IPO銘柄詳細
コード | 市場 | 業種 | 売買単位 | 注目度 |
---|---|---|---|---|
147A | 東証グロース | 情報・通信業 | 100株 | A |
注目のIPO銘柄
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スケジュール
スケジュール | |
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仮条件決定 | 2024/03/06 |
ブックビルディング期間 | 2024/03/07 - 03/13 |
公開価格決定 | 2024/03/14 |
申込期間 | 2024/03/15 - 03/21 |
払込期日 | 2024/03/25 |
上場日 | 2024/03/26 |
価格情報 | |
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想定価格 | 820 - 870円 |
仮条件 | 820 - 870円 |
公開価格 | 870円 |
初値予想 | 1,500円 |
初値 | 1,563円 |
- スケジュールは上場企業都合により変更になる場合があります。
基本情報
代表者名 | 玉川 憲(上場時48歳2カ月)/1976年生 |
---|---|
本店所在地 | 東京都世田谷区玉川(実質上:港区元赤坂) |
設立年 | 2014年 |
従業員数 | 100人 (2024/01/31現在)(平均40.95歳、年収1123.3万円)、連結150人 |
事業内容 | IoT(モノのインターネット)プラットフォーム「SORACOM」の開発・提供 |
URL | https://soracom.com/ja-jp/ |
株主数 | 10人 (目論見書より) |
資本金 | 100,000,000円 (2024/02/20現在) |
上場時発行済株数 | 43,220,809株(別に潜在株式4,921,029株) |
公開株数 | 12,426,000株(公募4,733,800株、売り出し6,071,500株、オーバーアロットメント1,620,700株) |
調達資金使途 | 人件費・採用費、マーケティング投資、「SORACOM」拡充のための開発費 |
連結会社 | 2社 |
シンジケート
公開株数10,805,300株(別に1,620,700株)/海外分含む
種別 | 証券会社名 | 株数 | 比率 |
---|---|---|---|
主幹事証券 | みずほ | 8,655,400 | 80.10% |
主幹事証券 | 大和 | 1,080,500 | 10.00% |
引受証券 | 野村 | 540,200 | 5.00% |
引受証券 | SMBC日興 | 162,000 | 1.50% |
引受証券 | 岡三 | 86,400 | 0.80% |
引受証券 | 東海東京 | 86,400 | 0.80% |
引受証券 | 松井 | 86,400 | 0.80% |
引受証券 | マネックス | 54,000 | 0.50% |
引受証券 | 楽天 | 54,000 | 0.50% |
大株主(潜在株式を含む)
大株主名 | 摘要 | 株数 | 比率 |
---|---|---|---|
KDDI(株) | 親会社 | 25,272,609 | 58.22% |
玉川憲 | 代表取締役社長CEO | 3,342,000 | 7.70% |
舩渡大地 | 常務取締役COO | 3,306,000 | 7.62% |
安川健太 | 常務取締役CTO | 2,286,000 | 5.27% |
セコム(株) | 資本業務提携先 | 962,400 | 2.22% |
ソースネクスト(株) | 資本業務提携先 | 962,400 | 2.22% |
ソニーグループ(株) | 資本業務提携先 | 962,400 | 2.22% |
日本瓦斯(株) | 資本業務提携先 | 962,400 | 2.22% |
(株)日立製作所 | 資本業務提携先 | 962,400 | 2.22% |
WiL Ventures III, L.P. | 資本業務提携先、投資業(ファンド) | 962,400 | 2.22% |
業績動向(単位:百万円)
決算期 | 種別 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 |
---|---|---|---|---|---|
2024/03 | 連結3Q累計実績 | 5,454 | 644 | 632 | 456 |
2024/03 | 連結会社予想 | 8,031 | 654 | 592 | 435 |
2023/03 | 連結実績 | 6,299 | 101 | 112 | 70 |
2022/03 | 連結実績 | 5,450 | 501 | 465 | 337 |
売上高
営業利益
経常利益
純利益
1株あたりの数値(単位:円)
決算期 | 種別 | EPS | BPS | 配当 |
---|---|---|---|---|
2024/03 | 連結会社予想 | 11.31 | 186.97 | - |
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事業詳細
KDDIのIoT(モノのインターネット)サービス子会社。企業がIoTを導入する際に必要な物やサービスをワンストップで提供するIoTプラットフォーム「SORACOM」を展開している。「ソラ」は宇宙の宙、「コム」はCommunicationのコムに由来する。上場後のKDDIの株式保有割合は50%を下回る予定だが、持ち分法適用会社に該当する水準にて株式を継続保有する方針である。
販売面では導入を支援するパートナープログラムを構築しており、2023年12月現在220社超のパートナー企業がいる。また、顧客企業自らがウェブ上にて手続きし、サービス利用を開始することができるセルフサービスモデル型の事業展開も構築している。小規模な利用から開始した顧客に対しては、営業員やパートナー企業が利用拡大をサポートしている。
1.リカーリング収益 (プラットフォーム利用料)
(1)通信サービス(コネクティビティー)
IoT向けの通信接続を提供する主力サービスであり、通信規格に応じた従量課金による継続収入を受領している。
(2)ネットワークサービス
IoTデバイスから各種クラウドや顧客データセンターまでを安全に接続するサービスや、IoTデバイスに遠隔から安全にアクセスできるサービスなどを提供しており、データ利用に応じた従量課金による継続収入を受領している。
(3)アプリケーションサービス
IoTデバイス活用における課題を解決する各種機能を提供しており、データ利用に応じた従量課金による継続収入を受領している。
(4)その他(KDDI向けプラットフォーム提供)
KDDIが構築する「IoT世界基盤」(グローバルIoTアクセス)の基礎となる通信ネットワークについて、プラットフォームを提供している。
2.商品販売
通信用IoT SIMや通信モジュール、USBドングル、カメラ・GPS・ センサー、特定大口顧客向けスマートメーターなどのIoTデバイス商品などを仕入れ販売している。
3.その他
(1)プロフェッショナルサービス
IoT導入プロジェクトにかかる技術要素や課題の整理、実行計画立案の支援など、顧客プロジェクトに参画・サポートするコンサルティングサービスのほか、システム開発の考え方やシステム構成、具体的なサービスについて実装するワークショップを提供している。
(2)業務受託
KDDIから技術開発支援などの業務を受託しており、案件ごとに業務受託収入を受領している。
2023年3月期の連結売上高構成比は、リカーリング収益68.7%、商品販売27.7%、その他3.6%。海外売上比率は34.2%(英国26.8%、米国7.4%)。主な販売先は日本瓦斯26.0%。
販売面では導入を支援するパートナープログラムを構築しており、2023年12月現在220社超のパートナー企業がいる。また、顧客企業自らがウェブ上にて手続きし、サービス利用を開始することができるセルフサービスモデル型の事業展開も構築している。小規模な利用から開始した顧客に対しては、営業員やパートナー企業が利用拡大をサポートしている。
1.リカーリング収益 (プラットフォーム利用料)
(1)通信サービス(コネクティビティー)
IoT向けの通信接続を提供する主力サービスであり、通信規格に応じた従量課金による継続収入を受領している。
(2)ネットワークサービス
IoTデバイスから各種クラウドや顧客データセンターまでを安全に接続するサービスや、IoTデバイスに遠隔から安全にアクセスできるサービスなどを提供しており、データ利用に応じた従量課金による継続収入を受領している。
(3)アプリケーションサービス
IoTデバイス活用における課題を解決する各種機能を提供しており、データ利用に応じた従量課金による継続収入を受領している。
(4)その他(KDDI向けプラットフォーム提供)
KDDIが構築する「IoT世界基盤」(グローバルIoTアクセス)の基礎となる通信ネットワークについて、プラットフォームを提供している。
2.商品販売
通信用IoT SIMや通信モジュール、USBドングル、カメラ・GPS・ センサー、特定大口顧客向けスマートメーターなどのIoTデバイス商品などを仕入れ販売している。
3.その他
(1)プロフェッショナルサービス
IoT導入プロジェクトにかかる技術要素や課題の整理、実行計画立案の支援など、顧客プロジェクトに参画・サポートするコンサルティングサービスのほか、システム開発の考え方やシステム構成、具体的なサービスについて実装するワークショップを提供している。
(2)業務受託
KDDIから技術開発支援などの業務を受託しており、案件ごとに業務受託収入を受領している。
2023年3月期の連結売上高構成比は、リカーリング収益68.7%、商品販売27.7%、その他3.6%。海外売上比率は34.2%(英国26.8%、米国7.4%)。主な販売先は日本瓦斯26.0%。
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・アセットマネジメントOneが運用を行うファンドに10億円分、WiL Ventures IIIに20億円分、Suzuki Global Venturesに7億5000万円分をそれぞれ上限に親引け販売する。
・直近(2021年5月)の特別利害関係者らによる株式売買単価は分割を遡及(そきゅう)修正すると1169円。
・売り出し株の一部(公募売り出しの半数未満)は欧州やアジアを中心とする海外市場(北米除く、ただし親引けは例外)で販売される。
・大株主と新株予約権者の上位10名と取締役2名には180日のロックアップが掛かる。なお、親会社以外の法人株主は2021年6月の取得時から5年間継続保有する契約を締結している。
・上場時に行使可能な新株予約権は90万70000株(ロックアップ状況不明)。
〈ファーストインプレッション〉
公開規模の大小を除けば年度末ラッシュのなかでは最注目の案件。明確な類似企業がなく評価の難しい面は否めないが、トップラインは好調に推移しており上場前の株価からも26%値下げされている。ロックアップ解除がなくコーナーストーン投資家の配分も多いうえ、グロース株回帰の流れもあるため堅調にスタートできるのではないか。
・直近(2021年5月)の特別利害関係者らによる株式売買単価は分割を遡及(そきゅう)修正すると1169円。
・売り出し株の一部(公募売り出しの半数未満)は欧州やアジアを中心とする海外市場(北米除く、ただし親引けは例外)で販売される。
・大株主と新株予約権者の上位10名と取締役2名には180日のロックアップが掛かる。なお、親会社以外の法人株主は2021年6月の取得時から5年間継続保有する契約を締結している。
・上場時に行使可能な新株予約権は90万70000株(ロックアップ状況不明)。
〈ファーストインプレッション〉
公開規模の大小を除けば年度末ラッシュのなかでは最注目の案件。明確な類似企業がなく評価の難しい面は否めないが、トップラインは好調に推移しており上場前の株価からも26%値下げされている。ロックアップ解除がなくコーナーストーン投資家の配分も多いうえ、グロース株回帰の流れもあるため堅調にスタートできるのではないか。
仮条件分析
(BB参加妙味
:A)
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想定価格: 820円 - 870円
吸収資金レンジ: 88.6億円 - 108.1億円(今期予想連結PER: 72.5倍 - 76.9倍)
時価総額レンジ: 354.4億円 - 376.0億円
仮条件: 820円 - 870円
吸収資金レンジ: 88.6億円 - 108.1億円(今期予想連結PER: 72.5倍 - 76.9倍)
時価総額レンジ: 354.4億円 - 376.0億円
仮条件は想定仮条件と同じ価格帯で設定された。金額表示だった親引けは下限価格に合わせてアセットマネジメントOneのファンド向けが121万9500株、WiL Ventures III向けが243万9000株、SUZUKI GLOBAL VENTURES(スズキのファンド)向けは91万4600株を上限に設定し直した。WiL Ventures IIIは既存の保有株と合わせると上場時の持ち分は最大7.07%に上り株主順位はKDDIに次ぐ2位に浮上する。
さらにりそなアセットマネジメントが運用するファンドが最大計16億円相当の株式数を、大和アセットマネジメントのファンドが最大計8億円相当の株式数をそれぞれ取得することへの関心を表明していると発表した。ただし、親引けとは違いこの「関心の表明」に拘束力はない。
〈強材料〉
海外進出済み、国内では業界トップ、コーナーストーン複数、関心表明あり、業績好調、大手と相次ぐ提携、株高超楽観ムード
〈弱材料〉
ハイグロース、上場ラッシュ、同日4社、公開規模大
〈結論〉
Aとする。公開価格が仮条件上限ならば、初値は1500円(希薄化後PER:166.0倍、同PSR:9.0倍)前後を想定する。
バリュエーションはどこと比較するかにもよるが、何かと付き合いのいいアセマネワンだけでなく、既存株主のベンチャーキャピタルが買い増しに動き、スズキとはコネクテッドカーなどの面で協業をにらんだ新規出資があるほか、りそなや大和系の運用会社も参戦表明と早くも争奪戦の様相となっている。IoT(モノのインターネット)プラットフォームのリーディング企業として認知されており、強い展開が期待できそうだ。
IoTプラットフォームを展開する企業は国内ではソラコムの他にも大手電機系やNTT系などがサービス展開している他、スマートドライブやスマレジ、フォトシンス、セーフィーといった特化型のサービスが存在する。同社は汎用型のサービスではリーディングカンパニーの地位を築いており、既に海外でも地元の通信キャリアと組んで実績を上げている。
ソラコムの強みは価格競争力だ。従来のハードウエアによって構築される移動通信の基幹システム「モバイルコア」を、ソフトウエアによってクラウド上に独自に構築しており、大掛かりな設備投資が不要な分を価格に反映できる。関連特許を70以上保有しており、競合の追随を許さない技術的優位性を持つ。さらにはIoT導入に必要な物やサービスを一通り供給することで、金銭面以外の負担も減らす。
こうしたことから国内でIoTプラットフォームといえば、ソラコムが第一選択肢として上がるようになっており、市場拡大を背景にトップラインは3割成長のペースで拡大している。前23.3期は人材の先行投資により大幅減益となったが、通常に戻った今24.3期の営業利益は急回復となり、前々期比でみても30.5%増の会社予想となっている。既に第3四半期の段階でほぼ達成済みであり、経常利益以下は上回っている。なお、第4四半期は上場関連の広告宣伝費用や業務委託費用、外形標準課税適用による租税公課の増加などを見込んでいる。
期待の大きいグロース株ということで評価の難しい案件ではあるが、仮条件は想定通りのレンジになったのを横目に、ブックビルディングは早くも争奪戦の様相だ。何かと付き合いのいいアセマネワンはともかく、親引けには本来なら出口のはずの既存VCが逆に買い増しに来ているうえ、コネクテッドカーの協業が期待されるスズキからの出資と来ている。さらにりそな系と大和系からの関心表明だ。旧臨報方式のため海外配分比率は不明だが、足元の日本株への投資態度からすれば、上限として設定している「公募売り出しの半数未満」に近い状況になるのではないか。大手でもドメスティック企業の多いSaaS(Software as a Service)で上場の段階から海外進出を果たしている例は珍しく、それも今回は海外投資家のおひざ元で実績を上げている。
なお、競合との比較だが、業績規模の小さい業界特化型は金利上昇以降、黒字か赤字かで評価に大きな差が出ている。ソラコム同様、黒字で売り上げ成長率も近いスマドライブやスマレジのPSRは5、6倍であり、PERは前者が80倍台半ば、後者が50倍台前半となっている。これに対し仮条件は希薄化後でPSRは5倍前後、PERは91~96倍だ。一方、海外では米サムサラが赤字でもPSRは13倍の高さとなっている。
このセクターは業績規模が大きければ高く評価される傾向にあるが、国内SaaSの代表格となっているフリーやマネフォ、ラクスは8~9倍の傾向だ。ソフトウエアのみで展開するこれら企業と違って、IoT・SaaSはハードウエアなどの販売により継続収益の比率が下がる分を割り引いて考える必要があるが、予想の開示されていない来期を織り込みに行く時期でもあり、特に初動は楽観的な展開が期待される。
また、公開規模は100億円を超えるが、親引けで37.5億円分が吸い上げられるうえ関心を表明した機関投資家が満額取得したとすると半分以上が市場に出回らないことになる。さらに海外籍ファンドの親引け以外の海外勢にも配分が予想されるため、短期志向の個人への配分は20億円分くらいしかないのではないかと推測する。初値需給は逼迫することになるとみて、PSR9倍の心理的節目を基準に初値は公開価格の1.5倍を超えた1500円前後を想定する。
吸収資金レンジ: 88.6億円 - 108.1億円(今期予想連結PER: 72.5倍 - 76.9倍)
時価総額レンジ: 354.4億円 - 376.0億円
仮条件: 820円 - 870円
吸収資金レンジ: 88.6億円 - 108.1億円(今期予想連結PER: 72.5倍 - 76.9倍)
時価総額レンジ: 354.4億円 - 376.0億円
仮条件は想定仮条件と同じ価格帯で設定された。金額表示だった親引けは下限価格に合わせてアセットマネジメントOneのファンド向けが121万9500株、WiL Ventures III向けが243万9000株、SUZUKI GLOBAL VENTURES(スズキのファンド)向けは91万4600株を上限に設定し直した。WiL Ventures IIIは既存の保有株と合わせると上場時の持ち分は最大7.07%に上り株主順位はKDDIに次ぐ2位に浮上する。
さらにりそなアセットマネジメントが運用するファンドが最大計16億円相当の株式数を、大和アセットマネジメントのファンドが最大計8億円相当の株式数をそれぞれ取得することへの関心を表明していると発表した。ただし、親引けとは違いこの「関心の表明」に拘束力はない。
〈強材料〉
海外進出済み、国内では業界トップ、コーナーストーン複数、関心表明あり、業績好調、大手と相次ぐ提携、株高超楽観ムード
〈弱材料〉
ハイグロース、上場ラッシュ、同日4社、公開規模大
〈結論〉
Aとする。公開価格が仮条件上限ならば、初値は1500円(希薄化後PER:166.0倍、同PSR:9.0倍)前後を想定する。
バリュエーションはどこと比較するかにもよるが、何かと付き合いのいいアセマネワンだけでなく、既存株主のベンチャーキャピタルが買い増しに動き、スズキとはコネクテッドカーなどの面で協業をにらんだ新規出資があるほか、りそなや大和系の運用会社も参戦表明と早くも争奪戦の様相となっている。IoT(モノのインターネット)プラットフォームのリーディング企業として認知されており、強い展開が期待できそうだ。
IoTプラットフォームを展開する企業は国内ではソラコムの他にも大手電機系やNTT系などがサービス展開している他、スマートドライブやスマレジ、フォトシンス、セーフィーといった特化型のサービスが存在する。同社は汎用型のサービスではリーディングカンパニーの地位を築いており、既に海外でも地元の通信キャリアと組んで実績を上げている。
ソラコムの強みは価格競争力だ。従来のハードウエアによって構築される移動通信の基幹システム「モバイルコア」を、ソフトウエアによってクラウド上に独自に構築しており、大掛かりな設備投資が不要な分を価格に反映できる。関連特許を70以上保有しており、競合の追随を許さない技術的優位性を持つ。さらにはIoT導入に必要な物やサービスを一通り供給することで、金銭面以外の負担も減らす。
こうしたことから国内でIoTプラットフォームといえば、ソラコムが第一選択肢として上がるようになっており、市場拡大を背景にトップラインは3割成長のペースで拡大している。前23.3期は人材の先行投資により大幅減益となったが、通常に戻った今24.3期の営業利益は急回復となり、前々期比でみても30.5%増の会社予想となっている。既に第3四半期の段階でほぼ達成済みであり、経常利益以下は上回っている。なお、第4四半期は上場関連の広告宣伝費用や業務委託費用、外形標準課税適用による租税公課の増加などを見込んでいる。
期待の大きいグロース株ということで評価の難しい案件ではあるが、仮条件は想定通りのレンジになったのを横目に、ブックビルディングは早くも争奪戦の様相だ。何かと付き合いのいいアセマネワンはともかく、親引けには本来なら出口のはずの既存VCが逆に買い増しに来ているうえ、コネクテッドカーの協業が期待されるスズキからの出資と来ている。さらにりそな系と大和系からの関心表明だ。旧臨報方式のため海外配分比率は不明だが、足元の日本株への投資態度からすれば、上限として設定している「公募売り出しの半数未満」に近い状況になるのではないか。大手でもドメスティック企業の多いSaaS(Software as a Service)で上場の段階から海外進出を果たしている例は珍しく、それも今回は海外投資家のおひざ元で実績を上げている。
なお、競合との比較だが、業績規模の小さい業界特化型は金利上昇以降、黒字か赤字かで評価に大きな差が出ている。ソラコム同様、黒字で売り上げ成長率も近いスマドライブやスマレジのPSRは5、6倍であり、PERは前者が80倍台半ば、後者が50倍台前半となっている。これに対し仮条件は希薄化後でPSRは5倍前後、PERは91~96倍だ。一方、海外では米サムサラが赤字でもPSRは13倍の高さとなっている。
このセクターは業績規模が大きければ高く評価される傾向にあるが、国内SaaSの代表格となっているフリーやマネフォ、ラクスは8~9倍の傾向だ。ソフトウエアのみで展開するこれら企業と違って、IoT・SaaSはハードウエアなどの販売により継続収益の比率が下がる分を割り引いて考える必要があるが、予想の開示されていない来期を織り込みに行く時期でもあり、特に初動は楽観的な展開が期待される。
また、公開規模は100億円を超えるが、親引けで37.5億円分が吸い上げられるうえ関心を表明した機関投資家が満額取得したとすると半分以上が市場に出回らないことになる。さらに海外籍ファンドの親引け以外の海外勢にも配分が予想されるため、短期志向の個人への配分は20億円分くらいしかないのではないかと推測する。初値需給は逼迫することになるとみて、PSR9倍の心理的節目を基準に初値は公開価格の1.5倍を超えた1500円前後を想定する。
公開価格分析
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公開価格: 870円
吸収資金: 108.1億円(今期予想連結PER: 76.9倍)
時価総額: 376.0億円
公開価格、追加売り出し株数とも上限で決まった。引受価額は804.75円。訂正目論見書によればブックビルディングの状況は申告された総需要株式数が売り出し株式数を十分に上回り、総件数が多数にわたっていたうえ、価格ごとの分布は仮条件の上限価格に集中していたこと――の3点が特徴だった。親引けについてはアセマネワン114万9400株、ウィル229万8800株、スズキ86万2000株となり、それぞれ当初に設定していた金額分の満額に当たる株数となった。親引け後はアセマネワンが第6位株主、ウィルは第4位株主となる。
一方、売り出し株数のうち海外への配分は529万7400株となった。公開株数全体のうち42.6%に当たる。オーバーアロットメントを含めない場合は49.0%であり、事前に設定していた「本募集及び引受人の買取引受による売出しに係る株式数の合計株数(公募売り出し株数)の半数未満」のほぼ上限ということになる。
株高のなかでのハイテク株ということで予想通りの盛況さがうかがうことができた。大型だけに株式相場が調整局面入りしたことは気掛かりなものの、この程度であれば長期投資家の姿勢を反転させるほどではないだろう。ユニコーンにはほど遠いものの欧米投資家のおひざ元でも実績を積む希少な存在だけに、引き続き強い展開に期待する。
吸収資金: 108.1億円(今期予想連結PER: 76.9倍)
時価総額: 376.0億円
公開価格、追加売り出し株数とも上限で決まった。引受価額は804.75円。訂正目論見書によればブックビルディングの状況は申告された総需要株式数が売り出し株式数を十分に上回り、総件数が多数にわたっていたうえ、価格ごとの分布は仮条件の上限価格に集中していたこと――の3点が特徴だった。親引けについてはアセマネワン114万9400株、ウィル229万8800株、スズキ86万2000株となり、それぞれ当初に設定していた金額分の満額に当たる株数となった。親引け後はアセマネワンが第6位株主、ウィルは第4位株主となる。
一方、売り出し株数のうち海外への配分は529万7400株となった。公開株数全体のうち42.6%に当たる。オーバーアロットメントを含めない場合は49.0%であり、事前に設定していた「本募集及び引受人の買取引受による売出しに係る株式数の合計株数(公募売り出し株数)の半数未満」のほぼ上限ということになる。
株高のなかでのハイテク株ということで予想通りの盛況さがうかがうことができた。大型だけに株式相場が調整局面入りしたことは気掛かりなものの、この程度であれば長期投資家の姿勢を反転させるほどではないだろう。ユニコーンにはほど遠いものの欧米投資家のおひざ元でも実績を積む希少な存在だけに、引き続き強い展開に期待する。
初値予想
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初値予想: 1,500円(今期予想連結PER: 132.6倍)
初値買い妙味: B
初値好調を予想する。国内ではIoT(モノのインターネット)プラットフォームの最大手としての地位を確立しているうえ、海外でも欧米投資家のおひざ元で実績を積む。ブックビルディングに入る前から争奪戦の様相を見せており、大型グロースながら強い展開が期待できよう。
IoTサービス最大手。2017年8月にKDDIの子会社になったが、上場後は持ち分法適用会社に移行する。企業がIoTを導入する際に必要な物やサービスをワンストップで提供するIoTプラットフォーム「SORACOM」を展開している。
強みは従来はハードウエアによって構築する移動通信の基幹システム「モバイルコア」を、ソフトウエアによってクラウド上に構築できる技術力だ。設備投資が不要なためコストを大幅に引き下げられるといういう。関連特許を70以上保有することで参入障壁を築き上げ、競合の追随を許さない。
既に国内でIoTプラットフォームといえばソラコムが第一選択肢として上がるようになっており、市場拡大も背景にトップラインは3割成長のペースで拡大している。前23.3期は人材の先行投資により大幅減益となったが、通常に戻った今24.3期の営業利益は急回復する会社予想だ。前々期比でみても30.5%増となっている。欧米でも現地のキャリアと組むなどして早くから事業を展開しており、売上高の3割以上は米英向けが占める。
海外、しかも欧米での実績のある希有(けう)な大型ベンチャーのIPOとあって、今回はブックビルディングに入る前から機関投資家間では争奪戦の様相だった。親引け先にアセットマネジメントOneと既存株主のWiL Ventures IIIに加え、事業提携絡みでスズキ系のファンドが付き、さらにりそな糸と大和証系の運用会社が取得に向けての関心を表明した。海外投資家への配分は事前に設定していたギリギリとなる全体の43%が配分された。
需給面では同日4社上場に公開規模は当日最大の100億円超と、あまり強気には出にくい条件が並ぶが、機関の積極姿勢から公開株式の大部分は長期視点の投資家によって吸い上げられたとみる。さらに海外が強気姿勢ならこの程度の規模なら彼らの資金力の前には軽いものだ。米国の競合は赤字でもPSRは2桁と高く評価されていることも考慮し、初値は公開価格の1.5倍を超えた心理的節目の1500円での売り買い一致を予想する。
初値買い妙味: B
初値好調を予想する。国内ではIoT(モノのインターネット)プラットフォームの最大手としての地位を確立しているうえ、海外でも欧米投資家のおひざ元で実績を積む。ブックビルディングに入る前から争奪戦の様相を見せており、大型グロースながら強い展開が期待できよう。
IoTサービス最大手。2017年8月にKDDIの子会社になったが、上場後は持ち分法適用会社に移行する。企業がIoTを導入する際に必要な物やサービスをワンストップで提供するIoTプラットフォーム「SORACOM」を展開している。
強みは従来はハードウエアによって構築する移動通信の基幹システム「モバイルコア」を、ソフトウエアによってクラウド上に構築できる技術力だ。設備投資が不要なためコストを大幅に引き下げられるといういう。関連特許を70以上保有することで参入障壁を築き上げ、競合の追随を許さない。
既に国内でIoTプラットフォームといえばソラコムが第一選択肢として上がるようになっており、市場拡大も背景にトップラインは3割成長のペースで拡大している。前23.3期は人材の先行投資により大幅減益となったが、通常に戻った今24.3期の営業利益は急回復する会社予想だ。前々期比でみても30.5%増となっている。欧米でも現地のキャリアと組むなどして早くから事業を展開しており、売上高の3割以上は米英向けが占める。
海外、しかも欧米での実績のある希有(けう)な大型ベンチャーのIPOとあって、今回はブックビルディングに入る前から機関投資家間では争奪戦の様相だった。親引け先にアセットマネジメントOneと既存株主のWiL Ventures IIIに加え、事業提携絡みでスズキ系のファンドが付き、さらにりそな糸と大和証系の運用会社が取得に向けての関心を表明した。海外投資家への配分は事前に設定していたギリギリとなる全体の43%が配分された。
需給面では同日4社上場に公開規模は当日最大の100億円超と、あまり強気には出にくい条件が並ぶが、機関の積極姿勢から公開株式の大部分は長期視点の投資家によって吸い上げられたとみる。さらに海外が強気姿勢ならこの程度の規模なら彼らの資金力の前には軽いものだ。米国の競合は赤字でもPSRは2桁と高く評価されていることも考慮し、初値は公開価格の1.5倍を超えた心理的節目の1500円での売り買い一致を予想する。
初値分析
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初値: 1,563円(今期予想連結PER: 138.2倍)
/ 上昇率: 79.7%
/ 高値: 1,600円
/ 安値: 1,300円
/ 終値: 1,338円
出来高: 11,212,100株 / 対公開株数: 90.2% / 初値出来高: 2,892,400株 / 初値売買代金: 4,520,821,200円
強い初値が付いた。公開規模100億円を超える大型グロースだが、国内外の機関投資家が注目するなかサイズはそれほど大きな問題ではなく、寄り前気配の段階から1500円が意識され、そこから4.2%上振れての売り買い一致となった。
寄り付き後は軟調な展開となった。大型案件にしては高く始まったことから反動が強く、1400円割れでいったんは反発したが、大引けまで30分を切ると再び失速。次第に手じまい売りが加速し、大引け間際に安値を付けた。
しばらくは様子見姿勢が続きそうだ。期待通りの強さを見せて始まったが、年度末のせいかセカンダリーの買い支えはそうでもなかった。目先は権利付き最終日のイベントがあるほか、上場ラッシュもまだ残るため初動が弱ければ手は出しにくい。新年度入り後の出直りが期待される。
(追加)
1日付けで大和証券からリポートが出た。長期利益率目標としてリカーリング収益比率が85%(23/3期69%)、粗利益目標が65%(23/3期52%)、営業利益率が30%強(23/3期2%)を目指すのではないかと考察。25.3期はリカーリング収益の前年比45%増を前提に、営業利益は60%増の10.5億円(EPS 19.5円)、26.3期はリカーリング収益37%増を前提に営業利益は96%増の20.6億円(38.4円)になると予想した。なお見通しは、既存事業のオーガニックな見込みであり、非連続的なものは織り込んでいないとした。
出来高: 11,212,100株 / 対公開株数: 90.2% / 初値出来高: 2,892,400株 / 初値売買代金: 4,520,821,200円
強い初値が付いた。公開規模100億円を超える大型グロースだが、国内外の機関投資家が注目するなかサイズはそれほど大きな問題ではなく、寄り前気配の段階から1500円が意識され、そこから4.2%上振れての売り買い一致となった。
寄り付き後は軟調な展開となった。大型案件にしては高く始まったことから反動が強く、1400円割れでいったんは反発したが、大引けまで30分を切ると再び失速。次第に手じまい売りが加速し、大引け間際に安値を付けた。
しばらくは様子見姿勢が続きそうだ。期待通りの強さを見せて始まったが、年度末のせいかセカンダリーの買い支えはそうでもなかった。目先は権利付き最終日のイベントがあるほか、上場ラッシュもまだ残るため初動が弱ければ手は出しにくい。新年度入り後の出直りが期待される。
(追加)
1日付けで大和証券からリポートが出た。長期利益率目標としてリカーリング収益比率が85%(23/3期69%)、粗利益目標が65%(23/3期52%)、営業利益率が30%強(23/3期2%)を目指すのではないかと考察。25.3期はリカーリング収益の前年比45%増を前提に、営業利益は60%増の10.5億円(EPS 19.5円)、26.3期はリカーリング収益37%増を前提に営業利益は96%増の20.6億円(38.4円)になると予想した。なお見通しは、既存事業のオーガニックな見込みであり、非連続的なものは織り込んでいないとした。