一目均衡表の「雲」と株価の関係を知ろう
今回は一目均衡表の抵抗帯「雲」と価格の関係について詳しく取りあげます。以前、ご紹介した「一目均衡表で好転(逆転)のタイミングを捉えよう」の中では、強い買いサインとなる「三役好転」には価格が雲を上回ることが必要条件の1つであることを説明しました。今回は両者の関係に焦点をあて、実践での活用方法について詳しく説明します。
一目均衡表は、「基準線」「転換線」「先行スパン1」「先行スパン2」「遅行スパン」と呼ばれる以下の5つのラインで構成されたテクニカル指標です。
抵抗帯「雲」とは、上記の「先行スパン1」と「先行スパン2」の間に形成されたゾーンを帯状に表したものをいう。図表1はソニーグループ(6758)の日足に一目均衡表を表示させたチャートで、交差する2本の先行スパンの間に、水色と薄赤色の帯状に表示されているのが「雲」になります。
下落相場が続いたあと価格が抵抗帯「雲」を上抜ければ「好転」と呼び、強気局面入り(上昇トレンド入り)と判断します。上昇相場が続いたあと価格が抵抗帯「雲」を下抜ければ「逆転」と呼び、弱気局面入り(下落トレンド入り)と判断します。
2本の先行スパンで形成される雲が薄ければ過去の相場のしこりが少なく、価格が雲を抜けやすい局面と捉えます。逆に、雲が厚ければ過去の相場のしこりが多く、価格が雲を抜けにくい局面と捉えます。
下落相場の場合は雲が上値抵抗(戻りの限界)となり、上昇相場の場合には雲が下値支持(押しの限界)となります。この習性を知ることで、買い指し値や売り指し値を設定する際のヒントになることや、上昇相場において上げ止まる可能性が高い水準、下落相場で下げ止まる可能性が高い水準を予測することができます。
図表2は、価格推移に対して雲が上値抵抗や下値支持になり得るパターンを簡略図で示したものです。
図表3は、ユニ・チャーム(8113)の日足の一目均衡表です。実践面では図表2の簡略図のように「好転」や「逆転」の見極めが難しい面があります。「好転」や「逆転」のダマシが頻繁に発生し、主のトレンドを見誤るケースもあります。短期的なダマシを排除するためにも、週足の一目均衡表なども同時に活用し、大きなトレンドを把握することが重要です。
抵抗帯「雲」を形成する先行スパン1と先行スパン2は、相場の状況により時として上下が入れ替わったり、急速に変化したりすることがあります。この「雲の交差(ねじれ)」や「雲の屈折(凹凸)」などは、いろいろな情報を発信してくれます。
図表4は、楽天グループ(4755)の日足チャートです。「雲の交差(ねじれ)」や「雲の屈折(凹凸)」が生じた箇所では、相場基調が急変したり、価格の天井圏や底値圏に近いタイミングであることが確認できます。
先行スパン1と先行スパン2に挟まれた帯状の部分でできた抵抗帯を「雲」といい、一目均衡表を象徴する視覚的特徴のひとつです。価格が雲よりも上位にあるときは上昇トレンドと判断します。一方、雲よりも下位にあるときは下降トレンドと判断します。また、上昇トレンドでは雲は反落したときの下値支持となり、下降トレンドでは雲は戻りの際の上値抵抗として作用します。
したがって、価格が雲を突破する状況は基調転換を意味することになります。先行スパン1は転換線と基準線の仲値、先行スパン2は過去52日間の高安の仲値であるため、先行スパン1は先行スパン2よりも短期の仲値を表しています。
この結果、上昇トレンドでは先行スパン1は先行スパン2を上回っている。反対に下降トレンドでは先行スパン1は先行スパン2を下回っています。先行スパン1と先行スパン2が交差する局面は、トレンドの転換を示唆し、相場の基調の変化を暗示しています。