先物取引とは~日経225miniのメリット~
以前のコラムで、『日経225先物』を例に「先物取引の仕組みや特徴」について説明しました。簡単に振り返ると、先物取引には「満期日(期限)がある」「売りから取引開始が可能である」といった現物取引とは異なる特徴があります。さらに個人投資家の利用拡大を図るために、2006年7月から『日経225mini』の取引が開始されました。今回はこの『日経225mini』を紹介します。
『日経225mini』は『日経225先物』と同様に、「日経平均株価(日経225)」を対象とした株価指数先物取引ですが、取引金額は『日経225先物』の10分の1になります。『日経225先物』の取引単位が「日経平均株価の1,000倍」であるのに対し、『日経225mini』は「日経平均株価の100倍」となっています。例えば「2万3000円を1枚買い建て」する場合、『日経225先物』では2300万円(2万3000円×1,000倍)が取引金額になります。一方『日経225mini』は、230万円(2万3000円×100倍)が取引金額となります。
取引に必要な資金については、現物取引では100万円の個別銘柄を購入する場合に100万円の資金が必要となります。しかし先物取引では証拠金を預ければよいので、取引金額全額は必要ありません。先物取引に必要な証拠金は、日本証券クリアリング機構が算出している「SPAN証拠金額」を基に計算されます(必要な証拠金額=SPAN証拠金額×証券会社が設定する掛け目)。さらに『日経225mini』の証拠金は『日経225先物』の10分の1となり、より少ない資金で取引ができるというメリットがあります。ネット証券などでは10万円未満の証拠金で『日経225mini』を1枚買い建て(売り建て)することができます。ただし必要な証拠金は日経平均株価の水準や変動の大きさによって定期的に見直しされます。実際の取引の際には、証券会社のホームページなどで証拠金額をご確認ください。
■1枚当たりの取引金額 | |||||
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日経平均先物 | 2万3000円 | ×1,000(倍) | ×1枚 | = | 2300万円 |
日経225mini | 2万3000円 | ×100(倍) | ×1枚 | = | 230万円 |
■1枚当たりの所要証拠金額 | |
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日経平均先物 | 72万円 |
日経225mini | 7.2万円 |
※証券会社による証券の掛け目は「1倍」と仮定
『日経225mini』も『日経225先物』同様に、SQ(限月の第2金曜日)前日まで売買が可能となります。またSQ日(満期日)まで保有すると、SQ値(特別清算数値)で強制的に決済されます。ただし、取引可能な「限月」については、『日経225先物』と『日経225mini』では異なります。『日経225先物』は19の限月が取引されていますが、『日経225mini』は『日経225先物』の3月・6月・9月・12月(四半期限月)の13の限月に四半期限月以外の直近3限月を加えた、16の限月が取引されています。
<注>2020年分の取引限月に限定
『日経225先物』の取引可能限月 | 『日経225mini』の取引可能限月 |
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2020年3月限 | 2020年2月限 |
2020年6月限 | 2020年3月限 |
2020年9月限 | 2020年4月限 |
2020年12月限 | 2020年5月限 |
2020年6月限 | |
2020年9月限 | |
2020年12月限 |
このように『日経225mini』は、「売りから取引が開始できる」など『日経225先物』のメリットをそのまま享受しながら、『日経225先物』に比べ「少額の資金で取引できる」という魅力があります。
また、『日経225mini』の投資対象は「日経平均株価」になるため、投資に詳しくない人にとっても馴染みやすく、新聞やテレビで日々の値動きを簡単に確認できることも魅力です。もちろん自身が予想した相場と逆に動いた場合に損失が発生することに留意する必要があります。それでも先物取引には現物取引にはない「夜間立会(16:30~翌5:30)」があり、「日中忙しい人は夜間に取引できる」というメリットもあります。ぜひ『日経225mini』を資産運用における手段の1つにしてみてください。なお、ミニ取引には「TOPIX(東証株価指数)」を対象とした株価指数先物取引となる『TOPIX
mini』もあります。こちらも『TOPIX先物』と比べ取引単位や証拠金が10分の1となります。