DZHフィナンシャルリサーチ 総合サイト 中国株専門サイト 外国為替専門サイト
ご意見ボックス
当ウェブサービスの問題点や提供してほしい情報など、トレーダーズ・ウェブへのご意見・ご要望を、お気軽にお寄せください。
【注意事項】
※ご意見ボックスでは「ご質問」や「問い合わせ」には対応しておりません。 御用のお客様は「お問い合わせ」フォームをご利用ください。
※「トレーダーズ・メールマガジン」の配信停止につきましては、お申込いただいたメール配信サービス「まぐまぐ」にてお手続きください。 まぐまぐの配信停止は こちら をクリック。
【入力フォーム】
年齢をご入力下さい ※半角数字
性別をご選択下さい 男性  女性
ご覧のコンテンツ 「
本日の更新状況

インフォメーション
緊急事態宣言に伴う当社のサービスについて
≫ 詳しくはこちらをご覧ください

日本株アナリストを募集中
日本株情報のプロとして、個別株や株式市場全般に関する材料・分析コメントを作成・配信するお仕事です。
≫募集の詳細はこちら

会員サービスに『スマホ版』をリリースしました
いつでもどこでも、PC環境に近い株情報収集が可能となりました。スマートフォンをお持ちの皆様はぜひお試しください!
≫ 会員サービスの詳細はこちら

会員サービス『 トレーダーズ・プレミアム 』のご案内
毎朝寄り付き前にお届けする 『推奨銘柄』 はもろん、インターネット情報では珍しい、株式アナリストのアドバイスが1対1で受けられるサービス 『投資相談室』 も提供しています!
≫ 詳細はこちら
日本郵政
ゆうちょ銀行
かんぽ生命
アナリスト田中の深堀り郵政IPO! 特集記事バックナンバー
【第8回】
日本郵政の価値を考える! 日本郵便はお荷物なのか?
〜一等地に抱える膨大な不動産〜
traders_webをフォローしましょう
 日本郵政の利益は大半が金融2社から構成される。セグメント別の利益構成を上場時の持ち分に修正しても、ゆうちょの銀行業だけで半分以上を稼ぐ。かんぽの生命保険業は4分の1超で金融2事業の合計だけで8割超の計算だ。祖業である郵便・物流事業はわずか0.2%でしかない。窓口事業も2.2%のみ。将来的に金融2社を完全売却した暁には、利益のほとんどがなくなってしまう。日本郵政の想定価格による時価総額は、上場時の金融2社の持ち分の評価額を下回っており、日本郵便の時価総額がゼロ、もしくはマイナスで算定されていることになる。果たして、郵政グループ最大の勢力である日本郵便は、それほど価値がないだろうか。



<現状の日本郵便について>

 郵便事業はどこの国でも電子化の波を受けて斜陽産業だ。国によっては2桁減が続くところもある。日本でも郵便の取扱物数は毎年2%前後ずつ減少している。一方、ゆうパックやゆうメール(旧冊子小包)などの物流事業はインターネット通販の普及を背景に伸びており、両事業を合算した売上高は横ばいか微増で推移している。



 日本郵便は日本郵政グループのコストセンターでもあり、利益は少ない。ほとんどが人件費で費やされている。グループ連結従業員約23万人のうち、20万人超が郵便・物流事業と金融窓口事業の2事業に集中する。金融2社から入る1兆円近くに上る多額の代理業務手数料も、ほとんど人件費に消えてしまっている。
 日本郵政は当初、郵便事業会社と郵便局会社の4社体制だったが、郵便事業の採算が厳しく、2011年3月期に営業赤字に転落した。翌期、赤字幅は減ったものの、黒字だった郵便局会社との統合に至った。

 郵便物流事業のセグメント損益は今も厳しく、日本郵便単体では赤字。連結では辛うじて黒字を保つ状況だ。金融窓口事業はまだマシだが、利益率は低下傾向にある。雇用情勢による人件費の上昇や、次世代情報端末の全国展開などがかさむ。
 また、郵便局舎は老朽化が進んでおり、足元では修繕費用などが重しとなっている。特別損失に計上されているため、セグメント損益には表れていないが、これを踏まえると両事業は実質赤字といえる。民営化以降、黒字を優先してきたことから老朽化対策が後回しにされた。今になってツケを払うはめになったというわけだ。古い建物が多いだけに、アスベスト除去が必要になった場合には多額の除去工事費用が生じる可能性があるという。





<上場後の日本郵便について>

 ただし、日本郵便の一番の注目点は、こうした既存の事業ではない。その一つが、セグメントでは窓口事業のなかに含まれる不動産事業だ。連結の貸借対照表では金融2社の膨大な金融資産で目立たないが、日本郵便の連結総資産のうち2割強を土地が占めている。その額1兆3168億円。財閥系の総合不動産大手に引けを取らない規模だ。しかも東京駅前のJPタワーに象徴されるように、鉄道輸送の時代の名残で駅前一等地も多い。
 老舗企業は本業が行き詰まったとき、時代の流れとともに一等地になった自社ビルを再開発して生き残る例は枚挙にいとまがない。日本郵便の不動産開発事業はまだ四苦八苦の段階にあるが、NTTグループやJRグループの例からしてもやがてノウハウを吸収するだろう。民営化案件の中でも優良な不動産を持つことと、郵便・物流事業の収益性の低さを踏まえれば、将来的に金融2社を売却し終わった時、業種分類は「陸運業」ではなく「不動産」に変わっているかもしれない。





 もう一つ、上場に当たって日本郵便が買収した豪トール社にも注目しておきたい。2017年3月期の第2四半期から国際物流事業として新たに連結に加わる。市場価格に50%近いプレミアムを付けたためのれん償却費が重いが、これはサンクコスト(埋没費用)として無視できる。今期のセグメント利益率の予想は4.2%と高い。
 ただし、成長性については成熟化が見られる。2012年6月期頃までは増収が続いていたが、2013年6月期からは横ばいで推移。ブルームバーグコンセサンスでは15.6期は0.5%減、16.6期2%増となっていた。トール社の買収は、同社がこれまで進めてきた国際的な買収や企業間物流などのノウハウの吸収があり、プレミアムはその授業料ともいえる。日本郵便の事業買収といえば、日通から「ペリカン便」事業を買収した際の混乱が記憶に新しいが、今回は新進出の事業ということもあってかトール社をそのまま残す形になっている。経営陣もそのままだ。





<日本郵政のその他事業>

 なお、持ち株会社の日本郵政には、日本郵便や金融2社、グループ本部業務以外にも手掛ける事業がある。全国11カ所の「逓信病院」の病院事業と、「かんぽの宿」や「ホテルメルパルク」などの宿泊事業である。両事業は主力3事業と違ってユニバーサル(全国一律)サービスの対象ではないが、赤字が続いており建て直しが懸案事項となっている。前期営業損益は病院事業が60億円の赤字、宿泊事業は29億円の赤字だった。ともに前々期に比べ赤字幅が拡大した。
 かんぽの宿は数年前にオリックスへの一括売却が取りざたされたが、政治問題に発展して売却し損なった。上場を控えて個別での売却を再開したが、いまだ赤字は解消できていない。皮肉にも売却再開以降、赤字は縮小するどころか拡大してしまっている。加えて特別損失では郵便局舎同様、老朽化対策もかさんでいる。
 両事業はセグメントではグループ本部業務と一緒に「その他事業」に入っており、同事業そのものは本部業務で黒字になっている。このため病院・宿泊事業の赤字が目立たなくなってしまっている。ただ、合わせて多額の赤字を出していることに変わりなく、売却・再建は急務といえる。
 もともと病院・宿泊の両事業は保険契約者の福利厚生や職域病院として建設した経緯があり、収益性は問われなかった。かんぽの宿は民営化法施行後、5年以内の事業譲渡か廃止が決まっていた。オリックスへの売却騒ぎはその過程でいわゆるバルクセールの一環で起こった。バルクセールは買い手の付かない資産も、優良資産と一緒にすることでスピード売却できるメリットがある。しかしながら、民主党政権に代わるといったん事業譲渡・廃止の目標は凍結され、日本郵政の「経営判断」に委ねられることに。そして上場準備の過程でリニューアルして再建を目指す所と、売却される所に分けられるようになった。





<日本郵政株の評価について>

 日本郵政の株式評価は、Sum-of-the-Parts方式が適用されることになろう。金融2事業は将来的に売却が進むごとにその分の利益が削られる。今期についても上期はフルで連結されているのに対し、下期は売却分の1割前後ずつの寄与分がなくなる。連結全体の利益で評価すると見誤ることになる。日本郵政の公開価格が金融2社に比べて遅いのは、2社の評価が定まらないと、郵政の評価もできないという前提があるからだ。

 想定価格による金融2社の時価総額の日本郵政の上場時の持ち分は6兆8706.8億円になる。それに対し、日本郵政の時価総額は6兆750.0億円に過ぎない。実質的に赤字の日本郵便や病院・宿泊事業を負の資産としてみなしていることになるが、不動産開発の潜在性を踏まえればマイナス評価は保守的過ぎる。また、少なくとも豪トール社は買収前の時価総額分を足せる。豪州株価指数のオールオーディナリーや、豪ドル下落分を踏まえても3200億円程度の評価はできる。金融2社分との差額やトール社の評価を踏まえれば、日本郵政の時価総額は最低でも1.1兆円程度の割安幅が存在することになる。上場後の金融2社の株価次第では、さらなる割安感が生じることになる。
 収益頭である金融2社が注目され、赤字事業を抱える日本郵政は敬遠されがちだ。だが逆にいえば、それだけ収益改善の余地が大きいともいえる。
 ただ、こうした改善期待が実現するかは上場後の経営手腕次第であり、上場時点の評価には織り込みづらい。これまで四苦八苦してきた病院・宿泊事業が上場したからといってすんなり立て直せるとは限らない。不動産開発についても市況が大きく影響するだけに、景気減速がささやかれ始めた今は慎重に見る必要がある。そして、政争に巻き込まれやすい企業体質には特に注意が必要だ。上場をきっかけに、過去のしがらみを断ち切れるかどうかは成長のための大きなカギといえよう。
(2015/10/08)


特集記事バックナンバー
・ 第1回、NTTドコモ越えなるか!? 超ド級のIPO迫る
・ 第2回、特例づくしの、世界でも類を見ない親子同時上場
・ 第3回、知っておきたいもう一つの子会社“ 現場業務を担う日本郵便 ”
・ 第4回、踊る超ド級IPO
・ 第5回、国民資産が簿価の6割引で買える!? ゆうちょ銀行の投資妙味や如何に
・ 第6回、親方日の丸保証がメリットのかんぽ生命、焦点の配当利回りを保険大手と比べてみると…
・ 第7回、郵政上場に株価は救われたのか?
・ 第8回、日本郵政の価値を考える! 日本郵便はお荷物なのか?〜一等地に抱える膨大な不動産〜
・ 第9回、郵政3社はどれを買うべきか 青い鳥の止まるカネのなる木はどこに?
・ 第10回、世界の郵便事業IPO、株価が上がった国、下がった国 成長のカギを握るのは…
・ 第11回、過去の大型IPOの指数採用イベントは?
・ 第12回、ゆうちょ銀のキャッチアップはあるのか? かんぽ生命の今後は?上場一ヶ月、各社の…
・ 第13回、問題山積だが、走り始めた民営化はもはや誰にも止められない。
郵政IPO トピックス( 郵政グループに関連する情報をピックアップして随時配信しています )
2015/11/4 米MSCI、日本郵政とゆうちょ銀を早期組み入れ
 米MSCIは4日、日本郵政とゆうちょ銀行の2社をMSCIグローバルスタンダード指数に11月18日から反映させる(17日の大引けで計算)と発表した。ともにラージキャップとスタンダードが対象になる。
2015/11/4 英FTSE、郵政3社の投資可能分は11%
 英FTSEは郵政3社のグローバル株価指数シリーズへの早期組み入れ(ファストエントリー)について、3社とも発行済み株式数の11%を投資可能分とみなすと発表した。10日火曜日大引け時点の株価で組み入れ、翌11日から各指数に反映させる。
2015/10/27 日本郵政、グレーで5%高の1470円 (BBG 報道)
 日本郵政株について、東京時間午前10時46分に1470円でグレーマーケットの取引があったとブルームバーグが報じた。シンガポール在住のチャーチル・キャピタルのセールス・トレーダーが明らかにしたという。公開価格の1400円を5%上回る。また、ゆうちょ銀行は公開価格の1450円に対し1540円で取引され、かんぽ生命保険は公開価格2200円に対し2360円の買い気配、2500円の売り気配が入っているとしている。
2015/10/20  かんぽ生命とゆうちょ銀、グレー市場で公開価格上回る買い注文 (BBG 報道)
 上場前の株式が取引される「グレーマーケット」でかんぽ生命は公開価格2200円に対し、2350円のビッド(買い気配値)、ゆうちょ銀行については公開価格の1450円に対し1550円のビッドが入ったとリオリエント・グループによる話としてブルームバーグが報じた。また、チャーチル・キャピタルのセールス・トレーダーの話として、ゆうちょ銀には1510円、かんぽ生命には2290円のビッドが入っていると伝えた。
2015/10/14  郵政3社、ブックビル開始2日で需要超過 (BBG 報道)
 日本郵政グループ3社のIPOで、ブックビルディング開始から2日間で国内外の投資家需要が総売り出し株式数を上回ったと、ブルームバーグが関係者の話として報じた。日本郵政とゆうちょ銀では申し込みが売り出し予定数を上回り、かんぽ生命では数倍になったという。
さらに詳しい投資情報ならこちら!
その他のIPO銘柄の詳細など、更にパワフルな情報をお求めのお客様は
会員サービス 『 トレーダーズ・プレミアム 』(有料) をご利用ください

入会申込