IPO銘柄詳細
コード | 市場 | 業種 | 売買単位 | 注目度 |
---|---|---|---|---|
4477 | マザーズ | 情報・通信業 | 100株 | A |
注目のIPO銘柄
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スケジュール
スケジュール | |
---|---|
仮条件決定 | 2018/10/08 |
ブックビルディング期間 | 2019/10/09 - 10/16 |
公開価格決定 | 2019/10/17 |
申込期間 | 2019/10/18 - 10/23 |
払込期日 | 2019/10/24 |
上場日 | 2019/10/25 |
価格情報 | |
---|---|
想定価格 | 1,630円 |
仮条件 | 1,150 - 1,300円 |
公開価格 | 1,300円 |
初値予想 | 1,202円 |
初値 | 1,210円 |
- スケジュールは上場企業都合により変更になる場合があります。
基本情報
代表者名 | 鶴岡 裕太 (上場時29歳9カ月)/1989年生 |
---|---|
本店所在地 | 東京都港区六本木 |
設立年 | 2012年 |
従業員数 | 105人 (2019/08/31現在)(平均32.2歳、年収624.3万円)、連結126人 |
事業内容 | Eコマース(電子商取引)プラットフォーム「BASE」およびオンライン決済サービス「PAY.JP」の運営など |
URL | https://binc.jp/ |
株主数 | 34人 (目論見書より) |
資本金 | 1,325,682,000円 (2019/09/20現在) |
上場時発行済株数 | 19,344,600株(別に潜在株式1,828,000株) |
公開株数 | 8,311,500株(公募522,600株、売り出し6,704,800株、オーバーアロットメント1,084,100株) |
調達資金使途 | 人件費および採用費、広告宣伝、本社オフィス増床にかかる賃料 |
連結会社 | 1社 |
シンジケート
公開株数7,227,400株(別に1,084,100株)/(海外分含む)
種別 | 証券会社名 | 株数 | 比率 |
---|---|---|---|
主幹事証券 | 大和 | 5,565,400 | 77.00% |
主幹事証券 | SBI | 1,084,200 | 15.00% |
引受証券 | みずほ | 234,800 | 3.25% |
引受証券 | 野村 | 108,400 | 1.50% |
引受証券 | SMBC日興 | 72,200 | 1.00% |
引受証券 | 三菱UFJモルガン・スタンレー | 72,200 | 1.00% |
引受証券 | いちよし | 72,200 | 1.00% |
引受証券 | 極東 | 18,000 | 0.25% |
大株主(潜在株式を含む)
大株主名 | 摘要 | 株数 | 比率 |
---|---|---|---|
鶴岡裕太 | 代表取締役CEO、子会社の代表取締役 | 4,364,000 | 21.13% |
グローバル・ブレイン6号投組 | ベンチャーキャピタル(ファンド) | 1,923,200 | 9.31% |
(株)サイバーエージェント | 特別利害関係者など | 1,804,000 | 8.74% |
SBI Ventures Two(株) | ベンチャーキャピタル(ファンド) | 1,661,200 | 8.04% |
グローバル・ブレイン5号投組 | ベンチャーキャピタル(ファンド) | 1,592,000 | 7.71% |
(株)丸井グループ | 特別利害関係者など | 1,261,200 | 6.11% |
(株)メルカリ | 特別利害関係者など | 1,242,400 | 6.02% |
Fin Techビジネスイノベーション投組 | ベンチャーキャピタル(ファンド) | 1,240,000 | 6.00% |
イーストベンチャーズ投組 | ベンチャーキャピタル(ファンド) | 1,139,600 | 5.52% |
(株)partyfactory | ベンチャーキャピタル(ファンド) | 1,050,000 | 5.08% |
業績動向(単位:百万円)
決算期 | 種別 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 |
---|---|---|---|---|---|
2019/12 | 連結中間実績 | 1,687 | -135 | -135 | -136 |
2019/12 | 連結予想 | 3,670 | -540 | -559 | -560 |
2018/12 | 連結実績 | 2,352 | -791 | -798 | -854 |
2017/12 | 単独実績 | 1,147 | -1,260 | -1,261 | -1,268 |
売上高
営業利益
経常利益
純利益
1株あたりの数値(単位:円)
決算期 | 種別 | EPS | BPS | 配当 |
---|---|---|---|---|
2019/12 | 連結予想 | -47.60 | 91.59 | 0.00 |
参考類似企業
事業詳細
Eコマース(電子商取引)のプラットフォーム「BASE」が主力。子会社にてオンライン決済サービスと資金調達サービスも展開する。
1.BASE事業
誰でも簡単にデザイン性の高いネットショップを作成できるEコマースプラットフォーム「BASE」を展開している。独自の決済システム「BASEかんたん決済」を提供しており、初期費用と月額費用を取らない代わりに、決済手数料を受領している。
2.PAY事業
クレジットカード決済によるオンライン決済サービス「PAY.JP」と、ID決済サービス「PAY ID」をBASEで開設された以外のネットショップなどに提供している。決済手数料を受領している。
3.その他事業
資金調達サービス「YELL BANK」を2018年12月から展開している。BASEを利用するショップオーナーから将来発生する債権を買い取ることにより、事業資金を提供している。
2018年12月期の連結売上高構成比は、BASE事業84.3%、PAY事業15.7%。
1.BASE事業
誰でも簡単にデザイン性の高いネットショップを作成できるEコマースプラットフォーム「BASE」を展開している。独自の決済システム「BASEかんたん決済」を提供しており、初期費用と月額費用を取らない代わりに、決済手数料を受領している。
2.PAY事業
クレジットカード決済によるオンライン決済サービス「PAY.JP」と、ID決済サービス「PAY ID」をBASEで開設された以外のネットショップなどに提供している。決済手数料を受領している。
3.その他事業
資金調達サービス「YELL BANK」を2018年12月から展開している。BASEを利用するショップオーナーから将来発生する債権を買い取ることにより、事業資金を提供している。
2018年12月期の連結売上高構成比は、BASE事業84.3%、PAY事業15.7%。
コメント
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・8万0300株を上限に従業員持ち株会に親引け販売する。
・直近(2018年4月)の第三者割当増資の発行単価は、分割や転換を遡及(そきゅう)修正すると780円。
・上場時の既存株主と4名を除く新株予約権保有者にはロックアップが掛かる。ただし、役員を除く現物株主(計478万9600株)は公開価格の1.5倍以上なら解除される。
・売り出し株のうちの一部は欧州とアジアを中心とする海外市場(北米除く)で販売される。
<ファーストインプレッション>
ツクルバ、チャットワークと続けて大型出口案件の強気なプライシングを続けてきた大和証券による案件だが、PSRは8.5倍とこれまでのめちゃくちゃなプライシングに比べるとかなり常識的な範囲内に収まっている。代わりに営業赤字のままの上場だが、直近の赤字額は順調に減少。既に粗利段階では黒字化している。既存顧客の離脱も少ないだけに2~3期先の黒字化はたやすそうだ。
ただ今回もファンドからの売り出し主体型で、しかも売り出し人のほとんどが保有株の半分以上を放出するスキームだ。完全に売り抜ける保有者もちらほらおり、いやが応でも警戒感は高まる。経営陣は流動性を高めるためにお願いしたと説明するが、新興市場ではもっと少ない売り出しで上場する企業も多いだけに説明になっていない。何か外からでは分からないことが起こっているのではないかと勘ぐってしまう。今の大和に公正な値付けは期待できないのはここまでの実績で証明されている。SBI証券の主幹事は承認直前になって横から滑り込みで収まったとの話だが、これにより短期売却目的の取得者が増えてしまうのもいただけない。グロース株への逆風も考慮する必要のあるなか、どちらに転ぶか悩ましい案件である。
・直近(2018年4月)の第三者割当増資の発行単価は、分割や転換を遡及(そきゅう)修正すると780円。
・上場時の既存株主と4名を除く新株予約権保有者にはロックアップが掛かる。ただし、役員を除く現物株主(計478万9600株)は公開価格の1.5倍以上なら解除される。
・売り出し株のうちの一部は欧州とアジアを中心とする海外市場(北米除く)で販売される。
<ファーストインプレッション>
ツクルバ、チャットワークと続けて大型出口案件の強気なプライシングを続けてきた大和証券による案件だが、PSRは8.5倍とこれまでのめちゃくちゃなプライシングに比べるとかなり常識的な範囲内に収まっている。代わりに営業赤字のままの上場だが、直近の赤字額は順調に減少。既に粗利段階では黒字化している。既存顧客の離脱も少ないだけに2~3期先の黒字化はたやすそうだ。
ただ今回もファンドからの売り出し主体型で、しかも売り出し人のほとんどが保有株の半分以上を放出するスキームだ。完全に売り抜ける保有者もちらほらおり、いやが応でも警戒感は高まる。経営陣は流動性を高めるためにお願いしたと説明するが、新興市場ではもっと少ない売り出しで上場する企業も多いだけに説明になっていない。何か外からでは分からないことが起こっているのではないかと勘ぐってしまう。今の大和に公正な値付けは期待できないのはここまでの実績で証明されている。SBI証券の主幹事は承認直前になって横から滑り込みで収まったとの話だが、これにより短期売却目的の取得者が増えてしまうのもいただけない。グロース株への逆風も考慮する必要のあるなか、どちらに転ぶか悩ましい案件である。
仮条件分析
(BB参加妙味
:C)
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想定価格: 1,630円
吸収資金レンジ: 117.8億円 - 135.5億円(今期予想連結PER: -)
時価総額レンジ: 315.3億円
仮条件: 1,150円 - 1,300円
吸収資金レンジ: 83.1億円 - 108.0億円(今期予想連結PER: -)
時価総額レンジ: 222.5億円 - 251.5億円
仮条件は想定価格を29.45~20.25%下回る価格帯で設定された。同時に公開株式数が以下のように変更された。これにより吸収金額は150.2億円から上限で108.0億円に28.1%減ることになった。
公開株数 :921万3500株→831万1500株(-9.79%)
公募株数 :40万5000株→52万2600株(+29.04%)
売り出し :760万6800株→670万4800株(-11.86%)
OA株式数 :120万1700株→108万4100株に削減(-9.79%)
上場時株数:1922万7000株→1934万4600株(+0.61%)
EPS :-47.69円→-47.60円
なお、売り出し株の削減はすべてサイバー・エージェントからのもので、彼らは当初全株売却する予定だったのを半分残すことにした。これに合わせて彼らも1.5倍解除条項付きの90日間ロックアップ対象に追加された。
<強材料>
SaaS関連、業績拡大、知名度高い、芸能人の出資あり、多額の先行投資が参入障壁
<弱材料>
出口案件、株数削減、仮条件大幅下振れ、新興大型案件、強気な大和主幹事案件、バリュー優位、赤字企業、ユニコーンバブル崩壊
<結論>
Cとする。公開価格が仮条件上限ならば、初値は1200~1400円を想定する。
不安を抱えながらの上場に初期反応は辛く、価格引き下げだけではなく株数も削減。これまでの大和の大型出口案件と違い、あからさまな割高感はなかったものの、機関投資家も取得意欲が低いことが確認できた。大幅ダウンでひとまず公開価格割れのリスクは低下したとみるが、同時に上値期待もなくなった。
同社が運営するEコマース(電子商取引)のプラットフォーム「BASE」は、誰でも簡単にデザイン性の高いネットショップを作成でき、決済機能も有している。スマートフォンからでも作成できるほどで、主に個人や零細企業の利用が多い。加盟店のうち4名以下の業者が約98%を占める。初期費用、月額費用を取らず、取引金額の6.6%+40円を利用料として受け取る料金設定になっており、固定費のかからない気軽さもあって利用者が増加している。
決済については自社で提供しており、クレジットカード、銀行振り込み、コンビニ決済、ペイジーなどに対応しており、順次要望に合わせて拡大している。BASEを使わない業者に決済手段のみを提供するのが「PAY.JP」と「PAY ID」であり、こちらは取引金額の1.5~3.6%を手数料として受領している。
同社が過去に積み上げた顧客の解約はほとんどないもよう。他のサービスとは互換性がなく、固定費がかからない料金体系ということで乗り換えのメリットがない。開店休業状態のゾンビサイトは発生するが、アクセスがなければトラフィック課金のためコストはかからない。今のところ成長した業者で相殺する形にもなっており、毎年顧客が増えた分、収益は積み上がる傾向だ。定額料金がないため純粋な定期収入はないものの、サブスクリプションモデルに近い収益構造になっている。
ただ初期費用や月額費用を一切取らない仕組みのため、同社の業績は赤字が先行している。それでも粗利益段階では黒字化しているが、このため上場前までの資金繰りはベンチャーキャピタルからの出資に頼ることになり、VC比率は過半数を占める。今回の上場ではこれを下げることも目的としており、売り出しに多くのVC株を回すことになった結果、20%程度まで下がる予定だ。
業績は赤字が続いているが、足元では縮小している。2017年からはプロモーション費用を大幅増額したことで一時的に赤字が急拡大したが、18.12期はその効果で大幅増収となり、赤字幅を縮小した。今期は再びプロモーション費用を増額し、過去最高額を投資する計画だが、売上高に対する比率はむしろ低下する見通しで、営業赤字は5.4億円と前期に比べ32%減少する。赤字はまだ解消されていないものの、プロモーション費用を除けば黒字化することになる。また、今期増収率56%、営業利益率は-14.7%でSaaS企業の目安となる40%ルールはクリアしている。プロモーション費用の動向にもよるが、現在のペースなら再来期にも黒字化は問題なく達成できよう。
ネットショップ作成ソフトや決済システムの競合は多いものの、こうした赤字先行による捨て身の戦術が同社の競争力の源泉でもあり、参入障壁にもなっているといえよう。ビジネスモデルをまねするには何年も続く赤字を許容する体力が必要だ。当然、その際には価格競争が起こることも覚悟しなければならない。大手の資本力を使えば何とかならないこともないが、ファンドが過半数を握る状況下ではいっそのことBASEを買収してしまった方が手っ取り早い。
ただし、今回の上場では赤字体質の同社の資金繰りを支えてきたベンチャーキャピタルからの売り出しが主体の出口型となっているだけに警戒感が強い。出口目的でもうまく機関投資家にシフトさせられれば問題ないが、今回は共同主幹事に個人主体のSBIが入っている。引受比率は15%にとどまるものの注意は必要だ。
また、想定価格のPSRは8.5倍と30倍を超えたチャットワークと違いかなり常識的な水準だったものの、仮条件はさらに上限でも6.9倍の価格にまで引き下げられた。大企業向けのSaaS関連と違い、これまでは順調に積み上げてきたといってもクライアントの廃業リスクは高いことや、ネットショップ作成の分野では競合が多いなか、成長した際の乗り換えリスクは依然として残る。あくまで定額課金ではなくトラフィック課金のため、売上高が安定しない点も嫌われた可能性もある。ツクルバ、チャットワークと超強気なプライシングを続けてきた主幹事のツケも回ってきたか。いずれしろ機関投資家の取得意欲も内外ともに低いとみられる。
仮条件の値幅はステムリムと違って広くないため、ある程度の予約めどを付けたうえでの設定ではあろう。見切り発車ではなさそうだが、そうなると主幹事の営業方針的にも公開価格は仮条件上限で決まる可能性の高いなか、吸収額100億円超のサイズはケチの付いた案件としては需給懸念が打ち消せない。個人、機関投資家ともに様子見姿勢のなか、初値は公開価格を意識した展開になると考える。
吸収資金レンジ: 117.8億円 - 135.5億円(今期予想連結PER: -)
時価総額レンジ: 315.3億円
仮条件: 1,150円 - 1,300円
吸収資金レンジ: 83.1億円 - 108.0億円(今期予想連結PER: -)
時価総額レンジ: 222.5億円 - 251.5億円
仮条件は想定価格を29.45~20.25%下回る価格帯で設定された。同時に公開株式数が以下のように変更された。これにより吸収金額は150.2億円から上限で108.0億円に28.1%減ることになった。
公開株数 :921万3500株→831万1500株(-9.79%)
公募株数 :40万5000株→52万2600株(+29.04%)
売り出し :760万6800株→670万4800株(-11.86%)
OA株式数 :120万1700株→108万4100株に削減(-9.79%)
上場時株数:1922万7000株→1934万4600株(+0.61%)
EPS :-47.69円→-47.60円
なお、売り出し株の削減はすべてサイバー・エージェントからのもので、彼らは当初全株売却する予定だったのを半分残すことにした。これに合わせて彼らも1.5倍解除条項付きの90日間ロックアップ対象に追加された。
<強材料>
SaaS関連、業績拡大、知名度高い、芸能人の出資あり、多額の先行投資が参入障壁
<弱材料>
出口案件、株数削減、仮条件大幅下振れ、新興大型案件、強気な大和主幹事案件、バリュー優位、赤字企業、ユニコーンバブル崩壊
<結論>
Cとする。公開価格が仮条件上限ならば、初値は1200~1400円を想定する。
不安を抱えながらの上場に初期反応は辛く、価格引き下げだけではなく株数も削減。これまでの大和の大型出口案件と違い、あからさまな割高感はなかったものの、機関投資家も取得意欲が低いことが確認できた。大幅ダウンでひとまず公開価格割れのリスクは低下したとみるが、同時に上値期待もなくなった。
同社が運営するEコマース(電子商取引)のプラットフォーム「BASE」は、誰でも簡単にデザイン性の高いネットショップを作成でき、決済機能も有している。スマートフォンからでも作成できるほどで、主に個人や零細企業の利用が多い。加盟店のうち4名以下の業者が約98%を占める。初期費用、月額費用を取らず、取引金額の6.6%+40円を利用料として受け取る料金設定になっており、固定費のかからない気軽さもあって利用者が増加している。
決済については自社で提供しており、クレジットカード、銀行振り込み、コンビニ決済、ペイジーなどに対応しており、順次要望に合わせて拡大している。BASEを使わない業者に決済手段のみを提供するのが「PAY.JP」と「PAY ID」であり、こちらは取引金額の1.5~3.6%を手数料として受領している。
同社が過去に積み上げた顧客の解約はほとんどないもよう。他のサービスとは互換性がなく、固定費がかからない料金体系ということで乗り換えのメリットがない。開店休業状態のゾンビサイトは発生するが、アクセスがなければトラフィック課金のためコストはかからない。今のところ成長した業者で相殺する形にもなっており、毎年顧客が増えた分、収益は積み上がる傾向だ。定額料金がないため純粋な定期収入はないものの、サブスクリプションモデルに近い収益構造になっている。
ただ初期費用や月額費用を一切取らない仕組みのため、同社の業績は赤字が先行している。それでも粗利益段階では黒字化しているが、このため上場前までの資金繰りはベンチャーキャピタルからの出資に頼ることになり、VC比率は過半数を占める。今回の上場ではこれを下げることも目的としており、売り出しに多くのVC株を回すことになった結果、20%程度まで下がる予定だ。
業績は赤字が続いているが、足元では縮小している。2017年からはプロモーション費用を大幅増額したことで一時的に赤字が急拡大したが、18.12期はその効果で大幅増収となり、赤字幅を縮小した。今期は再びプロモーション費用を増額し、過去最高額を投資する計画だが、売上高に対する比率はむしろ低下する見通しで、営業赤字は5.4億円と前期に比べ32%減少する。赤字はまだ解消されていないものの、プロモーション費用を除けば黒字化することになる。また、今期増収率56%、営業利益率は-14.7%でSaaS企業の目安となる40%ルールはクリアしている。プロモーション費用の動向にもよるが、現在のペースなら再来期にも黒字化は問題なく達成できよう。
ネットショップ作成ソフトや決済システムの競合は多いものの、こうした赤字先行による捨て身の戦術が同社の競争力の源泉でもあり、参入障壁にもなっているといえよう。ビジネスモデルをまねするには何年も続く赤字を許容する体力が必要だ。当然、その際には価格競争が起こることも覚悟しなければならない。大手の資本力を使えば何とかならないこともないが、ファンドが過半数を握る状況下ではいっそのことBASEを買収してしまった方が手っ取り早い。
ただし、今回の上場では赤字体質の同社の資金繰りを支えてきたベンチャーキャピタルからの売り出しが主体の出口型となっているだけに警戒感が強い。出口目的でもうまく機関投資家にシフトさせられれば問題ないが、今回は共同主幹事に個人主体のSBIが入っている。引受比率は15%にとどまるものの注意は必要だ。
また、想定価格のPSRは8.5倍と30倍を超えたチャットワークと違いかなり常識的な水準だったものの、仮条件はさらに上限でも6.9倍の価格にまで引き下げられた。大企業向けのSaaS関連と違い、これまでは順調に積み上げてきたといってもクライアントの廃業リスクは高いことや、ネットショップ作成の分野では競合が多いなか、成長した際の乗り換えリスクは依然として残る。あくまで定額課金ではなくトラフィック課金のため、売上高が安定しない点も嫌われた可能性もある。ツクルバ、チャットワークと超強気なプライシングを続けてきた主幹事のツケも回ってきたか。いずれしろ機関投資家の取得意欲も内外ともに低いとみられる。
仮条件の値幅はステムリムと違って広くないため、ある程度の予約めどを付けたうえでの設定ではあろう。見切り発車ではなさそうだが、そうなると主幹事の営業方針的にも公開価格は仮条件上限で決まる可能性の高いなか、吸収額100億円超のサイズはケチの付いた案件としては需給懸念が打ち消せない。個人、機関投資家ともに様子見姿勢のなか、初値は公開価格を意識した展開になると考える。
公開価格分析
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公開価格: 1,300円
吸収資金: 108.0億円(今期予想連結PER: -)
時価総額: 251.5億円
公開価格、追加売り出し株数ともに上限で決まった。引受価額は1202.50円。訂正目論見書によればブックビルディングの状況は、申告された総需要株式数が公開株式数を十分に上回り、総件数が多数にわたっていたうえ、需要の相当数が上限だったことが特徴だった。
また、売り出し株数のうちの海外販売分は145万2300株となった。一方、従業員持ち株会への親引けは上限8万0300株のうち1万5300株にとどまった。連結ベースの1人当たりは121株であり単元株には達した。
海外販売比率は17.5%と新興市場にしては高め。BASEによれば当初は12.5%を予定していたとのことなので引き上がったことにもなる。ただ国内個人の不人気が観測されるなか、海外人気があったというより国内で余った分を引き取ってもらった可能性を踏まえておくべきだろう。
同社株はもともと機関投資家向けを中心にすべきだったIPOを、個人向け中心に実施しようとしているところに需給的な無理が生じている。資金繰りに窮しているわけでないなか、何ゆえ環境が整わないうちに上場をこれほど急ごうとしているのか不可解であり、それがゆえ今回のIPOの気持ち悪さにもつながっている。
加えてマザーズ指数は米小型株や新興国株指数が反発するなか、独歩安となっている。特に高PER、赤字銘柄が厳しく、Sansanは決算をきっかけに再び下値を探る展開だ。Sansanの決算は想定線、むしろ良かったくらいだが、上方修正のようなポジティブサプライズがなかったこと自体がネガティブに受け取られているもよう。バリュー株相場のなかで、グロース株への風当たりは強まっている。今回は同社株の価値そのものというより、環境面の悪化によるところが大きいが、社内の自社株人気さえ今ひとつの結果に終わったなか、船出は厳しいものとなりそうだ。
なお、同社の黒字化の時期だが、どうやら来期にも達成される可能性がある。来期に計画する広告宣伝費(プロモーション費用の9割を占める)は、今のところ上場で調達する資金からの5.1億円のみとのことで、今期と比べ大幅削減されるもよう。このため増収ペースは落ちることになるものの、販管費率は大幅に低下することになる。開発人員の増強は続けるともしているため黒字幅は薄利なものとなりそうだが、会社側もその線で想定しているもよう。弊社では再来期には利益も安定し、営業利益5億円程度を計上できると予想する。
広告宣伝費については大和証券のアナリストにも同じ説明をしているとのことから、上場日引け後に出されるであろう大和リポートも来期黒字浮上で予想してくるものと推測される。環境面が悪いためなかなか難しいところだが、グロース株の風当たりが強いのも日本だけとなっているため、セカンダリーには近いうちにチャンスがあるかもしれない。
ただし、同社の増収ペースは衰えておらず、長期的に見ればまだまだ広告費を削減すべき局面ではないように思われるため、計画は変更される可能性もある。日本経済新聞のインタビュー記事で鶴岡裕太CEOは黒字化のめどについての問いに対し「広告宣伝費をどれくらいかけるかによって変わるが、21年12月期には年間でも最終黒字を目指したい」と含みを残した説明にとどめている。
吸収資金: 108.0億円(今期予想連結PER: -)
時価総額: 251.5億円
公開価格、追加売り出し株数ともに上限で決まった。引受価額は1202.50円。訂正目論見書によればブックビルディングの状況は、申告された総需要株式数が公開株式数を十分に上回り、総件数が多数にわたっていたうえ、需要の相当数が上限だったことが特徴だった。
また、売り出し株数のうちの海外販売分は145万2300株となった。一方、従業員持ち株会への親引けは上限8万0300株のうち1万5300株にとどまった。連結ベースの1人当たりは121株であり単元株には達した。
海外販売比率は17.5%と新興市場にしては高め。BASEによれば当初は12.5%を予定していたとのことなので引き上がったことにもなる。ただ国内個人の不人気が観測されるなか、海外人気があったというより国内で余った分を引き取ってもらった可能性を踏まえておくべきだろう。
同社株はもともと機関投資家向けを中心にすべきだったIPOを、個人向け中心に実施しようとしているところに需給的な無理が生じている。資金繰りに窮しているわけでないなか、何ゆえ環境が整わないうちに上場をこれほど急ごうとしているのか不可解であり、それがゆえ今回のIPOの気持ち悪さにもつながっている。
加えてマザーズ指数は米小型株や新興国株指数が反発するなか、独歩安となっている。特に高PER、赤字銘柄が厳しく、Sansanは決算をきっかけに再び下値を探る展開だ。Sansanの決算は想定線、むしろ良かったくらいだが、上方修正のようなポジティブサプライズがなかったこと自体がネガティブに受け取られているもよう。バリュー株相場のなかで、グロース株への風当たりは強まっている。今回は同社株の価値そのものというより、環境面の悪化によるところが大きいが、社内の自社株人気さえ今ひとつの結果に終わったなか、船出は厳しいものとなりそうだ。
なお、同社の黒字化の時期だが、どうやら来期にも達成される可能性がある。来期に計画する広告宣伝費(プロモーション費用の9割を占める)は、今のところ上場で調達する資金からの5.1億円のみとのことで、今期と比べ大幅削減されるもよう。このため増収ペースは落ちることになるものの、販管費率は大幅に低下することになる。開発人員の増強は続けるともしているため黒字幅は薄利なものとなりそうだが、会社側もその線で想定しているもよう。弊社では再来期には利益も安定し、営業利益5億円程度を計上できると予想する。
広告宣伝費については大和証券のアナリストにも同じ説明をしているとのことから、上場日引け後に出されるであろう大和リポートも来期黒字浮上で予想してくるものと推測される。環境面が悪いためなかなか難しいところだが、グロース株の風当たりが強いのも日本だけとなっているため、セカンダリーには近いうちにチャンスがあるかもしれない。
ただし、同社の増収ペースは衰えておらず、長期的に見ればまだまだ広告費を削減すべき局面ではないように思われるため、計画は変更される可能性もある。日本経済新聞のインタビュー記事で鶴岡裕太CEOは黒字化のめどについての問いに対し「広告宣伝費をどれくらいかけるかによって変わるが、21年12月期には年間でも最終黒字を目指したい」と含みを残した説明にとどめている。
初値予想
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初値予想: 1,202円(今期予想連結PER: -)
初値買い妙味: B
厳しい初値を予想する。グロース株への風当たりの強さに加え、あからさまにファンドの出口色の強い上場に警戒感も強く、出鼻をくじかれることになりそう。シンジケートカバーによる売り買い一致となりそうだ。
同社が運営するEコマース(電子商取引)のプラットフォーム「BASE」は、誰でも簡単にデザイン性の高いネットショップを作成できるうえ、決済機能も有していることが特徴。主に個人や零細企業の利用が多く、加盟店のうち4名以下の業者が約98%を占める。初期費用、月額費用を取らず、取引金額の6.6%+40円を利用料として受け取る料金設定になっており、固定費のかからない気軽さもあって解約はほとんどなく、利用者は年々増加している。
また、BASEを利用しない業者向けには、決済手段のみの「PAY.JP」と「PAY ID」を用意しており、取引金額の1.5~3.6%を手数料として受領している。
ただ初期費用や月額費用を一切取らない仕組みのため、同社の業績は赤字が先行している。既にプロモーション費用を除けば黒字化できる段階には入っているが、2019.12期は売上高が前期比56%増の36.7億円となるなか、営業赤字は32%減の5.4億円になる見込みだ。
なお、黒字化の時期はプロモーション費用次第だが、今のところ来期は当該費用の9割を占める広告宣伝費を大幅削減する考えのもよう。このため増収ペースは落ちるが、来期は薄利での黒字化、再来期には営業黒字5億円程度になると弊社では予想する。
ただし、鶴岡裕太CEO(最高経営責任者)は日本経済新聞のインタビューで「広告宣伝費をどれくらいかけるかによって変わるが、21年12月期には年間でも最終黒字を目指したい」としている。同社はまだ増収ペースが落ちているわけではないため、本来ならプロモーション費用はまだ削減すべき段階にはなく、かえって成長性を落としかねない。このためプロモーション費用の投資計画は変更される可能性がある。
ネットショップ作成ソフトや決済システムの競合は多いものの、こうした赤字先行による捨て身の戦術を採るところは見当たらない。同社の競争力の源泉でもあり、参入障壁にもなっているといえよう。ビジネスモデルをまねするには、何年も続く赤字を許容する体力が必要だ。大手の資本力を使う手もあるが、いっそのことBASEを買収してしまった方が手っ取り早い。
サブスクリプションに近いビジネスモデルで高成長していることを踏まえれば、PSR6.9倍に設定された株価を割高とみる向きは少ない。だが、今回は個別要因よりも環境面の悪化がかなり響いているもよう。マザーズでは近年上場した高PERや赤字のグロース株、特に海外配分を伴ったものが大きく売られており、指数の下落を主導している。赤字で黒字化の時期があいまいな同社は典型的な下落銘柄でもある。機関投資家は慎重な姿勢に転じており、公開価格は想定価格を20%下回る価格で決まり、公開株数も当初の計画より削減された。
加えてあからさまに出口色の強い上場への警戒感も強い。公開株式のうち新規発行株式は少なく、代わりに赤字体質の同社の資金繰りを支えてきたベンチャーキャピタル(VC)などからの売り出しが8割を占める。出口目的でも海外機関投資家を中心に販売できればいいが、今回は個人向けの販売が中心だ。彼らは短期売り逃げ目的の取得が多く、本来の価値も分からないまま投資するのが大半のため、上場後の株価を不安定にさせやすい存在である。
一方、海外配分比率は17.5%と新興株にしては高めになったが、国内需要が弱い以上、これを強気材料としてみることはできない。本来ならもっと成長してから上場すれば、堂々と大型国際オファリングでのIPOにできたように見えるだけに、急いで上場しようとする姿はかえって怪しく見えてしまう矛盾さえ生じている。
はっきりした買い主体が見えないなか100億円を超える吸収金額は重く、売り気配によるスタートを余儀なくされそうだ。シンジケートカバーの発動を想定し、引受価額1202.5円を参考に呼び値の1202円での初値成立を予想する。
初値買い妙味: B
厳しい初値を予想する。グロース株への風当たりの強さに加え、あからさまにファンドの出口色の強い上場に警戒感も強く、出鼻をくじかれることになりそう。シンジケートカバーによる売り買い一致となりそうだ。
同社が運営するEコマース(電子商取引)のプラットフォーム「BASE」は、誰でも簡単にデザイン性の高いネットショップを作成できるうえ、決済機能も有していることが特徴。主に個人や零細企業の利用が多く、加盟店のうち4名以下の業者が約98%を占める。初期費用、月額費用を取らず、取引金額の6.6%+40円を利用料として受け取る料金設定になっており、固定費のかからない気軽さもあって解約はほとんどなく、利用者は年々増加している。
また、BASEを利用しない業者向けには、決済手段のみの「PAY.JP」と「PAY ID」を用意しており、取引金額の1.5~3.6%を手数料として受領している。
ただ初期費用や月額費用を一切取らない仕組みのため、同社の業績は赤字が先行している。既にプロモーション費用を除けば黒字化できる段階には入っているが、2019.12期は売上高が前期比56%増の36.7億円となるなか、営業赤字は32%減の5.4億円になる見込みだ。
なお、黒字化の時期はプロモーション費用次第だが、今のところ来期は当該費用の9割を占める広告宣伝費を大幅削減する考えのもよう。このため増収ペースは落ちるが、来期は薄利での黒字化、再来期には営業黒字5億円程度になると弊社では予想する。
ただし、鶴岡裕太CEO(最高経営責任者)は日本経済新聞のインタビューで「広告宣伝費をどれくらいかけるかによって変わるが、21年12月期には年間でも最終黒字を目指したい」としている。同社はまだ増収ペースが落ちているわけではないため、本来ならプロモーション費用はまだ削減すべき段階にはなく、かえって成長性を落としかねない。このためプロモーション費用の投資計画は変更される可能性がある。
ネットショップ作成ソフトや決済システムの競合は多いものの、こうした赤字先行による捨て身の戦術を採るところは見当たらない。同社の競争力の源泉でもあり、参入障壁にもなっているといえよう。ビジネスモデルをまねするには、何年も続く赤字を許容する体力が必要だ。大手の資本力を使う手もあるが、いっそのことBASEを買収してしまった方が手っ取り早い。
サブスクリプションに近いビジネスモデルで高成長していることを踏まえれば、PSR6.9倍に設定された株価を割高とみる向きは少ない。だが、今回は個別要因よりも環境面の悪化がかなり響いているもよう。マザーズでは近年上場した高PERや赤字のグロース株、特に海外配分を伴ったものが大きく売られており、指数の下落を主導している。赤字で黒字化の時期があいまいな同社は典型的な下落銘柄でもある。機関投資家は慎重な姿勢に転じており、公開価格は想定価格を20%下回る価格で決まり、公開株数も当初の計画より削減された。
加えてあからさまに出口色の強い上場への警戒感も強い。公開株式のうち新規発行株式は少なく、代わりに赤字体質の同社の資金繰りを支えてきたベンチャーキャピタル(VC)などからの売り出しが8割を占める。出口目的でも海外機関投資家を中心に販売できればいいが、今回は個人向けの販売が中心だ。彼らは短期売り逃げ目的の取得が多く、本来の価値も分からないまま投資するのが大半のため、上場後の株価を不安定にさせやすい存在である。
一方、海外配分比率は17.5%と新興株にしては高めになったが、国内需要が弱い以上、これを強気材料としてみることはできない。本来ならもっと成長してから上場すれば、堂々と大型国際オファリングでのIPOにできたように見えるだけに、急いで上場しようとする姿はかえって怪しく見えてしまう矛盾さえ生じている。
はっきりした買い主体が見えないなか100億円を超える吸収金額は重く、売り気配によるスタートを余儀なくされそうだ。シンジケートカバーの発動を想定し、引受価額1202.5円を参考に呼び値の1202円での初値成立を予想する。
初値分析
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初値: 1,210円(今期予想連結PER: -)
/ 上昇率: -6.9%
/ 高値: 1,410円
/ 安値: 1,210円
/ 終値: 1,333円
出来高: 6,088,700株 / 対公開株数: 73.3% / 初値出来高: 746,900株 / 初値売買代金: 903,749,000円
初値は苦戦した。高PER/赤字グロース株の大型出口案件とあって警戒感は強く、逆に短期筋の取得が少なかったようで売りは公開株数の1割未満に絞られたが、買いも少なく売り気配でのスタートになった。
ただ7倍を切るPSRには割高とみる向きは少なく、シンジケートカバーの入る直前価格の1203円には分厚い買い板が確認され、対当価格も寄り付き直前まで同価格だった。グロース株投資のファンドの一角が買いを入れていたのではないかと推測される。個人の投げ売りを狙うやり方は、プライシングには問題ない株ではしばしばみられる現象である。結局、この板をみた一部の短期筋が買いを入れたことで、初値はさらに上の価格で付いた。ちなみに寄り付き時は6万株弱の売り越しが一気に埋まる形だったが、大口個人投資家としてメディアにも登場するcis氏がこの時に10万株の買い注文(うち約定は6万0900株)を入れたことをツイッターで公表している。
寄り付き後はしっかりの展開になった。初値が安値になる形で急伸し、3分後には公開価格を奪還。前場は公開価格を挟んだ取引が続いた。後場に入ったところで突如商いが活発化し高値を取りに行ったが、1400円を超えた途端に急落し、再び公開価格を挟んだ展開になった。シンジケートカバーが発動しないまま売り買いが一致したことで、下値安心感が出た。だが、公開価格を超えて手数料含めても利益が出る水準になると、公開株取得者からの売り圧力が強かった。
しばらくは公開価格を意識した展開が続きそうだ。シンジケートカバー取引期間は11月22日までの約1カ月間と長く設定されており、引き続き下値を支えよう。ただ出来高は公開株数に達しておらず、短期筋の参戦もあったなかでは引き続き公開価格より上ではやれやれの売りが値を抑えると考えられる。赤字ベンチャーへの警戒感が強いなか、これを突破する力は今のところなく、結果的に公開価格付近での取引が続くことになると考える。
大和証券からリポートが出ている。独自の決済システムを構築することで、Eコマースの課題となっていた決済機能の導入にかかる審査期間を短縮し、また「お母さんも使える」をコンセプトに、誰でも簡単にデザイン性の高いEコマースサイトが作成できる仕組みを提供していると指摘。19.12期の営業損益は会社予想と同じ5.4億円の赤字(EPS -47.60円)、20.12期は3.64億円の黒字(18.66円)、21.12期は15.0億円の黒字(77.39円)と予想した。
出来高: 6,088,700株 / 対公開株数: 73.3% / 初値出来高: 746,900株 / 初値売買代金: 903,749,000円
初値は苦戦した。高PER/赤字グロース株の大型出口案件とあって警戒感は強く、逆に短期筋の取得が少なかったようで売りは公開株数の1割未満に絞られたが、買いも少なく売り気配でのスタートになった。
ただ7倍を切るPSRには割高とみる向きは少なく、シンジケートカバーの入る直前価格の1203円には分厚い買い板が確認され、対当価格も寄り付き直前まで同価格だった。グロース株投資のファンドの一角が買いを入れていたのではないかと推測される。個人の投げ売りを狙うやり方は、プライシングには問題ない株ではしばしばみられる現象である。結局、この板をみた一部の短期筋が買いを入れたことで、初値はさらに上の価格で付いた。ちなみに寄り付き時は6万株弱の売り越しが一気に埋まる形だったが、大口個人投資家としてメディアにも登場するcis氏がこの時に10万株の買い注文(うち約定は6万0900株)を入れたことをツイッターで公表している。
寄り付き後はしっかりの展開になった。初値が安値になる形で急伸し、3分後には公開価格を奪還。前場は公開価格を挟んだ取引が続いた。後場に入ったところで突如商いが活発化し高値を取りに行ったが、1400円を超えた途端に急落し、再び公開価格を挟んだ展開になった。シンジケートカバーが発動しないまま売り買いが一致したことで、下値安心感が出た。だが、公開価格を超えて手数料含めても利益が出る水準になると、公開株取得者からの売り圧力が強かった。
しばらくは公開価格を意識した展開が続きそうだ。シンジケートカバー取引期間は11月22日までの約1カ月間と長く設定されており、引き続き下値を支えよう。ただ出来高は公開株数に達しておらず、短期筋の参戦もあったなかでは引き続き公開価格より上ではやれやれの売りが値を抑えると考えられる。赤字ベンチャーへの警戒感が強いなか、これを突破する力は今のところなく、結果的に公開価格付近での取引が続くことになると考える。
大和証券からリポートが出ている。独自の決済システムを構築することで、Eコマースの課題となっていた決済機能の導入にかかる審査期間を短縮し、また「お母さんも使える」をコンセプトに、誰でも簡単にデザイン性の高いEコマースサイトが作成できる仕組みを提供していると指摘。19.12期の営業損益は会社予想と同じ5.4億円の赤字(EPS -47.60円)、20.12期は3.64億円の黒字(18.66円)、21.12期は15.0億円の黒字(77.39円)と予想した。