IPO銘柄詳細
コード | 市場 | 業種 | 売買単位 | 注目度 |
---|---|---|---|---|
186A | 東証グロース | サービス業 | 100株 | S |
注目のIPO銘柄
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スケジュール
スケジュール | |
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仮条件決定 | 2024/05/20 |
ブックビルディング期間 | 2024/05/20 - 05/24 |
公開価格決定 | 2024/05/27 |
申込期間 | 2024/05/28 - 05/31 |
払込期日 | 2024/06/04 |
上場日 | 2024/06/05 |
価格情報 | |
---|---|
想定価格 | 720円 |
仮条件 | 750 - 850円 |
公開価格 | 850円 |
初値予想 | 1,300円 |
初値 | 1,281円 |
- スケジュールは上場企業都合により変更になる場合があります。
基本情報
代表者名 | 岡田 光信(上場時51歳2カ月)/1973年生 |
---|---|
本店所在地 | 東京都墨田区錦糸 |
設立年 | 2018年 |
従業員数 | 29人 (2024/03/31現在)(平均45.7歳、年収1225.8万円)、連結481人 |
事業内容 | スペースデブリ(宇宙ごみ)除去や人工衛星寿命延長、点検・観測などの軌道上サービス事業 |
URL | https://astroscale.com/ja/ |
株主数 | 67人 (目論見書より) |
資本金 | 100,000,000円 (2024/05/01現在) |
上場時発行済株数 | 113,028,400株(別に潜在株式12,202,800株) |
公開株数 | 28,054,100株(公募22,169,200株、売り出し2,760,000株、オーバーアロットメント3,124,900株) |
調達資金使途 | プロジェクト開発費・研究開発費、運転資金 |
連結会社 | 5社 |
シンジケート
公開株数16,648,900株(別に3,124,900株)国内分/配分株数と比率は推定値
種別 | 証券会社名 | 株数 | 比率 |
---|---|---|---|
主幹事証券 | 三菱UFJモルガン・スタンレー | - | - |
主幹事証券 | モルガン・スタンレーMUFG | - | - |
主幹事証券 | みずほ | - | - |
引受証券 | SBI | - | - |
引受証券 | 野村 | - | - |
引受証券 | SMBC日興 | - | - |
引受証券 | 楽天 | - | - |
引受証券 | 東海東京 | - | - |
引受証券 | 岡三 | - | - |
引受証券 | 水戸 | - | - |
引受証券 | 松井 | - | - |
引受証券 | マネックス | - | - |
引受証券 | 岩井コスモ | - | - |
引受証券 | あかつき | - | - |
引受証券 | 東洋 | - | - |
引受証券 | アイザワ | - | - |
大株主(潜在株式を含む)
大株主名 | 摘要 | 株数 | 比率 |
---|---|---|---|
岡田光信 | 代表取締役社長兼CEOなど | 27,600,300 | 26.78% |
(株)INCJ | 投資業(ファンド) | 17,041,200 | 16.53% |
ジャフコSV4共有投組 | 投資業(ファンド) | 4,405,000 | 4.27% |
(株)グーニーズ | 投資業(ファンド)、前沢友作の資産管理会社 | 3,239,700 | 3.14% |
ASエースタート1号投組 | 投資業(ファンド) | 2,950,200 | 2.86% |
三菱電機(株) | 特別利害関係者など | 2,649,700 | 2.57% |
ブラッカビー・クリストファー | 取締役兼COOなど | 2,612,900 | 2.54% |
スペース・エースタート1号投組 | 投資業(ファンド) | 2,597,000 | 2.52% |
日本グロースキャピタル投資法人 | 投資業(ファンド) | 2,523,700 | 2.45% |
THE FUND投組 | 投資業(ファンド) | 1,977,500 | 1.92% |
業績動向(単位:百万円)
決算期 | 種別 | 売上収益 | 営業利益 | 税引き前利益 | 純利益 |
---|---|---|---|---|---|
2024/04 | 連結3Q累計実績 | 1,994 | -6,990 | -5,823 | -5,824 |
2024/04 | 連結会社予想 | 2,700 | -14,000 | -11,500 | -11,500 |
2023/04 | 連結実績 | 1,792 | -9,665 | -9,314 | -9,264 |
2022/04 | 連結実績 | 910 | -6,404 | -5,563 | -5,484 |
売上収益
営業利益
税引き前利益
純利益
1株あたりの数値(単位:円)
決算期 | 種別 | EPS | BPS | 配当 |
---|---|---|---|---|
2024/04 | 連結会社予想 | -127.07 | 41.27 | 0.00 |
事業詳細
スペースデブリ(宇宙ゴミ)除去・防止などの軌道上サービス(OOS)の提供を目指す宇宙ベンチャー。コア技術「宇宙空間の非協力物体(位置情報を発信せず自由に飛行する物体)に対するRPO(ランデブー・近傍運用)技術」などを研究開発するとともに、人工衛星が通る軌道上の宇宙空間で提供されるさまざまなサービスを開発している。
なお、セグメントは軌道上サービス事業の単一となるが、販売形態は(1)研究開発プロジェクトと実証プロジェクトの受託プロジェクトと、(2)ロゴマーク掲載などスポンサーシップによるその他の収益――の2つに分かれる。また、軌道上サービスは具体的には以下の4サービスに区分される。
1.衛星運用終了時のデブリ化防止のための除去サービス(EOL)
捕獲機(サービサー)を打ち上げ、故障機や寿命を迎えた衛星を捕獲し、のちに降下させ大気圏で燃焼させて除去する。多数の小型衛星を一体的に運用する衛星コンステレーションにドッキングプレートを搭載することが前提であり、想定する対象顧客は衛星コンステレーションの運用事業者となる。
2.既存デブリの除去サービス(ADR)
サービサーを打ち上げ、既存のデブリを捕獲し、軌道を降下させ大気圏で燃焼させて除去する。捕獲対象にはドッキングプレートが搭載されていないことが一般的であり、捕獲用アームを使用する。想定する対象顧客は政府や宇宙機関となる。
3.寿命延長サービス(LEX)
燃料が枯渇した衛星や軌道がずれてしまった衛星などに対し、ドッキング(捕獲)し、サービサー衛星の燃料を用いる、もしくは燃料補給して衛星の運用期間の延長や別の軌道への遷移などのサービスを提供する。想定する対象顧客は低軌道や静止軌道で衛星を運用する政府や民間企業となる。
4.故障機や物体の観測・点検サービス(ISSA)
観測用衛星を打ち上げ、故障衛星やデブリといった非協力的物体に接近し、対象物体のデータを取得することで、故障の原因解析への活用や相手物体の状況を把握を可能にする。相手物体の把握はADRに必要なデータを事前取得する役割も果たす。想定する対象顧客は主に政府や宇宙機関となる。
2023年4月期の売上収益構成比は、受託プロジェクト収益94.2%、その他の収益5.8%。地域別では日本40.3%、英国49.5%、米国9.9%、その他0.3%。主な販売先は衛星通信サービス大手の英Network Access Associates(英仏Eutelsat OneWeb社)39.1%、宇宙航空研究開発機構23.3%、経済産業省9.2%、イギリス宇宙局2.9%。
なお、セグメントは軌道上サービス事業の単一となるが、販売形態は(1)研究開発プロジェクトと実証プロジェクトの受託プロジェクトと、(2)ロゴマーク掲載などスポンサーシップによるその他の収益――の2つに分かれる。また、軌道上サービスは具体的には以下の4サービスに区分される。
1.衛星運用終了時のデブリ化防止のための除去サービス(EOL)
捕獲機(サービサー)を打ち上げ、故障機や寿命を迎えた衛星を捕獲し、のちに降下させ大気圏で燃焼させて除去する。多数の小型衛星を一体的に運用する衛星コンステレーションにドッキングプレートを搭載することが前提であり、想定する対象顧客は衛星コンステレーションの運用事業者となる。
2.既存デブリの除去サービス(ADR)
サービサーを打ち上げ、既存のデブリを捕獲し、軌道を降下させ大気圏で燃焼させて除去する。捕獲対象にはドッキングプレートが搭載されていないことが一般的であり、捕獲用アームを使用する。想定する対象顧客は政府や宇宙機関となる。
3.寿命延長サービス(LEX)
燃料が枯渇した衛星や軌道がずれてしまった衛星などに対し、ドッキング(捕獲)し、サービサー衛星の燃料を用いる、もしくは燃料補給して衛星の運用期間の延長や別の軌道への遷移などのサービスを提供する。想定する対象顧客は低軌道や静止軌道で衛星を運用する政府や民間企業となる。
4.故障機や物体の観測・点検サービス(ISSA)
観測用衛星を打ち上げ、故障衛星やデブリといった非協力的物体に接近し、対象物体のデータを取得することで、故障の原因解析への活用や相手物体の状況を把握を可能にする。相手物体の把握はADRに必要なデータを事前取得する役割も果たす。想定する対象顧客は主に政府や宇宙機関となる。
2023年4月期の売上収益構成比は、受託プロジェクト収益94.2%、その他の収益5.8%。地域別では日本40.3%、英国49.5%、米国9.9%、その他0.3%。主な販売先は衛星通信サービス大手の英Network Access Associates(英仏Eutelsat OneWeb社)39.1%、宇宙航空研究開発機構23.3%、経済産業省9.2%、イギリス宇宙局2.9%。
コメント
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・直近(2023年10月)の第三者割当増資の発行単価は、転換を遡及(そきゅう)修正すると1250円。
・海外販売予定株数:公募694万4400株(配分比率26.0%)→(仮条件決定時に上乗せ)公募828万0300株(配分比率29.5%)。
・MZ Space Fund投組に15億円分、ヒューリック、TPR、りそなアセットマネジメントが運用するファンドに10億円分ずつを上限に親引け販売する。
・24.4期の業績予想はレンジ形式。表の数値は下限値を表記している。
営業損失 :105億円の赤字~140億円の赤字
税引前損失: 80億円の赤字~115億円の赤字
当期損失 : 80億円の赤字~115億円の赤字
EPS :88.39円の赤字~127.07円の赤字
・BNP PARIBAS SECURITIES SERVICES LONDONと新株予約権の受託者であるAltshare Trusts、個人株主6名を除く潜在株を合わせた上位46位までの株主・新株予約権者他20名には180日のロックアップが掛かる。
・上場時に売却可能な現物株式は410万9400株以上。
・ロックアップ対象外の行使可能な新株予約権は最大804万3300株分。
〈ファーストインプレッション〉
宇宙デブリ問題が年々深刻化するなか、デブリ除去ベンチャーの先駆けとしてマスコミの注目度は高い。よくマスコミに紹介される既存のデブリを除去する技術は難易度が高く近づくのがやっとという段階だが、足元ではデブリ化防止のためのサービスの前提となるドッキングプレートの搭載が急速に普及しており業績をけん引している。各国のデブリ規制を受けて民需が立ち上がり始めたタイミングでの上場ということで、成長期待は高いといえよう。
ただ足元の業績は大赤字となっており、研究開発費の負担が重い。既存デブリの除去技術については3年程度の確立にCEOは自信を示すが、対抗勢力では網で捉える方法で既に回収まで成功させているほか、経済性が高いとされるレーザー照射による除去を目指す動きもある。競合の上場例がなく、適性株価の算定難易度は高いが、アイスペースを上回る時価総額は果たして適性なのかは疑問なところだ。
そもそも三菱モルガンの値付けはプレッシャーが掛かる状況のときは売り方優位の傾向が強い。今回同証券が主幹事を務めるのは三菱グループがかんでおり、メーンバンクが三菱UFJ銀行だからだろう。アイスペースやQPSにはなかった売り出しも実施され、営業力に不安のある大手最弱の主幹事にもかかわらず、公開規模は必要以上に膨れ上がっている。アイスペースやQPSの人気化を踏まえた強気な設定であり需給妙味はない。コーナーストーン投資家も連れて来ており、宇宙バブルもまだ健在だろうことからプラスの方向では考えるが、三匹目のドジョウとはいかないだろう。
・海外販売予定株数:公募694万4400株(配分比率26.0%)→(仮条件決定時に上乗せ)公募828万0300株(配分比率29.5%)。
・MZ Space Fund投組に15億円分、ヒューリック、TPR、りそなアセットマネジメントが運用するファンドに10億円分ずつを上限に親引け販売する。
・24.4期の業績予想はレンジ形式。表の数値は下限値を表記している。
営業損失 :105億円の赤字~140億円の赤字
税引前損失: 80億円の赤字~115億円の赤字
当期損失 : 80億円の赤字~115億円の赤字
EPS :88.39円の赤字~127.07円の赤字
・BNP PARIBAS SECURITIES SERVICES LONDONと新株予約権の受託者であるAltshare Trusts、個人株主6名を除く潜在株を合わせた上位46位までの株主・新株予約権者他20名には180日のロックアップが掛かる。
・上場時に売却可能な現物株式は410万9400株以上。
・ロックアップ対象外の行使可能な新株予約権は最大804万3300株分。
〈ファーストインプレッション〉
宇宙デブリ問題が年々深刻化するなか、デブリ除去ベンチャーの先駆けとしてマスコミの注目度は高い。よくマスコミに紹介される既存のデブリを除去する技術は難易度が高く近づくのがやっとという段階だが、足元ではデブリ化防止のためのサービスの前提となるドッキングプレートの搭載が急速に普及しており業績をけん引している。各国のデブリ規制を受けて民需が立ち上がり始めたタイミングでの上場ということで、成長期待は高いといえよう。
ただ足元の業績は大赤字となっており、研究開発費の負担が重い。既存デブリの除去技術については3年程度の確立にCEOは自信を示すが、対抗勢力では網で捉える方法で既に回収まで成功させているほか、経済性が高いとされるレーザー照射による除去を目指す動きもある。競合の上場例がなく、適性株価の算定難易度は高いが、アイスペースを上回る時価総額は果たして適性なのかは疑問なところだ。
そもそも三菱モルガンの値付けはプレッシャーが掛かる状況のときは売り方優位の傾向が強い。今回同証券が主幹事を務めるのは三菱グループがかんでおり、メーンバンクが三菱UFJ銀行だからだろう。アイスペースやQPSにはなかった売り出しも実施され、営業力に不安のある大手最弱の主幹事にもかかわらず、公開規模は必要以上に膨れ上がっている。アイスペースやQPSの人気化を踏まえた強気な設定であり需給妙味はない。コーナーストーン投資家も連れて来ており、宇宙バブルもまだ健在だろうことからプラスの方向では考えるが、三匹目のドジョウとはいかないだろう。
仮条件分析
(BB参加妙味
:A)
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想定価格: 720円
吸収資金レンジ: 169.9億円 - 192.4億円(前期予想連結PER: -)
時価総額レンジ: 804.2億円
仮条件: 750円 - 850円
吸収資金レンジ: 187.0億円 - 238.5億円(前期予想連結PER: -)
時価総額レンジ: 847.7億円 - 960.7億円
仮条件は想定価格を4.17~18.06%上回る100円幅で設定された。さらに海外公募株数を2割弱積み増しした。国内公募、売り出しは変更なし。
〈変更点〉
上場時発行済み株数:111,692,500株→113,028,400株(1.2%増)
公開株式数:26,718,200株→28,054,100株(5.0%増)
海外公募: 6,944,400株→ 8,280,300株(19.2%増)
海外配分率:26.0%→29.5%
〈強材料〉
仮条件上振れ、公募上乗せ、話題性高い、コーナーストーン投資家あり、民需起動、融資実績あり
〈弱材料〉
大赤字、吸収額大、ロックアップ漏れあり、高成長株軟調、海外配分率低い
〈結論〉
Aとする。公開価格が仮条件上限ならば、初値は1250~1500円を想定する。
売上高を上回る大赤字を垂れ流すも仮条件上振れと公募上乗せで強気な展開。デブリ掃除業のパイオニアとして期待が高く、真打ち登場の扱いのもようだ。新興市場や直近上場株の低迷と不安要素は多いが、ここは目をつぶって行く場面か。
既に2社が上場する宇宙ベンチャーだが、時価総額は両社の中間を含むレンジに設定された。アイスペースとQPSでは収益性の立てやすさが全く異なり、大赤字を垂れ流すアストロスケは前者に近いわけだが、一方でBtoGでしかない両社と違って民需が立ち上がり始めた強みがある。官需はしょせん政府予算に制約されるが、民需は投資行動の結果であるためさらなる成長が可能だ。
なお、アイスペースとのPSRでの比較について、政府補助金収入を加えたプロジェクト収益で行うと、アイスペースの17倍に対し22倍と高いが、これは予想非開示の今25.4期の成長期待を織り込んでのことだろう。1月末時点の受注残は70億円近くにも上るが、第4四半期で消化した分は7億円に過ぎない。予定しているプロジェクト数から単純に見ても1.5倍程度の拡大は見込めるのではないか。
また、現時点では英仏ユーテルサット・ワンウェブ社しかない民需についても、3つの衛星開発会社との間でアストロスケ仕様のドッキングプレートの搭載について合意した。2024年3月末日現在、互換性のあるドッキングプレートを搭載した衛星は軌道上に568機存在し、29年4月期末時点での累計打ち上げ数は2000台を超える可能性があるという。
ただ過去の大型グロース株では話題性の高かった案件でも初値倍率は1.5倍前後というケースが多かった。宇宙ベンチャーも今回で3例目とあって、プライシングは全くの手探りだった前回までとはだいぶ違う。また、現時点ではアイスペース以上の赤字を計上しており、冷静になってしまうと金利上昇で新興市場が低迷するなかでとても買える代物ではない。
さらには海外配分も引き上げられたとはいえ、配分率は3割弱にとどまる。公開価格決定時にさらに引き上げられる可能性はあるが、承認時に35%だったのが最終的に60%引き上げられたトライアルは仮条件決定時には55%に引き上げられていた。宇宙ベンチャーの海外配分率は先の2社も2割前後だったが、公開規模が200億円を超える今回は事情が異なる。上場前の株価や心理的節目も考慮し、初値は1250円から1500円で想定する。
吸収資金レンジ: 169.9億円 - 192.4億円(前期予想連結PER: -)
時価総額レンジ: 804.2億円
仮条件: 750円 - 850円
吸収資金レンジ: 187.0億円 - 238.5億円(前期予想連結PER: -)
時価総額レンジ: 847.7億円 - 960.7億円
仮条件は想定価格を4.17~18.06%上回る100円幅で設定された。さらに海外公募株数を2割弱積み増しした。国内公募、売り出しは変更なし。
〈変更点〉
上場時発行済み株数:111,692,500株→113,028,400株(1.2%増)
公開株式数:26,718,200株→28,054,100株(5.0%増)
海外公募: 6,944,400株→ 8,280,300株(19.2%増)
海外配分率:26.0%→29.5%
〈強材料〉
仮条件上振れ、公募上乗せ、話題性高い、コーナーストーン投資家あり、民需起動、融資実績あり
〈弱材料〉
大赤字、吸収額大、ロックアップ漏れあり、高成長株軟調、海外配分率低い
〈結論〉
Aとする。公開価格が仮条件上限ならば、初値は1250~1500円を想定する。
売上高を上回る大赤字を垂れ流すも仮条件上振れと公募上乗せで強気な展開。デブリ掃除業のパイオニアとして期待が高く、真打ち登場の扱いのもようだ。新興市場や直近上場株の低迷と不安要素は多いが、ここは目をつぶって行く場面か。
既に2社が上場する宇宙ベンチャーだが、時価総額は両社の中間を含むレンジに設定された。アイスペースとQPSでは収益性の立てやすさが全く異なり、大赤字を垂れ流すアストロスケは前者に近いわけだが、一方でBtoGでしかない両社と違って民需が立ち上がり始めた強みがある。官需はしょせん政府予算に制約されるが、民需は投資行動の結果であるためさらなる成長が可能だ。
なお、アイスペースとのPSRでの比較について、政府補助金収入を加えたプロジェクト収益で行うと、アイスペースの17倍に対し22倍と高いが、これは予想非開示の今25.4期の成長期待を織り込んでのことだろう。1月末時点の受注残は70億円近くにも上るが、第4四半期で消化した分は7億円に過ぎない。予定しているプロジェクト数から単純に見ても1.5倍程度の拡大は見込めるのではないか。
また、現時点では英仏ユーテルサット・ワンウェブ社しかない民需についても、3つの衛星開発会社との間でアストロスケ仕様のドッキングプレートの搭載について合意した。2024年3月末日現在、互換性のあるドッキングプレートを搭載した衛星は軌道上に568機存在し、29年4月期末時点での累計打ち上げ数は2000台を超える可能性があるという。
ただ過去の大型グロース株では話題性の高かった案件でも初値倍率は1.5倍前後というケースが多かった。宇宙ベンチャーも今回で3例目とあって、プライシングは全くの手探りだった前回までとはだいぶ違う。また、現時点ではアイスペース以上の赤字を計上しており、冷静になってしまうと金利上昇で新興市場が低迷するなかでとても買える代物ではない。
さらには海外配分も引き上げられたとはいえ、配分率は3割弱にとどまる。公開価格決定時にさらに引き上げられる可能性はあるが、承認時に35%だったのが最終的に60%引き上げられたトライアルは仮条件決定時には55%に引き上げられていた。宇宙ベンチャーの海外配分率は先の2社も2割前後だったが、公開規模が200億円を超える今回は事情が異なる。上場前の株価や心理的節目も考慮し、初値は1250円から1500円で想定する。
公開価格分析
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公開価格: 850円
吸収資金: 238.5億円(前期予想連結PER: -)
時価総額: 960.7億円
公開価格、追加売り出し株数ともに上限で決まった。引受価額は793.47円。ブックビルディングの状況は(1)申告された総需要株式数が売り出し株式数を十分に上回る状況であったこと、(2)総件数が多数にわたっていたこと、(3)価格ごとの分布は仮条件の上限価格に集中していたこと――の3点が特徴だった。
一方、公募株式の国内外の配分がさらに見直され、海外が968万3000株に増やされた半面、国内は1248万6200株に減らされた。140万株強の移動があり、海外配分率は34.5%となった。
また、親引けについてはヒューリックとTPRとりそなアセットが117万6400株ずつ、MZ Space Fund投組が176万4700株がとなり、全て当初予算上限での配分となった。親引けを除いた実質吸収金額は193.5億円、国内に限ると111.2億円となる。
海外販売株(配分率):694万4400株(26.0%)→828万0300株(29.5%)→968万3000株(34.5%)
想定初値を従来レンジ下限の1250円前後に引き下げる。海外配分率はそれほど高くはないが、アイスペースの26%、QPSの16.5%に比べれば高い。これまでの宇宙ベンチャーと違ってデブリ除去のパイオニアとして世界的にも知られ、海外企業との取引も進み始めたタイミングだけに、先の2社より引き合いは強いもようだ。
ただ約1カ月ぶりのIPOとなった学びエイドの初値売買代金は5億円にとどまり、新興市場のさらなる低迷を受けて地合いは4月と比べさらに弱まったもよう。公開規模10億円未満の案件とは参戦する層が異なるが、新興市場が低迷し始めた新年度以降の投資環境は3月までと別次元だ。現状では金利上昇下では避けられやすい大赤字を垂れ流している会社であることは踏まえるべきだろう。
吸収資金: 238.5億円(前期予想連結PER: -)
時価総額: 960.7億円
公開価格、追加売り出し株数ともに上限で決まった。引受価額は793.47円。ブックビルディングの状況は(1)申告された総需要株式数が売り出し株式数を十分に上回る状況であったこと、(2)総件数が多数にわたっていたこと、(3)価格ごとの分布は仮条件の上限価格に集中していたこと――の3点が特徴だった。
一方、公募株式の国内外の配分がさらに見直され、海外が968万3000株に増やされた半面、国内は1248万6200株に減らされた。140万株強の移動があり、海外配分率は34.5%となった。
また、親引けについてはヒューリックとTPRとりそなアセットが117万6400株ずつ、MZ Space Fund投組が176万4700株がとなり、全て当初予算上限での配分となった。親引けを除いた実質吸収金額は193.5億円、国内に限ると111.2億円となる。
海外販売株(配分率):694万4400株(26.0%)→828万0300株(29.5%)→968万3000株(34.5%)
想定初値を従来レンジ下限の1250円前後に引き下げる。海外配分率はそれほど高くはないが、アイスペースの26%、QPSの16.5%に比べれば高い。これまでの宇宙ベンチャーと違ってデブリ除去のパイオニアとして世界的にも知られ、海外企業との取引も進み始めたタイミングだけに、先の2社より引き合いは強いもようだ。
ただ約1カ月ぶりのIPOとなった学びエイドの初値売買代金は5億円にとどまり、新興市場のさらなる低迷を受けて地合いは4月と比べさらに弱まったもよう。公開規模10億円未満の案件とは参戦する層が異なるが、新興市場が低迷し始めた新年度以降の投資環境は3月までと別次元だ。現状では金利上昇下では避けられやすい大赤字を垂れ流している会社であることは踏まえるべきだろう。
初値予想
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初値予想: 1,300円(前期予想連結PER: -)
初値買い妙味: B
初値好調を予想する。スペースデブリ(宇宙ゴミ)の世界的なパイオニアとして、国内勢では最も有名な宇宙ベンチャーとあって期待は高い。ただ大赤字を垂れ流したままの上場であり、現在は特に赤字グロース株には厳しい相場だ。上場前の株価と過去の大型グロースの傾向を踏まえ、初値は1.5倍超を予想する。
スペースデブリの除去としては、既存デブリの除去サービス(ADR)がメディアでも紹介されることが多いが、今のところ同サービスに関してはデブリに近づくのがやっとという段階でしかない。岡田社長は3年内の技術確立に自信を示すが、他の技術では模擬デブリの捕獲に成功するなど後れを取っている。どちらにしろ同サービスに関しては顧客が政府系機関のみになるため、当面の市場は限られよう。
それより注目したいのは、衛星運用終了時のデブリ化防止のための除去サービス(EOL)において、民需が立ち上がり始めたことだ。西側先進各国ではデブリ防止の規制化が進み、衛星事業者は運用終了時に降下させて大気圏で燃やす手はずになっている。だが、何らかの原因により大気圏に突入させられない場合、捕獲機(サービサー)を打ち上げて大気圏に突入させる必要があり、あらかじめ磁石によるドッキングプレートを搭載する。
現在はそのための先端研究プロジェクトを受注しているほか、将来の商業化に向けて多数の衛星群運用事業者とドッキングプレートの搭載に関して交渉しており、一部は合意を得た。加えて互換性のある他社製プレートの搭載を決める例もあり、将来的に出番を迎える可能性は高まっている。
こうしたなか、公開価格は時価総額が赤字のアイスペースと黒字のQPS研究所との間で、QPS寄りになる水準で決められた。会社予想の開示対象てある前24.4期の業績はアイスペースと同規模ながら、デブリ問題化が年々深刻化するなか、将来への期待は上回る格好となった。アイスペース、QPS研究所ともに上場時には初値が高騰した経緯もあって、三匹目のドジョウとして今回も値上がり期待は大変に高いもようだ。
ただ値付けそのものがかなり抑えられていた前回までと違い、今回は宇宙ベンチャー人気を踏まえた値付けとなっている。グロース株安の低迷を背景にダウンラウンドになっていることは共通するが、上場直前の株価からの値下げ率はアイスペースの79%、QPS研の44%に対し、アストロスケは32%にとどまった。
さらには公開規模も240億円弱と両社の3倍以上あるサイズとなっており、需給の重さは否めない。このうち親引けと海外配分を除くと111億円になるため見た目ほど重いわけではないが、海外分はロックアップが掛かっているわけではない。
また、過去に話題になった大型グロース株の初値は、公開価格の1.5倍前後といったケースが多かった。上場前の株価がちょうどその付近であることから、初値は心理的節目も踏まえ1300円と予想する。
初値買い妙味: B
初値好調を予想する。スペースデブリ(宇宙ゴミ)の世界的なパイオニアとして、国内勢では最も有名な宇宙ベンチャーとあって期待は高い。ただ大赤字を垂れ流したままの上場であり、現在は特に赤字グロース株には厳しい相場だ。上場前の株価と過去の大型グロースの傾向を踏まえ、初値は1.5倍超を予想する。
スペースデブリの除去としては、既存デブリの除去サービス(ADR)がメディアでも紹介されることが多いが、今のところ同サービスに関してはデブリに近づくのがやっとという段階でしかない。岡田社長は3年内の技術確立に自信を示すが、他の技術では模擬デブリの捕獲に成功するなど後れを取っている。どちらにしろ同サービスに関しては顧客が政府系機関のみになるため、当面の市場は限られよう。
それより注目したいのは、衛星運用終了時のデブリ化防止のための除去サービス(EOL)において、民需が立ち上がり始めたことだ。西側先進各国ではデブリ防止の規制化が進み、衛星事業者は運用終了時に降下させて大気圏で燃やす手はずになっている。だが、何らかの原因により大気圏に突入させられない場合、捕獲機(サービサー)を打ち上げて大気圏に突入させる必要があり、あらかじめ磁石によるドッキングプレートを搭載する。
現在はそのための先端研究プロジェクトを受注しているほか、将来の商業化に向けて多数の衛星群運用事業者とドッキングプレートの搭載に関して交渉しており、一部は合意を得た。加えて互換性のある他社製プレートの搭載を決める例もあり、将来的に出番を迎える可能性は高まっている。
こうしたなか、公開価格は時価総額が赤字のアイスペースと黒字のQPS研究所との間で、QPS寄りになる水準で決められた。会社予想の開示対象てある前24.4期の業績はアイスペースと同規模ながら、デブリ問題化が年々深刻化するなか、将来への期待は上回る格好となった。アイスペース、QPS研究所ともに上場時には初値が高騰した経緯もあって、三匹目のドジョウとして今回も値上がり期待は大変に高いもようだ。
ただ値付けそのものがかなり抑えられていた前回までと違い、今回は宇宙ベンチャー人気を踏まえた値付けとなっている。グロース株安の低迷を背景にダウンラウンドになっていることは共通するが、上場直前の株価からの値下げ率はアイスペースの79%、QPS研の44%に対し、アストロスケは32%にとどまった。
さらには公開規模も240億円弱と両社の3倍以上あるサイズとなっており、需給の重さは否めない。このうち親引けと海外配分を除くと111億円になるため見た目ほど重いわけではないが、海外分はロックアップが掛かっているわけではない。
また、過去に話題になった大型グロース株の初値は、公開価格の1.5倍前後といったケースが多かった。上場前の株価がちょうどその付近であることから、初値は心理的節目も踏まえ1300円と予想する。
初値分析
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初値: 1,281円(前期予想連結PER: -)
/ 上昇率: 50.7%
/ 高値: 1,581円
/ 安値: 1,280円
/ 終値: 1,375円
出来高: 42,052,600株 / 対公開株数: 149.9% / 初値出来高: 6,811,900株 / 初値売買代金: 8,726,043,900円
初値好調となった。大型赤字グロース株ということで適性株価の算出が難しいなか、買い手の多くがめどにしたのは結局、上場前株価の1250円であり、1000円や1200円といった節目よりも同価格に買い注文が集中した。売り買いはここから若干上振れる形で一致した。公開規模240億円弱の大型案件だったが、一時は100億円を超える買い注文が入った一方、売りは抑えられた。
寄り付き後は一段高となった。ただ前場のうちに節目の1500円台乗せを達成し、ストップ高を付けた後は頭打ち感が出た。後場に入ってからは1500円を挟んだもみ合いとなっていたが、14時半を過ぎると手じまい売りが加速し始め行って来い近くまで押し戻された。
しばらくは乱高下が想定される。宇宙ベンチャーの本命として期待は高く、当面は活発な商いが続くことだろう。
ただ、きょうの値動きからは上場前株価より上値で買う動きは限定的な様子もうかがえる。金利上昇懸念の赤字グロース株といった不安があるうえ、きょうは他の宇宙ベンチャー株への買いの波及は全くなかった。これまでそれぞれセカンダリーでは見せ場があったが、今回は前のめりな買い手の姿勢を織り込んだ値付けになっていた分、上値は重いだろう。
出来高: 42,052,600株 / 対公開株数: 149.9% / 初値出来高: 6,811,900株 / 初値売買代金: 8,726,043,900円
初値好調となった。大型赤字グロース株ということで適性株価の算出が難しいなか、買い手の多くがめどにしたのは結局、上場前株価の1250円であり、1000円や1200円といった節目よりも同価格に買い注文が集中した。売り買いはここから若干上振れる形で一致した。公開規模240億円弱の大型案件だったが、一時は100億円を超える買い注文が入った一方、売りは抑えられた。
寄り付き後は一段高となった。ただ前場のうちに節目の1500円台乗せを達成し、ストップ高を付けた後は頭打ち感が出た。後場に入ってからは1500円を挟んだもみ合いとなっていたが、14時半を過ぎると手じまい売りが加速し始め行って来い近くまで押し戻された。
しばらくは乱高下が想定される。宇宙ベンチャーの本命として期待は高く、当面は活発な商いが続くことだろう。
ただ、きょうの値動きからは上場前株価より上値で買う動きは限定的な様子もうかがえる。金利上昇懸念の赤字グロース株といった不安があるうえ、きょうは他の宇宙ベンチャー株への買いの波及は全くなかった。これまでそれぞれセカンダリーでは見せ場があったが、今回は前のめりな買い手の姿勢を織り込んだ値付けになっていた分、上値は重いだろう。