先物取引とは~仕組みや特徴~
日本の株式市場では、しばしば先物取引の動向がマーケットの変動に影響を与えることがあります。
例えば日経平均が大幅に上昇した場合、「外国人投資家による先物主導の買いが相場を押し上げた」といったマーケットコメントを目にすることがあります。
こうした相場全体の動きを確認する方法の一つとして、主に外国人投資家や機関投資家が利用する先物取引の動向が手掛かりになることがあります。
そこで今回は先物取引の仕組みや特徴を説明します。まず代表的な先物取引には、『日経225先物』があります。
簡単に言いますと、「株価指数である日経平均株価(日経225)を取引すること」です。
その他にも『TOPIX先物』や『NYダウ先物』などがあります。
まず先物取引の定義を確認します。
先物取引とは、「ある商品を将来の特定の日に、現時点で取り決めた価格で取引することを約束する契約」を示します。
現物取引との違いは「期限が決まっている」、つまり「満期日がある」ことです。
この満期日のある月を「限月」と言います。
日経225先物を例に挙げます。
日経225先物は3月、6月、9月、12月に限月を迎えます。
満期日は限月の第2金曜日であり、一般に満期日を「SQ日」と呼んでいます。
19の限月取引が平行して行われており、投資家は限月を選んで注文を行います。
最終取引日の近い限月(期近)の出来高が多くなる傾向にあります。
SQ日(第2金曜日)が満期日
・今回の例では、直近5つの限月を掲載しております。
先物取引には満期日がありますが、必ずしも満期日まで保有する必要はありません。
SQ前日まで取引が可能となり、転売または買い戻しによる反対売買を行うことで決済します。
現物取引との大きな違いとしては、先物取引が「売り」からも取引開始できることが挙げられます。
先物取引の基本として、将来的に日経平均が上昇すると予想すれば「買い建て」を行います。
買い建てた価格より日経平均が上昇したところで転売すれば、その差額が利益となります。
逆に将来的に日経平均が下落すると予想すれば「売り建て」を行います。
売り建てた価格より日経平均が下落したところで買い戻しを行えば、その差額が利益となります。
つまり先物取引は「相場の下落局面でも利益を追求できる」というメリットがあります。
(例)20,000円で1枚買い付けした場合
(転売価格-買い建て価格)×取引単位×枚数
(22,000円-20,000円)×1000倍×1枚
=+2,000,000円
(転売価格-買い建て価格)×取引単位×枚数
(18,000円-20,000円)×1000倍×1枚
=▲2,000,000円
(例)20,000円で1枚売り付けした場合
(売り建て価格-買い戻し価格)×取引単位×枚数
(20,000円-22,000円)×1000倍×1枚
=▲2,000,000円
(売り建て価格-買い戻し価格)×取引単位×枚数
(20,000円-18,000円)×1000倍×1枚
=+2,000,000円
最終取引日の前日までに反対売買せずに満期日まで保有した場合は、SQ日に強制的に決済されます。
具体的には「SQ値(特別清算数値)」と呼ばれる、先物やオプション取引の最終決済を行うための算出価格で強制的に決済が行われます。
日経225先物のSQ値は、満期日を迎える限月の決済日(第2金曜日)の指数構成全銘柄(現物)の始値を基に算出されます。
今回は日経225先物を例に「先物取引の仕組み」や「下落局面でも利益が追求できる」というメリットについて説明しました。
その他にも日経225先物の取引には「夜間取引(日本時間16:30~翌5:30)が実施されている」、「個別銘柄のような倒産リスクがない」といったメリットも享受できます。
また個人投資家の方にも利用しやすくするために、2006年7月から『日経225mini』の取引を開始しました。
「投資単位が日経225先物(日経平均の1000倍)の10分の1で取引できる」といった特徴があります。
『日経225mini』の仕組みやメリットについては、今後のコラムで改めて紹介します。