはカカオトーク、支払いや予約などの生活関連サービスはテンセントの微信(ウィーチャット)をまねたものとされる。微信ではレストランの予約や公共料金や罰金の支払い、タクシー配車から投資商品まで買えるようになっている。
 そもそもシンプルイズベストが哲学のフェイスブック系とは方向性が異なるものの、こうしたタイムマシン経営は、前例があるだけに株式市場では評価されやすい。これは現実世界でも前例がある事業ほど銀行融資が付きやすいのに似ている。  ただバリュエーション自体は親会社含め世界の対話アプリ各社のPER32倍に収れんしているため、市場コンセンサスとしての業績予想は前回弊社が作成したものよりも上を見ているのだろう。上振れとして考えられる要因は、広告費用の削減やゲームのヒットなど。今夏から始めるMVNO(仮想移動体通信事業者)事業が期待されているかもしれない。LINEがMVNO事業に参入を表明した次の日、MVNO各社の株価は顧客を奪われる懸念から一斉に売られた経緯があり、それだけLINEへの期待が高いことの裏返しでもある。

 意外な海外人気が観測されたわけだが、それでも今回投資家層のなかで最もLINE株に期待するのは日本の個人だろう。このため最大の買い手が本格的に参戦してくる日本では、米国預託証券(ADR)よりも高く始まる可能性が高いと考える。ネット証券の一部ではADRを買いに行くこともできるが、一般的ではない。加えて、対面証券の一部ではセカンダリー参戦を検討するところが出てきているもよう。夏枯れ相場でやるものがない、といった背景が大きいが、彼らのほとんどは高い手数料を取れる米国ではなく、あくまで日本市場で買い付けを想定しているようだ。流動性も日本の方が少ないため需給は引き締まるといった面もある。ニューヨークを無難に通過できれば、多少の公開価格割れでも買い支えられるのではないか。そもそも規模的にグレーマーケットが立つ可能性が高く、米国では個人の関心はないだろうからニューヨークはそれをなぞるだけだろう。
 ただし、今回は業績予想をはじめ前例のないことばかりで、判断に悩む案件だ。業績予想については個々が作ることはできても、初値を当てに行く材料として使うには世界の業績コンセンサスがどこにあるのか当てる必要がある。それは結局のところフタを開けてみるしかないことだ。

 長期投資の際にはガバナンスの不透明さも気掛かりだ。今回目論見書が公開されて分かったのは、今まで社内トップだと思われていた出沢剛社長はそうではなかったことである。親会社トップの李海珍(イヘジン)氏はともかく、ストックオプションや役員報酬の序列は慎(シン)ジュンホ氏が実質的なトップであることを示しているし、さらには上級執行役員に過ぎないはずの朴懿彬(パクイビン)氏までもが上に位置している。彼女はLINEリリース時の技術部門の功労者とのことだが、議決権で格差を与えるからには出沢社長より親会社は上に位置付けているのだろう。
 出沢氏は社長とは名ばかりで実質的にナンバー3か4といった位置付けだ。そもそも出沢社長は米メディアによる取材インタビュー動画を見ると、どれも英語の質問に日本語で答えている。英語ができないトップが米国に上場しようとする不自然さがある(まあ余計なお世話だが)。

 子会社で世界戦略を担うのはLINEプラスとのことだが、もともとは親のネイバー(当時NHN)との合弁会社で、目論見書を見ると住所はネイバーと同じ城南市内。慎氏はCGO(最高グローバル責任者)としてプラスの代表取締役を担っており、一部にはここが真の本社との指摘がある。
 上場前には親会社に10倍議決権を与える種類株を発行していた時期があったが、日本経済新聞の報道によればこれが上場が遅れた主因とされる。他人のカネは欲しくても主導権は渡したくないというのが、ネイバー社の本音なのは間違いない。韓国企業の子会社として独立性には疑問があり、経営が見えない企業ではある。

(2016/07/06)

特集記事バックナンバー
・第1回、 事業詳細とファーストインプレッション
・第2回、【仮条件分析】公開価格が仮条件上限なら、初値は公開価格前後を予想
・第3回、【仮条件追加分析】公開価格が新たな仮条件上限なら、初値は3500円程度を想定
・第4回、【公開価格分析】総需要多く申込価格も上限価格に集中し、人気化の様相
・第5回、【初値分析】東証初値はNY終値オーバーシュートでザラ場にツケ払う
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