IPO銘柄詳細
コード | 市場 | 業種 | 売買単位 | 注目度 |
---|---|---|---|---|
135A | 東証グロース | 情報・通信業 | 100株 | A |
注目のIPO銘柄
会員限定コンテンツ無料公開中!
こちらの銘柄は会員サイトでしか公開していない「仮条件分析」「初値予想」「初値分析」といった有料情報も上場一週間後にすべて公開しています。
スケジュール
スケジュール | |
---|---|
仮条件決定 | 2024/02/05 |
ブックビルディング期間 | 2024/02/06 - 02/13 |
公開価格決定 | 2024/02/14 |
申込期間 | 2024/02/15 - 02/20 |
払込期日 | 2024/02/21 |
上場日 | 2024/02/22 |
価格情報 | |
---|---|
想定価格 | 2,760円 |
仮条件 | 2,790 - 2,990円 |
公開価格 | 2,990円 |
初値予想 | 4,485円 |
初値 | 5,190円 |
- スケジュールは上場企業都合により変更になる場合があります。
基本情報
代表者名 | 南場 勇佑(上場時31歳6カ月)/1992年生 |
---|---|
本店所在地 | 東京都中央区晴海オフィスタワーY17階 |
設立年 | 2020年 |
従業員数 | 45人 (2023/12/31現在)(平均33歳、年収533.3万円) |
事業内容 | 製造業向けAI(人工知能)ソリューションの提供 |
URL | https://vrain.co.jp |
株主数 | 10人 (目論見書より) |
資本金 | 9,900,000円 (2024/01/18現在) |
上場時発行済株数 | 10,110,000株(別に潜在株式198,000株) |
公開株数 | 1,274,000株(公募210,000株、売り出し897,900株、オーバーアロットメント166,100株) |
調達資金使途 | 研究開発費、採用費・人件費、設備投資 |
連結会社 | 0社 |
シンジケート
公開株数1,107,900株(別に166,100株)
種別 | 証券会社名 | 株数 | 比率 |
---|---|---|---|
主幹事証券 | SMBC日興 | 1,019,700 | 92.04% |
引受証券 | 野村 | 38,700 | 3.49% |
引受証券 | 大和 | 11,000 | 0.99% |
引受証券 | 三菱UFJモルガン・スタンレー | 11,000 | 0.99% |
引受証券 | マネックス | 5,500 | 0.50% |
引受証券 | 松井 | 5,500 | 0.50% |
引受証券 | 楽天 | 5,500 | 0.50% |
引受証券 | 東海東京 | 5,500 | 0.50% |
引受証券 | 岩井コスモ | 5,500 | 0.50% |
大株主(潜在株式を含む)
大株主名 | 摘要 | 株数 | 比率 |
---|---|---|---|
(同)Y&N | 役員らが議決権の過半数所有 | 3,960,000 | 39.22% |
南場勇佑 | 代表取締役社長 | 3,694,000 | 36.58% |
ジャフコSV6投組 | 投資業(ファンド) | 1,109,000 | 10.98% |
テクノロジーベンチャーズ5号投組 | 投資業(ファンド) | 297,000 | 2.94% |
東京センチュリー(株) | 投資業(ファンド) | 297,000 | 2.94% |
ジャフコSV6-S投組 | 投資業(ファンド) | 276,000 | 2.73% |
荻本成基 | 取締役 | 99,000 | 0.98% |
菊地佳宏 | 取締役 | 99,000 | 0.98% |
山田郁生 | 取締役 | 99,000 | 0.98% |
石原慎也 | 執行役員 | 99,000 | 0.98% |
伊原保守 | 特別利害関係者など | 50,000 | 0.50% |
石田光一 | 特別利害関係者など | 19,000 | 0.19% |
業績動向(単位:百万円)
決算期 | 種別 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 |
---|---|---|---|---|---|
2024/02 | 単独3Q累計実績 | 1,052 | 384 | 383 | 253 |
2024/02 | 単独会社予想 | 1,410 | 497 | 493 | 330 |
2023/02 | 単独実績 | 617 | 64 | 63 | 49 |
2022/02 | 単独実績 | 344 | 3 | 14 | 11 |
売上高
営業利益
経常利益
純利益
1株あたりの数値(単位:円)
決算期 | 種別 | EPS | BPS | 配当 |
---|---|---|---|---|
2024/02 | 単独会社予想 | 33.32 | 97.61 | 0.00 |
参考類似企業
銘柄 | 今期予想PER(2/14) |
---|---|
PKSHA
|
90.8倍 (連結予想) |
ヘッドウォータ
|
219.7倍 (連結見込) |
ニューラル
|
- (連結見込) |
ブレインズ
|
86.7倍 (単独予想) |
エクサウィザー
|
- (連結予想) |
エッジテクノ
|
51.6倍 (単独予想) |
CCT
|
30.0倍 (連結予想) |
HEROZ
|
859.5倍 (連結予想) |
JDSC
|
110.8倍 (連結予想) |
リッジアイ
|
137.3倍 (単独予想) |
ABEJA
|
106.6倍 (単独予想) |
グリッド
|
54.1倍 (単独予想) |
LaboroAI
|
80.3倍 (単独予想) |
AVILEN
|
105.9倍 (単独予想) |
シリウスV
|
20.3倍 (連結見込) |
インスペック
|
- (単独予想) |
ViSCOTEC
|
- (連結予想) |
クボテック
|
- (連結予想) |
事業詳細
製造業界向けAI(人工知能)ベンチャー。外観検査などの製造工程を自動化・省力化するプロダクトの開発・販売と、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進のためのコンサルティングを展開している。社名は「Value(付加価値)」「Brain(知恵)」「Solution(問題解決)」を由来とする。
1.AIシステム
汎用性の高いAIシステムを企画・研究・開発し、周辺のハードウエアと組み合わせて提供している。
具体的にはAI外観検査システム「Phoenix Vision/Eye」を開発・販売しており、カメラやセンサーの撮像機器などと組み合わせて提案・提供している。常時10~15名で目視検査していた工程を無人化でき、自動車業界や食品業界を中心に2023年2月期期までに累計69社に販売した。
2.DXコンサルティング
AIやIoT(モノのインターネット)などの新しい技術を活用したDX推進を支援するサービスを提供している。
2023年2月期の売上高構成比は、AIシステム56.9%、DXコンサルティング43.1%。主な販売先はアイシン21.7%。
1.AIシステム
汎用性の高いAIシステムを企画・研究・開発し、周辺のハードウエアと組み合わせて提供している。
具体的にはAI外観検査システム「Phoenix Vision/Eye」を開発・販売しており、カメラやセンサーの撮像機器などと組み合わせて提案・提供している。常時10~15名で目視検査していた工程を無人化でき、自動車業界や食品業界を中心に2023年2月期期までに累計69社に販売した。
2.DXコンサルティング
AIやIoT(モノのインターネット)などの新しい技術を活用したDX推進を支援するサービスを提供している。
2023年2月期の売上高構成比は、AIシステム56.9%、DXコンサルティング43.1%。主な販売先はアイシン21.7%。
コメント
会員限定コンテンツ無料公開中!
・直近(2023年2月)の特別利害関係者らによる株式売買単価は、分割を遡及(そきゅう)修正すると298.24円。
・既存株主と石原慎也執行役員以外の新株予約権者には180日もしくは90日のロックアップが掛かる。ただしベンチャーキャピタル保有株(計3社178万1100株)は公開価格の1.5倍以上なら解除される。
・石原慎也執行役員の新株予約権は2025年3月8日から行使できる。
〈ファーストインプレッション〉
売り上げにはハードウエア代も入っているにもかかわらず粗利率が8割と非常に高く、PERが高く設定されているのも納得。課題だった販管費率についても今期は半減しており、競争優位性は高そうだ。
ただAIベンチャーの人気は低下しており、ファンドの出口案件だったとはいえ直近のアヴィレンの初値売買代金は一般の情報通信業並みにとどまった。高PER株が警戒される地合いなうえに、値付け時に新ルール適用で公開価格が跳ね上がってしまうと手掛けにくくもなっている。2月決算ということで、来期の高成長も織り込みたいところだが、年末の地合いを引きずるなら上値は重いだろう。
・既存株主と石原慎也執行役員以外の新株予約権者には180日もしくは90日のロックアップが掛かる。ただしベンチャーキャピタル保有株(計3社178万1100株)は公開価格の1.5倍以上なら解除される。
・石原慎也執行役員の新株予約権は2025年3月8日から行使できる。
〈ファーストインプレッション〉
売り上げにはハードウエア代も入っているにもかかわらず粗利率が8割と非常に高く、PERが高く設定されているのも納得。課題だった販管費率についても今期は半減しており、競争優位性は高そうだ。
ただAIベンチャーの人気は低下しており、ファンドの出口案件だったとはいえ直近のアヴィレンの初値売買代金は一般の情報通信業並みにとどまった。高PER株が警戒される地合いなうえに、値付け時に新ルール適用で公開価格が跳ね上がってしまうと手掛けにくくもなっている。2月決算ということで、来期の高成長も織り込みたいところだが、年末の地合いを引きずるなら上値は重いだろう。
仮条件分析
(BB参加妙味
:B)
会員限定コンテンツ無料公開中!
想定価格: 2,760円
吸収資金レンジ: 30.6億円 - 35.2億円(今期予想単独PER: 82.8倍)
時価総額レンジ: 279.0億円
仮条件: 2,790円 - 2,990円
吸収資金レンジ: 30.9億円 - 38.1億円(今期予想単独PER: 83.7倍 - 89.7倍)
時価総額レンジ: 282.1億円 - 302.3億円
仮条件は想定価格を1.09~8.33%上回る200円幅に設定された。
〈強材料〉
高利益率、仮条件外値付けなし、業績急拡大、来期期待、人手不足、仮条件上振れ
〈弱材料〉
成長株人気の低下、既存大手のキャッチアップ可能性、初値買い意欲後退、実績不足、業績水準低い
〈結論〉
Bとする。公開価格が仮条件上限ならば、初値は3500~4000円(希薄化後PER:109.3~124.9倍)で予想する。
人工知能(AI)ベンチャーに対する人気低下が懸念されるが、技術力の高さと人手不足を背景に足元の業績は急拡大している。来期期待も織り込み好発進が期待される。
製造業界専門のAIベンチャーであり、具体的には外観検査システムを手掛ける。従来のルールベースの外観検査装置では、汚れと不良の区別が付かないなど柔軟な判定はできず、人間による目視検査の一部を代替するに過ぎなかった。だが、同社のAIはディープラーニング(深層学習)により柔軟性を実現。速度や安定性では当然ながら人間を上回り、常時10~15名で目視検査していた工程を無人化できる。
2023年2月期の平均販売単価は1002.8万円であり、2、3000万円に上ることもあるとのこと。同社の売り上げにはハードウエアの代金も含まれるが、粗利率は9割近くにも上る源泉となっている。取り過ぎのようにも見えるが、カットできる人件費を踏まえると顧客側にとってはむしろ安いものだろう。たとえ人手不足でなくても「AIに仕事を奪われる」の典型だ。当面は国内での販売に注力するとのことだが(顧客は国内でも実装先が海外のケースはあり)、長期的には人手の足りている海外展開にも期待したいところだ。
少子化による人手不足は工場の多い地方の方がより深刻化しており、導入機運は年々高まっている。売り切り型中心の販売にはなるが、最初に試験的に導入し、徐々に適用ラインを増やすケースがほとんどとのことで、結果的に継続的に取引されるという。投資が一巡する頃にはアップデートの需要も見込まれる。
数字面でもこのことは確認することができ、前期まで粗利のほとんどが販管費に消化されていたが、今期は半分強にまで低下しており販売効率は急激に改善されている。今期、粗利率は78.1%に悪化するが営業利益は前期比7.7倍に拡大し、営業利益率は35.3%に上る予想だ。
また、既存の外観検査装置ではヴィスコ・テクノロジーズが上場しているが、コネクターに特化しているため特定業界の動向に左右されやすい。これに対しヴレインのAIは汎用性が高く、幅広い製品に適用できるという。既に自動車業界から食品業界に対象を広げており、さらには化学や電子デバイスにも拡大させていく考えだ。また、電気信号、電波、音波などを測定する波形解析についても開発中だ。
足元の業績が急拡大し今後の成長期待も高いとあって、さすがに仮条件の希薄化後PERは90倍前後と高く設定された。ただAIベンチャーのPERは現在でも高い傾向にあるうえ、2月決算ゆえ来期の成長期待も織り込むタイミングに来ている。今のところ倍々ゲームで伸びるトップラインに粗利率の高さを踏まえると、多少の減速はあっても来期の営業利益は早くも2桁億円に乗せてきてもおかしくはない。実質的には40倍台と考えてもいいのではないか。
ただ昨夏にピークだったAIバブル崩壊後、AIベンチャーの人気も沈静化した。年明けからのAIベンチャー株の動向はまちまちであり、状況はあまり改善されていないとみておくべきだろう。公開規模が同程度だったアヴィレンの初値上昇率が2割弱にとどまったことを踏まえると、今回も同程度にとどまる可能性は高い。こちらの方が利益規模が倍以上ある点やファンドの出口案件ではないことの安心感も踏まえ、初値はアヴィレンと同程度の上昇となる3500円から上乗せ方向でみて4000円の節目までを想定しておく。
なお、ファーストインプレッションでは仮条件外値付けの可能性に言及したが、今回の訂正目論見書では仮条件外の値付けや株数変更の可能性については記されていない。今回は旧ルール通り仮条件内の値付けとなる。
吸収資金レンジ: 30.6億円 - 35.2億円(今期予想単独PER: 82.8倍)
時価総額レンジ: 279.0億円
仮条件: 2,790円 - 2,990円
吸収資金レンジ: 30.9億円 - 38.1億円(今期予想単独PER: 83.7倍 - 89.7倍)
時価総額レンジ: 282.1億円 - 302.3億円
仮条件は想定価格を1.09~8.33%上回る200円幅に設定された。
〈強材料〉
高利益率、仮条件外値付けなし、業績急拡大、来期期待、人手不足、仮条件上振れ
〈弱材料〉
成長株人気の低下、既存大手のキャッチアップ可能性、初値買い意欲後退、実績不足、業績水準低い
〈結論〉
Bとする。公開価格が仮条件上限ならば、初値は3500~4000円(希薄化後PER:109.3~124.9倍)で予想する。
人工知能(AI)ベンチャーに対する人気低下が懸念されるが、技術力の高さと人手不足を背景に足元の業績は急拡大している。来期期待も織り込み好発進が期待される。
製造業界専門のAIベンチャーであり、具体的には外観検査システムを手掛ける。従来のルールベースの外観検査装置では、汚れと不良の区別が付かないなど柔軟な判定はできず、人間による目視検査の一部を代替するに過ぎなかった。だが、同社のAIはディープラーニング(深層学習)により柔軟性を実現。速度や安定性では当然ながら人間を上回り、常時10~15名で目視検査していた工程を無人化できる。
2023年2月期の平均販売単価は1002.8万円であり、2、3000万円に上ることもあるとのこと。同社の売り上げにはハードウエアの代金も含まれるが、粗利率は9割近くにも上る源泉となっている。取り過ぎのようにも見えるが、カットできる人件費を踏まえると顧客側にとってはむしろ安いものだろう。たとえ人手不足でなくても「AIに仕事を奪われる」の典型だ。当面は国内での販売に注力するとのことだが(顧客は国内でも実装先が海外のケースはあり)、長期的には人手の足りている海外展開にも期待したいところだ。
少子化による人手不足は工場の多い地方の方がより深刻化しており、導入機運は年々高まっている。売り切り型中心の販売にはなるが、最初に試験的に導入し、徐々に適用ラインを増やすケースがほとんどとのことで、結果的に継続的に取引されるという。投資が一巡する頃にはアップデートの需要も見込まれる。
数字面でもこのことは確認することができ、前期まで粗利のほとんどが販管費に消化されていたが、今期は半分強にまで低下しており販売効率は急激に改善されている。今期、粗利率は78.1%に悪化するが営業利益は前期比7.7倍に拡大し、営業利益率は35.3%に上る予想だ。
また、既存の外観検査装置ではヴィスコ・テクノロジーズが上場しているが、コネクターに特化しているため特定業界の動向に左右されやすい。これに対しヴレインのAIは汎用性が高く、幅広い製品に適用できるという。既に自動車業界から食品業界に対象を広げており、さらには化学や電子デバイスにも拡大させていく考えだ。また、電気信号、電波、音波などを測定する波形解析についても開発中だ。
足元の業績が急拡大し今後の成長期待も高いとあって、さすがに仮条件の希薄化後PERは90倍前後と高く設定された。ただAIベンチャーのPERは現在でも高い傾向にあるうえ、2月決算ゆえ来期の成長期待も織り込むタイミングに来ている。今のところ倍々ゲームで伸びるトップラインに粗利率の高さを踏まえると、多少の減速はあっても来期の営業利益は早くも2桁億円に乗せてきてもおかしくはない。実質的には40倍台と考えてもいいのではないか。
ただ昨夏にピークだったAIバブル崩壊後、AIベンチャーの人気も沈静化した。年明けからのAIベンチャー株の動向はまちまちであり、状況はあまり改善されていないとみておくべきだろう。公開規模が同程度だったアヴィレンの初値上昇率が2割弱にとどまったことを踏まえると、今回も同程度にとどまる可能性は高い。こちらの方が利益規模が倍以上ある点やファンドの出口案件ではないことの安心感も踏まえ、初値はアヴィレンと同程度の上昇となる3500円から上乗せ方向でみて4000円の節目までを想定しておく。
なお、ファーストインプレッションでは仮条件外値付けの可能性に言及したが、今回の訂正目論見書では仮条件外の値付けや株数変更の可能性については記されていない。今回は旧ルール通り仮条件内の値付けとなる。
公開価格分析
会員限定コンテンツ無料公開中!
公開価格: 2,990円
吸収資金: 38.1億円(今期予想単独PER: 89.7倍)
時価総額: 302.3億円
公開価格、追加売り出し株数ともに上限で決まった。引受価額は2750.80円。訂正目論見書によればブックビルディングの状況は、申告された総需要株式数が公開株数を十分に上回り、総件数が多数にわたっていたうえ、価格ごとの分布は仮条件の上限価格に集中していたことが特徴だった。
想定初値を4000~4500円に引き上げる。直近上場株がセカンダリーでも急伸したことを受け、初値買い意欲の回復継続を見込む。直近2社の値動きから短期筋が慎重になり始めるのは公開価格の3倍前後からであり、上値警戒感はすっかり緩んでいるもよう。さらに足元ではAIベンチャーの一角にも見直し買いが入っている。昨夏のようなAIバブルにはほど遠いが、年度内の日経平均史上最高値更新さえ視野に入るなか、昨年末は別世界だったIPOにも市場心理回復の波は来ている。セカンダリーの圧倒的パフォーマンスを受け売り渋りも想定し、ロックアップ解除も視野に入れておきたい。
吸収資金: 38.1億円(今期予想単独PER: 89.7倍)
時価総額: 302.3億円
公開価格、追加売り出し株数ともに上限で決まった。引受価額は2750.80円。訂正目論見書によればブックビルディングの状況は、申告された総需要株式数が公開株数を十分に上回り、総件数が多数にわたっていたうえ、価格ごとの分布は仮条件の上限価格に集中していたことが特徴だった。
想定初値を4000~4500円に引き上げる。直近上場株がセカンダリーでも急伸したことを受け、初値買い意欲の回復継続を見込む。直近2社の値動きから短期筋が慎重になり始めるのは公開価格の3倍前後からであり、上値警戒感はすっかり緩んでいるもよう。さらに足元ではAIベンチャーの一角にも見直し買いが入っている。昨夏のようなAIバブルにはほど遠いが、年度内の日経平均史上最高値更新さえ視野に入るなか、昨年末は別世界だったIPOにも市場心理回復の波は来ている。セカンダリーの圧倒的パフォーマンスを受け売り渋りも想定し、ロックアップ解除も視野に入れておきたい。
初値予想
会員限定コンテンツ無料公開中!
初値予想: 4,485円(今期予想単独PER: 134.6倍)
初値買い妙味: B
初値好調を予想する。昨年末に人気の剥落した情報技術(IT)関連株だが、直近上場株のセカンダリー高騰に加えてAI(人工知能)ベンチャーにも見直し買いが入るなど投資環境は急激に好転している。公開規模は荷もたれ感が否めないが、業績は非常に好調なことからロックアップ解除価格が意識される展開になるとみる。
製造業界向けAIベンチャーであり、具体的にはAI外観検査システム「Phoenix Vision/Eye」を販売している。従来のルールベースの外観検査装置では柔軟な判定はできず、人間による目視検査の一部を代替するに過ぎなかったが、同社はAIのディープラーニング(深層学習)により柔軟性を実現。速度や安定性では人間を上回り、常時10~15名で目視検査していた工程を無人化できるようにした。
少子化による人手不足は工場の多い地方の方がより深刻化しており、フェニックスシリーズの導入機運は年々高まっているもよう。売り切り型中心の販売にはなるが、最初に試験的に導入し、徐々に適用ラインを増やすケースがほとんどとのことで、結果的に継続的に取引されるという。投資が一巡する頃にはアップデートの需要も見込める。
数字面でもこのことは確認することができ、前期まで粗利のほとんどは販管費に消化されていたが、今期は半分強にまで低下しており販売効率は急激に改善されている。今期の粗利率は88.6%→78.1%に悪化するが、営業利益率は10.4%→35.3%に改善し、営業利益は前期比7.7倍の5億円弱に上る会社予想だ。
平均販売単価は1002.8万円(2023年2月期)であり、2、3000万円に上ることもあるという。高い利益率の要因なわけだが、削減できる人件費と引き換えなら元は十分取れる価格であり、大手製造業にとっては受け入れられない価格ではないもようだ。また、同社のAIには汎用性があり、当初は自動車業界を中心に実績を積んでいたが、現在は食品業界にも広まり、さらには化学や電子デバイスにも拡大させていく考えだ。既存顧客へのリピート販売と新規開拓により、今後も高成長が期待される。
足元の投資環境は急好転している。昨年は年末にかけて初値買い機運が後退し、IT関連株の人気も剥落したが、日経平均株価が史上最高値に接近するなか出遅れていた新興市場も急回復し、AIベンチャーの一角にも買いが入り始めた。今年上場した直近上場株はともにセカンダリーで公開価格の3倍を付け、短期筋の上値許容度が急上昇していることがうかがえる。
昨夏のAIバブル時には40億円以上に上ったAIベンチャーへの初値買い代金は、沈静化した昨秋の段階では10億円台半ばにまで落ち込んだが、地合い好転を受ける今回は回復することになろう。公開価格の希薄化後PERは93倍と高いが、足元の業績成長ペースが非常に速いうえに2月決算のため来期を織り込みやすいタイミングだ。初値買い注文は20億円台半ばから後半を見込み、初値はロックアップ解除価格を意識した展開になるとみる。
初値買い妙味: B
初値好調を予想する。昨年末に人気の剥落した情報技術(IT)関連株だが、直近上場株のセカンダリー高騰に加えてAI(人工知能)ベンチャーにも見直し買いが入るなど投資環境は急激に好転している。公開規模は荷もたれ感が否めないが、業績は非常に好調なことからロックアップ解除価格が意識される展開になるとみる。
製造業界向けAIベンチャーであり、具体的にはAI外観検査システム「Phoenix Vision/Eye」を販売している。従来のルールベースの外観検査装置では柔軟な判定はできず、人間による目視検査の一部を代替するに過ぎなかったが、同社はAIのディープラーニング(深層学習)により柔軟性を実現。速度や安定性では人間を上回り、常時10~15名で目視検査していた工程を無人化できるようにした。
少子化による人手不足は工場の多い地方の方がより深刻化しており、フェニックスシリーズの導入機運は年々高まっているもよう。売り切り型中心の販売にはなるが、最初に試験的に導入し、徐々に適用ラインを増やすケースがほとんどとのことで、結果的に継続的に取引されるという。投資が一巡する頃にはアップデートの需要も見込める。
数字面でもこのことは確認することができ、前期まで粗利のほとんどは販管費に消化されていたが、今期は半分強にまで低下しており販売効率は急激に改善されている。今期の粗利率は88.6%→78.1%に悪化するが、営業利益率は10.4%→35.3%に改善し、営業利益は前期比7.7倍の5億円弱に上る会社予想だ。
平均販売単価は1002.8万円(2023年2月期)であり、2、3000万円に上ることもあるという。高い利益率の要因なわけだが、削減できる人件費と引き換えなら元は十分取れる価格であり、大手製造業にとっては受け入れられない価格ではないもようだ。また、同社のAIには汎用性があり、当初は自動車業界を中心に実績を積んでいたが、現在は食品業界にも広まり、さらには化学や電子デバイスにも拡大させていく考えだ。既存顧客へのリピート販売と新規開拓により、今後も高成長が期待される。
足元の投資環境は急好転している。昨年は年末にかけて初値買い機運が後退し、IT関連株の人気も剥落したが、日経平均株価が史上最高値に接近するなか出遅れていた新興市場も急回復し、AIベンチャーの一角にも買いが入り始めた。今年上場した直近上場株はともにセカンダリーで公開価格の3倍を付け、短期筋の上値許容度が急上昇していることがうかがえる。
昨夏のAIバブル時には40億円以上に上ったAIベンチャーへの初値買い代金は、沈静化した昨秋の段階では10億円台半ばにまで落ち込んだが、地合い好転を受ける今回は回復することになろう。公開価格の希薄化後PERは93倍と高いが、足元の業績成長ペースが非常に速いうえに2月決算のため来期を織り込みやすいタイミングだ。初値買い注文は20億円台半ばから後半を見込み、初値はロックアップ解除価格を意識した展開になるとみる。
初値分析
会員限定コンテンツ無料公開中!
初値: 5,190円(今期予想単独PER: 155.8倍)
/ 上昇率: 73.6%
/ 高値: 5,940円
/ 安値: 4,970円
/ 終値: 5,810円
出来高: 4,643,800株 / 対公開株数: 364.5% / 初値出来高: 766,800株 / 初値売買代金: 3,979,692,000円
高めの初値が付いた。直近上場株や今月に入ってからの人工知能(AI)ベンチャーへの見直し買いに加え、米エヌビディアの好決算が後押しした。日経平均株価が史上最高値を更新し、AIベンチャー各社もさらに買われるなか、初値売買代金は40億円近くに上り、ロックアップ解除後の売りも吸収した。
寄り付き後は一進一退の展開となった。直後さらに急伸するも前引け間際には売り気配に一転。そのまま前引けとなり後場は売り気配から始まったが、すぐには値崩れせず。それでも5000円割れまで押す場面はあったが、底堅さを確認すると再び買い優勢となり大引けにかけて高値を取りに行った。ただ3連休前ということもあり、引け間際は荒い値動きとなり高値引けとはならなかった。
目先は上値を試す展開が期待される。直近上場株の状況からすると短期筋は公開価格の3倍までは許容範囲とみていることがうかがえる。エヌビディアの好決算でAIベンチャー株も活況となるなか、さらに活気付くことが期待される。半面、公開規模は先に上場した2社の倍以上あるうえ既存株主からの売りにより需給は重い。2社と違って3倍到達は難しいだろう。日経平均株価も最高値更新で一服しやすいタイミングだ。これ以上ないくらい最高のタイミングでの上場になっただけに、早い段階での買い一巡には気をつけたい。
出来高: 4,643,800株 / 対公開株数: 364.5% / 初値出来高: 766,800株 / 初値売買代金: 3,979,692,000円
高めの初値が付いた。直近上場株や今月に入ってからの人工知能(AI)ベンチャーへの見直し買いに加え、米エヌビディアの好決算が後押しした。日経平均株価が史上最高値を更新し、AIベンチャー各社もさらに買われるなか、初値売買代金は40億円近くに上り、ロックアップ解除後の売りも吸収した。
寄り付き後は一進一退の展開となった。直後さらに急伸するも前引け間際には売り気配に一転。そのまま前引けとなり後場は売り気配から始まったが、すぐには値崩れせず。それでも5000円割れまで押す場面はあったが、底堅さを確認すると再び買い優勢となり大引けにかけて高値を取りに行った。ただ3連休前ということもあり、引け間際は荒い値動きとなり高値引けとはならなかった。
目先は上値を試す展開が期待される。直近上場株の状況からすると短期筋は公開価格の3倍までは許容範囲とみていることがうかがえる。エヌビディアの好決算でAIベンチャー株も活況となるなか、さらに活気付くことが期待される。半面、公開規模は先に上場した2社の倍以上あるうえ既存株主からの売りにより需給は重い。2社と違って3倍到達は難しいだろう。日経平均株価も最高値更新で一服しやすいタイミングだ。これ以上ないくらい最高のタイミングでの上場になっただけに、早い段階での買い一巡には気をつけたい。