年初来高値・安値更新銘柄に着目した投資戦略
株価は日々変動しますが、その中で年初来高値および安値を更新するというのは、注目される動きといえます。
今回は、この高値・安値更新銘柄に着目した投資戦略をご紹介します。
トレーダーズ・プレミアムでは、年初来高値および安値を更新した銘柄の一覧を確認することができます。
なお、「新高値安値銘柄一覧」と「最高値安値銘柄一覧」という項目がありますが、新高値安値はその年の高値および安値、最高値は1975年以降の高値および安値を更新した銘柄が掲載されます。 また、新高値安値に関しては、3月末までは前年の年初からの高値および安値、4月以降はその年の高値および安値を更新した銘柄が掲載されます。 ここでは年初来高値および安値を更新した銘柄を取り上げますので、「新高値安値銘柄一覧」をもとに、以下の項目で具体的な戦術について触れていきます。
過去の高値で買った投資家は、買い値に近付けばやれやれ売りを出したくなるでしょう。
年初来高値を更新する銘柄は、そういった売りをこなしてさらに上昇したということで、基調が強いと考えることができます。
年初来安値更新銘柄はその逆です。
そのため、順張りで高値更新銘柄を買い、安値更新銘柄を売るというのは、シンプルではありますが有効な戦略といえます。
なお、1日で急騰して高値を更新した銘柄に関しては、上昇が一時的にとどまることも少なくありません。
一覧ページにはその日の「騰落率」も載っています。
デイトレードでは、急騰した高値更新銘柄に着目して短期の値幅取りを狙う戦略も有効ですが、中長期志向の場合には、そのような銘柄は、反動に注意を払っておいた方が良いでしょう。
年初来高値を更新した銘柄が次の日も上昇した場合、一覧には連日で掲載されます。
そのため、相場が強い時には、新高値更新一覧に掲載される銘柄の数も増加する傾向があります。
そうなると、この一覧は基調の強い銘柄リストではあるものの、各銘柄の値動き自体はマイルドになりやすいです。
そのような時は、新たにリストに入った銘柄に注目するのも一つの戦略です。
一覧ページでは前回高値と更新日も掲載されています。
更新日の日付が遠いものほど、久々に高値を更新した銘柄となります。
ある意味出遅れていた銘柄といえる分、上昇余地もあるといえます。
安値更新の場合はその逆です。多くの銘柄が安値を更新する中で値を保っていたものの、地合いの悪さに耐え切れず、他の銘柄に遅れて安値を更新。
そうなると我慢して持っていた投資家からの見切り売りが出やすくなるため、もう一段の下落余地があるという見方となります。
前回高値 (更新日) |
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2,181 (2019/12/03) |
2,229 (2019/12/03) |
1,625 |
(2019/03/26) |
816 (2019/12/03) |
2,185 (2019/12/03) |
新高値一覧に出てきたのに「騰落率」がマイナスの銘柄。 これは、取引時間中に高値を更新したにもかかわらず、買いが続かず下落して終えた銘柄となります。 当然、高値圏にある銘柄ですから、利益確定売りも出てきます。 ただし、大きく下げた銘柄の場合、ピークを打った可能性もあります。 そういった銘柄に関しては、売りから入るという方法もあります。 逆の「安値更新でも大幅上昇銘柄」に関しては、安値圏にある銘柄に一時的なリバウンドが入ることは珍しくはないため、これだけで大底と判断するのは時期尚早と考えます。
前日比 騰落率 |
---|
+36
+1.79% |
93%
+4.68% |
-100
-1.79% |
+50
+1.09% |
+36
+2.08% |
騰落率が大きくマイナス
一覧では「業種」も掲載しています。 同じ業種が多く出てきている場合、セクターとして強い動きが出てきているとも考えられます。 そのような時は、同業でまだ高値は更新していないけれども、動きが良くなっている銘柄を先回りで買うといった戦略が有効です。 また、新安値一覧に多く出ていた業種が減ってきた時などは、その業種は押し目買いのタイミングと判断することができます。
業種 |
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機械 |
電気機器 |
電気機器 |
電気機器 |
電気機器 |
ほかの電気株も上がって
くるかも!?
年初来高値・安値更新銘柄を活用した投資アイデアをいくつか紹介しましたが、相場全体の流れをつかむ点からも、高値・安値更新銘柄の推移は参考になります。
日経平均は高値圏で推移している。
にもかかわらず年初来高値更新銘柄の数が減ってきた場合、全体の上昇の勢いが弱まってきたと推測することができます。
そのような場合には、自身の保有株が高値圏を維持していたとしても、利益確定を検討するタイミングかもしれません。
一方、日経平均が高値圏で上値が重くなったとしても、年初来高値を更新する銘柄が多ければ、相場の勢いはまだ強いと判断できます。
下げ局面では、日経平均の下値模索が続いていても、安値更新銘柄が減ってくれば、売り圧力が和らいでいると推測できます。
一方、戻したように見えてもまだ安値更新銘柄の数が多ければ、値ごろ感だけで押し目買いに走るのは時期尚早と考えられます。
相場の温度を測るバロメーターの一つでもありますので、日々一覧をチェックすることをお勧めします。
個別銘柄の発掘にも役立ちますし、年初来高値・安値の数を追っていれば「そろそろピーク(大底)かも」といった大きな方向性を把握することができるかと思います。
ぜひ有効活用してみてください。
久々に年初来高値を更新