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日本郵政
ゆうちょ銀行
かんぽ生命
アナリスト田中の深堀り郵政IPO! 特集記事バックナンバー
【第6回】
親方日の丸保証がメリットのかんぽ生命、
焦点の配当利回りを保険大手と比べてみると…
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 かんぽ生命保険は日本郵政グループの第2の稼ぎ頭である。資本規模、売上高に当たる保険料等収入で国内首位。ここのところ日本生命保険の三井生命保険買収で、第一生命との業界争いが話題だが、日本生命と三井生命を単純合算してもかんぽの方が大きい。近年は縮小の一途だが、前身の簡保時代には全盛期で120兆円を超えた巨大さはなお健在。「腐っても鯛(たい)」とはまさにこのことだ。ゆうちょ同様に1人当たりの契約高には制限があるが、危険職業でも加入できる。何より保険は長期の契約だけに、銀行以上に信用力が問われる商売。親方日の丸による事実上の国家保証は最強である。





 郵便局としての簡易保険事業は旧逓信省(後の郵政省)の、郵便事業から遅れること45年、郵便貯金事業からは42年の1916年(大正5年)10月に創業された、3事業のなかでは新しい事業である。来年は100周年を迎える。

<かんぽ生命を巡る沿革>
1871年(明治4年)郵便事業創業
1916年(大正5年)簡易保険事業創業
1926年(大正15年)郵便年金事業創業
1928年(昭和3年)国民保健体操(ラジオ体操)の開始
1951年(昭和26年)新ラジオ体操の開始
1997年(平成9年)簡保資金100兆円
2001年(平成13年)簡保資金120兆円
2007年(平成19年)かんぽ生命保険(日本郵政グループ)設立
※日本郵政ホームページより抜粋

 創業当時は、「大正デモクラシー」の真っ盛り。特に前後した第一次世界大戦(1914〜1918年)の結果、欧州列強がアジア不在となり、そのすきをついたいわゆる「大戦景気」で労働者の立場が向上していた。社会運動が盛んとなり、政府としては労働者の福祉対策に迫られた。
 既に民間の保険会社は生命保険、損害保険ともに存在していたが、社会政策の一環として小口の生保を官営で提供することになり、全国津々浦々にある郵便局が活用されることになった。
 ちなみに逓信省簡易保険局が現在のラジオ体操の原型である「国民保健体操」を始めたのは1928年(昭和3年)のこと。戦後のリニューアルを経て、現在でもかんぽ生命が社会貢献活動としてNHKと共同で普及推進に努めている。

 前置きが長くなったが、生保最大手もずうたいばかりが大きく、ゆうちょ銀行同様に収益力は劣る。利益ベースで比較すると、基礎利益や経常利益は日本生命よりも少ない。



 これはゆうちょが民間生保と違って貯蓄性の高い養老保険や終身保険、年金保険を主力に据えてきたためと考えられる。今でも掛け捨ての定期保険は、10年満期しか取りそろえておらず、近年ニーズの高い医療保険などの第三分野は用意すらない。昔ながらに特約での対応だ。
 かんぽ生命はがん保険への参入を表明しているが、政府は今のところ民業圧迫などを理由に認可を見送っている。第三分野への参入は日本で高いシェアを持つ米国系生保の反対で、国際問題も絡むだけにさらに複雑だ。

 かつて養老保険は、郵貯時代の定額貯金同様、バブル期には高金利商品として人気を博した。長期の契約が多い養老はまだ影響が残っているがゆえ、保険料等収入の減少に歯止めが掛かっていない。14年度は改良した学資保険が人気で、減少し続けていた保険料等収入が民営化後初めて増加に転じたが、15年度は早くも新商品効果が一巡。4〜6月期の保険料収入は前年同期比で10.6%減だった。将来利益の源泉でもある保険契約準備金の減少に歯止めは掛かりつつも、まだ増加に転じるには至っていない。





 ただし、バブル期に販売された養老保険は、バブル崩壊長期にわたって保険会社を逆ざやで苦しめた元凶でもある。不採算保険の減少は利益面で見ればプラスに働く。かんぽ生命設立後以降は順調に減らし、他生保と同じく2013年度に解消した。以降は順ざやで推移する。



 しかしながら逆ざやが解消した後は黒田日銀体制による低金利政策が襲っており、運用難にあえぐ姿はゆうちょ銀行と同様である。生保は長期債での運用を基本とするが、日銀が長期金利もつぶしにきたことで、保険各社は運用難にあえぐ。なお、販売管理費に当たる事業費の削減も収益改善に寄与してきたが、ゆうちょに比べると効果は限られる。

 かんぽ生命含め生保各社は外国債券などのリスク資産の比率を高めることでカバーしようとしているが、今や量的緩和による低金利政策は先進国共通。株式投資も増やしているが、むやみに増やすわけにも行かず有力な逃げ場はない。利益は横ばいが精いっぱいだ。かんぽ生命発足直後、リーマンショックなどでキャピタル損失がかさんだ苦い過去もある。



 なお、純利益だけを拾った場合のグラフは以下の通り。生命保険の決算では株式会社形態で有配当の保険を販売している場合、相互会社と違って保険契約者と株主(社員)が別々となる。相互会社での保険の配当は株式の配当と同じ扱いだが、株式会社では経常利益と最終利益の間で保険契約者に支払う配当金の相当額(契約者配当準備金繰入額)を差し引くため、経常利益と純利益の差が大きく開くことなる。



<過去の業績推移まとめ>
2007年度(6カ月)
経常収益7兆6868億円、純利益76億円
キャピタル損益である金銭の信託運用損や有価証券の売却・評価損がかさんだ(サブプライムショック)。

2008年度
経常収益 15兆5337億円、純利益383億円
有価証券の評価損は減ったが、引き続き金銭の信託運用損や有価証券の売却損がかさんだ(リーマンショック)。

2009年度
経常収益 14兆5916億円、(前期比6.1%減)、純利益701億円(83%増)
金銭信託の運用損や有価証券売却・評価損などキャピタル損失が大きく減少した。

2010年度
経常収益13兆3754億円(6.1%減)、純利益772億円(10.2%増)
保険金支払いが大きく減少したほか、逆ざや改善や事業費削減、証券売却益の増加が寄与した。

2011年度
経常収益12兆5,386億円(8.3%減)、純利益677億円(10.2%増)
保険金支払いが減少したうえ、逆ざや改善や事業費削減などが寄与した。

2012年度
経常収益11兆8349億円(5.6%減)、純利益910億円(34.3%増)
引き続き逆ざやの改善が進んが、保険契約の減少による基礎減益、経常減益は防げず。ただ法人税の減少で最終増益は確保した。

2013年度
経常収益11兆2339億円(5.1%減)、純利益634億円(30.3%減)
逆ざやが民営化後初めて解消したものの、保有契約保の減少に伴う費差益減少や、今年度からの標準利率引下げなどによる危険差益の減少で基礎減益だった。保険契約者への配当準備金繰入額の減少も最終増益に寄与した。

2014年度
経常収益101,69億円(9.5%減)、純利益817億円(28.9%増)
前年度からの標準利率の引下げに伴う積立負担の軽減などによる危険差益の改善のほか、順ざやの拡大で基礎増益だった。保険契約者への配当準備金繰入額の減少も最終増益に寄与した。また、改良した学資保険が好調で保険料等収入が増加に転じた。

2015年度1Q
経常収益2兆4731億円(前年同期比4.6%減)、純利益232億円(9.3%減)
学資保険の効果一巡で保険料等収入は再び減少。保有契約の減少に伴う費差益の減少などにより基礎減益だった。


 逆ざや解消でも低金利政策の影響を受け業績は苦戦。政府の影響が残る点では成長への道筋も描けない。生保各社は最近、買収攻勢を強めているが、半国営が維持される状況で買収合戦に参加するのは難しいだろう。官営でリスクを取らずに経営してきた分、他社に比べリスク資産のウエート上昇には余地があるが、抜本策とは言い難い。成長性が見込みにくいことから、かんぽ生命も配当利回りが焦点になってきそうだ。

 かんぽ生命の配当性向は30〜50%と幅が持たされている。今期の業績予想は上場承認とともに開示される予定だが、17年度の純利益目標800億円を基に計算すると、EPSは133.33円。配当性向は目標中間の40%とすると53.33円だ。日本経済新聞の報道によると想定売り出し価格は2000円台前半だから配当利回りは2.67%以下になる。



 損保を含めた大手保険会社の利回りは2%前後だが、カタカナ系のソニーフィナンシャルホールディングスは2.5%ある。将来性が描けないことを踏まえれば、経営に足かせのないソニーFHを買った方がマシに思える。
 ただし、仮に配当性向が上限50%なら利回りは3.33%以下になるためギリギリ許容範囲か。郵政3社のなかではかんぽだけが目標配当性向をレンジ設定にしているが、ソルベンシーマージンは直近で1591.2%と高い。日本生命や第一生命は1000%を下回っており、どちらかというと資本過剰といえる。
 まだ国の資本が入るがゆえ、万が一の税金投入を避けるために高い水準を保つ必要があるのだろうが、例え再投資に回そうにも手足を縛られている状況はゆうちょと同じ。使い道は限られる。かんぽ生命だけ抑える理由は乏しい。
(2015/9/10)

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郵政IPO トピックス( 郵政グループに関連する情報をピックアップして随時配信しています )
2015/11/4 米MSCI、日本郵政とゆうちょ銀を早期組み入れ
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2015/11/4 英FTSE、郵政3社の投資可能分は11%
 英FTSEは郵政3社のグローバル株価指数シリーズへの早期組み入れ(ファストエントリー)について、3社とも発行済み株式数の11%を投資可能分とみなすと発表した。10日火曜日大引け時点の株価で組み入れ、翌11日から各指数に反映させる。
2015/10/27 日本郵政、グレーで5%高の1470円 (BBG 報道)
 日本郵政株について、東京時間午前10時46分に1470円でグレーマーケットの取引があったとブルームバーグが報じた。シンガポール在住のチャーチル・キャピタルのセールス・トレーダーが明らかにしたという。公開価格の1400円を5%上回る。また、ゆうちょ銀行は公開価格の1450円に対し1540円で取引され、かんぽ生命保険は公開価格2200円に対し2360円の買い気配、2500円の売り気配が入っているとしている。
2015/10/20  かんぽ生命とゆうちょ銀、グレー市場で公開価格上回る買い注文 (BBG 報道)
 上場前の株式が取引される「グレーマーケット」でかんぽ生命は公開価格2200円に対し、2350円のビッド(買い気配値)、ゆうちょ銀行については公開価格の1450円に対し1550円のビッドが入ったとリオリエント・グループによる話としてブルームバーグが報じた。また、チャーチル・キャピタルのセールス・トレーダーの話として、ゆうちょ銀には1510円、かんぽ生命には2290円のビッドが入っていると伝えた。
2015/10/14  郵政3社、ブックビル開始2日で需要超過 (BBG 報道)
 日本郵政グループ3社のIPOで、ブックビルディング開始から2日間で国内外の投資家需要が総売り出し株式数を上回ったと、ブルームバーグが関係者の話として報じた。日本郵政とゆうちょ銀では申し込みが売り出し予定数を上回り、かんぽ生命では数倍になったという。
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