IPO銘柄詳細
コード | 市場 | 業種 | 売買単位 | 注目度 |
---|---|---|---|---|
3994 | マザーズ | 情報・通信業 | 100株 | A |
注目のIPO銘柄
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スケジュール
スケジュール | |
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仮条件決定 | 2017/09/12 |
ブックビルディング期間 | 2017/09/13 - 09/20 |
公開価格決定 | 2017/09/21 |
申込期間 | 2017/09/22 - 09/27 |
払込期日 | 2017/09/28 |
上場日 | 2017/09/29 |
価格情報 | |
---|---|
想定価格 | 1,110 - 1,550円 |
仮条件 | 1,350 - 1,550円 |
公開価格 | 1,550円 |
初値予想 | 3,500円 |
初値 | 3,000円 |
- スケジュールは上場企業都合により変更になる場合があります。
基本情報
代表者名 | 辻 庸介 (上場時41歳2カ月)/1976年生 |
---|---|
本店所在地 | 東京都港区芝 |
設立年 | 2012年 |
従業員数 | 212人 (2017/07/31現在)(平均32.4歳、年収612.6万円)、連結212人 |
事業内容 | 自動家計簿・資産管理サービス「マネーフォワード」を提供するPFM(個人金融資産管理)事業、法人・個人事業主向けのクラウド型サービス「MFクラウド会計・確定申告・請求書・給与・消込・マイナンバー」といった6つのバックオフィス向けMFクラウド事業など |
URL | http://corp.moneyforward.com/ |
株主数 | 52人 (目論見書より) |
資本金 | 1,865,921,000円 (2017/08/25現在) |
上場時発行済株数 | 18,279,400株(別に潜在株式2,783,240株) |
公開株数 | 2,931,000株(公募1,617,700株、売り出し931,000株、オーバーアロットメント382,300株) |
調達資金使途 | 広告費、借入金の返済、人件費・採用教育費など |
連結会社 | 3社 |
シンジケート
公開株数2,017,900株(別に382,300株)/(国内分)
種別 | 証券会社名 | 株数 | 比率 |
---|---|---|---|
主幹事証券 | SMBC日興 | 1,180,700 | 58.51% |
主幹事証券 | マネックス | 575,000 | 28.49% |
引受証券 | SBI | 171,400 | 8.49% |
引受証券 | みずほ | 30,300 | 1.50% |
引受証券 | 東海東京 | 30,300 | 1.50% |
引受証券 | 静銀ティーエム | 20,100 | 1.00% |
引受証券 | いちよし | 10,100 | 0.50% |
大株主(潜在株式を含む)
大株主名 | 摘要 | 株数 | 比率 |
---|---|---|---|
辻 庸介 | 代表取締役社長CEO、子会社の取締役 | 3,879,800 | 19.95% |
ジャフコSV4共有投組 | ベンチャーキャピタル(ファンド) | 2,898,040 | 14.90% |
浅野 千尋 | 取締役、子会社の取締役 | 1,842,000 | 9.47% |
市川 貴志 | 取締役 | 1,284,000 | 6.60% |
マネックスベンチャーズ(株) | ベンチャーキャピタル(ファンド) | 930,000 | 4.78% |
(株)クレディセゾン | 特別利害関係者など | 800,000 | 4.11% |
瀧 俊雄 | 取締役 | 653,000 | 3.36% |
(株)静岡銀行 | 特別利害関係者など | 594,120 | 3.06% |
SBIホールディングス(株) | 特別利害関係者など | 567,200 | 2.92% |
都築 貴之 | 取締役 | 453,000 | 2.33% |
MSIVC2012V投組 | ベンチャーキャピタル(ファンド) | 320,000 | 1.65% |
業績動向(単位:百万円)
決算期 | 種別 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 |
---|---|---|---|---|---|
2017/11 | 連結中間実績 | 1,202 | -675 | -679 | -683 |
2017/11 | 連結予想 | 2,681 | -995 | -1,006 | -1,014 |
2016/11 | 単独実績 | 1,542 | -876 | -882 | -888 |
2015/11 | 単独実績 | 441 | -1,120 | -1,133 | -1,142 |
売上高
営業利益
経常利益
純利益
1株あたりの数値(単位:円)
決算期 | 種別 | EPS | BPS | 配当 |
---|---|---|---|---|
2017/11 | 連結予想 | -59.91 | 164.10 | 0.00 |
参考類似企業
事業詳細
おカネに関するプラットホームの運営。個人向けに自動家計簿・資産管理サービス、法人・個人事業主向けにクラウド型バックオフィス向けサービスをそれぞれ提供している。
1.PFM(個人金融管理)サービス
自動家計簿・資産管理サービス「マネーフォワード」を中核に、各種サービスを個人のおカネに関する悩み・課題を解決することを目的に運営している。
プレミアム会員に対する月額課金や広告掲載料、会員向けイベント・セミナー開催に伴う運営収入のほか、BtoBtoC事業による初期開発料や保守・運用料を収益源としている。では顧客企業である金融機関の顧客が利用するためのアプリ開発や運営、アカウントアグリゲーション(口座集約)API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)の提供を手掛けている。
2.MFクラウドサービス
中小企業の経営を支援することを目的としたクラウド型ERPのサービスプラットホームを提供している。資金調達サービス「MFクラウドファイナンス」の運営も手掛けている。
MFクラウドシリーズには「MFクラウド会計・確定申告」「MFクラウド請求書」「MFクラウド給与」「MFクラウドマイナンバー」「MFクラウド経費」「MF KESSAI」などがある。会計事務所、事業会社などへ販売しているほか、提携企業などにOEMまたは代理提供している。
2016年11月期の売上高構成比は、PFMサービス51.5%、MFクラウドサービス47.7%。その他0.8%。
1.PFM(個人金融管理)サービス
自動家計簿・資産管理サービス「マネーフォワード」を中核に、各種サービスを個人のおカネに関する悩み・課題を解決することを目的に運営している。
プレミアム会員に対する月額課金や広告掲載料、会員向けイベント・セミナー開催に伴う運営収入のほか、BtoBtoC事業による初期開発料や保守・運用料を収益源としている。では顧客企業である金融機関の顧客が利用するためのアプリ開発や運営、アカウントアグリゲーション(口座集約)API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)の提供を手掛けている。
2.MFクラウドサービス
中小企業の経営を支援することを目的としたクラウド型ERPのサービスプラットホームを提供している。資金調達サービス「MFクラウドファイナンス」の運営も手掛けている。
MFクラウドシリーズには「MFクラウド会計・確定申告」「MFクラウド請求書」「MFクラウド給与」「MFクラウドマイナンバー」「MFクラウド経費」「MF KESSAI」などがある。会計事務所、事業会社などへ販売しているほか、提携企業などにOEMまたは代理提供している。
2016年11月期の売上高構成比は、PFMサービス51.5%、MFクラウドサービス47.7%。その他0.8%。
コメント
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・直近(2016年9月)の第三者割当増資の遡及(そきゅう)修正後の発行単価は1200円。
・公開株式の一部は海外で販売される。株数は未定。
・従業員の新株予約権者とアスクルを除いた既存株主(新株予約権含む)上位50位以内はロックアップが掛かる。アスクルの新株予約権は2018年3月から行使できる。
<類似企業>
大々的にCMなど宣伝活動を展開したこともあってか知名度の高い案件。口座情報集約ソフトといえば古くはSBI系の「マネールック」が主流だったが、最近はこちらの方が後発ながら支持されているもよう。複数の口座を駆使するIPO株投資家なら利用者は多いのではないか。
毎年恒例化しつつある「IT系赤字大型案件+日興主幹事」は、北朝鮮情勢などで地合いが不安定するなかでは迷うところ。ただし、赤字の大きな要因は広告宣伝費だ。ストック型の収益モデルであるため、広告費を削っても積み上げた分の売上高が大きく減る可能性は低い。赤字上場のなかでは黒字化への道筋は付けやすいだ。
赤字上場なのに売り出しがそれなりにあることや、ジャフコの出資が大きいわりにシ団に野村証券がいない点(主幹事交代あった?)、広告費を大幅に削った今下期でも営業赤字の予想である点など、地雷臭がないわけではないが、赤字であることを除けば人気化要素は多い。荷もたれ感のある案件ながら、初値は公開価格を上回る方向と考える。
・公開株式の一部は海外で販売される。株数は未定。
・従業員の新株予約権者とアスクルを除いた既存株主(新株予約権含む)上位50位以内はロックアップが掛かる。アスクルの新株予約権は2018年3月から行使できる。
<類似企業>
大々的にCMなど宣伝活動を展開したこともあってか知名度の高い案件。口座情報集約ソフトといえば古くはSBI系の「マネールック」が主流だったが、最近はこちらの方が後発ながら支持されているもよう。複数の口座を駆使するIPO株投資家なら利用者は多いのではないか。
毎年恒例化しつつある「IT系赤字大型案件+日興主幹事」は、北朝鮮情勢などで地合いが不安定するなかでは迷うところ。ただし、赤字の大きな要因は広告宣伝費だ。ストック型の収益モデルであるため、広告費を削っても積み上げた分の売上高が大きく減る可能性は低い。赤字上場のなかでは黒字化への道筋は付けやすいだ。
赤字上場なのに売り出しがそれなりにあることや、ジャフコの出資が大きいわりにシ団に野村証券がいない点(主幹事交代あった?)、広告費を大幅に削った今下期でも営業赤字の予想である点など、地雷臭がないわけではないが、赤字であることを除けば人気化要素は多い。荷もたれ感のある案件ながら、初値は公開価格を上回る方向と考える。
仮条件分析
(BB参加妙味
:A)
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想定価格: 1,110円 - 1,550円
吸収資金レンジ: 28.3億円 - 45.4億円(今期予想連結PER: -)
時価総額レンジ: 202.9億円 - 283.3億円
仮条件: 1,350円 - 1,550円
吸収資金レンジ: 34.4億円 - 45.4億円(今期予想連結PER: -)
時価総額レンジ: 246.8億円 - 283.3億円
仮条件は想定仮条件の上半分のレンジで設定された。上限価格は変わらず。
<強材料>
知名度高い、フィンテック関連、クラウド関連、売上高急拡大、来期黒字化期待、freeeに勝訴、スピード上場
<弱材料>
赤字上場、荷もたれ感あり、主幹事交代?、赤字なのに売り出しあり、同日3社上場
<結論>
Aとする。公開価格が仮条件上限ならば、初値は2500~3000円を想定する。
赤字上場ながら半分黒字化が見えている案件。フィンテック関連、クラウド関連とテーマ性の高い内容で、人気化が期待される。ただ赤字だけに適正株価が分かりにくい面があるのは確か。知名度が高いこともあってか、注目だけならPKSHA以上に集める。
個人向けの自動家計簿・資産管理サービスと、法人向けクラウド会計ソフトの二本柱。自動家計簿・資産管理アプリは口座情報の自動集約、分類し、グラフなどで可視化するのが特徴。いち早くスマートフォンにも対応したことで、口座情報集約ソフトとしても標準の座を奪った。
自動化や集約化の技術は後から参入した企業用会計ソフトにも生かされており、3600以上の金融機関からのデータ自動取得ができ、AIによる自動仕分け、マルチデバイスにも対応している。会計事務を大きく効率化できることが特徴だ。
「MFクラウド会計・確定申告」については、同社の会計事務所へのアンケート調査によれば、顧問先が導入(予定)するクラウド会計ソフトとして、シェア58.8%で国内トップだという。同社の満足度調査でも9割以上のユーザーが継続利用を望んでいる。
同社の注目点として、使いやすいソフトウエアは既に多くの大手との連携が実現していることである。資産管理サービスでは「マネーフォワードfor○○」と12の金融機関の利用者向けアプリを提供。クラウド会計ソフトでもヤマト運輸やUSEN、アスクルなどに相手先ブランドによる生産(OEM)提供している。
新規参入組としては短期間に異例の提携数を実現しているといえ、業界でも使い勝手のよさが認められている。赤字上場に踏み切った理由の一つに、まだ未上場のスタートアップと組むことへの不安がある交渉先があるためだという。上場後はさらに提携先が増えることになりそうだ。
同社が赤字なのは主に広告宣伝費がかさんでいることが原因である。顧客獲得を優先するためTVCMなど大々的に投入してきた。今下期からは大きく削減しており、来期の黒字転換を見込んでいる。
売上高の拡大により、広告費率は低下傾向にある。上場で調達する資金は6割以上を広告費に充てる計画となっており、今後も広告投資は重視していく構えだが、来期はTVCMはやめウェブ広告中心にする考えで予算は半減させる計画だ。
収益は個人や法人からの月額料金が中心のため、いわゆるストック型収益。顧客満足度の高いソリューションを提供できているなか、広告費を削ると増益ペースこそ落ちる可能性はあるが、減ってしまうたぐいものではない。
一方、吸収金額は最大45億円強。グローバルオファリングのため国内分は減る可能性があるが、海外分は多めに3割程度だったとしても30億円である。また、売り出しに応じていないベンチャーキャピタルの分が400万株以上あり、ロックアップが掛かるも公開価格の1.5倍以上では解除されることになっている。
知名度が高いせいもあってか、注目度としてはパークシャ以上に高く、上場前説明会はざっと見ても出席者はパークシャの3倍くらいはいた。フィンテック関連、クラウド関連とテーマ性も高く、同社株も「お祭り級」銘柄になりそうだ。
半面、既存株主の姿勢は上場後もがちがちの保有姿勢を見せるパークシャとは180度異なる。赤字上場なのに既存株主の売り出しがある点や、ロックアップは解除条項付きで売り逃げ体勢を取る。もちろん既存株主がVCなのかどうかという違いはあるが、希薄化後PSRで上限12.2倍の仮条件に割安感は乏しい。45億円は問題なく吸収できるだろうが、ロックアップ解除後の値は重そうだ。ただVC保有株は大半がジャフコに偏った構成だ。コーポレートVCなど売りを急がない系統も入っており、ある程度はコントロールが利きそうだ。このためロック解除価格を上回る2500円から節目の3000円までのレンジで見ておきたい。
なお、既存株主の姿勢の違いに次いで気になるのが、主幹事交代の形跡が見られることだ。辻社長はマネックス証券の出身者で、マネックスベンチャーズが出資しているのもそうした経緯で知られる。ただし、リードVCはジャフコになっており、野村証券が主幹事を務めるのが自然な流れだ。役員には野村証券の出身者もいる。マネックスと日興のつながりを踏まえれば、日興が主幹事なのは不自然ではないが、野村がシ団入りしていないところを見ると、何らかの理由で主幹事交代があったものと推測される。
理由としては考えられるのは赤字上場であることか。野村証券の主幹事案件では創薬ベンチャー以外の赤字上場は取り扱っておらず、グノシーにしてもロコンドにしてもうるるにしても、上場は薄利でも黒字見通しになってからだった。日興は近年は創薬以外でも話題の大型案件に限ってだが、赤字上場を手掛けており、社内審査の基準に差がみられる。freee(東京・品川)との特許裁判勝訴を受けて上場承認が降りた形になったが、これがなかったらもっと早い段階で上場していたのだろう。
ちなみに創薬以外の赤字企業の社長は上場時、そろって「来期は黒字」と言及するが、口約束が実現した例は知らない。サイバダインに至ってはいまだに赤字から脱却できていない。赤字ベンチャーの社長の発言は、強気でないと会社が死んでしまうという面があるので、投資家としては話半分に聞いておいたほうがいい。
マネーフォワードの「来期黒字」は社長の発言だが、後から投資家向け情報提供(IR)に確認するとかなり温度差があった。来期は赤黒トントンくらいと考えておいたほうがいいだろう。トップラインが伸びているため、黒字化が多少遅れたところで大きな問題はないと考えるが、株価には一時的にせよネガティブな反応が想定される。
吸収資金レンジ: 28.3億円 - 45.4億円(今期予想連結PER: -)
時価総額レンジ: 202.9億円 - 283.3億円
仮条件: 1,350円 - 1,550円
吸収資金レンジ: 34.4億円 - 45.4億円(今期予想連結PER: -)
時価総額レンジ: 246.8億円 - 283.3億円
仮条件は想定仮条件の上半分のレンジで設定された。上限価格は変わらず。
<強材料>
知名度高い、フィンテック関連、クラウド関連、売上高急拡大、来期黒字化期待、freeeに勝訴、スピード上場
<弱材料>
赤字上場、荷もたれ感あり、主幹事交代?、赤字なのに売り出しあり、同日3社上場
<結論>
Aとする。公開価格が仮条件上限ならば、初値は2500~3000円を想定する。
赤字上場ながら半分黒字化が見えている案件。フィンテック関連、クラウド関連とテーマ性の高い内容で、人気化が期待される。ただ赤字だけに適正株価が分かりにくい面があるのは確か。知名度が高いこともあってか、注目だけならPKSHA以上に集める。
個人向けの自動家計簿・資産管理サービスと、法人向けクラウド会計ソフトの二本柱。自動家計簿・資産管理アプリは口座情報の自動集約、分類し、グラフなどで可視化するのが特徴。いち早くスマートフォンにも対応したことで、口座情報集約ソフトとしても標準の座を奪った。
自動化や集約化の技術は後から参入した企業用会計ソフトにも生かされており、3600以上の金融機関からのデータ自動取得ができ、AIによる自動仕分け、マルチデバイスにも対応している。会計事務を大きく効率化できることが特徴だ。
「MFクラウド会計・確定申告」については、同社の会計事務所へのアンケート調査によれば、顧問先が導入(予定)するクラウド会計ソフトとして、シェア58.8%で国内トップだという。同社の満足度調査でも9割以上のユーザーが継続利用を望んでいる。
同社の注目点として、使いやすいソフトウエアは既に多くの大手との連携が実現していることである。資産管理サービスでは「マネーフォワードfor○○」と12の金融機関の利用者向けアプリを提供。クラウド会計ソフトでもヤマト運輸やUSEN、アスクルなどに相手先ブランドによる生産(OEM)提供している。
新規参入組としては短期間に異例の提携数を実現しているといえ、業界でも使い勝手のよさが認められている。赤字上場に踏み切った理由の一つに、まだ未上場のスタートアップと組むことへの不安がある交渉先があるためだという。上場後はさらに提携先が増えることになりそうだ。
同社が赤字なのは主に広告宣伝費がかさんでいることが原因である。顧客獲得を優先するためTVCMなど大々的に投入してきた。今下期からは大きく削減しており、来期の黒字転換を見込んでいる。
売上高の拡大により、広告費率は低下傾向にある。上場で調達する資金は6割以上を広告費に充てる計画となっており、今後も広告投資は重視していく構えだが、来期はTVCMはやめウェブ広告中心にする考えで予算は半減させる計画だ。
収益は個人や法人からの月額料金が中心のため、いわゆるストック型収益。顧客満足度の高いソリューションを提供できているなか、広告費を削ると増益ペースこそ落ちる可能性はあるが、減ってしまうたぐいものではない。
一方、吸収金額は最大45億円強。グローバルオファリングのため国内分は減る可能性があるが、海外分は多めに3割程度だったとしても30億円である。また、売り出しに応じていないベンチャーキャピタルの分が400万株以上あり、ロックアップが掛かるも公開価格の1.5倍以上では解除されることになっている。
知名度が高いせいもあってか、注目度としてはパークシャ以上に高く、上場前説明会はざっと見ても出席者はパークシャの3倍くらいはいた。フィンテック関連、クラウド関連とテーマ性も高く、同社株も「お祭り級」銘柄になりそうだ。
半面、既存株主の姿勢は上場後もがちがちの保有姿勢を見せるパークシャとは180度異なる。赤字上場なのに既存株主の売り出しがある点や、ロックアップは解除条項付きで売り逃げ体勢を取る。もちろん既存株主がVCなのかどうかという違いはあるが、希薄化後PSRで上限12.2倍の仮条件に割安感は乏しい。45億円は問題なく吸収できるだろうが、ロックアップ解除後の値は重そうだ。ただVC保有株は大半がジャフコに偏った構成だ。コーポレートVCなど売りを急がない系統も入っており、ある程度はコントロールが利きそうだ。このためロック解除価格を上回る2500円から節目の3000円までのレンジで見ておきたい。
なお、既存株主の姿勢の違いに次いで気になるのが、主幹事交代の形跡が見られることだ。辻社長はマネックス証券の出身者で、マネックスベンチャーズが出資しているのもそうした経緯で知られる。ただし、リードVCはジャフコになっており、野村証券が主幹事を務めるのが自然な流れだ。役員には野村証券の出身者もいる。マネックスと日興のつながりを踏まえれば、日興が主幹事なのは不自然ではないが、野村がシ団入りしていないところを見ると、何らかの理由で主幹事交代があったものと推測される。
理由としては考えられるのは赤字上場であることか。野村証券の主幹事案件では創薬ベンチャー以外の赤字上場は取り扱っておらず、グノシーにしてもロコンドにしてもうるるにしても、上場は薄利でも黒字見通しになってからだった。日興は近年は創薬以外でも話題の大型案件に限ってだが、赤字上場を手掛けており、社内審査の基準に差がみられる。freee(東京・品川)との特許裁判勝訴を受けて上場承認が降りた形になったが、これがなかったらもっと早い段階で上場していたのだろう。
ちなみに創薬以外の赤字企業の社長は上場時、そろって「来期は黒字」と言及するが、口約束が実現した例は知らない。サイバダインに至ってはいまだに赤字から脱却できていない。赤字ベンチャーの社長の発言は、強気でないと会社が死んでしまうという面があるので、投資家としては話半分に聞いておいたほうがいい。
マネーフォワードの「来期黒字」は社長の発言だが、後から投資家向け情報提供(IR)に確認するとかなり温度差があった。来期は赤黒トントンくらいと考えておいたほうがいいだろう。トップラインが伸びているため、黒字化が多少遅れたところで大きな問題はないと考えるが、株価には一時的にせよネガティブな反応が想定される。
公開価格分析
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公開価格: 1,550円
吸収資金: 45.4億円(今期予想連結PER: -)
時価総額: 283.3億円
公開価格、追加売り出し株数は上限で決まった。海外配分数は全体の18%に当たる53万0800株となった。引受価額は1433.75円。訂正目論見書によればブックビルディングの状況は、申告された総需要株式数が公開株式数を十分に上回り総件数が多数にわたっていたうえ、価格ごとの分布は仮条件の上限価格に集中していたことが特徴だった。
一方、従業員持ち株会への親引けは上限の42.9%に当たる8万1900株にとどまった。もともと枠が多めに取られており、従業員1人当たりでは386株と複数単元が確保された。赤字会社としては社内人気はあった方だといえよう。
想定初値を3000円前後と下限を引き上げる。今月注目されるもう一つのパークシャテクノロジーは初日の初値形成。上昇した銘柄としては今年最大の売買代金ではあったが、お祭り級が期待された銘柄としては今ひとつであった。
ただパークシャの関心が市場のなかだけなのに対し、マネーフォワードは一般的な知名度があり、複数の経済誌が特集記事を組むなど別格の扱いで、むしろ期待は高まっている様子。地合いが今ひとつのなかだが、VC保有株はジャフコの一極集中であるため、ここの売り方次第では倍値以上へのつり上げも考えられる。
吸収資金: 45.4億円(今期予想連結PER: -)
時価総額: 283.3億円
公開価格、追加売り出し株数は上限で決まった。海外配分数は全体の18%に当たる53万0800株となった。引受価額は1433.75円。訂正目論見書によればブックビルディングの状況は、申告された総需要株式数が公開株式数を十分に上回り総件数が多数にわたっていたうえ、価格ごとの分布は仮条件の上限価格に集中していたことが特徴だった。
一方、従業員持ち株会への親引けは上限の42.9%に当たる8万1900株にとどまった。もともと枠が多めに取られており、従業員1人当たりでは386株と複数単元が確保された。赤字会社としては社内人気はあった方だといえよう。
想定初値を3000円前後と下限を引き上げる。今月注目されるもう一つのパークシャテクノロジーは初日の初値形成。上昇した銘柄としては今年最大の売買代金ではあったが、お祭り級が期待された銘柄としては今ひとつであった。
ただパークシャの関心が市場のなかだけなのに対し、マネーフォワードは一般的な知名度があり、複数の経済誌が特集記事を組むなど別格の扱いで、むしろ期待は高まっている様子。地合いが今ひとつのなかだが、VC保有株はジャフコの一極集中であるため、ここの売り方次第では倍値以上へのつり上げも考えられる。
初値予想
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初値予想: 3,500円(今期予想連結PER: -)
初値買い妙味: B
高めの初値を予想する。フィンテックベンチャーの旗手としてマスコミを巻き込んで注目が高く、今月のIPOでは別格扱い。赤字上場となるが成長性から問題視する空気はない。吸収額45億円でベンチャーキャピタルの保有株も多い案件だが、さらに一回り大きかったパークシャテクノロジーが倍値発進、セカンダリー高騰となったことも追い風に、今年一番のお祭り級IPOとなりそうだ。
自動入力、仕分け、口座情報集約機能が付いた家計簿アプリとクラウド型ERP(統合基幹業務システム)サービスを展開している。まず個人向けの家計簿アプリ「マネーフォワード」を2012年12月にリリース、前者の技術を生かして翌年11月に企業向けのERPにも参入した。
口座集約ソフトとしてはかつてはSBI系の「マネールック」が定番だったが、スマートフォン対応やログイン認証の二重化対応などで差が付き、後発ながら現在は「マネーフォワード」が主流の地位を奪った。企業向けについても自動入力が売りの会計ソフトとしては同じくベンチャーのfreeeと上昇承認前には裁判ざたになったが、同社の推計シェアしては6割近くを抑えており、国内トップの座にある。顧客満足度も高く、9割以上のユーザーが継続利用を望んでいるという。
業績は今のところ赤字が続いている。TVCMなど積極的な広告宣伝を打っていることが原因だが、売上高はこれによって急拡大しており、2017年11月期は設立6期目にして売上高は26億8100万円の予想だ。営業損益は9億9500万円の赤字予想だが、下期はTVCMを止めており、赤字幅は上期の6億7500万円から3億2000万円に縮小する。TVCMの予定は来期以降もなく、その分、増収ペースは落ちるだろうが、現在の主力は企業向けになっており、定着率は個人向けよりも高いことから、来期トントン、再来期黒字転換が視野に入る。
なお、赤字のまま上場に踏み切るのは非上場であることを理由に、提携や取引をちゅうちょするところがあるためとのこと。既に多くの金融機関と提携する同社だが、上場後は社会的信用の獲得によってさらに多くの提携が進むことが期待される。
個人向けの展開で知名度も高く、成長性も高いことから市場の期待は高い。経済系マスコミにも多く登場しており、赤字上場ながらほとんどが好意的な記事であり、別格扱いだ。同日3社上場ながら資金は同社に集中するとみられる。
半面、パークシャと対照的なのは既存株主の状況である。赤字が継続したとあってベンチャーキャピタルから活発に資本調達をしている。彼らにはロックアップが掛かるものの公開価格の1.5倍以上で解除されるものは、7社400万株以上に上る。ただ多くはジャフコ系に集中している。初値で動くことの少ないコーポレートVCの分を除くと、解除後もある程度ジャフコによるコントロールが利く可能性がある。
同じく「お祭り級」と弊社では位置付けていたパークシャテクノロジーの初値売買代金は、当初期待したほどではなかった。だが、初値で発揮されなかったバイイングパワーはセカンダリーでさく裂。連日上昇初日を上回る売買代金を積み上げ急騰している。パークシャは玄人受けする要素は盛りだくさんだったが一般的な知名度はなく、初値買い機運も弱まっていたタイミングだったことが響いたとみられる。パークシャの急騰で大型ベンチャーに対する需給不安は薄れ、おぜん立ては整ったとみて、初値は初日の気配上限を意識した3500円を予想する。
初値買い妙味: B
高めの初値を予想する。フィンテックベンチャーの旗手としてマスコミを巻き込んで注目が高く、今月のIPOでは別格扱い。赤字上場となるが成長性から問題視する空気はない。吸収額45億円でベンチャーキャピタルの保有株も多い案件だが、さらに一回り大きかったパークシャテクノロジーが倍値発進、セカンダリー高騰となったことも追い風に、今年一番のお祭り級IPOとなりそうだ。
自動入力、仕分け、口座情報集約機能が付いた家計簿アプリとクラウド型ERP(統合基幹業務システム)サービスを展開している。まず個人向けの家計簿アプリ「マネーフォワード」を2012年12月にリリース、前者の技術を生かして翌年11月に企業向けのERPにも参入した。
口座集約ソフトとしてはかつてはSBI系の「マネールック」が定番だったが、スマートフォン対応やログイン認証の二重化対応などで差が付き、後発ながら現在は「マネーフォワード」が主流の地位を奪った。企業向けについても自動入力が売りの会計ソフトとしては同じくベンチャーのfreeeと上昇承認前には裁判ざたになったが、同社の推計シェアしては6割近くを抑えており、国内トップの座にある。顧客満足度も高く、9割以上のユーザーが継続利用を望んでいるという。
業績は今のところ赤字が続いている。TVCMなど積極的な広告宣伝を打っていることが原因だが、売上高はこれによって急拡大しており、2017年11月期は設立6期目にして売上高は26億8100万円の予想だ。営業損益は9億9500万円の赤字予想だが、下期はTVCMを止めており、赤字幅は上期の6億7500万円から3億2000万円に縮小する。TVCMの予定は来期以降もなく、その分、増収ペースは落ちるだろうが、現在の主力は企業向けになっており、定着率は個人向けよりも高いことから、来期トントン、再来期黒字転換が視野に入る。
なお、赤字のまま上場に踏み切るのは非上場であることを理由に、提携や取引をちゅうちょするところがあるためとのこと。既に多くの金融機関と提携する同社だが、上場後は社会的信用の獲得によってさらに多くの提携が進むことが期待される。
個人向けの展開で知名度も高く、成長性も高いことから市場の期待は高い。経済系マスコミにも多く登場しており、赤字上場ながらほとんどが好意的な記事であり、別格扱いだ。同日3社上場ながら資金は同社に集中するとみられる。
半面、パークシャと対照的なのは既存株主の状況である。赤字が継続したとあってベンチャーキャピタルから活発に資本調達をしている。彼らにはロックアップが掛かるものの公開価格の1.5倍以上で解除されるものは、7社400万株以上に上る。ただ多くはジャフコ系に集中している。初値で動くことの少ないコーポレートVCの分を除くと、解除後もある程度ジャフコによるコントロールが利く可能性がある。
同じく「お祭り級」と弊社では位置付けていたパークシャテクノロジーの初値売買代金は、当初期待したほどではなかった。だが、初値で発揮されなかったバイイングパワーはセカンダリーでさく裂。連日上昇初日を上回る売買代金を積み上げ急騰している。パークシャは玄人受けする要素は盛りだくさんだったが一般的な知名度はなく、初値買い機運も弱まっていたタイミングだったことが響いたとみられる。パークシャの急騰で大型ベンチャーに対する需給不安は薄れ、おぜん立ては整ったとみて、初値は初日の気配上限を意識した3500円を予想する。
初値分析
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初値: 3,000円(今期予想連結PER: -)
/ 上昇率: 93.5%
/ 高値: 3,275円
/ 安値: 2,931円
/ 終値: 3,085円
出来高: 5,747,000株 / 対公開株数: 196.1% / 初値出来高: 2,096,700株 / 初値売買代金: 6,290,100,000円
初値は倍値手前の節目となる3000円ちょうどで付いた。赤字上場といえどマスコミ含めた市場の関心が高く、パークシャテクノロジーのセカンダリー高騰も後押しする形で多くの買いを集めた。
ただ、売買代金は63億円でパークシャテクノジーとほぼ同額。過去の「お祭り級」銘柄と比べると物足りなかった。また、パークシャには外国人をほうふつさせる1口1万株の指し値が何本も入っていたが、マネフォはそうしたものは見受けられず。赤字上場で仮条件の上振れもなかったことで、機関投資家からの買いは入りづらい面があったようだ。パークシャと比べると個人による買い上げの比率が大きかったものと推測する。
寄り付き後は初値を挟んでもみ合いで推移した。いったん上振れようとはしたものの、上値は重かった。半面、3000円割れを売り込む動きは限られ、次第にこう着感が強まった。
しばらくは上値の重い展開となりそうだ。初値出来高は公開株とベンチャーキャピタル(GMO系除く)の保有株を合わせた株数に対し3割の消化率にとどまった。通日なら8割に高まるが、VC保有株の処理は進んでいないとみられる。パークシャと違って逃げ足の速い傾向のある個人が買った比率が高いと考えられるため、上値が重ければ見限る動きにもなりかねない。今後の値動きには注意が必要だ。
いちよし経済研究所からリポートが出ている。強みは多くの金融機関とAPI(アプリ間)連携ができていることだと指摘。17年5月に成立した改正銀行法も追い風となり、中期的に業績は堅調に推移すると考察した。17.11期の連結営業利益は会社予想(9.95億円の赤字)をやや上回る9.8億円の赤字(EPS -59.1円)、18.11期は赤黒トントン(0.0円)、19.11期は2億円の黒字(11.8円)と予想した。
出来高: 5,747,000株 / 対公開株数: 196.1% / 初値出来高: 2,096,700株 / 初値売買代金: 6,290,100,000円
初値は倍値手前の節目となる3000円ちょうどで付いた。赤字上場といえどマスコミ含めた市場の関心が高く、パークシャテクノロジーのセカンダリー高騰も後押しする形で多くの買いを集めた。
ただ、売買代金は63億円でパークシャテクノジーとほぼ同額。過去の「お祭り級」銘柄と比べると物足りなかった。また、パークシャには外国人をほうふつさせる1口1万株の指し値が何本も入っていたが、マネフォはそうしたものは見受けられず。赤字上場で仮条件の上振れもなかったことで、機関投資家からの買いは入りづらい面があったようだ。パークシャと比べると個人による買い上げの比率が大きかったものと推測する。
寄り付き後は初値を挟んでもみ合いで推移した。いったん上振れようとはしたものの、上値は重かった。半面、3000円割れを売り込む動きは限られ、次第にこう着感が強まった。
しばらくは上値の重い展開となりそうだ。初値出来高は公開株とベンチャーキャピタル(GMO系除く)の保有株を合わせた株数に対し3割の消化率にとどまった。通日なら8割に高まるが、VC保有株の処理は進んでいないとみられる。パークシャと違って逃げ足の速い傾向のある個人が買った比率が高いと考えられるため、上値が重ければ見限る動きにもなりかねない。今後の値動きには注意が必要だ。
いちよし経済研究所からリポートが出ている。強みは多くの金融機関とAPI(アプリ間)連携ができていることだと指摘。17年5月に成立した改正銀行法も追い風となり、中期的に業績は堅調に推移すると考察した。17.11期の連結営業利益は会社予想(9.95億円の赤字)をやや上回る9.8億円の赤字(EPS -59.1円)、18.11期は赤黒トントン(0.0円)、19.11期は2億円の黒字(11.8円)と予想した。