IPO銘柄詳細
コード | 市場 | 業種 | 売買単位 | 注目度 |
---|---|---|---|---|
4443 | マザーズ | 情報・通信業 | 100株 | A |
注目のIPO銘柄
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スケジュール
スケジュール | |
---|---|
仮条件決定 | 2019/05/30 |
ブックビルディング期間 | 2019/06/03 - 06/06 |
公開価格決定 | 2019/06/07 |
申込期間 | 2019/06/11 - 06/14 |
払込期日 | 2019/06/18 |
上場日 | 2019/06/19 |
価格情報 | |
---|---|
想定価格 | 3,650 - 4,500円 |
仮条件 | 4,000 - 4,500円 |
公開価格 | 4,500円 |
初値予想 | 4,700円 |
初値 | 4,760円 |
- スケジュールは上場企業都合により変更になる場合があります。
基本情報
代表者名 | 寺田 親弘 (上場時42歳5カ月)/1976年生 |
---|---|
本店所在地 | 東京都渋谷区神宮前 |
設立年 | 2007年 |
従業員数 | 475人 (2019/03/31現在)(平均32.6歳、年収608.5万円)、連結477人 |
事業内容 | 法人向け名刺管理サービス「Sansan」および個人向け名刺管理アプリ「Eight」の提供 |
URL | https://jp.corp-sansan.com/ |
株主数 | 33人 (目論見書より) |
資本金 | 2,812,501,000円 (2019/05/16現在) |
上場時発行済株数 | 29,932,353株(別に潜在株式986,641株) |
公開株数 | 8,636,500株(公募500,000株、売り出し7,010,000株、オーバーアロットメント1,126,500株) |
調達資金使途 | 広告宣伝費・販売促進費などマーケティング投資、人件費、採用費 |
連結会社 | 2社 |
シンジケート
公開株数7,510,000株(別に1,126,500株)/(海外分含む)
種別 | 証券会社名 | 株数 | 比率 |
---|---|---|---|
主幹事証券 | 野村 | 6,023,300 | 80.20% |
引受証券 | SMBC日興 | 375,500 | 5.00% |
引受証券 | 大和 | 375,500 | 5.00% |
引受証券 | みずほ | 375,500 | 5.00% |
引受証券 | SBI | 168,900 | 2.25% |
引受証券 | 三菱UFJモルガン・スタンレー | 56,300 | 0.75% |
引受証券 | 楽天 | 45,000 | 0.60% |
引受証券 | マネックス | 45,000 | 0.60% |
引受証券 | 極東 | 45,000 | 0.60% |
大株主(潜在株式を含む)
大株主名 | 摘要 | 株数 | 比率 |
---|---|---|---|
寺田親弘 | 代表取締役社長、子会社の取締役 | 10,920,000 | 35.90% |
DCM Ventures China Fund | ベンチャーキャピタル(ファンド) | 2,030,000 | 6.67% |
(株)INCJ | ベンチャーキャピタル(ファンド) | 1,740,000 | 5.72% |
(株)SMBC信託銀行(信託口) | ベンチャーキャピタル(ファンド) | 1,710,000 | 5.62% |
従業員持ち株会 | 特別利害関係者など | 1,470,000 | 4.83% |
ジー・エス・グロース・インベストメント(同) | ベンチャーキャピタル(ファンド) | 1,300,000 | 4.27% |
A-Fund, L.P. | ベンチャーキャピタル(ファンド) | 1,280,000 | 4.21% |
富岡圭 | 取締役、子会社の取締役 | 1,050,000 | 3.45% |
ニッセイ・キャピタル5号投組 | ベンチャーキャピタル(ファンド) | 900,000 | 2.96% |
EEIクリーンテック投組 | ベンチャーキャピタル(ファンド) | 690,000 | 2.27% |
業績動向(単位:百万円)
決算期 | 種別 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 |
---|---|---|---|---|---|
2019/05 | 連結3Q累計実績 | 7,361 | -655 | -684 | -688 |
2019/05 | 連結見込 | 10,069 | -938 | -976 | -988 |
2018/05 | 連結実績 | 7,324 | -3,061 | -3,077 | -3,085 |
2017/05 | 連結実績 | 4,839 | -778 | -780 | -790 |
売上高
営業利益
経常利益
純利益
1株あたりの数値(単位:円)
決算期 | 種別 | EPS | BPS | 配当 |
---|---|---|---|---|
2019/05 | 連結見込 | -42.25 | 111.16 | 0.00 |
事業詳細
名刺管理サービス最大手。法人向けクラウド名刺管理サービス「Sansan」と、個人向けの名刺管理アプリ「Eight」を展開している。
1.Sansan事業
クラウド型の名刺管理サービス「Sansan」を法人向けに展開している。同サービスでは名刺をスキャンするだけで名刺情報を正確にデータ化でき、クラウド型アプリケーションを通じて「AI名刺管理」を利用することができる。各社員単位での名刺管理だけでなく、組織内での共有も可能になる。
ビジネスモデルとしては、名刺の枚数を基に算出されるライセンス費用にオプション機能の利用料やスキャナーレンタル料などが加算された月額利用料と、導入時の付加サービス利用料を受領している。
2.Eight事業
SNS(交流サイト)機能を取り入れた名刺管理アプリ「Eight」を運営している。「Sansan」と同様、名刺をスキャンするだけで名刺情報が正確にデータ化できる。名刺交換した相手も同アプリを利用している場合、登録情報に変更があったときにはSNSを通じて自動的に更新され通知が届く。
ビジネスモデルとしては、プロフィル管理や名刺管理機能が無料で使用できるアプリをベースに、一部利用機能を拡充した個人向け有料サービスや名刺共有を企業内で可能にする企業向けサービス、転職関連サービス、広告配信サービスなどを提供することで収益化している。
2018年5月期の売上高構成比は、Sansan事業96.2%、Eight事業3.8%。
1.Sansan事業
クラウド型の名刺管理サービス「Sansan」を法人向けに展開している。同サービスでは名刺をスキャンするだけで名刺情報を正確にデータ化でき、クラウド型アプリケーションを通じて「AI名刺管理」を利用することができる。各社員単位での名刺管理だけでなく、組織内での共有も可能になる。
ビジネスモデルとしては、名刺の枚数を基に算出されるライセンス費用にオプション機能の利用料やスキャナーレンタル料などが加算された月額利用料と、導入時の付加サービス利用料を受領している。
2.Eight事業
SNS(交流サイト)機能を取り入れた名刺管理アプリ「Eight」を運営している。「Sansan」と同様、名刺をスキャンするだけで名刺情報が正確にデータ化できる。名刺交換した相手も同アプリを利用している場合、登録情報に変更があったときにはSNSを通じて自動的に更新され通知が届く。
ビジネスモデルとしては、プロフィル管理や名刺管理機能が無料で使用できるアプリをベースに、一部利用機能を拡充した個人向け有料サービスや名刺共有を企業内で可能にする企業向けサービス、転職関連サービス、広告配信サービスなどを提供することで収益化している。
2018年5月期の売上高構成比は、Sansan事業96.2%、Eight事業3.8%。
コメント
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・売り出し株701万株のうち325万8900株は海外で販売される。
・直近(2017年11月)の特別利害関係者における取引単価は、分割遡及(そきゅう)修正して1530.4円。
・新株予約権が行使できるのは早くて上場6カ月後から。
・2億5000万円に相当する株式数を上限に従業員持ち株会に親引けする。
・大株主上位27位までと、従業員や一般個人を除いた既存の現物株主にはロックアップが掛かる。ただし、従業員持ち株会と役員(子会社含む)、制度ロックアップ分を除いた445万株は、公開価格の1.5倍以上で解除される。
<ファーストインプレッション>
昨年から上場が待望されていたユニコーン企業だが、赤字上場のうえVCからの売り出し主体で出口色がかなり強くなっている。最近は薄利でも黒字になる見通しがたってから上場させることが多かった野村証券の案件としては珍しい。グローバルオファリングということで、国内個人よりも海外勢の動向が鍵になってくるだろうが、米ウーバーが大ゴケし、世界的にもリスク回避の姿勢が強まるなか、彼らがどこまで乗ってくるものやら。今期の「増収率+営業利益率」が赤字SaaS企業の基準とされる40%を下回っているのも気掛かりだ。黒字化しているならば申し分ないが、赤字ベンチャーとしてはどうか。主幹事の評価も定まっていないのか、想定価格はレンジ表示であるうえに広い。一年前であればゴーサインだったろうが、今となっては少し様子を見たい案件である。
・直近(2017年11月)の特別利害関係者における取引単価は、分割遡及(そきゅう)修正して1530.4円。
・新株予約権が行使できるのは早くて上場6カ月後から。
・2億5000万円に相当する株式数を上限に従業員持ち株会に親引けする。
・大株主上位27位までと、従業員や一般個人を除いた既存の現物株主にはロックアップが掛かる。ただし、従業員持ち株会と役員(子会社含む)、制度ロックアップ分を除いた445万株は、公開価格の1.5倍以上で解除される。
<ファーストインプレッション>
昨年から上場が待望されていたユニコーン企業だが、赤字上場のうえVCからの売り出し主体で出口色がかなり強くなっている。最近は薄利でも黒字になる見通しがたってから上場させることが多かった野村証券の案件としては珍しい。グローバルオファリングということで、国内個人よりも海外勢の動向が鍵になってくるだろうが、米ウーバーが大ゴケし、世界的にもリスク回避の姿勢が強まるなか、彼らがどこまで乗ってくるものやら。今期の「増収率+営業利益率」が赤字SaaS企業の基準とされる40%を下回っているのも気掛かりだ。黒字化しているならば申し分ないが、赤字ベンチャーとしてはどうか。主幹事の評価も定まっていないのか、想定価格はレンジ表示であるうえに広い。一年前であればゴーサインだったろうが、今となっては少し様子を見たい案件である。
仮条件分析
(BB参加妙味
:B)
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想定価格: 3,650円 - 4,500円
吸収資金レンジ: 274.1億円 - 388.6億円(前期見込連結PER: -)
時価総額レンジ: 1092.5億円 - 1347.0億円
仮条件: 4,000円 - 4,500円
吸収資金レンジ: 300.4億円 - 388.6億円(前期見込連結PER: -)
時価総額レンジ: 1197.3億円 - 1347.0億円
仮条件は想定仮条件の後半のレンジに設定された。上限価格は変わらず。親引けは下限価格に合わせて上限6万2500株とされた。
<強材料>
話題案件、国際オファー、シェア断トツ、開拓余地大きい、前受け金豊富、法人向け黒字、解約率低い、自動化技術向上、独自性高い
<弱材料>
赤字案件、40%ルール満たず、欧米に名刺文化なし、外国人の撤退継続、大型赤字案件が不調、個人向けの黒字化見えず、VCの出口案件
<機関投資家の評価>
1.名刺管理という新たな市場を切り開き、先行者メリットを享受できていること
2.Sansan事業の潜在需要は大きく、今後も安定的な売上成長が見込まれること
3.売上拡大のために営業人員の採用、育成が必要となること
<結論>
弱めBとする。公開価格が仮条件上限ならば、初値は4500~5000円を想定する。
大型赤字案件なもののストック収益は積み上がっている。目ぼしい競合がいないなか、機関投資家の買いを呼び込むことができると考える。ただ海外勢が新興市場から撤退を続けるなか、赤字案件にどこまで彼らが入れ込んでくるかは見極めにくい。実質ベンチャーキャピタルの出口案件の状態にもなっていることから個人の警戒感も強く、上値は限定的か。
名刺管理システムの最大手。社内取締役5名のうち社長以下3名が三井物産の出身。従来は個人がアナログ的にしか管理してこなかった名刺を電子的に管理し、社内で共有することで「名刺を企業の資産に変える」ことをを提唱し、市場を創出してきた。2013年から大規模な資金調達で大々的なTVCMを打った結果、売上高は急拡大した。2017年のシェアは81.9%(金額ベース)にも上った。また、名刺をデータ化する際にはAI(人工知能)による自動入力と人力を組み合わせているが、年々自動入力による精度を向上させており、大量の名刺を正確かつ効率的にデータ化する独自システムの開発・運営を可能としている。人力の負担が減る分、コスト低減につながっている。
なお、設立当初の社名は漢字で「三三」と記していた。ビジネスインサイダー・ジャパンの社長インタビュー記事によれば、起業準備期に共同創業者である富岡圭取締役との旅行で訪れた世界最大級のダム「三峡ダム」が由来とのこと。これに6人経れば世界中の人は繋がっているという理論「六次の隔たり」の意味を持たせていた。社名をアルファベットに変更したときに、敬称の「さん」を「人」を象徴する言葉として、人と人=SanとSanをつなげることで働き方に革新を起こすといった意味に変更した。
シェアの高さはほぼ一人勝ちの状況にあるが、利用者数はまだ国内従業員数の約1%程度にとどまっている。個人的には弊社ではSansanは導入していないため、Eightのみを試しに使ってみた限りの感想だが、便利過ぎて名刺をそのまま実物で管理する時代は終わりを遂げたと感じる。名刺管理アプリではウォンテッドリーのウォンテッドリー・ピープルが対抗馬にあるが、Eightは最終的にオペレーターが補正する体制にもなっており、コストの問題はさておきユーザー側から見れば正確さの面では使い勝手がいい。SansanにしろEightにしろ潜在ニーズはかなり高いのではないか。
法人向けは黒字化していることや、シェアの高さ、競合の少なさからすると、赤字ベンチャーとはいながら、昨年話題になったメルカリよりも数倍安心感がある。Eight事業の先行きはまだ見えないものの、会員数の増加とともに改善はしてくると期待される。既に利用者数では競合のウォンテッドリーを大きく引き離しており、単に黒字化させるだけならそれほど難しくはないのではないか。有料サービスとして、中小企業向けの浸透にも期待したいところだ。最悪の場合には撤退のオプションもある。
一方、米金融引き締めにより世界的にリスクマネーは縮小しており、当のメルカリをはじめとする赤字ベンチャーの株価はさえない。大型赤字ベンチャーのグローバルオファリングの案件は海外勢がどう動くかに掛かるが、米リフトやウーバーが転けるなど、昨年よりも状況は悪化している。
また、欧米の名刺文化は日本のようにばら撒くものではなく、彼らがどこまで理解するのかも不明だ。こうした時は知らないからこそ、いい方向に拡大解釈されやすいというのがこれまでの定番だったが、今の地合いでどこまで都合よくいくものか。また、同社は米国とシンガポールにも拠点を構えるが、米国では既にビジネスSNSではリンクトインが既に覇権を握る。名刺文化も異なる米国社会では、事業モデルを根本的に変える必要性があり、将来的に投資を本格化させた際のリスクにもなりえる。
それでも訂正目論見書の指摘事項や仮条件が想定の上方で決まったことなどから、機関投資家の反応は総じて良好のようだ。最終的には海外配分の比率を見て決めたいが、彼らの反応から公開価格を上回るスタートにはなるのではないかと考える。一方、メルカリと違って個人の認知度が落ち、実質的にVCの出口案件にもなっていることから、今の地合いでは警戒感は強そう。どちらかというとメルカリよりも同じく、当初は個人の警戒感が強かったラクスル型の初値になるのではないかと考える。ラクスルよりも公開規模が大きいことも考慮し、同値から上は心理的な節目の5000円までのスタートを想定しておく。
なお、バリュエーション比較はPSRを使うとウォンテッドリーの11.4倍に対し、仮条件条件は13.8倍と割高な水準になる。ただし、同じく企業向けで新しい概念の管理サービスを生み出していることで共通するカオナビは17.8倍だ。競合ではないが成長段階を踏まえると、バリュエーションの参考にするには後者の方が適当だろう。5800円程度まで評価の余地がある計算になる。
吸収資金レンジ: 274.1億円 - 388.6億円(前期見込連結PER: -)
時価総額レンジ: 1092.5億円 - 1347.0億円
仮条件: 4,000円 - 4,500円
吸収資金レンジ: 300.4億円 - 388.6億円(前期見込連結PER: -)
時価総額レンジ: 1197.3億円 - 1347.0億円
仮条件は想定仮条件の後半のレンジに設定された。上限価格は変わらず。親引けは下限価格に合わせて上限6万2500株とされた。
<強材料>
話題案件、国際オファー、シェア断トツ、開拓余地大きい、前受け金豊富、法人向け黒字、解約率低い、自動化技術向上、独自性高い
<弱材料>
赤字案件、40%ルール満たず、欧米に名刺文化なし、外国人の撤退継続、大型赤字案件が不調、個人向けの黒字化見えず、VCの出口案件
<機関投資家の評価>
1.名刺管理という新たな市場を切り開き、先行者メリットを享受できていること
2.Sansan事業の潜在需要は大きく、今後も安定的な売上成長が見込まれること
3.売上拡大のために営業人員の採用、育成が必要となること
<結論>
弱めBとする。公開価格が仮条件上限ならば、初値は4500~5000円を想定する。
大型赤字案件なもののストック収益は積み上がっている。目ぼしい競合がいないなか、機関投資家の買いを呼び込むことができると考える。ただ海外勢が新興市場から撤退を続けるなか、赤字案件にどこまで彼らが入れ込んでくるかは見極めにくい。実質ベンチャーキャピタルの出口案件の状態にもなっていることから個人の警戒感も強く、上値は限定的か。
名刺管理システムの最大手。社内取締役5名のうち社長以下3名が三井物産の出身。従来は個人がアナログ的にしか管理してこなかった名刺を電子的に管理し、社内で共有することで「名刺を企業の資産に変える」ことをを提唱し、市場を創出してきた。2013年から大規模な資金調達で大々的なTVCMを打った結果、売上高は急拡大した。2017年のシェアは81.9%(金額ベース)にも上った。また、名刺をデータ化する際にはAI(人工知能)による自動入力と人力を組み合わせているが、年々自動入力による精度を向上させており、大量の名刺を正確かつ効率的にデータ化する独自システムの開発・運営を可能としている。人力の負担が減る分、コスト低減につながっている。
なお、設立当初の社名は漢字で「三三」と記していた。ビジネスインサイダー・ジャパンの社長インタビュー記事によれば、起業準備期に共同創業者である富岡圭取締役との旅行で訪れた世界最大級のダム「三峡ダム」が由来とのこと。これに6人経れば世界中の人は繋がっているという理論「六次の隔たり」の意味を持たせていた。社名をアルファベットに変更したときに、敬称の「さん」を「人」を象徴する言葉として、人と人=SanとSanをつなげることで働き方に革新を起こすといった意味に変更した。
シェアの高さはほぼ一人勝ちの状況にあるが、利用者数はまだ国内従業員数の約1%程度にとどまっている。個人的には弊社ではSansanは導入していないため、Eightのみを試しに使ってみた限りの感想だが、便利過ぎて名刺をそのまま実物で管理する時代は終わりを遂げたと感じる。名刺管理アプリではウォンテッドリーのウォンテッドリー・ピープルが対抗馬にあるが、Eightは最終的にオペレーターが補正する体制にもなっており、コストの問題はさておきユーザー側から見れば正確さの面では使い勝手がいい。SansanにしろEightにしろ潜在ニーズはかなり高いのではないか。
法人向けは黒字化していることや、シェアの高さ、競合の少なさからすると、赤字ベンチャーとはいながら、昨年話題になったメルカリよりも数倍安心感がある。Eight事業の先行きはまだ見えないものの、会員数の増加とともに改善はしてくると期待される。既に利用者数では競合のウォンテッドリーを大きく引き離しており、単に黒字化させるだけならそれほど難しくはないのではないか。有料サービスとして、中小企業向けの浸透にも期待したいところだ。最悪の場合には撤退のオプションもある。
一方、米金融引き締めにより世界的にリスクマネーは縮小しており、当のメルカリをはじめとする赤字ベンチャーの株価はさえない。大型赤字ベンチャーのグローバルオファリングの案件は海外勢がどう動くかに掛かるが、米リフトやウーバーが転けるなど、昨年よりも状況は悪化している。
また、欧米の名刺文化は日本のようにばら撒くものではなく、彼らがどこまで理解するのかも不明だ。こうした時は知らないからこそ、いい方向に拡大解釈されやすいというのがこれまでの定番だったが、今の地合いでどこまで都合よくいくものか。また、同社は米国とシンガポールにも拠点を構えるが、米国では既にビジネスSNSではリンクトインが既に覇権を握る。名刺文化も異なる米国社会では、事業モデルを根本的に変える必要性があり、将来的に投資を本格化させた際のリスクにもなりえる。
それでも訂正目論見書の指摘事項や仮条件が想定の上方で決まったことなどから、機関投資家の反応は総じて良好のようだ。最終的には海外配分の比率を見て決めたいが、彼らの反応から公開価格を上回るスタートにはなるのではないかと考える。一方、メルカリと違って個人の認知度が落ち、実質的にVCの出口案件にもなっていることから、今の地合いでは警戒感は強そう。どちらかというとメルカリよりも同じく、当初は個人の警戒感が強かったラクスル型の初値になるのではないかと考える。ラクスルよりも公開規模が大きいことも考慮し、同値から上は心理的な節目の5000円までのスタートを想定しておく。
なお、バリュエーション比較はPSRを使うとウォンテッドリーの11.4倍に対し、仮条件条件は13.8倍と割高な水準になる。ただし、同じく企業向けで新しい概念の管理サービスを生み出していることで共通するカオナビは17.8倍だ。競合ではないが成長段階を踏まえると、バリュエーションの参考にするには後者の方が適当だろう。5800円程度まで評価の余地がある計算になる。
公開価格分析
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公開価格: 4,500円
吸収資金: 388.6億円(前期見込連結PER: -)
時価総額: 1,347.0億円
公開価格、追加売り出し株数ともに上限で決まった。引受価額は4207.50円。訂正目論見書によればブックビルディングの状況は、申告された総需要株式数が公開株式数を十分に上回り、総件数が多数にわたっていたうえ、価格ごとの分布は仮条件の上限価格に集中していたことが特徴だった。
売り出し株のうち海外販売分は325万8900株となった。一方、持ち株会への親引けは5万4400株になった。一人当たりでは95株と単元株には達せず。予算は2.5億円が上限だったが、1100株分の余裕を残しての配分となった。
想定初値の下限を引き上げ4700~5000円とする。公開株数全体に対する海外比率は37.7%となり、ベンチャー企業のグローバルオファリング案件としては高い部類になった。海外勢は日本市場からの撤退傾向にあるなかだが、有望ベンチャーのIPOは別腹のようだ。先週のFRB議長の利下げ示唆で潮目が変わったことも追い風になったか。比較的厳密にブックビルの結果を反映させる野村主幹事の案件でも上限決定は想定内だが、新たにマネーフローの変化と海外勢の強気を織り込むこととする。
海外配分比率は一年前のラクスルの32%を上回る。吸収額も相場環境も異なるため一概には言えないが、海外勢の積極姿勢が確認できたことで、公開価格割れリスクはほぼなくなったとみる。幸いにも懸案だったマネーフローの潮目が変わった。それでも日本の新興市場は海外に比べると今ひとつ上値が重いが、昨年末のようなショックがない限り、手あかの付いていない収益基盤のできているベンチャーまで心配する必要はないだろう。
ただ国内個人投資家の弱気は、相場が立ち直ったブック終盤でも目立ったように思える。中でも専業とみられる投資家の批判が目立っていたが、彼らは名刺交換の機会が少ない、もしくはあっても業務に直結しないことで、サービスの価値を過小評価しているのではないかと考える。もっと言えば機関投資家の参戦が見込める銘柄に対してまで、ベンチャーキャピタルにビビり過ぎである。
社会人、特に法人向けの営業職は誰でも大量の名刺の管理に悩まされた経験を持つ。Eightの使用者は弊社でもまだ営業職や比較的名刺交換の機会の多い情報担当者に限られるが、使えば手放せないツールと化していることは共通だ。個人向けの名刺管理アプリでは競合のサービスもあり黒字化への障害は多いものの、法人向けで収益基盤を築いている同社は経営資源を共有することで、かなり有利に戦いを進めている。
また、法人向けでは名刺管理は顧客管理とも同義にもなる。これまで個人が管理していた名刺を会社全体の共有資産として管理することは、担当者が退職しても人脈を引き継ぐのが容易になることにもつながる。
海外勢の高評価と個人の弱気の構図は、ますますラクスルのIPO時に似てきたと言える。過去の傾向から大型案件のIPOは公開規模がそれほど初値騰落率には影響しないが、上値を買い上げるには個人の盛り上がりが不可欠であることから、初値は抑えられるとの見方については変更しない。代わりにマネーフローの潮目が変化したことではセカンダリーでも取れる機会が出てきたと考えられる。個人の評価は値動きで180度すぐに変わるため、チャンスに備えておいた方がいいだろう。
なお、一部繰り返しになるが、弊社がBtoC向けのメルカリやLINEよりもSansanを評価する理由は、(1)法人向けで圧倒的なシェアを占めること、(2)法人向けは既に黒字化していること、(3)解約率が低くストック収益の確実性が高いこと、(4)普及率はまだ1%程度であること――の主に4点であり、さらに追加するなら(5)個人的に使用してみて非常に便利だと実感し、周囲の評判も非常に高いことである。特に(3)についてはBtoC向けのサービスと違い、TVCMをやめても売上高が減るわけではないといった点が大きい。
<新興IPOの海外配分比率>
銘柄 公開規模 海外比率 初値騰落率
ACSL 101.0億円 19% -16.76%
メルカリ 1306.6億円 55% 66.67%
ラクスル 188.9億円 32% 9.67%
マネフォ 45.4億円 18% 93.55%
PKSHA 57.2億円 13% 128.33%
ビーグリー 98.1億円 4.5% 0.05%
LINE 1328.3億円 63% 48.48%(東証1部とNYの重複)
Sansan 388.6億円 38% ?
6/10 20:35 親引けに関する文章を付け加えました。
<追加分析>
情報筋によると今回のブックビルディングの倍率は一般個人20倍、機関投資家8倍程度だったもよう。ただし個人についてはネットと対面でかなり差があったようだ。機関倍率はラクスルの時が25倍と伝えられていたことからすると、規模の差を考慮してもかなり低い。
海外勢、国内機関投資家、国内個人のなかでは海外勢が強気なのには変わりなく、ビジネスモデルに対する評価もメルカリやLINEより高く評価する声は多い。しかし、両社のような強気一辺倒の雰囲気はまるでない。やはり昨年との対比では地合いの強弱の差が影響しているようだ。実際のところ国内勢については、機関投資家の見方もまちまちであり、値下がりで精神的にやられているのはプロでも変わりないようだ。主幹事証券が本当に理解してくれる投資家にセールス先を絞ったとの話も出ているが、どちらにろ盛り上がりには欠けることになる。想定初値は据え置くものの、初値で5000円達成は難しいか。
吸収資金: 388.6億円(前期見込連結PER: -)
時価総額: 1,347.0億円
公開価格、追加売り出し株数ともに上限で決まった。引受価額は4207.50円。訂正目論見書によればブックビルディングの状況は、申告された総需要株式数が公開株式数を十分に上回り、総件数が多数にわたっていたうえ、価格ごとの分布は仮条件の上限価格に集中していたことが特徴だった。
売り出し株のうち海外販売分は325万8900株となった。一方、持ち株会への親引けは5万4400株になった。一人当たりでは95株と単元株には達せず。予算は2.5億円が上限だったが、1100株分の余裕を残しての配分となった。
想定初値の下限を引き上げ4700~5000円とする。公開株数全体に対する海外比率は37.7%となり、ベンチャー企業のグローバルオファリング案件としては高い部類になった。海外勢は日本市場からの撤退傾向にあるなかだが、有望ベンチャーのIPOは別腹のようだ。先週のFRB議長の利下げ示唆で潮目が変わったことも追い風になったか。比較的厳密にブックビルの結果を反映させる野村主幹事の案件でも上限決定は想定内だが、新たにマネーフローの変化と海外勢の強気を織り込むこととする。
海外配分比率は一年前のラクスルの32%を上回る。吸収額も相場環境も異なるため一概には言えないが、海外勢の積極姿勢が確認できたことで、公開価格割れリスクはほぼなくなったとみる。幸いにも懸案だったマネーフローの潮目が変わった。それでも日本の新興市場は海外に比べると今ひとつ上値が重いが、昨年末のようなショックがない限り、手あかの付いていない収益基盤のできているベンチャーまで心配する必要はないだろう。
ただ国内個人投資家の弱気は、相場が立ち直ったブック終盤でも目立ったように思える。中でも専業とみられる投資家の批判が目立っていたが、彼らは名刺交換の機会が少ない、もしくはあっても業務に直結しないことで、サービスの価値を過小評価しているのではないかと考える。もっと言えば機関投資家の参戦が見込める銘柄に対してまで、ベンチャーキャピタルにビビり過ぎである。
社会人、特に法人向けの営業職は誰でも大量の名刺の管理に悩まされた経験を持つ。Eightの使用者は弊社でもまだ営業職や比較的名刺交換の機会の多い情報担当者に限られるが、使えば手放せないツールと化していることは共通だ。個人向けの名刺管理アプリでは競合のサービスもあり黒字化への障害は多いものの、法人向けで収益基盤を築いている同社は経営資源を共有することで、かなり有利に戦いを進めている。
また、法人向けでは名刺管理は顧客管理とも同義にもなる。これまで個人が管理していた名刺を会社全体の共有資産として管理することは、担当者が退職しても人脈を引き継ぐのが容易になることにもつながる。
海外勢の高評価と個人の弱気の構図は、ますますラクスルのIPO時に似てきたと言える。過去の傾向から大型案件のIPOは公開規模がそれほど初値騰落率には影響しないが、上値を買い上げるには個人の盛り上がりが不可欠であることから、初値は抑えられるとの見方については変更しない。代わりにマネーフローの潮目が変化したことではセカンダリーでも取れる機会が出てきたと考えられる。個人の評価は値動きで180度すぐに変わるため、チャンスに備えておいた方がいいだろう。
なお、一部繰り返しになるが、弊社がBtoC向けのメルカリやLINEよりもSansanを評価する理由は、(1)法人向けで圧倒的なシェアを占めること、(2)法人向けは既に黒字化していること、(3)解約率が低くストック収益の確実性が高いこと、(4)普及率はまだ1%程度であること――の主に4点であり、さらに追加するなら(5)個人的に使用してみて非常に便利だと実感し、周囲の評判も非常に高いことである。特に(3)についてはBtoC向けのサービスと違い、TVCMをやめても売上高が減るわけではないといった点が大きい。
<新興IPOの海外配分比率>
銘柄 公開規模 海外比率 初値騰落率
ACSL 101.0億円 19% -16.76%
メルカリ 1306.6億円 55% 66.67%
ラクスル 188.9億円 32% 9.67%
マネフォ 45.4億円 18% 93.55%
PKSHA 57.2億円 13% 128.33%
ビーグリー 98.1億円 4.5% 0.05%
LINE 1328.3億円 63% 48.48%(東証1部とNYの重複)
Sansan 388.6億円 38% ?
6/10 20:35 親引けに関する文章を付け加えました。
<追加分析>
情報筋によると今回のブックビルディングの倍率は一般個人20倍、機関投資家8倍程度だったもよう。ただし個人についてはネットと対面でかなり差があったようだ。機関倍率はラクスルの時が25倍と伝えられていたことからすると、規模の差を考慮してもかなり低い。
海外勢、国内機関投資家、国内個人のなかでは海外勢が強気なのには変わりなく、ビジネスモデルに対する評価もメルカリやLINEより高く評価する声は多い。しかし、両社のような強気一辺倒の雰囲気はまるでない。やはり昨年との対比では地合いの強弱の差が影響しているようだ。実際のところ国内勢については、機関投資家の見方もまちまちであり、値下がりで精神的にやられているのはプロでも変わりないようだ。主幹事証券が本当に理解してくれる投資家にセールス先を絞ったとの話も出ているが、どちらにろ盛り上がりには欠けることになる。想定初値は据え置くものの、初値で5000円達成は難しいか。
初値予想
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初値予想: 4,700円(前期見込連結PER: -)
初値買い妙味: A
初値小じっかりを予想する。新興市場が低迷するなか、出口色の強い大型赤字案件に個人の警戒感は強いものの、海外勢には強気がうかがわれる面も。独自性の高いサブスクリプションモデルを評価する声も多く、機関投資家からの買いに支えられて始まると考える。
名刺管理サービス最大手。法人向けクラウド名刺管理サービス「Sansan」と、個人向けの名刺管理アプリ「Eight」を展開している。
名刺を社内で共有することで営業資産に変えることを提唱し、リーマンショック前年の2007年に創業。環境の改善や同社自身の成長で2013年には大規模資金調達が可能となり、資金力をバックに大々的なTVCMを打ち、売上高は急拡大している。これまでのところ解約率に関しても月次1%以下にとどまっており、2017年のシェアは81.9%(金額ベース)にも上った。2018年5月期は売上高100億円に達した見込み。名刺をデータ化する際にはAI(人工知能)による自動入力と人力を組み合わせているが、年々自動入力による精度を向上させており、コスト低減につなげている。
シェアの高さはほぼ一人勝ちの状況にあるが、利用者数はまだ国内従業員数の約1%程度。煩雑な名刺管理を電子化するだけでもメリットは大きく、今後の市場拡大が期待される。今のところ導入企業でも部署ごとで全社的に導入しているところは少ないとみられ、深掘りについても余地は大きいだろう。
一方、当面の課題は個人向けのEight事業である。実は法人向けサービスは既に黒字化しており、全体の赤字は個人向けが足を引っ張る形になっている。個人向けはスマートフォンのアプリで展開しており、基本利用料が無料。会員数の増加とともに広告収入は改善してくるだろうが、法人向けに比べるとマネタイズ化がしづらい面がある。昨年からはLINEが当面の採算を度外視する方針で新規参入してきている(サービス名:myBridge)。総合的な使い勝手の観点から今のところ優位性は揺るがないが、Eightでは有料のサービスでも無料で提供しており、今後の展開次第ではマネタイズ化がさらに困難になる可能性も考えられる。
解約率の低さと法人向けで着実に売上高を伸ばしていることから、成長性を評価する声は大きい。ただ赤字のままの上場となったことや、公募よりも投資ファンドを中心とした売り出しが多く、出口色の強いオファリングになったことから個人の警戒感は強い。個人のブックビル倍率は高かったと観測されるものの、実際には対面とネットで格差が大きく、繰り上げ当選の報告も相次いだ。機関投資家についても評価は総じて高いものの、昨年のメルカリの時のようなな熱狂感は全く感じられない。
一方、連邦準備制度理事会(FRB)議長の利下げ示唆以降、世界のマネーの流れは反転している。米ウーバーはいまだに公開価格を上回れないものの、先週上場した赤字ユニコーンの米クラウドストライクは公開価格を9割も上回り、PSRは前期基準ながら45倍にも上った。海外勢の日本市場に対する投資姿勢は依然として弱いものの、今回の海外配分比率は38%と高く、積極的な姿勢がかいま見えた。
公開価格が想定仮条件の上限で決まったことも鑑み、海外勢を中心とした機関投資家が値を支えると期待する。今回のような大型案件は新興市場でも個人より、機関投資家に価格主導権がある。ただ全体の盛り上がりのなさから上値は重そうだ。公開規模が一年前に上場したラクスルより大きいことも鑑み、初値は公開価格を5%弱高にとどまる4700円前後と予想する。
なお、個人弱気、海外勢強気の大型IPOは初値が抑えられることも含め、セカンダリーが強まる傾向にある。今回も事業そのものは順調であり、Eightの赤字についても最悪撤退のオプションを持ち合わせている。予想初値のPSRは同じく赤字で企業向けの新サービス開拓により成長していることでは似ているカオナビの17倍に比べ、前期基準でも14倍にとどまる。今期は3割成長と仮定すると11倍だ。なお、東洋経済新報社では2割成長の120億円と予想しており、12倍ということになる。連邦公開市場委員会(FOMC)次第では世界のマネーフローはさらに回復する可能性があることから、初値買い妙味は「A」で評価したい。
初値買い妙味: A
初値小じっかりを予想する。新興市場が低迷するなか、出口色の強い大型赤字案件に個人の警戒感は強いものの、海外勢には強気がうかがわれる面も。独自性の高いサブスクリプションモデルを評価する声も多く、機関投資家からの買いに支えられて始まると考える。
名刺管理サービス最大手。法人向けクラウド名刺管理サービス「Sansan」と、個人向けの名刺管理アプリ「Eight」を展開している。
名刺を社内で共有することで営業資産に変えることを提唱し、リーマンショック前年の2007年に創業。環境の改善や同社自身の成長で2013年には大規模資金調達が可能となり、資金力をバックに大々的なTVCMを打ち、売上高は急拡大している。これまでのところ解約率に関しても月次1%以下にとどまっており、2017年のシェアは81.9%(金額ベース)にも上った。2018年5月期は売上高100億円に達した見込み。名刺をデータ化する際にはAI(人工知能)による自動入力と人力を組み合わせているが、年々自動入力による精度を向上させており、コスト低減につなげている。
シェアの高さはほぼ一人勝ちの状況にあるが、利用者数はまだ国内従業員数の約1%程度。煩雑な名刺管理を電子化するだけでもメリットは大きく、今後の市場拡大が期待される。今のところ導入企業でも部署ごとで全社的に導入しているところは少ないとみられ、深掘りについても余地は大きいだろう。
一方、当面の課題は個人向けのEight事業である。実は法人向けサービスは既に黒字化しており、全体の赤字は個人向けが足を引っ張る形になっている。個人向けはスマートフォンのアプリで展開しており、基本利用料が無料。会員数の増加とともに広告収入は改善してくるだろうが、法人向けに比べるとマネタイズ化がしづらい面がある。昨年からはLINEが当面の採算を度外視する方針で新規参入してきている(サービス名:myBridge)。総合的な使い勝手の観点から今のところ優位性は揺るがないが、Eightでは有料のサービスでも無料で提供しており、今後の展開次第ではマネタイズ化がさらに困難になる可能性も考えられる。
解約率の低さと法人向けで着実に売上高を伸ばしていることから、成長性を評価する声は大きい。ただ赤字のままの上場となったことや、公募よりも投資ファンドを中心とした売り出しが多く、出口色の強いオファリングになったことから個人の警戒感は強い。個人のブックビル倍率は高かったと観測されるものの、実際には対面とネットで格差が大きく、繰り上げ当選の報告も相次いだ。機関投資家についても評価は総じて高いものの、昨年のメルカリの時のようなな熱狂感は全く感じられない。
一方、連邦準備制度理事会(FRB)議長の利下げ示唆以降、世界のマネーの流れは反転している。米ウーバーはいまだに公開価格を上回れないものの、先週上場した赤字ユニコーンの米クラウドストライクは公開価格を9割も上回り、PSRは前期基準ながら45倍にも上った。海外勢の日本市場に対する投資姿勢は依然として弱いものの、今回の海外配分比率は38%と高く、積極的な姿勢がかいま見えた。
公開価格が想定仮条件の上限で決まったことも鑑み、海外勢を中心とした機関投資家が値を支えると期待する。今回のような大型案件は新興市場でも個人より、機関投資家に価格主導権がある。ただ全体の盛り上がりのなさから上値は重そうだ。公開規模が一年前に上場したラクスルより大きいことも鑑み、初値は公開価格を5%弱高にとどまる4700円前後と予想する。
なお、個人弱気、海外勢強気の大型IPOは初値が抑えられることも含め、セカンダリーが強まる傾向にある。今回も事業そのものは順調であり、Eightの赤字についても最悪撤退のオプションを持ち合わせている。予想初値のPSRは同じく赤字で企業向けの新サービス開拓により成長していることでは似ているカオナビの17倍に比べ、前期基準でも14倍にとどまる。今期は3割成長と仮定すると11倍だ。なお、東洋経済新報社では2割成長の120億円と予想しており、12倍ということになる。連邦公開市場委員会(FOMC)次第では世界のマネーフローはさらに回復する可能性があることから、初値買い妙味は「A」で評価したい。
初値分析
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初値: 4,760円(前期見込連結PER: -)
/ 上昇率: 5.8%
/ 高値: 5,460円
/ 安値: 4,730円
/ 終値: 5,460円
出来高: 7,035,500株 / 対公開株数: 81.5% / 初値出来高: 1,675,600株 / 初値売買代金: 7,975,856,000円
小じっかりした初値が付いた。個人の警戒感が強かったことで8時当初の寄り前気配は下限に張り付いた状態だったが、9時直前には4700円前後に上昇。そこから若干上振れての売り買い一致になった。
寄り付き後は堅調に推移した。5000円の節目が重かったものの、後場14時前後からは一段高し、ストップ高を付けた。大引け間際に張り付き2万9100株の買いを残して終えた。公募・売り出しで手に入れた個人の売りが一巡したことで、値が軽くなったとみられる。
しばらく堅調な展開を想定する。同社株の公募売り出しでは雰囲気重視の傾向の強い個人人気のなさから、申込期間後半にはキャンセル当選の報告も相次いでいた。弊社では以前より初値買いの準備も推奨していたが、実際には多くの個人はその必要なく、希望株数を事前に取りそろえられたと推測する。消去法から今回の主な買い手は、ファンダメンタルズ重視派の機関投資家だろう。それも初日にストップ高させるほど腰の据わった買い方をしていることから、海外ヘッジファンドが中心とみられる。ストップ高引けはさすがにできすぎで、反動も警戒されるが、海外株の地合いが改善するなか継続的に買いを入れてくると期待する。
(追加)
大和証券からリポートが出ている。サービスの認知度向上が着実に図られていることから、今後は、顧客獲得の効率化が進もうと指摘。20.5期の営業利益は前期比16.5億円増の7.3億円(EPS 16.7円)、21.5期はEight事業も黒字化し4.9倍の35.8億円(98.6円)、22.5期はSansan事業の増収、Eight事業の本格的な収益貢献の開始などにより、1.9倍の69.3億円(193.1円)と予想している。
<追加分析>
Sansanの上場した週の投資部門別売買状況が27日に発表された。マザーズ市場の手口(金額ベース)で普段よりも大きく変動したところでは、個人現物が大きく売り越しになった一方、買ったのは個人信用。また、投資信託が大きく買越額を伸ばしていた。海外投資家については買い越しどころか、売り越しになっていた。
Sansanについてはこれまで主な買い手は海外勢だったとみていたが、ここから導き出される可能性としては、個人信用と投信の方がずっと高いということになる。もちろん大型上場といってもしょせんは公開規模300億円台。全体に埋もれてしまっているのかもしれない。とはいえ個人信用が思った以上に買い越しているのは見逃せない。基本的に短期筋と解釈できるため、ここまで比較的的値持ちのいい同社株であっても逃げ足の速さには注意が必要である。
<追加分析2>
スパークス・アセット・マネジメントが2日、大量保有報告書を提出した。6月28日現在、保有割合5.71%となる171万株を純投資の目的で保有しているとのこと。特例対象のため何日に何株買ったかの細かな記載はないものの、投資部門別売買状況から推察していた買い手の一角が投資信託だったことが裏付けされたことになる。
出来高: 7,035,500株 / 対公開株数: 81.5% / 初値出来高: 1,675,600株 / 初値売買代金: 7,975,856,000円
小じっかりした初値が付いた。個人の警戒感が強かったことで8時当初の寄り前気配は下限に張り付いた状態だったが、9時直前には4700円前後に上昇。そこから若干上振れての売り買い一致になった。
寄り付き後は堅調に推移した。5000円の節目が重かったものの、後場14時前後からは一段高し、ストップ高を付けた。大引け間際に張り付き2万9100株の買いを残して終えた。公募・売り出しで手に入れた個人の売りが一巡したことで、値が軽くなったとみられる。
しばらく堅調な展開を想定する。同社株の公募売り出しでは雰囲気重視の傾向の強い個人人気のなさから、申込期間後半にはキャンセル当選の報告も相次いでいた。弊社では以前より初値買いの準備も推奨していたが、実際には多くの個人はその必要なく、希望株数を事前に取りそろえられたと推測する。消去法から今回の主な買い手は、ファンダメンタルズ重視派の機関投資家だろう。それも初日にストップ高させるほど腰の据わった買い方をしていることから、海外ヘッジファンドが中心とみられる。ストップ高引けはさすがにできすぎで、反動も警戒されるが、海外株の地合いが改善するなか継続的に買いを入れてくると期待する。
(追加)
大和証券からリポートが出ている。サービスの認知度向上が着実に図られていることから、今後は、顧客獲得の効率化が進もうと指摘。20.5期の営業利益は前期比16.5億円増の7.3億円(EPS 16.7円)、21.5期はEight事業も黒字化し4.9倍の35.8億円(98.6円)、22.5期はSansan事業の増収、Eight事業の本格的な収益貢献の開始などにより、1.9倍の69.3億円(193.1円)と予想している。
<追加分析>
Sansanの上場した週の投資部門別売買状況が27日に発表された。マザーズ市場の手口(金額ベース)で普段よりも大きく変動したところでは、個人現物が大きく売り越しになった一方、買ったのは個人信用。また、投資信託が大きく買越額を伸ばしていた。海外投資家については買い越しどころか、売り越しになっていた。
Sansanについてはこれまで主な買い手は海外勢だったとみていたが、ここから導き出される可能性としては、個人信用と投信の方がずっと高いということになる。もちろん大型上場といってもしょせんは公開規模300億円台。全体に埋もれてしまっているのかもしれない。とはいえ個人信用が思った以上に買い越しているのは見逃せない。基本的に短期筋と解釈できるため、ここまで比較的的値持ちのいい同社株であっても逃げ足の速さには注意が必要である。
<追加分析2>
スパークス・アセット・マネジメントが2日、大量保有報告書を提出した。6月28日現在、保有割合5.71%となる171万株を純投資の目的で保有しているとのこと。特例対象のため何日に何株買ったかの細かな記載はないものの、投資部門別売買状況から推察していた買い手の一角が投資信託だったことが裏付けされたことになる。