IPO銘柄詳細

Gunosy

コード 市場 業種 売買単位 注目度
6047 マザーズ サービス業 100株 A
スケジュール
スケジュール
仮条件決定 2015/04/08
ブックビルディング期間 2015/04/10 - 04/16
公開価格決定 2015/04/17
申込期間 2015/04/20 - 04/23
払込期日 2015/04/27
上場日 2015/04/28
価格情報
想定価格 1,520円
仮条件 1,460 - 1,520円
公開価格 1,520円
初値予想 1,400円
初値 1,520円
  • スケジュールは上場企業都合により変更になる場合があります。
基本情報
代表者名 福島 良典/1988年生
本店所在地 東京都港区六本木 六本木ヒルズ森タワー37階
設立年 2012年
従業員数 52人 (2015/02/28現在)
事業内容 情報キュレーションアプリ「Gunosy(グノシー)」の運営
URL http://gunosy.co.jp/
株主数 44人 (目論見書より、潜在株式のみの株主も含む)
資本金 1,419,465,000円 (2015/03/24現在)
上場時発行済株数 21,878,000株(別に潜在株式2,585,000株)
公開株数 6,796,500株(公募3,500,000株、売り出し2,410,000株、オーバーアロットメント886,500株)
調達資金使途 広告宣伝費
連結会社 なし
シンジケート
公開株数5,910,000株(別に886,500株)
種別 証券会社名 株数 比率
主幹事証券 野村 5,348,700 90.50%
引受証券 SMBC日興 177,300 3.00%
引受証券 SBI 177,300 3.00%
引受証券 マネックス 59,100 1.00%
引受証券 いちよし 59,100 1.00%
引受証券 みずほ 29,500 0.50%
引受証券 岡三 29,500 0.50%
引受証券 岩井コスモ 29,500 0.50%
大株主(潜在株式を含む)
大株主名 摘要 株数 比率
木村 新司 元代表取締役共同CEO 8,620,000 41.12%
KDDI その他の関係会社 3,550,000 16.93%
ジャフコSV4共有 ベンチャーキャピタル(ファンド) 2,130,000 10.16%
福島 良典 代表取締役CEO 740,000 3.53%
吉田 宏司 従業員 740,000 3.53%
関  喜史 従業員 740,000 3.53%
垣内 伸也 従業員 700,000 3.34%
B Dash Fund 2号 ベンチャーキャピタル(ファンド) 478,000 2.28%
竹谷 祐哉 取締役 440,000 2.10%
石橋 雅和 取締役 400,000 1.91%
B Dash Fund 1号 ベンチャーキャピタル(ファンド) 400,000 1.91%
三尾 正人 元取締役 300,000 1.43%
松本 勇気 従業員 300,000 1.43%
業績動向(単位:百万円)
は予想
決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益
2015/05 単独3Q累計実績 2,170 -95 -101 -103
2015/05 単独中間実績 1,277 -296 -300 -301
2015/05 単独予想 3,004 51 5 5
2014/05 単独実績 359 -1,358 -1,365 -1,393
2013/05 単独実績 417 -44 -45 -45
売上高
営業利益
経常利益
純利益
1株あたりの数値(単位:円)
は予想
決算期 種別 EPS BPS 配当
2015/05 単独予想 0.29 281.79 0.00
参考類似企業
銘柄 今期予想PER(4/9)
ブレインP
767.1倍 (連結予想)
ニフティ
14.0倍 (連結見込)
ヤフー
23.5倍 (連結見込)
事業詳細
 情報キュレーション(収集・整理)アプリ「Gunosy(グノシー)」の運営。膨大な情報群からアルゴリズムによる機械学習によってユーザーの興味・関心を分析・学習し、ユーザーの求める情報を配信している。またはニュースアプリ。
 ユーザーの興味・関心に関するデータを蓄積することでターゲティング広告を可能としており、費用対効果の高い広告出稿を実施している。累計ダウンロード(DL)数は2015年2月末時点で866万だった。

1.メディア事業
(1)広告配信
 広告商品「Gunosy Ads」を広告主に提供している。ユーザーデータ(記事閲覧履歴、ユーザーの登録した興味・関心カテゴリなど)を活用し、ユーザーに親和性の高い広告をグノシー上に掲載できる。課金形態にはクリック回数保証のCPC課金型と、表示回数保証のCPM課金型の2種類がある。

(2)マーケティングソリューション
 2014年12月からグノシー上で商品やサービスなどの販売を促進するソリューションサービス「Gunosy Platform」を提供している。

(3)アドネットワーク
 スマートフォンに特化したアドネットワーク(複数の広告配信可能なメディアを束ねて広告を一括して配信する仕組み)を構築し、広告主の広告効果を高める広告配信を行っている。

 2014年6~11月期の売上高構成比はメディア事業100%。主な販売先はセプテーニ29.9%、サイバーエージェント完全子会社のapp2go 12.6%、電通完全子会社のサイバー・コミュニケーションズ11.6%、サイバーエージェント完全子会社のCyberZ 11.6%。
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・直近(2014年9月)の特別利害関係者らによる株式売買単価は分割を遡及(そきゅう)修正して650円。
・既存の現物株主には全員ロックアップが掛かる。ただし、Bダッシュ系ファンドと広告代理店2社、佐藤完氏は公開価格の1.5倍以上ならば解除される。法定ロックアップ分を除いた対象株は合計79万株(うちベンチャーキャピタル(広告2社含む)保有株3社69万株)。
・上場日に行使期間入りしている新株予約権は115万株分で行使価格は8円。ロックアップ対象でないのは松本勇気従業員の20万株分。


<ファーストインプレッション>
 メディアをにぎわすのニュースアプリ運営会社のスピード上場とあって話題性は抜群。今年一番の注目IPOだ。ただ広告配信から成り立つ収益は厳しいのも現状。早くも宣伝合戦で体力勝負になりつつある。上場で集める資金は全て再来期までの広告宣伝費に充てられる。12~2月期(3Q)は黒字化しているものの、売上高が四半期比(QonQ)で3~5月(4Q)は減収予想になるところを見ると、単に広告費を削減した結果か。ユーザーを獲得したところでゲームのように継続性も期待しづらく、囲い込みもできない。宣伝すれば稼げるDL数より、アクティブユーザー数を知りたいが数字は公表されていない。
 新たな動きでは業界団体によるネーティブ広告に対する自主規制も気掛かりだ。同社の広告は記事との見分けが付きにくく、新規制に抵触するようにも思える。話題性に関してもこれだけCMを流してくれる企業を番組でも取り上げるのは、接待の一環である種のマッチポンプ。一過性の作られたブームで終わる可能性もある。吸収金額も新興市場にして多いことから「触らぬ神にたたりなし」のスタンスでいいのではないだろうか。
仮条件分析 (BB参加妙味 :C)
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想定価格: 1,520円
 吸収資金レンジ: 89.8億円 - 103.3億円(今期予想単独PER: 5,241.4倍)
 時価総額レンジ: 332.5億円

仮条件: 1,460円 - 1,520円
 吸収資金レンジ: 86.3億円 - 103.3億円(今期予想単独PER: 5,034.5倍 - 5,241.4倍)
 時価総額レンジ: 319.4億円 - 332.5億円

仮条件は想定価格を上限に決められた。下限価格は想定を3.95%下回る。

<強材料>
知名度高い、話題性あり、広告費減らせば黒字、新奇性あり、スピード上場、イノベーションっぽい

<弱材料>
吸収金額多い、3~5月期QoQ減収減益、宣伝合戦の体力勝負、ネーティブ広告規制、アクティブユーザー数非公表、先行者なのにスマニューに後じん、ヒルズ銘柄、算定根拠不明、技術力に疑問

<機関投資家の評価>
1.情報キュレーションアプリの先行者として優位なポジショニングを有し、今後の成長性が期待できること。
2.人工知能の活用などによりサービスを提供し、品質を改善していくという独自のビジネスモデルを有していること。
3.競争激化などにより、業績が想定通りに推移しない可能性があること。

<結論>
 Cとする。公開価格が仮条件上限ならば初値は1500円以下を想定する。
 テレビCMを頻繁に流し急速に知名度を高め、ニュースアプリという新ジャンルを開拓したことで4月一番の注目銘柄。しかし、収益性には疑問が投げかけられており、早くも「第2のgumi」とやゆする声も。使ってみたけど最初だけという人も多いとみられ、アクティブユーザーが非公表ななかでは買いづらい。なまじ投資家の期待が残るマザーズ銘柄は売り越しで始まると反動で下げがきつくなる傾向もあり、避けるのが無難だろう。

 ニュースアプリ「グノシー」を運営。元共同CEOに就いた木村新司氏らによるエンゼル投資で資金を集め、2期目には優先株(普通株に転換済み)でベンチャーキャピタルやKDDIからも出資を取り付けた。なお、今回の上場では吸収金額のうち半分が売り出しによるもので、木村氏はじめいずれも売り出し主はすべて個人からとなっている。
 上場前は会社設立時に15万円、その後合計9回の増資で、約28億円を調達しているが、赤字続きで2月末時点の純資産は13億円ほど。売上高は累積で約25億円だが、広告宣伝費それを上回る31億円。マスにアプローチするため当初からテレビCMを積極的に投入している。ただし、今期に入ってからは売上高の範囲内にとどめており、12~2月期(3Q)は4.2億円とかなり絞り込んでいる。上半期で約12億円使っており、額そのものを削った。これまでの宣伝効果で売上高は強い基調を保ち、営業損益は四半期黒字を達成した形だ。
 ただし、4Qの3~5月期の予想を計算すると、売上高は前四半期比6.6%減の8億3397万円、営業利益は27.2%減の1億4648億円となる。保守的に見積もっている可能性もあるが、広告宣伝を怠れば成長はたちまち止まってしまうビジネスモデルなことは確かだろう。しかも先行者ではありながら、ダウンロード数はスマートニュースに逆転を許している。

 なお、同社ではアプリについて、「アルゴリズムや機械学習によってユーザーの興味や関心を分析・学習し、ユーザーの求める情報を配信する」と説明しているが、これについてはかなり疑問だ。個人的に上場観測が出てからスマニューやヤフーと同時に使い比べているが、2週間以上使っても推奨記事はほとんど読まないゴシップが中心。筆者は40代の男性だが、広告は女性向けの脱毛やスキンケアばかりで、全くパーソナライズ化されていない。タグを経済や政治優先に切り替え、生年月日を登録したところさすがに広告の種類は変わったが、相変わらず女性向け商品の広告が出される。トップは相変わらずゴシップが陣取り、単純に配信CMで獲得したマジョリティーに合わせ、単価の高い広告を優先させているだけに見える。
 広告もスペースが大きく、ユーザーとしてはうるさく感じるほど。また、単純にアプリの使い勝手も、スマニューにはかなわない。最近のアップデートでかなり改善したが、今度は機種(Znfone5)との相性が悪いようで、スマートフォンが再起動を繰り返すようになった。

 また、ネーティブ広告(記事のふりして題名欄に並ぶ広告)についても同社の形式は懸念がある。インターネット広告推進協議会が3月18日に発表したガイドラインでは、広告枠内に「広告」「PR」「AD」などを表記し、文字の大きさや背景、色、表示する位置など分かりやすいよう留意するとある。
 スマニューでは色つきで広告表記がなされているが、グノシーでは加工のない文字表記だけ。色や大きさは留意されていない。パーソナライズ化しているとされる広告は、単に紛らわしくさせることでタップ数をかさ上げしているのではないかと疑われる。広告料金はタップ数か表示数で取る仕組みだ。自主規制は法令ではないため守る必要はないが、今後基準にそって修正した場合には影響が避けられないのではないか。

 上場で調達する約50億円はすべて広告宣伝費に充当する予定だ。少なくとも来期再来期は20億円超を毎年つぎ込む予定になっている。技術的な課題がスマニューに比べると多いと感じるが、優先するのは開発よりも広告宣伝だ。
 しかし、多額の費用をかけてユーザーを獲得しても継続性については低い可能性。大々的な宣伝で番組にも取り上げられ、話題になったことでダウンロード数は800万を超えるが、肝心のアクティブユーザー数は非公表だ。筆者の回りでは使ってみた人は多いが、継続している人となると少ない。筆者も上場までは使うつもりだが、その後はアンインストールするだろう。
 話題性は高いが投資となると解消しなければならない疑問点は多い。早くもQoQで成長が止まる予想の銘柄を、話題性だけでこの吸収金額をこなすのは難しいと考える。なお、3~5月を4倍して実質PERを計算すると125倍。広告宣伝でどうにでもなる利益を参考にはしづらいが、成長銘柄でも100倍を超える銘柄は少なくなっている。パフォーマンス的にも妙味はないと考える。


<追加分析>
 C継続。公開価格は仮条件上限で決まらない可能性もあると考え、想定初値は「公開価格未満」に改める。
 知名度の高さから個人向けの営業は順調なもよう。ただし、全体でそうというわけではなく、公開価格がすんなり上限で決まるかどうかは怪しい。これまでの公開割れマザーズ銘柄同様に、市場での反動が大きくなる可能性がある。15日付でダイヤモンドオンラインでは「揺れるグノシーの大型上場 審査強化で新興市場に激震」と表する記事を配信した。

 既に今四半期でQoQ減収を見込む業績予想はgumiのように楽観的なものではなく、来期も大量広告を表名している点では、それを承知の上で買うかどうか。ただし記事にもあるようにかつて厳しいとされた野村の上場審査はIPOバブルを機に甘くなっている。記事では背景として成果主義を指摘している。gumiについては担当者が営業店への影響を考えず、自分の成績を優先させた結果だったことが既に報じられている。かつてのIPOでは外資系が単独主幹事を務めることもあり、それらはほとんどが割高案件だった。
 ダイヤモンドの記事では300億円を超える時価総額に対し、「『本当にその株価で大丈夫なのか』という懸念が投資家に広がっている」と指摘する。国内機関投資家のブックビルは海外勢と比べると甘いが、ブック中にこうした記事が出ることは異例で今回ばかりは様相が異なる。ただ、100億円くらいならば、上限で決めても野村ならば個人客への営業でさばけ、上限でないとかえって苦戦しかねない問題も生じる。

 なお、前回指摘した不具合についてはその後のアップデートで改善された。また、ニュース配信についてパーソナライズ化しているのは、「マイニュース」のタブのみで他の項目は多数派動向に沿っているという。ちなみに私のこのタブは読んだ覚えのない映画のタイアップ記事が多い。
 ゴシップがトップになることが多いのは、同社がCMを大量に流し、人数の多いピラミッド下層をターゲットにしている結果のようだ。スマートニュースやヤフーが一般的な記事を多く配信するのに対し、すみ分けを狙っているもよう。

 同社では成長戦略としてグノシーを通じて商品やサービスの予約、購買まで一貫してできる仕組み「グノシープラットフォーム」を構築すると掲げている。現在は「少年ジャンプ」が読めるようになっている。ただこのサービスは無料。決済機能はまだ構築されていない。グノシーはダウンロードして特にIDを登録することなく、そのまま使えるようになっている。取り組みはLINEの収益化と大差ないが、個人を識別する仕組みのないグノシーは課題が多い。
公開価格分析
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公開価格: 1,520円
 吸収資金: 103.3億円(今期予想単独PER: 5,241.4倍)
 時価総額: 332.5億円

 公開価格、追加売り出し株数ともに上限で決まった。引受価額は1,398.40円。訂正目論見書によればブックビルディングの状況は、申告された総需要株式数が公開株式数を十分に上回り、総件数が多数にわたっていたうえ、価格ごとの分布は仮条件の上限価格に集中していたことが特徴だった。

 フタを開けてみれば警戒していた機関投資家も需要は積み上がったようで全体的に良好だったもようだ。
 ただし、上限決定ではかえって短期筋が排除できず安心できない。生半可な期待が残るマザーズ銘柄ならではの大幅安スタートを想定しなければならず、下は3割超安い1000円を見る必要が出てくる。
 一方、サンバイオの下落率は15%にとどまった。引受価額を下回るとバンジージャンプ狙いの買いも入りやすい。注目度は高い銘柄であり、サンバイオよりも吸収金額は50億円ほど少ないことを考慮すれば、初値は1300~1400円ではないかと考えられる。

 ブックビルディング最終日にはビジネスジャーナルにも「グノシー上場に不安続出で暗雲『第2のgumi』懸念 主幹事証券、またあの野村」との記事が掲載された。記事は法定ロックアップ対象のジャフコについて、「ロックアップ条項がついていない」と誤解に基づく糾弾。目論見書もろくに読めない記者がネットで出回ったデマを参考に書いたとみられ、水に落ちたイヌがいたから打っておけ的なところがある。が、警戒感があることはおおむね既に指摘した通りだ。
 業績予想については正直に今四半期減収の見通しを最初から出している。甘い見通しを出したgumiより、最初から赤字を告白して上場したクラウドワークスにむしろ近いが、市場は主幹事の同じgumiと同一視する流れになっている。どちらにしてもアクティブユーザー数が非開示の状況で、時価総額330億円の評価は容易には肯定しづらい。

 なお、ネーティブ広告の自主規制基準については、同社も当該団体の正規会員であるため順次対応を進めるとの回答。新基準公表から既に1カ月以上がたつ時点で未対応だが、現在の広告が抵触することは認めているよう。対応が完了した場合、今後は誤タップ減少による影響も警戒される。
初値予想
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初値予想: 1,400円(今期予想単独PER: 4,827.6倍)
初値買い妙味: C

 初値苦戦を予想する。頻繁なTVCMで一気に知名度を上げてきたが、業績は軌道に乗ったとはいえず、時価総額300億円超の評価には異論も多い。公開価格は仮条件上限で無事に通過したものの市場で需給的に短期筋だけで吸収するのは難しい。長期投資家が買うにしても分析に必要な数字が公開されておらず、厳しい船出になりそうだ。

 スマートフォン向けの情報キュレーション(収集・整理)アプリ(応用ソフト)「Gunosy(グノシー)」を運営している。またはニュースアプリ。収益源はネーティブ広告(記事の表題欄に並べる広告)で、閲覧履歴や登録データなどからユーザーに親和性の高いと判断する広告を掲載している。課金形態にはクリック回数保証のCPC課金型と、表示回数保証のCPM課金型の2種類を用意している。
 代表取締役最高経営責任者(CEO)の福島良典氏が東京大学院在籍中に基礎技術となるアルゴリズムを開発し、2011年10月にサービスを開始。翌年11月に会社を設立した。現在筆頭株主の木村新司氏がエンゼルとして参画し、共同CEOを14年8月まで務めた。

 上場前は2年の短期間に9回もの増資で約28億円を調達したが、赤字続きで2月末時点の純資産は13億円ほど。売上高は累積で約25億円だが、広告宣伝費の累計は31億円だ。当初から積極的に投入しているテレビCMが収益を圧迫している。ただし、今期に入ってからは増収効果で売上高の範囲内に収まっている。12~2月期(3Q)に限るとさらに売上高の半分弱に絞り込んだことで、2億0119万円と四半期黒字を達成した。3~5月期も営業黒字が続く見通しで、通期でも営業黒字化の見通し。

 ただし、今期の広告宣伝費は上期に集中投資しており、下期の黒字浮上はコントロールされたものである。広告費削減が響くためか3~5月期の売上高は早くも前四半期比で6.6%減少して8億3397万円になる見通しで、営業利益も1億4648万円と27.2%減する。緩めた広告投資は上場後に再び強める方針で、上場で調達する資金は全て広告宣伝費に注がれる。今後も20億円超の広告費投入が続く。
 今四半期の減収は保守的に見積もっている可能性もあるが、広告宣伝を怠れば成長が止まってしまうビジネスモデルなことは確かだろう。初期の積極的な宣伝により、ユーザー獲得は既に一巡している可能性もあり、どちらにしろ宣伝効果は徐々に薄まらざるをえない。

 ニュースアプリはスマートニュースも3月末に総額12億円の追加増資を発表するなど、資金調達の環境は良好だ。スマホのポータルを狙える可能性を秘めていることで期待が高い。
 しかしながら、ゴールは明確でも過程が見えにくい。ヤフーなど既存勢力の追い上げも著しく、グノシーの立ち位置は微妙である。マッチアラーム社やメタップ社の市場調査によれば、男女ともヤフー製に圧倒的な人気が集まっているのが現状。大量の広告宣伝を続けても、殴り合いを征する保証はない。同社はゴシップ路線ですみ分けを図ろうともしているが、上場を前にトップ記事は一般化してきており、軸足も定まらない。

 吸収金額100億円を超えるなか、不特定多数を株主にする上場企業としては開示が十分とはいえない。ダウンロードしてもすぐに使わなくなる人が多いとみられるにもかかわらず、肝心のアクティブユーザー数は開示されていない。長期投資家を呼び込むにはさらなる説明が必要だ。短期筋についても同日3社上場の日程のなか、他2銘柄に流れやすい。
 半面、同社は前評判が圧倒的に悪く、上場前からバッシング記事が流れるありさま。グノシー上でこれら記事を目にすることはなかったが、主幹事がgumiと同じ野村証券ということもあり、「第2のgumi」とみる市場関係者は少なくない。短期筋は取得を避けているとみられ、売りは絞られそう。一方、最近では売り気配で始まった場合にバンジージャンプ狙いの買いも入りやすい。初値は引受価額の1398円を参考に1400円での売り買い一致を予想する。ただし、引受価額より上で初値が付いた場合、反発には下げが十分とはいえず妙味は少ない。
初値分析
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初値: 1,520円(今期予想単独PER: 5,241.4倍) / 上昇率: 0.0% / 高値: 1,680円 / 安値: 1,502円 / 終値: 1,620円
出来高: 8,928,700株 / 対公開株数: 131.4% / 初値出来高: 806,700株 / 初値売買代金: 1,226,184,000円

 初値は公開価格と同値で付いた。出来高は公開株数の12%程度と抑えられた。期待が高くなりがちなマザーズ銘柄だが、今回はあまりの前評判の悪さに短期筋の取得が限られた。ただ上値を買おうとする向きも限られ、結果的に公開価格が意識される形になった。
 また、寄り付き前に出した今期の業績予想のリリースでは、予想数値の変更はなかったものの、前提の根拠についての説明が追加されていた。主幹事が同じgumiと重ね合わせる向きが多かったなか、一定の信頼感を得た。

 寄り付き後はしっかりした展開だった。直後に公開価格を割り込んだものの、節目の1500円寸前で止まり一転して買い上げられた。初値が公開価格を上回ったことで安心感が広まった。しかし1700円手前で止まるとその後の上値は重く、1600円を挟んでのもみ合いで推移した。なお、大引け間際に買い上げる動きがあり、レンジ上方での引値になった。
 しばらくは公開価格付近で値を固める展開か。出来高は公開株数を上回っており、一回転は果たした。初値出来高の倍数を上乗せしても出来高が上回っており、初値買いの短期筋も利が乗った状態で回転できている。ただし、株数が多いだけに買い上げられるのは今後の業績推移が確認されてからだろう。
 また、同社は開示が不十分なことが警戒要因の一つとなっており、会社側がこれに対応していくことも証券会社のカバレッジを通じて見直しのきかっけになると考える。ニュースアプリはスマートフォンのポータルを狙える潜在力はあるだけに、会社側は成長への具体的な計画を説明できるかも見直しの契機になる。

 余談になるが、同社は最終的には買収の対象になるのではないか。同社は同アプリ上での通販を視野に入れるが、それにはまずヤフーやLINEなどの競合のようにIDや支払い手段を登録させる必要がある。しかし、楽天などのユーザーIDを持つ通販大手が同社を買収した場合、この問題は一気に片付くことになり、より高い評価が可能になる。提携での展開も想定されるが、筆頭株主で元共同最高経営責任者(CEO)はまだ3割弱の株式を持っており、まとまった売却先が必要だ。ニュースアプリ専業としてもスマートニュースの後じんを拝しているだけに、独立系で展開するより上場後も身売りは有力な選択肢と言える。

 野村証券からはリポートが出ている。(1)スマートフォン時代のコンテンツ・ポータル企業としての地位を築くポテンシャルがあること、(2)積み上げ型のビジネスモデルであること、(3)15.5期下期より収益性改善が予想されること――の3つが注目点だと指摘。今後の営業利益について15.5期は会社予想の0.5億円に対し0.7億円(修正EPS 0.3円)、16.5期は20.0億円(58.0円)、17.5期は39.6億円(110.7円)と予想した。
IPO更新情報
IPOニュース
マーケットデータ
日経平均 38,026.17 -326.17
TOPIX 2,682.81 -15.48
グロース250 635.64 +4.48
NYダウ 43,408.47 +139.53
ナスダック総合 18,966.14 -21.33
ドル/円 154.97 -0.46
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