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損益分岐点分析をマスターする~基礎編~
当該コラムは、2020年07月に「トレーダーズ・プレミアム」向けに掲載したものを加筆・修正しております。 「トレーダーズ・プレミアム」では定期的に新作コラムを掲載しております。 ぜひご加入をご検討ください。

損益分岐点分析をマスターする~基礎編~

はじめに

 損益分岐点とはその名のとおり、利益がでるか損失が出るかを分ける売上高の水準となります。

損益分岐点分析
損益分岐点分析

 この損益分岐点をみるのが、損益分岐点分析となります。損益分岐点分析を使いこなせるようになれば、自身の投資する会社について、どこまで売上高が下がれば赤字になるかを予測することも可能です。 これをマスターしておけばファンダメンタルズ分析の幅が大きく広がりますので、【基礎編】【実践編】の2回に分けて説明します。今回は損益分岐点分析の基本的な内容をみていきます。

固定費と変動費

 損益分岐点分析では売上高と費用をチェックします。そして、費用=売上原価+販管費(販売費および一般管理費)として考えていきます。製造業であれば商品を作るためにかかった費用などが売上原価、販売業であれば商品の仕入れにかかった費用などが売上原価になります。それに対し、営業や事務などの人件費や水道光熱費、宣伝のための広告宣伝費などは販管費となります。通常の財務諸表分析では、費用はこのように売上原価と販管費で考えますが、損益分岐点分析では費用を固定費と変動費で考えます。固定費と変動費の定義は以下となります。

固定費 売上高が増減しても変化しない費用
人件費(固定給)や地代家賃、通信費など
変動費 売上高の増減により変化する費用
原材料費、包装材料費、荷造運賃など

 損益分岐点分析で大変なのが、費用を固定費と変動費に区分することです。なぜ大変かというと、人件費でも、売上高の増減によるインセンティブがあればそのインセンティブ部分は変動費となり、 それ以外が固定費となるからです。その他の費用でも固定費と変動費が混ざっている場合が多く、厳密に区分することはその会社の財務や経理の担当者でも簡単ではありません。 なお、このように費用ごとに固定費なのか変動費なのかを区分する方法を個別法といいます。その他に、最小二乗法という費用を統計的に固定費と変動費に分類する方法もあります。

損益分岐点売上高の計算

 損益分岐点売上高の計算式は以下となります。

損益分岐点売上高=固定費÷(1-変動費率)
変動費率=変動費÷売上高

 (1-変動費率)は限界利益率といいます。
したがって、損益分岐点売上高は以下のように表すこともできます。

損益分岐点売上高=固定費÷限界利益率

 では、ある会社の売上高が1000万円、 固定費が630万円、 変動費が300万円の場合の損益分岐点売上高はいくらになるか計算してみましょう。

1.まずは変動比率(売上高に占める変動費の割合)を計算
変動比率=変動費300万円÷売上高1000万円0.3となります。

2.損益分岐点の公式に数値を入れる
固定費630万円÷(1-変動比率0.3) =固定費630万円÷限界利益率0.7
損益分岐点売上高900万円

となります。

 結果として、この会社は売上高が900万円を超えれば利益が出て、900万円を下回れば損失が出ることになります。

 次の損益分岐点比率は、実際の売上高と損益分岐点売上高の比率を計算するものです。

損益分岐点比率=損益分岐点売上高÷実際の売上高×100

 さきほど損益分岐点売上高を計算した会社の実際の売上高が3000万円だったとすると、損益分岐点売上高は
損益分岐点売上高900万円÷実際の売上高3000万円×100=損益分岐点比率30%
となります。これは、売上高が70%超減少しない限り赤字にはならないということです。損益分岐点比率は低いほど良いとされます。

まとめ

 データの入手自体は容易ですので、今回の【基礎編】と次回の【実践編】を見ていただければ、「損益分岐点分析」を使いこなせるようになり、より深い企業分析が可能となります。 今回は、見るべきポイントは売上高、固定費、変動費であること、そして今回出てきた計算式を活用することで、その企業が利益を出しやすい体質なのかそうでないのかを探ることができるということを覚えておいてください。

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