IPO銘柄詳細
コード | 市場 | 業種 | 売買単位 | 注目度 |
---|---|---|---|---|
5016 | 東証プライム | 非鉄金属 | 100株 | S |
注目のIPO銘柄
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スケジュール
スケジュール | |
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仮条件決定 | 2025/03/02 |
ブックビルディング期間 | 2025/03/03 - 03/07 |
公開価格決定 | 2025/03/10 |
申込期間 | 2025/03/11 - 03/14 |
払込期日 | - |
上場日 | 2025/03/19 |
価格情報 | |
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想定価格 | 862円 |
仮条件 | 810 - 820円 |
公開価格 | 820円 |
初値予想 | 785円 |
初値 | 843円 |
- スケジュールは上場企業都合により変更になる場合があります。
基本情報
代表者名 | 林 陽一(上場時60歳1カ月)/1965年生 |
---|---|
本店所在地 | 東京都港区虎ノ門 |
設立年 | 2002年 |
従業員数 | 3260人 (2024/12/31現在)(平均40.7歳、年収755.5万円)、連結10426人 |
事業内容 | 半導体材料、情報通信材料の製造および販売、資源開発、金属の製錬、リサイクル |
URL | https://www.jx-nmm.com/ |
株主数 | 1人 (目論見書より) |
資本金 | 75,000,000,000円 (2025/02/14現在) |
上場時発行済株数 | 928,463,102株 |
公開株数 | 534,934,100株(売り出し465,160,100株、オーバーアロットメント69,774,000株) |
調達資金使途 | - |
連結会社 | 70社 |
シンジケート
公開株数304,679,900株(別に69,774,000株)/国内分
種別 | 証券会社名 | 株数 | 比率 |
---|---|---|---|
主幹事証券 | 大和 | 155,386,800 | 51.00% |
主幹事証券 | みずほ | 48,748,800 | 16.00% |
主幹事証券 | 三菱UFJモルガン・スタンレー | 14,594,200 | 4.79% |
主幹事証券 | モルガン・スタンレーMUFG | 639,800 | 0.21% |
主幹事証券 | JPモルガン | 6,093,600 | 2.00% |
主幹事証券 | 野村 | 48,748,800 | 16.00% |
主幹事証券 | SMBC日興 | 25,897,800 | 8.50% |
引受証券 | 水戸 | 914,000 | 0.30% |
引受証券 | めぶき | 304,700 | 0.10% |
引受証券 | SBI | 1,218,700 | 0.40% |
引受証券 | 楽天 | 1,218,700 | 0.40% |
引受証券 | マネックス | 914,000 | 0.30% |
大株主(潜在株式なし)
大株主名 | 摘要 | 株数 | 比率 |
---|---|---|---|
ENEOSホールディングス(株) | 親会社 | 928,463,102 | 100.00% |
業績動向(単位:百万円)
決算期 | 種別 | 売上収益 | 営業利益 | 税引き前利益 | 純利益 |
---|---|---|---|---|---|
2025/03 | 連結3Q累計実績 | 516,921 | 86,170 | 82,922 | 46,029 |
2025/03 | 連結会社予想 | 700,000 | 95,700 | 91,400 | 54,300 |
2024/03 | 連結実績 | 1,512,345 | 86,172 | 78,714 | 102,624 |
2023/03 | 連結実績 | 1,638,484 | 72,925 | 63,327 | 36,930 |
売上収益
営業利益
税引き前利益
純利益
1株あたりの数値(単位:円)
決算期 | 種別 | EPS | BPS | 配当 |
---|---|---|---|---|
2025/03 | 連結会社予想 | 58.48 | 659.75 | 103.55 |
参考類似企業
事業詳細
銅を中心とする非鉄金属製品の大手。旧・新日鉱ホールディングス。銅精鉱や電気銅などの基礎材料をベースに、半導体用スパッタリングターゲット(成膜材料の一種)や圧延銅箔など銅やレアメタルを原料とする先端素材の開発・製造・販売に注力する。ENEOSホールディングスの完全子会社だが、上場後は持ち分法適用関連会社に移行する。
1905年12月に日立鉱山(茨城県)が操業を開始した。鉱山開発の中心だった久原鉱業は第一次世界大戦後の不況を背景に経営権が譲渡され、28年12月に日本産業に改称。やがて日本産業コンツェルン(鮎川財閥)の持ち株会社となり、祖業の鉱山・製錬部門は29年4月、日本鉱業に分離した。日本鉱業は掘削技術を生かして石油や石炭事業にも進出し、65年には共同石油を合弁設立した。92年に金属部門を日鉱金属として分離させたうえで共同石油と合併し、その後「JOMO」ブランドのジャパンエナジーとなった。一方、日鉱金属は98年8月、東京証券取引所第一部に上場した。
現会社はジャパンエナジーと日鉱金属が2002年9月に再合流した際に、両社の持ち株会社として設立された。さらに10年4月には新日本石油と経営統合し、その際に新たな持ち株会社としてJXホールディングス(現ENEOSホールディングス)が設立されたため、それまでの金属事業子会社を吸収合併してJX日鉱日石金属となった。現商号には16年1月に変更した。その後、18年6月に東邦チタニウムを子会社化し、24年8月には持ち分法適用関連会社だったタツタ電線をTOB(株式公開買い付け)により完全子会社化した。
〈フォーカス事業〉
1.半導体材料セグメント
主に薄膜材料事業部の手掛ける半導体用スパッタリングターゲット、高純度金属、表面処理剤や、タンタル・ニオブ事業部の手掛けるタンタル・ニオブ金属粉末、タンタル・ニオブ酸化物粉末、塩化物・化合物などがある。
2.情報通信材料セグメント
主に機能材料事業部の手掛ける圧延銅箔、チタン銅、コルソン合金、東邦チタニウムの手掛ける超微粉ニッケルやチタン製品各種、タツタ電線の手掛ける電磁波シールドフィルム、導電性ペースト、電線などがある。
〈ベース事業〉
3.基礎材料セグメント
主に資源事業部の手掛ける銅精鉱、電気銅、モリブデン精鉱、含金ケイ酸鉱、タンタル精鉱、金属・リサイクル事業部の手掛ける電気銅、型銅、貴金属、硫酸などがある。
なお、25年3月期中に同セグメントにかかわる国内外2社が株式の一部譲渡により持ち分法適用会社へ変更となり、連結から外れた。
2025年3月期第3四半期累計における事業再編を期首に実施したと仮定した場合の調整後連結売上収益の構成比は、半導体材料19.8%、情報通信材料33.4%、基礎材料39.7%、その他調整△0.6%。
1905年12月に日立鉱山(茨城県)が操業を開始した。鉱山開発の中心だった久原鉱業は第一次世界大戦後の不況を背景に経営権が譲渡され、28年12月に日本産業に改称。やがて日本産業コンツェルン(鮎川財閥)の持ち株会社となり、祖業の鉱山・製錬部門は29年4月、日本鉱業に分離した。日本鉱業は掘削技術を生かして石油や石炭事業にも進出し、65年には共同石油を合弁設立した。92年に金属部門を日鉱金属として分離させたうえで共同石油と合併し、その後「JOMO」ブランドのジャパンエナジーとなった。一方、日鉱金属は98年8月、東京証券取引所第一部に上場した。
現会社はジャパンエナジーと日鉱金属が2002年9月に再合流した際に、両社の持ち株会社として設立された。さらに10年4月には新日本石油と経営統合し、その際に新たな持ち株会社としてJXホールディングス(現ENEOSホールディングス)が設立されたため、それまでの金属事業子会社を吸収合併してJX日鉱日石金属となった。現商号には16年1月に変更した。その後、18年6月に東邦チタニウムを子会社化し、24年8月には持ち分法適用関連会社だったタツタ電線をTOB(株式公開買い付け)により完全子会社化した。
〈フォーカス事業〉
1.半導体材料セグメント
主に薄膜材料事業部の手掛ける半導体用スパッタリングターゲット、高純度金属、表面処理剤や、タンタル・ニオブ事業部の手掛けるタンタル・ニオブ金属粉末、タンタル・ニオブ酸化物粉末、塩化物・化合物などがある。
2.情報通信材料セグメント
主に機能材料事業部の手掛ける圧延銅箔、チタン銅、コルソン合金、東邦チタニウムの手掛ける超微粉ニッケルやチタン製品各種、タツタ電線の手掛ける電磁波シールドフィルム、導電性ペースト、電線などがある。
〈ベース事業〉
3.基礎材料セグメント
主に資源事業部の手掛ける銅精鉱、電気銅、モリブデン精鉱、含金ケイ酸鉱、タンタル精鉱、金属・リサイクル事業部の手掛ける電気銅、型銅、貴金属、硫酸などがある。
なお、25年3月期中に同セグメントにかかわる国内外2社が株式の一部譲渡により持ち分法適用会社へ変更となり、連結から外れた。
2025年3月期第3四半期累計における事業再編を期首に実施したと仮定した場合の調整後連結売上収益の構成比は、半導体材料19.8%、情報通信材料33.4%、基礎材料39.7%、その他調整△0.6%。
コメント
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・海外販売予定株数(米144A適用):売り出し1億6048万0200株(配分比率30.0%)
・三菱UFJモルガン・スタンレー証券とモルガン・スタンレーMUFG証券の引受比率は合計で5%となる。内訳は未定のためここでは暫定的に均等配分している。
・グループ役員持ち株会に9.1億円相当、グループ従業員持ち株会に1.7億円相当、日本カストディ銀行(信託E口)に10億円相当の株式数を上限に親引け販売する。
・既存株主には180日のロックアップが掛かる。
・売り出し後のENEOSの持ち分は42.4%に下がる。
・年間配当は11月29日を効力発生日として実施した総額850億円(1株当たり91.55円)が含まれる。売り出し後の株主が3月末の権利確定でもらえるのは12円となる。
・上場後の配当は連結配当性向20%程度を基本とした上で、銅価などの金属価格が想定対比で上昇した結果としてベース事業の利益が上振れた分についてはその一部も株主に還元する方針。
・25.3期業績予想の想定為替レートは149円/米ドル、想定銅価は422¢/lb。10月までは実績値であり11月以降は145円/米ドル、410¢/lbとしている。
〈ファーストインプレッション〉
2020年に親会社がENEOSブランドにのみ込まれてもJXブランドを使い続けていた時点で旧日石陣にとっては要らない連れ子なのかなとの雰囲気を漂わせていたが、おととしには上場の方針が正式に発表されていた。法人格は新日鉱HDと同じということで証券コードも前回上場時と同じ番号が採用された。ただし石油事業はENEOSが持っていったため、中身的には日鉱金属の再来といった方がいいだろう。
売り出しのみの再上場ということで新味は全くないが、ファンドの出口案件ではない分印象としてはマシか。ただPERは15倍弱とほかの財閥系非鉄大手と比べて割安感が全くなく、親会社と比べても高い。また、配当利回りは8.32%とかなり高いが、これは上場直前に親会社が搾り取った分が含まれており、実質は配当性向2割分の1.39%と競合の半分以下だ。上場直前の大量配当は投資ファンドの出口案件でたまに見る手口であり、売り出し主が事業会社だからといって全く油断はできないようだ。
どちらにしろ需給的に上値は重いと考えられるため見送りでもよさそう。そもそもこれだけの大型案件でプライム直接上場にもかかわらず、親引けは社内向けのみというのもどうなのか。キオクシアも親引け先はなかったが、信用面で問題ないこちちらの事情とはだいぶ異なるだろう。
・三菱UFJモルガン・スタンレー証券とモルガン・スタンレーMUFG証券の引受比率は合計で5%となる。内訳は未定のためここでは暫定的に均等配分している。
・グループ役員持ち株会に9.1億円相当、グループ従業員持ち株会に1.7億円相当、日本カストディ銀行(信託E口)に10億円相当の株式数を上限に親引け販売する。
・既存株主には180日のロックアップが掛かる。
・売り出し後のENEOSの持ち分は42.4%に下がる。
・年間配当は11月29日を効力発生日として実施した総額850億円(1株当たり91.55円)が含まれる。売り出し後の株主が3月末の権利確定でもらえるのは12円となる。
・上場後の配当は連結配当性向20%程度を基本とした上で、銅価などの金属価格が想定対比で上昇した結果としてベース事業の利益が上振れた分についてはその一部も株主に還元する方針。
・25.3期業績予想の想定為替レートは149円/米ドル、想定銅価は422¢/lb。10月までは実績値であり11月以降は145円/米ドル、410¢/lbとしている。
〈ファーストインプレッション〉
2020年に親会社がENEOSブランドにのみ込まれてもJXブランドを使い続けていた時点で旧日石陣にとっては要らない連れ子なのかなとの雰囲気を漂わせていたが、おととしには上場の方針が正式に発表されていた。法人格は新日鉱HDと同じということで証券コードも前回上場時と同じ番号が採用された。ただし石油事業はENEOSが持っていったため、中身的には日鉱金属の再来といった方がいいだろう。
売り出しのみの再上場ということで新味は全くないが、ファンドの出口案件ではない分印象としてはマシか。ただPERは15倍弱とほかの財閥系非鉄大手と比べて割安感が全くなく、親会社と比べても高い。また、配当利回りは8.32%とかなり高いが、これは上場直前に親会社が搾り取った分が含まれており、実質は配当性向2割分の1.39%と競合の半分以下だ。上場直前の大量配当は投資ファンドの出口案件でたまに見る手口であり、売り出し主が事業会社だからといって全く油断はできないようだ。
どちらにしろ需給的に上値は重いと考えられるため見送りでもよさそう。そもそもこれだけの大型案件でプライム直接上場にもかかわらず、親引けは社内向けのみというのもどうなのか。キオクシアも親引け先はなかったが、信用面で問題ないこちちらの事情とはだいぶ異なるだろう。
仮条件分析
(BB参加妙味
:C)
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想定価格: 862円
吸収資金レンジ: 4009.7億円 - 4611.1億円(今期予想連結PER: 14.7倍)
時価総額レンジ: 8003.4億円
仮条件: 810円 - 820円
吸収資金レンジ: 3767.8億円 - 4386.5億円(今期予想連結PER: 13.9倍 - 14.0倍)
時価総額レンジ: 7520.6億円 - 7613.4億円
仮条件は想定価格を6.03~4.87%下回る10円幅で設定された。また、金額表示だった親引けについては仮条件の下限価格に合わせ、役員持株会向けが19万2500株、従業員持株会向けが114万7300株、日本カストディ銀行(信託E口)向けが123万4500株をそれぞれ上限株数に設定し直した。
そのほか先月25日に発表した4月1日付けの執行役員人事を訂正目論見書に追記した。取締役を兼ねる正副社長3名は現職が続投する。
〈機関投資家らからの評価〉
1.フォーカス事業(半導体材料セグメントおよび情報通信材料セグメント)について、市場の将来性があり、グローバルトップシェア製品を有することによりさらなる拡大が見込めること。
2.フォーカス事業を成長戦略のコアとして位置づけ、旧来の枠にとらわれない考え方で事業ポートフォリオ改革を推進した実行力のあるマネジメント体制であること。
〈強材料〉
機関評価が記載、成長事業に注力、低位株、プライム直接上場
〈弱材料〉
仮条件下振れ、トランプ関税、競合株軟調、割高、業績推移分かりにくい、超大型、再上場
〈結論〉
Cとする。公開価格が仮条件上限ならば、初値は780~820円(実質PER:15.6~16.4倍)を想定する。
仮条件下振れ設定も割高感の解消にはほど遠い。トランプ関税を受け非鉄株は軟調に推移しており、上場に至るなら苦戦を強いられることになるとみる。
創業120周年の歴史を持つ旧日産コンツェルン系の非鉄大手。今期の売上高は大幅縮小しているが、これは子会社再編により2社が連結から外れた影響が大きい。一方、営業利益は粗利減少でも、IFRS(国際会計基準)採用のため事業再編による株式売却益と負ののれんが乗り前期比11%増の会社予想となっている。
同社は従来の基礎材料セグメント中心だった事業ポートフォリオを、成長事業である半導体材料や情報通信材料に注力する方向に舵(かじ)を切る。訂正目論見書には久々に機関投資家らの評価が記載されたが、フォーカス事業に注力する姿勢が評価されていることがうかがえる。
ただし、他の旧財閥系非鉄大手各社のPERは1桁台であるうえ、トランプ関税を警戒して軟調だ。住友鉱山は30倍近くあるが、PBRは0.5倍に過ぎず業績悪化による異常値として捉えるべきだろう。
さすがに仮条件は下振れ設定となったが、それでもPERは約14倍だ。しかも事業再編による一過性の利益が含まれてのことであり、実質的には16倍強となる。配当は新株主がもらえる分に限ると上場後の目標配当性向20%に沿った12円だけであり、利回りは1.5%を切る。これは他の非鉄大手の半分にも満たない水準だ。
JX金属の主力である銅は今のところトランプ関税のまだ対象外だが、大統領は銅についても言及し、影響の調査を指示した。先物市場では既に関税は課される前提で推移する。同社の地域別売上高は中国やアジア向けが多く、米国は1割以下だが、フォーカス事業に限ると15%弱に上昇する。そもそも中国が狙い撃ちされている状況では間接的な影響は避けにくいだろう。
取り巻く環境は他の非鉄大手と変わらないと考えられ、仮条件下振れもバリュエーション的には半額以下にならないと買いづらい。よくこの程度の値下げでブックビルディングを実施する気になったなという印象でしかないが、ENEOSホールディングスは上場直前に多額配当による仕送りをさせてもいる。エグジットに当たっては米英系ファンド並みの貪欲さがうかがえるため、値下げに抵抗しての結果なのかもしれない。
公開規模も大きいことから最終的には需要が積み上がらず、トランプ関税をいいわけに上場延期になるのではないかとも思うが、実施に至った場合は苦戦を強いられるとみておきたい。
吸収資金レンジ: 4009.7億円 - 4611.1億円(今期予想連結PER: 14.7倍)
時価総額レンジ: 8003.4億円
仮条件: 810円 - 820円
吸収資金レンジ: 3767.8億円 - 4386.5億円(今期予想連結PER: 13.9倍 - 14.0倍)
時価総額レンジ: 7520.6億円 - 7613.4億円
仮条件は想定価格を6.03~4.87%下回る10円幅で設定された。また、金額表示だった親引けについては仮条件の下限価格に合わせ、役員持株会向けが19万2500株、従業員持株会向けが114万7300株、日本カストディ銀行(信託E口)向けが123万4500株をそれぞれ上限株数に設定し直した。
そのほか先月25日に発表した4月1日付けの執行役員人事を訂正目論見書に追記した。取締役を兼ねる正副社長3名は現職が続投する。
〈機関投資家らからの評価〉
1.フォーカス事業(半導体材料セグメントおよび情報通信材料セグメント)について、市場の将来性があり、グローバルトップシェア製品を有することによりさらなる拡大が見込めること。
2.フォーカス事業を成長戦略のコアとして位置づけ、旧来の枠にとらわれない考え方で事業ポートフォリオ改革を推進した実行力のあるマネジメント体制であること。
〈強材料〉
機関評価が記載、成長事業に注力、低位株、プライム直接上場
〈弱材料〉
仮条件下振れ、トランプ関税、競合株軟調、割高、業績推移分かりにくい、超大型、再上場
〈結論〉
Cとする。公開価格が仮条件上限ならば、初値は780~820円(実質PER:15.6~16.4倍)を想定する。
仮条件下振れ設定も割高感の解消にはほど遠い。トランプ関税を受け非鉄株は軟調に推移しており、上場に至るなら苦戦を強いられることになるとみる。
創業120周年の歴史を持つ旧日産コンツェルン系の非鉄大手。今期の売上高は大幅縮小しているが、これは子会社再編により2社が連結から外れた影響が大きい。一方、営業利益は粗利減少でも、IFRS(国際会計基準)採用のため事業再編による株式売却益と負ののれんが乗り前期比11%増の会社予想となっている。
同社は従来の基礎材料セグメント中心だった事業ポートフォリオを、成長事業である半導体材料や情報通信材料に注力する方向に舵(かじ)を切る。訂正目論見書には久々に機関投資家らの評価が記載されたが、フォーカス事業に注力する姿勢が評価されていることがうかがえる。
ただし、他の旧財閥系非鉄大手各社のPERは1桁台であるうえ、トランプ関税を警戒して軟調だ。住友鉱山は30倍近くあるが、PBRは0.5倍に過ぎず業績悪化による異常値として捉えるべきだろう。
さすがに仮条件は下振れ設定となったが、それでもPERは約14倍だ。しかも事業再編による一過性の利益が含まれてのことであり、実質的には16倍強となる。配当は新株主がもらえる分に限ると上場後の目標配当性向20%に沿った12円だけであり、利回りは1.5%を切る。これは他の非鉄大手の半分にも満たない水準だ。
JX金属の主力である銅は今のところトランプ関税のまだ対象外だが、大統領は銅についても言及し、影響の調査を指示した。先物市場では既に関税は課される前提で推移する。同社の地域別売上高は中国やアジア向けが多く、米国は1割以下だが、フォーカス事業に限ると15%弱に上昇する。そもそも中国が狙い撃ちされている状況では間接的な影響は避けにくいだろう。
取り巻く環境は他の非鉄大手と変わらないと考えられ、仮条件下振れもバリュエーション的には半額以下にならないと買いづらい。よくこの程度の値下げでブックビルディングを実施する気になったなという印象でしかないが、ENEOSホールディングスは上場直前に多額配当による仕送りをさせてもいる。エグジットに当たっては米英系ファンド並みの貪欲さがうかがえるため、値下げに抵抗しての結果なのかもしれない。
公開規模も大きいことから最終的には需要が積み上がらず、トランプ関税をいいわけに上場延期になるのではないかとも思うが、実施に至った場合は苦戦を強いられるとみておきたい。
公開価格分析
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公開価格: 820円
吸収資金: 4,386.5億円(今期予想連結PER: 14.0倍)
時価総額: 7,613.4億円
公開価格、追加売り出し株数ともに上限で決まった。引受価額は785.56円。国内外の配分は変更なし。親引けは役員持株会が19万0100株、従業員持株会が113万3100株、管理職向けである日本カストディ銀行(信託E口)が121万9500株となった。合計では254万2700株となる。
なお、役員向けは総額1.55億円と当初予算の9.1億円を大幅に下回る半面、従業員向けは9.29億円となり当初予算の1.7億円を大幅に上回る。合計では近い金額になり、対象人数的にも当初予算は役員持株会と従業員持株会が取り違えられ、金額も一部混同しての記載だったとみられる。
訂正目論見書によればブックビルディングの状況については、(1)申告された総需要株式数が公開株式数を十分に上回る状況だったこと、(2)総需要件数が多数にわたっていたこと、(3)需要の価格ごとの分布は仮条件の上限価格に集中していたこと――の3点が特徴だった。
上場延期にならなかったことは意外感があるが、海外分と一般(リテール)分は初日に埋まったとの観測が流れてはいた。海外投資家の反応はよく、最終的には複数倍の需要が集まったという。証券会社自らの決算を前にビッグディールはつぶせないうえ、ゆうちょ銀との並行で営業効率も上がったか。非鉄大手の株価もきのうまでは戻し基調だった。
ただし、銅関税への懸念が消えたわけではないうえ、一夜明けた本日は米株安を受けて各社とも売られた。半導体材料への注力が評価されたともいうが、この分野の競合が特に高い評価を受けているわけではない。そもそも親会社も非鉄大手各社もPBR1倍割れを解消できていないのに、なぜここだけができる前提なのか。
また、国内機関投資家の反応についてはリーク記事に含まれておらず、海外需要についてもヘッジファンドを入れての反応とされる。そもそも倍率は複数倍であって、数十倍ではない。IPO実施は営業力の成果とみるが、一桁倍率は公開価格割れのリスクが高い範囲であり、上場当日も買い手を連れて来られるかは不透明なままである。
吸収資金: 4,386.5億円(今期予想連結PER: 14.0倍)
時価総額: 7,613.4億円
公開価格、追加売り出し株数ともに上限で決まった。引受価額は785.56円。国内外の配分は変更なし。親引けは役員持株会が19万0100株、従業員持株会が113万3100株、管理職向けである日本カストディ銀行(信託E口)が121万9500株となった。合計では254万2700株となる。
なお、役員向けは総額1.55億円と当初予算の9.1億円を大幅に下回る半面、従業員向けは9.29億円となり当初予算の1.7億円を大幅に上回る。合計では近い金額になり、対象人数的にも当初予算は役員持株会と従業員持株会が取り違えられ、金額も一部混同しての記載だったとみられる。
訂正目論見書によればブックビルディングの状況については、(1)申告された総需要株式数が公開株式数を十分に上回る状況だったこと、(2)総需要件数が多数にわたっていたこと、(3)需要の価格ごとの分布は仮条件の上限価格に集中していたこと――の3点が特徴だった。
上場延期にならなかったことは意外感があるが、海外分と一般(リテール)分は初日に埋まったとの観測が流れてはいた。海外投資家の反応はよく、最終的には複数倍の需要が集まったという。証券会社自らの決算を前にビッグディールはつぶせないうえ、ゆうちょ銀との並行で営業効率も上がったか。非鉄大手の株価もきのうまでは戻し基調だった。
ただし、銅関税への懸念が消えたわけではないうえ、一夜明けた本日は米株安を受けて各社とも売られた。半導体材料への注力が評価されたともいうが、この分野の競合が特に高い評価を受けているわけではない。そもそも親会社も非鉄大手各社もPBR1倍割れを解消できていないのに、なぜここだけができる前提なのか。
また、国内機関投資家の反応についてはリーク記事に含まれておらず、海外需要についてもヘッジファンドを入れての反応とされる。そもそも倍率は複数倍であって、数十倍ではない。IPO実施は営業力の成果とみるが、一桁倍率は公開価格割れのリスクが高い範囲であり、上場当日も買い手を連れて来られるかは不透明なままである。
初値予想
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初値予想: 785円(今期予想連結PER: 13.4倍)
初値買い妙味: C
初値苦戦を予想する。半導体関連など成長分野への事業構造転換が評価されているものの、他の非鉄大手に比べて割高感が強い。さらにトランプ関税は銅にも及ぼうとしている。割高なうえに不透明感は強いとあっては買い手不足が懸念される。
銅製品が主力の非鉄大手。法人格は新日鉱ホールディングス時代と同じだが、石油関連事業は親会社に残しており中身的には旧日鉱金属といった方が早いだろう。1905年12月の日立鉱山(茨城県)操業開始から今年で創業120周年を迎える。近年は伝統的な基礎材料などのベース事業から、半導体材料や情報通信材料といった成長が見込めるフォーカス事業への構造転換を図る。
今期の業績予想は大幅減収なのに営業利益は前期比11%増加する会社予想になっているが、これはベース事業にかかわる国内外2社の一部売却による連結解除と同時に、事業売却益などが加算されるためだ。IFRS(国際会計基準)を採用しているため、一過性の項目でも営業損益の段階で計上される。粗利益の段階では15%減の予想だ。
公開価格の事業売却益を除いた希薄化後の実質PERは16倍強あり、半導体材料では東京応化やフジミインコーポなどに近い水準にはなる。ただ、非鉄大手のPERは1桁台に過ぎず、評価の低いベース事業の比率は実質ベースでもまだ3分の1を残す。半導体材料にしても在庫調整やトランプ関税を背景に、競合によっては11倍台で低迷する。
また、高PERの住友金属鉱山についてはPBRが0.5倍と低く、高PERは収益低迷による結果とみなすべきだろう。JX金属の今期末予想ベースのPBRは1.24倍に上るが、他の非鉄大手や親会社は1倍割れ解消には至っていない。
さらには他の非鉄大手や親会社の配当利回りは3%以上あるのに対し、JX金属は新株主がもらえる分だけで計算すると実質1.5%にとどまる。上場後の配当性向は20%が基本とされ低い。上場承認直前には親会社への多額の特別配当が実施されたが、配当余力が削られたツケが回されている形だ。
さらにはトランプ米大統領は銅にも関税をかけることに言及しており、米先物は国際価格に比べて割高に推移する。米国への輸出比率はそれほど高くはないが、フォーカス事業に限るとやや上がるうえ、半導体を狙い撃ちする状況とあっては間接的な影響が懸念される。最終的に公開価格は仮条件上限で決まったが、観測された需要倍率は一桁台にとどまったもようだ。ブックランナー次第では別の判断もあったことだろう。
なお、共同主幹事の一角には人気薄案件でも買い手を連れて来られる営業力を持つ野村証券が入っているが、今回は国内のみの幹事であり一歩引いた立ち位置だ。バリュエーションもこれほど割高ではさすがに難しいのではないか。買い手不足に陥る可能性は高く、自然体で解消するのは難しいとみて、シンジケートカバーによる初値形成を予想する。
初値買い妙味: C
初値苦戦を予想する。半導体関連など成長分野への事業構造転換が評価されているものの、他の非鉄大手に比べて割高感が強い。さらにトランプ関税は銅にも及ぼうとしている。割高なうえに不透明感は強いとあっては買い手不足が懸念される。
銅製品が主力の非鉄大手。法人格は新日鉱ホールディングス時代と同じだが、石油関連事業は親会社に残しており中身的には旧日鉱金属といった方が早いだろう。1905年12月の日立鉱山(茨城県)操業開始から今年で創業120周年を迎える。近年は伝統的な基礎材料などのベース事業から、半導体材料や情報通信材料といった成長が見込めるフォーカス事業への構造転換を図る。
今期の業績予想は大幅減収なのに営業利益は前期比11%増加する会社予想になっているが、これはベース事業にかかわる国内外2社の一部売却による連結解除と同時に、事業売却益などが加算されるためだ。IFRS(国際会計基準)を採用しているため、一過性の項目でも営業損益の段階で計上される。粗利益の段階では15%減の予想だ。
公開価格の事業売却益を除いた希薄化後の実質PERは16倍強あり、半導体材料では東京応化やフジミインコーポなどに近い水準にはなる。ただ、非鉄大手のPERは1桁台に過ぎず、評価の低いベース事業の比率は実質ベースでもまだ3分の1を残す。半導体材料にしても在庫調整やトランプ関税を背景に、競合によっては11倍台で低迷する。
また、高PERの住友金属鉱山についてはPBRが0.5倍と低く、高PERは収益低迷による結果とみなすべきだろう。JX金属の今期末予想ベースのPBRは1.24倍に上るが、他の非鉄大手や親会社は1倍割れ解消には至っていない。
さらには他の非鉄大手や親会社の配当利回りは3%以上あるのに対し、JX金属は新株主がもらえる分だけで計算すると実質1.5%にとどまる。上場後の配当性向は20%が基本とされ低い。上場承認直前には親会社への多額の特別配当が実施されたが、配当余力が削られたツケが回されている形だ。
さらにはトランプ米大統領は銅にも関税をかけることに言及しており、米先物は国際価格に比べて割高に推移する。米国への輸出比率はそれほど高くはないが、フォーカス事業に限るとやや上がるうえ、半導体を狙い撃ちする状況とあっては間接的な影響が懸念される。最終的に公開価格は仮条件上限で決まったが、観測された需要倍率は一桁台にとどまったもようだ。ブックランナー次第では別の判断もあったことだろう。
なお、共同主幹事の一角には人気薄案件でも買い手を連れて来られる営業力を持つ野村証券が入っているが、今回は国内のみの幹事であり一歩引いた立ち位置だ。バリュエーションもこれほど割高ではさすがに難しいのではないか。買い手不足に陥る可能性は高く、自然体で解消するのは難しいとみて、シンジケートカバーによる初値形成を予想する。
初値分析
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初値: 843円(今期予想連結PER: 14.4倍)
/ 上昇率: 2.8%
/ 高値: 883円
/ 安値: 842円
/ 終値: 874円
出来高: 175,980,400株 / 対公開株数: 32.9% / 初値出来高: 36,271,600株 / 初値売買代金: 30,576,958,800円
小じっかりした初値が付いた。寄り前はかなり早い時間帯から850円を超える買い注文が入っていた。需要が比較的強かったとされる海外投資家からの注文を事前に集めていたとみられる。
寄り前気配は9時前には840円に落ち着いたが、843円で寄り付いた後も大引けにかけて強含む展開となり、VWAPは想定価格の860円に近い価格となった。ザラ場も継続的に海外勢からの注文が入ったものとみられる。これを受け親会社の株価も買われ、仮条件発表前の高値に近づいた。
予想外に健闘する形となり、目先はさらなる強含みが期待される終わり方となった。ただ各株価指標を踏まえると初日の値動きはどうしても違和感が否めない。半導体は在庫調整の局面であり、トランプ関税の行方も分からない。個人投資家にはキオクシアと重ねる向きがあるもようだが、実質バーゲンセールだったキオクシアとこちらとではそもそも発射台の高さが全く異なる。外部環境の不透明さも増すなか、今の勢いは続かないのではないかとみる。
出来高: 175,980,400株 / 対公開株数: 32.9% / 初値出来高: 36,271,600株 / 初値売買代金: 30,576,958,800円
小じっかりした初値が付いた。寄り前はかなり早い時間帯から850円を超える買い注文が入っていた。需要が比較的強かったとされる海外投資家からの注文を事前に集めていたとみられる。
寄り前気配は9時前には840円に落ち着いたが、843円で寄り付いた後も大引けにかけて強含む展開となり、VWAPは想定価格の860円に近い価格となった。ザラ場も継続的に海外勢からの注文が入ったものとみられる。これを受け親会社の株価も買われ、仮条件発表前の高値に近づいた。
予想外に健闘する形となり、目先はさらなる強含みが期待される終わり方となった。ただ各株価指標を踏まえると初日の値動きはどうしても違和感が否めない。半導体は在庫調整の局面であり、トランプ関税の行方も分からない。個人投資家にはキオクシアと重ねる向きがあるもようだが、実質バーゲンセールだったキオクシアとこちらとではそもそも発射台の高さが全く異なる。外部環境の不透明さも増すなか、今の勢いは続かないのではないかとみる。