IPO銘柄詳細
コード | 市場 | 業種 | 売買単位 | 注目度 |
---|---|---|---|---|
5838 | 東証プライム | 銀行業 | 100株 | S |
注目のIPO銘柄
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スケジュール
スケジュール | |
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仮条件決定 | 2023/04/05 |
ブックビルディング期間 | 2023/04/05 - 04/11 |
公開価格決定 | 2023/04/13 |
申込期間 | 2023/04/14 - 04/19 |
払込期日 | 2023/04/20 |
上場日 | 2023/04/21 |
価格情報 | |
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想定価格 | 1,630 - 1,960円 |
仮条件 | 1,300 - 1,400円 |
公開価格 | 1,400円 |
初値予想 | 1,800円 |
初値 | 1,856円 |
- スケジュールは上場企業都合により変更になる場合があります。
基本情報
代表者名 | 永井 啓之(上場時58歳6カ月)/1964年生 |
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本店所在地 | 東京都港区港南 |
設立年 | 2000年 |
従業員数 | 841人 (2023/02/28現在)(平均37.1歳、年収653.8万円)、連結1015人 |
事業内容 | インターネット銀行 |
URL | https://www.rakuten-bank.co.jp/ |
株主数 | 1人 (目論見書より) |
資本金 | 25,954,003,000円 (2023/03/22現在) |
上場時発行済株数 | 170,019,380株 |
公開株数 | 63,969,800株(公募5,555,500株、売り出し53,951,300株、オーバーアロットメント4,463,000株) |
調達資金使途 | 運転資金 |
連結会社 | 23社 |
シンジケート
公開株数27,521,900株(別に4,463,000株)/国内分
種別 | 証券会社名 | 株数 | 比率 |
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主幹事証券 | 大和 | 7,156,500 | 26.00% |
主幹事証券 | 三菱UFJモルガン・スタンレー | 4,623,600 | 16.80% |
幹事証券 | 楽天 | 4,403,400 | 16.00% |
主幹事証券 | みずほ | 3,742,900 | 13.60% |
幹事証券 | 野村 | 2,752,100 | 10.00% |
主幹事証券 | SMBC日興 | 2,642,000 | 9.60% |
主幹事証券 | ゴールドマン・サックス | 1,651,200 | 6.00% |
引受証券 | マネックス | 275,100 | 1.00% |
引受証券 | 松井 | 275,100 | 1.00% |
大株主(潜在株式なし)
大株主名 | 摘要 | 株数 | 比率 |
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楽天グループ(株) | 親会社 | 164,463,880 | 100.00% |
業績動向(単位:百万円)
決算期 | 種別 | 経常収益 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 |
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2027/03 | 連結目標 | 200,000 | - | 70,000 | - |
2023/03 | 連結3Q累計実績 | 89,136 | - | 28,544 | 20,382 |
2023/03 | 連結会社予想 | 120,255 | - | 37,738 | 26,714 |
2022/03 | 連結実績 | 106,026 | - | 27,909 | 20,039 |
2021/03 | 連結実績 | 103,386 | - | 27,581 | 19,337 |
経常収益
営業利益
経常利益
純利益
1株あたりの数値(単位:円)
決算期 | 種別 | EPS | BPS | 配当 |
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2023/03 | 連結会社予想 | 162.43 | 1,257.35 | - |
参考類似企業
銘柄 | 今期予想PER(3/30) |
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住信SBIネ
|
9.2倍 (連結予想) |
事業詳細
インターネット銀行最大手。旧イーバンク銀行。2009年2月に楽天(現楽天グループ)が子会社化し、10年5月に商号変更した。楽天グループの上場後の持ち分は63.33~64.99%の低下にとどまり、親子関係は維持される。
国内にて個人と法人向けに銀行サービスを提供しているほか、台湾でも個人向けに展開している。僅少ながら信託業も手掛ける。2022年12月末現在、口座数1338万口座、預金量8.8兆円。
2022年3月期の連結経常収益は資金運用収益56.4%(貸出金利息42.3%)、役務取引等収益38.1%(為替預金業務22.8%)、その他の業務収益3.9%、その他経常収益0.7%、信託報酬0.9%。2022年末の連結自己資本比率は11.74%。
国内にて個人と法人向けに銀行サービスを提供しているほか、台湾でも個人向けに展開している。僅少ながら信託業も手掛ける。2022年12月末現在、口座数1338万口座、預金量8.8兆円。
2022年3月期の連結経常収益は資金運用収益56.4%(貸出金利息42.3%)、役務取引等収益38.1%(為替預金業務22.8%)、その他の業務収益3.9%、その他経常収益0.7%、信託報酬0.9%。2022年末の連結自己資本比率は11.74%。
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・直近(2022年4月)の特別利害関係者らによる株式売買単価は、分割を遡及(そきゅう)修正すると391円。
・上場後の親会社の株式所有割合は63.33~64.99%の予定であり、親子関係は維持される。
・親会社には180日のロックアップが掛かる。
・売り出し株のうち公開株数の40%に当たる2558万7900株をめどに海外販売する。
〈ファーストインプレッション〉
イーバンク時代はIPO詐欺の代名詞のごとく社名を使われたネット銀行最大手がついに上場となるわけだが、売出人にとっては死活問題の切り売り案件。GMOとは対象的に親子上場は避けてきた楽天にとって虎の子を売り出するからには、ファンド以上に安売りは避けたい動機が存在する。
ただ不可解なほどに住信SBI銀株は底堅く、これが後続のビッグディールに備えてのことだとすれば、楽天証券の上場も控える楽天銀行で何とか格好付けてくる可能性がありそう。とはいえ上昇幅を多く残すくらいなら親会社が取りたいだろうから、投資判断とすれば見送りでいいのではないか。
なお、住信SBI銀との大きな違いは貸出金が少ないことだ。資産に占める貸出金の割合は住信SBI銀の半分以下の3割程度にとどまる。それでいて経常収益に占める貸出金利息の割合は両行とも4割程度と大きな違いにはなっていない。ネット銀行における融資先はほとんどを住宅ローンやカードローンなどの個人向けが占める。住信SBI銀は住宅ローンに注力しているが、楽天銀は昨春までは楽天カードが直接の親会社だった名残りもあり、無担保ゆえ金利の高いカードローンの比率が高いのではないかとみられる。具体的な内訳の開示はないが、業績や中期ビジョンの説明でもカードローンに言及する頻度が多い。
・上場後の親会社の株式所有割合は63.33~64.99%の予定であり、親子関係は維持される。
・親会社には180日のロックアップが掛かる。
・売り出し株のうち公開株数の40%に当たる2558万7900株をめどに海外販売する。
〈ファーストインプレッション〉
イーバンク時代はIPO詐欺の代名詞のごとく社名を使われたネット銀行最大手がついに上場となるわけだが、売出人にとっては死活問題の切り売り案件。GMOとは対象的に親子上場は避けてきた楽天にとって虎の子を売り出するからには、ファンド以上に安売りは避けたい動機が存在する。
ただ不可解なほどに住信SBI銀株は底堅く、これが後続のビッグディールに備えてのことだとすれば、楽天証券の上場も控える楽天銀行で何とか格好付けてくる可能性がありそう。とはいえ上昇幅を多く残すくらいなら親会社が取りたいだろうから、投資判断とすれば見送りでいいのではないか。
なお、住信SBI銀との大きな違いは貸出金が少ないことだ。資産に占める貸出金の割合は住信SBI銀の半分以下の3割程度にとどまる。それでいて経常収益に占める貸出金利息の割合は両行とも4割程度と大きな違いにはなっていない。ネット銀行における融資先はほとんどを住宅ローンやカードローンなどの個人向けが占める。住信SBI銀は住宅ローンに注力しているが、楽天銀は昨春までは楽天カードが直接の親会社だった名残りもあり、無担保ゆえ金利の高いカードローンの比率が高いのではないかとみられる。具体的な内訳の開示はないが、業績や中期ビジョンの説明でもカードローンに言及する頻度が多い。
仮条件分析
(BB参加妙味
:B)
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想定価格: 1,630円 - 1,960円
吸収資金レンジ: 970.0億円 - 1253.8億円(前期予想連結PER: 10.0倍 - 12.1倍)
時価総額レンジ: 2771.3億円 - 3332.4億円
仮条件: 1,300円 - 1,400円
吸収資金レンジ: 773.6億円 - 895.6億円(前期予想連結PER: 8.0倍 - 8.6倍)
時価総額レンジ: 2210.3億円 - 2380.3億円
仮条件は想定仮条件を大幅に下回る100円幅で設定された。想定平均を27.5~22.0%下回る。最大時価総額は約1000億円の減少となる。
〈強材料〉
住信SBI株堅調、楽天証券IPO控える、既存行より成長性あり、割安
〈弱材料〉
大型案件、短期筋回避なしか、銀行株低迷、ネット取り付け騒ぎ、親会社のための上場
〈結論〉
弱めBとする。公開価格が仮条件上限ならば、初値は1400~1500円(前期希薄化後PER:8.9~9.5倍)前後を想定する。
仮条件の大幅下振れ設定で機関投資家らの厳しい見方を確認した形だが、これにより割高感が解消されたうえ、住信SBI銀株は銀行株低迷のなかでもしっかりの展開だ。後続の楽天証券のためにも失敗はできないなか、買い優勢でスタートするとみる。
ネット銀行最大手。貸し出しは住信SBI銀同様、リテール向けに特化するが、住信SBI銀が住宅ローンに注力するのに対し、こちらは楽天経済圏を構成するなかで無担保カードローンも多いといった特徴がある。このため貸出金の割合は住信SBI銀の半分以下なのに、同等の収益性を上げている。
3月決算ゆえ期越え上場ということになるが、業績予想は前23.3期までで今24.3期は開示していない。公募増資を実施するため、前期PERによる比較は希薄化のそ及修正が必要となる。これによる仮条件のPERは8.3~8.9倍であり、5日終値である住信SBI銀の10.8倍に対し、23~18%割安な計算だ。
住信SBI銀に収れんするなら1697円であり、想定仮条件の下限近くには引っ掛かる。必要以上にレンジを下げたことになるが、これは住信SBI銀株が足元で急伸したことで結果的にそうなったということなのだろう。急伸前なら割引率はせいぜい1割強といったところだった。
なお、同行は昨春に中長期ビジョンを発表しており、27.3期に経常利益約700億円の目標を掲げている。これを達成するには今後年率17%の経常増益が必要となるため、24.3期は440億円ということになる。上場を目指す前は1桁成長の期もあった同行だが、23.3期の経常利益は前期比35%増と伸びが加速した会社予想だ。住信SBI銀と比べて貸出金にはかなりの余裕があるうえ、17%の経常増益は24.3期の住信SBI銀の予想と近いペースでもある。ビジョン達成の可能性は十分あると考える。
この計算に基づく今期のPERは7.2~7.7倍となる。これに対し住信SBI銀は9.0倍のため割引率は20~17%となる。今期の前提成長率が近いため、基準は前期でも今期でもあまり変わらない。
一方、最大の懸念事項は住信SBI銀の成功により、今回は逆に短期筋の事前回避があまり期待できなくなったことだ。さらに公開規模も上回るのに仕切るのは野村より営業力の劣る大和だ。市場がプライムという点は有利だが、すぐに住信SBI銀に収れんする展開にはならないだろう。仮条件が大幅に想定から下振れたことで、心理的にも上値期待は後退しやすい。
また、一連の金融危機がネットを介した取り付け騒ぎに端を発するなか、最もそのリスクにさらされているネット銀行の独歩高に持続性があるのかは疑問なところだ。楽天証券ホールディングスのIPOも控えるなか今回も失敗はできないわけだが、初値は同値から住信SBI銀の初値PERに合わせた1500円までの想定にとどめたい。高く付けば付いたで親会社の機会損失になるため、主幹事としてはあまりよろしいことではない。今回の上場はあくまで「親会社の資金調達」が目的だ。
ところで同行の12月末の自己資本比率は11.74%と国内行BIS基準の4%や住信SBI銀の7.64%、さらには一般の銀行と比べてもかなり充実している。だが、後者が中期計画ではROEも目標に入れていることを根拠に上場直前に既存株主に300億円の臨時配当を実施し、公募増資は実施しなかったのに対し、こちらはそうしたことはせず公募も実施する。資金使途は運転資金となっており、既に資金に余裕のあるなかで必要な増資とは言い難い。
公募はマニュアル的に設定しただけ、もしくは親会社のための上場といった印象を少しでも下げるために設定しただけなのかもしれないが、本来の狙いからすれば楽天銀こそ上場前の利益吐き出しが必要だったのではないか。期越え上場かつ既に権利落ちしている23.3期の配当は未定のため後出しでやってくる可能性はあるが、それはそれでだまし討ちの印象がぬぐえない。配当政策の項目では「内部留保の充実を優先」としている。
また、こちらは楽天経済圏にがっちり食い込んでいることが特徴とはなっているものの、逆にグループ外への広がりにはつながりにくい。住信SBI銀の法人顧客の囲い込みにつながるBaaS事業といい、経営戦略や資本政策については住信SBI銀の方が一歩秀でている印象だ。同じ成長率なら教科書的には財務リスクのより少ない方がリスクが取れる(=割高に買える)ということだが、戦略の差が上場後の評価の差につながるかもしれない。
〈追加分析〉
弱めB→B。想定初値を1500~1650円(前期そ及希薄化後PER:9.5~10.5倍)に引き上げる。
銀行株全般は依然としてボックス圏内の値動きにとどまり上値が重いが、住信SBI銀の独歩高が止まらない。10日終値は公開価格を32%上回り、前期PERは12.3倍となった。楽天銀行株がこれに収れんするには想定仮条件の上限価格付近まで上昇しなければならない。
住信SBI銀の上昇要因は楽天銀行では手掛けていないBaaS事業に関連する6日のリリースを材料視しての可能性もあるが、状況としてはカバーの上場直前にエニーカラーが急騰したケースと似てきたといえる。持続性には注意する必要があるが、ひとまずこの動きを追い風と捉え、1500円の節目から想定仮条件下限前後まで見通しを引き上げる
吸収資金レンジ: 970.0億円 - 1253.8億円(前期予想連結PER: 10.0倍 - 12.1倍)
時価総額レンジ: 2771.3億円 - 3332.4億円
仮条件: 1,300円 - 1,400円
吸収資金レンジ: 773.6億円 - 895.6億円(前期予想連結PER: 8.0倍 - 8.6倍)
時価総額レンジ: 2210.3億円 - 2380.3億円
仮条件は想定仮条件を大幅に下回る100円幅で設定された。想定平均を27.5~22.0%下回る。最大時価総額は約1000億円の減少となる。
〈強材料〉
住信SBI株堅調、楽天証券IPO控える、既存行より成長性あり、割安
〈弱材料〉
大型案件、短期筋回避なしか、銀行株低迷、ネット取り付け騒ぎ、親会社のための上場
〈結論〉
弱めBとする。公開価格が仮条件上限ならば、初値は1400~1500円(前期希薄化後PER:8.9~9.5倍)前後を想定する。
仮条件の大幅下振れ設定で機関投資家らの厳しい見方を確認した形だが、これにより割高感が解消されたうえ、住信SBI銀株は銀行株低迷のなかでもしっかりの展開だ。後続の楽天証券のためにも失敗はできないなか、買い優勢でスタートするとみる。
ネット銀行最大手。貸し出しは住信SBI銀同様、リテール向けに特化するが、住信SBI銀が住宅ローンに注力するのに対し、こちらは楽天経済圏を構成するなかで無担保カードローンも多いといった特徴がある。このため貸出金の割合は住信SBI銀の半分以下なのに、同等の収益性を上げている。
3月決算ゆえ期越え上場ということになるが、業績予想は前23.3期までで今24.3期は開示していない。公募増資を実施するため、前期PERによる比較は希薄化のそ及修正が必要となる。これによる仮条件のPERは8.3~8.9倍であり、5日終値である住信SBI銀の10.8倍に対し、23~18%割安な計算だ。
住信SBI銀に収れんするなら1697円であり、想定仮条件の下限近くには引っ掛かる。必要以上にレンジを下げたことになるが、これは住信SBI銀株が足元で急伸したことで結果的にそうなったということなのだろう。急伸前なら割引率はせいぜい1割強といったところだった。
なお、同行は昨春に中長期ビジョンを発表しており、27.3期に経常利益約700億円の目標を掲げている。これを達成するには今後年率17%の経常増益が必要となるため、24.3期は440億円ということになる。上場を目指す前は1桁成長の期もあった同行だが、23.3期の経常利益は前期比35%増と伸びが加速した会社予想だ。住信SBI銀と比べて貸出金にはかなりの余裕があるうえ、17%の経常増益は24.3期の住信SBI銀の予想と近いペースでもある。ビジョン達成の可能性は十分あると考える。
この計算に基づく今期のPERは7.2~7.7倍となる。これに対し住信SBI銀は9.0倍のため割引率は20~17%となる。今期の前提成長率が近いため、基準は前期でも今期でもあまり変わらない。
一方、最大の懸念事項は住信SBI銀の成功により、今回は逆に短期筋の事前回避があまり期待できなくなったことだ。さらに公開規模も上回るのに仕切るのは野村より営業力の劣る大和だ。市場がプライムという点は有利だが、すぐに住信SBI銀に収れんする展開にはならないだろう。仮条件が大幅に想定から下振れたことで、心理的にも上値期待は後退しやすい。
また、一連の金融危機がネットを介した取り付け騒ぎに端を発するなか、最もそのリスクにさらされているネット銀行の独歩高に持続性があるのかは疑問なところだ。楽天証券ホールディングスのIPOも控えるなか今回も失敗はできないわけだが、初値は同値から住信SBI銀の初値PERに合わせた1500円までの想定にとどめたい。高く付けば付いたで親会社の機会損失になるため、主幹事としてはあまりよろしいことではない。今回の上場はあくまで「親会社の資金調達」が目的だ。
ところで同行の12月末の自己資本比率は11.74%と国内行BIS基準の4%や住信SBI銀の7.64%、さらには一般の銀行と比べてもかなり充実している。だが、後者が中期計画ではROEも目標に入れていることを根拠に上場直前に既存株主に300億円の臨時配当を実施し、公募増資は実施しなかったのに対し、こちらはそうしたことはせず公募も実施する。資金使途は運転資金となっており、既に資金に余裕のあるなかで必要な増資とは言い難い。
公募はマニュアル的に設定しただけ、もしくは親会社のための上場といった印象を少しでも下げるために設定しただけなのかもしれないが、本来の狙いからすれば楽天銀こそ上場前の利益吐き出しが必要だったのではないか。期越え上場かつ既に権利落ちしている23.3期の配当は未定のため後出しでやってくる可能性はあるが、それはそれでだまし討ちの印象がぬぐえない。配当政策の項目では「内部留保の充実を優先」としている。
また、こちらは楽天経済圏にがっちり食い込んでいることが特徴とはなっているものの、逆にグループ外への広がりにはつながりにくい。住信SBI銀の法人顧客の囲い込みにつながるBaaS事業といい、経営戦略や資本政策については住信SBI銀の方が一歩秀でている印象だ。同じ成長率なら教科書的には財務リスクのより少ない方がリスクが取れる(=割高に買える)ということだが、戦略の差が上場後の評価の差につながるかもしれない。
〈追加分析〉
弱めB→B。想定初値を1500~1650円(前期そ及希薄化後PER:9.5~10.5倍)に引き上げる。
銀行株全般は依然としてボックス圏内の値動きにとどまり上値が重いが、住信SBI銀の独歩高が止まらない。10日終値は公開価格を32%上回り、前期PERは12.3倍となった。楽天銀行株がこれに収れんするには想定仮条件の上限価格付近まで上昇しなければならない。
住信SBI銀の上昇要因は楽天銀行では手掛けていないBaaS事業に関連する6日のリリースを材料視しての可能性もあるが、状況としてはカバーの上場直前にエニーカラーが急騰したケースと似てきたといえる。持続性には注意する必要があるが、ひとまずこの動きを追い風と捉え、1500円の節目から想定仮条件下限前後まで見通しを引き上げる
公開価格分析
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公開価格: 1,400円
吸収資金: 895.6億円(前期予想連結PER: 8.6倍)
時価総額: 2,380.3億円
公開価格、追加売り出し株数ともに上限で決まった。引受価額は1330円。訂正目論見書によればブックビルディングの状況は、申告された総需要株式数が公開株式数を十分に上回り、総件数が多数にわたっていたうえ、需要の相当数が仮条件の上限だったことが特徴だった。
一方、国内外の配分は見直され、海外売り出し株数は公開株数のちょうど半分に当たる3198万4900株に引き上げられた。
国内売り出し:28,363,400株→21,966,400株
海外売り出し:25,587,900株→31,984,900株
想定初値の上限をさらに1700円(前期希薄化後PER:10.8倍)に引き上げる。
仮条件決定時には変更のなかった海外配分が引き上げられた。住信SBI銀の時には変更はなく、前回承認時からは引き下げだったのに比べると真逆の措置だ。銀行株全般は依然として弱いなか、明らかにブックビルディング中に騰勢を強めた住信SBI銀株を受けての結果だろう。考えることは世界みな一緒だ。
住信SBI銀株がなぜこんなに上げているかについては、あまりよく分かっていないことには一抹の不安があるが、世界的に連れ高期待が高まっていることは確認できた。前期PERの比較であれば、楽天銀株は既に2000円が期待できる計算だ。公開規模が大きく、他の銀行株の戻りは依然として鈍いためそのまま収れんする展開は考えないが、中間までは想定する必要があると考える。
吸収資金: 895.6億円(前期予想連結PER: 8.6倍)
時価総額: 2,380.3億円
公開価格、追加売り出し株数ともに上限で決まった。引受価額は1330円。訂正目論見書によればブックビルディングの状況は、申告された総需要株式数が公開株式数を十分に上回り、総件数が多数にわたっていたうえ、需要の相当数が仮条件の上限だったことが特徴だった。
一方、国内外の配分は見直され、海外売り出し株数は公開株数のちょうど半分に当たる3198万4900株に引き上げられた。
国内売り出し:28,363,400株→21,966,400株
海外売り出し:25,587,900株→31,984,900株
想定初値の上限をさらに1700円(前期希薄化後PER:10.8倍)に引き上げる。
仮条件決定時には変更のなかった海外配分が引き上げられた。住信SBI銀の時には変更はなく、前回承認時からは引き下げだったのに比べると真逆の措置だ。銀行株全般は依然として弱いなか、明らかにブックビルディング中に騰勢を強めた住信SBI銀株を受けての結果だろう。考えることは世界みな一緒だ。
住信SBI銀株がなぜこんなに上げているかについては、あまりよく分かっていないことには一抹の不安があるが、世界的に連れ高期待が高まっていることは確認できた。前期PERの比較であれば、楽天銀株は既に2000円が期待できる計算だ。公開規模が大きく、他の銀行株の戻りは依然として鈍いためそのまま収れんする展開は考えないが、中間までは想定する必要があると考える。
初値予想
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初値予想: 1,800円(前期予想連結PER: 11.1倍)
初値買い妙味: B
初値堅調を予想する。SVBショック冷めやらぬなかでの仮条件設定と、その後の競合株の急伸により結果的に割安感の強い値付けになった。一方、ネット証券の国内引受シェアが18%あり、個人の早売りが上値を抑制することにはなるだろうが、外部環境も着実に改善するなか初値では3割弱の上昇を見込む。
ネット銀行最大手。旧イーバンク銀行を2009年2月に楽天が買収し、現在の商号となった。楽天経済圏に深く根ざした経営を特徴としており、貸出先は同じ個人向けでも住信SBI銀が住宅ローンに注力するのに対し、こちらは収益性の高い無担保カードローンにも力を入れる。このため貸出金は住信SBI銀の3割程度にとどまるが、同等の収益性を確保する。
SVBショックがまだ冷めやらぬなかでの値付けとなったことで、結果的に公開価格は割安感が強まった。承認当初の想定仮条件は1630~1960円のレンジ表示だったが、銀行株の低迷が続くなか仮条件はさらに想定平均を27.5~22.0%下回るレンジで設定された。
ところが設定に前後して住信SBI銀株が急伸し始めた。ブックビルディング中も上げ続け、住信SBI銀の前期式PERは12倍台前半まで上昇した。これに合わせると、公募増資による希薄化をそ及修正した前期PERでは2000円前後が算出されることになり、結果的にレンジの引き下げは必要なかったことになった。
競合株の急伸を受けてブックビルディングは活況を呈したもよう。特に住信SBI銀のときは冷ややかだった海外勢もがぜん強気に傾き、6:4だった国内外の配分は5:5に見直された。
経営戦略に違いのある両行ではあるが、銀行業含む金融業は差別化しにくい業態でもあり、実力はほぼ拮抗している。同行の業績予想は経常利益377億円とする前23.3期までで、今24.3期は開示していないが、昨春に発表した中期経営計画では27.3期の経常利益目標を700億円とした。この計画に沿えば今後は前期比17%のペースで成長していくことになり、今期は440億円程度が予想される。東洋経済新報社の予想では450億円となっており、いずれにしろ400億円台半ばが意識される。一方、住信SBI銀は17%増の400億円で会社予想を出している。
また、直近の自己資本比率は住信SBI銀の7.64%に対し、楽天銀は11.74%と高いうえに公募増資を実施していため、さらに増強される。収益性の高いカードローンに強みを持つうえ貸出金や財務に余裕のある分、潜在能力に関してはこちらの方が高いとみることさえできる。この点に注目しPBRを基準にすると、2400円弱まで買える計算だ。
ただ楽天経済圏にがっちり食い込んでいることは他のグループへの展開を難しくさせ、親会社の苦境などもリスクとみる向きもある。また、財務の余裕は逆にいえば現状で持て余しているともいえ、これだけ自己資本比率の充実しているなかで公募を実施する意味は分かりにくい。
住信SBI銀は経営指標にROEも入れていることから公募増資を実施しなかったが、楽天銀行は入れていない。不必要に資本増強をすることからも、今のところ資本効率を念頭に置いた経営はしていないのだろう。潜在能力の高さを発揮することは当面ないと考えられ、住信SBI銀との比較はPERで十分とみる。銀行株の比較ではPBRが引き合いに出されることも多いが、そもそも両行とも既に1倍を超えているため意味合いも薄い。
セカンダリーでは2000円が目安になるなか、初値ではどこまで迫れるかが焦点だ。資金力豊かな海外勢の注目も浴びるため、公開規模の大きさを克服していきなり収れんする可能性さえある。だが、国内引受団のうちネット証券のシェアが18%に上ることから、個人の早売りが値を抑えることになろう。
一方、スタンダード市場の案件でも連続して売買代金が2桁億円に乗せるなど、4月に入って今年も例年通り地合いは強まっている。住信SBI銀以外の銀行株も足元堅調に推移しており、TOPIX銀行業指数はSVBショックによる下落の約半分を取り戻した。外部環境が着実に改善するなか、初値は公開価格と2000円との中間となる1700円にさらに100円上乗せして予想する。
初値買い妙味: B
初値堅調を予想する。SVBショック冷めやらぬなかでの仮条件設定と、その後の競合株の急伸により結果的に割安感の強い値付けになった。一方、ネット証券の国内引受シェアが18%あり、個人の早売りが上値を抑制することにはなるだろうが、外部環境も着実に改善するなか初値では3割弱の上昇を見込む。
ネット銀行最大手。旧イーバンク銀行を2009年2月に楽天が買収し、現在の商号となった。楽天経済圏に深く根ざした経営を特徴としており、貸出先は同じ個人向けでも住信SBI銀が住宅ローンに注力するのに対し、こちらは収益性の高い無担保カードローンにも力を入れる。このため貸出金は住信SBI銀の3割程度にとどまるが、同等の収益性を確保する。
SVBショックがまだ冷めやらぬなかでの値付けとなったことで、結果的に公開価格は割安感が強まった。承認当初の想定仮条件は1630~1960円のレンジ表示だったが、銀行株の低迷が続くなか仮条件はさらに想定平均を27.5~22.0%下回るレンジで設定された。
ところが設定に前後して住信SBI銀株が急伸し始めた。ブックビルディング中も上げ続け、住信SBI銀の前期式PERは12倍台前半まで上昇した。これに合わせると、公募増資による希薄化をそ及修正した前期PERでは2000円前後が算出されることになり、結果的にレンジの引き下げは必要なかったことになった。
競合株の急伸を受けてブックビルディングは活況を呈したもよう。特に住信SBI銀のときは冷ややかだった海外勢もがぜん強気に傾き、6:4だった国内外の配分は5:5に見直された。
経営戦略に違いのある両行ではあるが、銀行業含む金融業は差別化しにくい業態でもあり、実力はほぼ拮抗している。同行の業績予想は経常利益377億円とする前23.3期までで、今24.3期は開示していないが、昨春に発表した中期経営計画では27.3期の経常利益目標を700億円とした。この計画に沿えば今後は前期比17%のペースで成長していくことになり、今期は440億円程度が予想される。東洋経済新報社の予想では450億円となっており、いずれにしろ400億円台半ばが意識される。一方、住信SBI銀は17%増の400億円で会社予想を出している。
また、直近の自己資本比率は住信SBI銀の7.64%に対し、楽天銀は11.74%と高いうえに公募増資を実施していため、さらに増強される。収益性の高いカードローンに強みを持つうえ貸出金や財務に余裕のある分、潜在能力に関してはこちらの方が高いとみることさえできる。この点に注目しPBRを基準にすると、2400円弱まで買える計算だ。
ただ楽天経済圏にがっちり食い込んでいることは他のグループへの展開を難しくさせ、親会社の苦境などもリスクとみる向きもある。また、財務の余裕は逆にいえば現状で持て余しているともいえ、これだけ自己資本比率の充実しているなかで公募を実施する意味は分かりにくい。
住信SBI銀は経営指標にROEも入れていることから公募増資を実施しなかったが、楽天銀行は入れていない。不必要に資本増強をすることからも、今のところ資本効率を念頭に置いた経営はしていないのだろう。潜在能力の高さを発揮することは当面ないと考えられ、住信SBI銀との比較はPERで十分とみる。銀行株の比較ではPBRが引き合いに出されることも多いが、そもそも両行とも既に1倍を超えているため意味合いも薄い。
セカンダリーでは2000円が目安になるなか、初値ではどこまで迫れるかが焦点だ。資金力豊かな海外勢の注目も浴びるため、公開規模の大きさを克服していきなり収れんする可能性さえある。だが、国内引受団のうちネット証券のシェアが18%に上ることから、個人の早売りが値を抑えることになろう。
一方、スタンダード市場の案件でも連続して売買代金が2桁億円に乗せるなど、4月に入って今年も例年通り地合いは強まっている。住信SBI銀以外の銀行株も足元堅調に推移しており、TOPIX銀行業指数はSVBショックによる下落の約半分を取り戻した。外部環境が着実に改善するなか、初値は公開価格と2000円との中間となる1700円にさらに100円上乗せして予想する。
初値分析
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初値: 1,856円(前期予想連結PER: 11.4倍)
/ 上昇率: 32.6%
/ 高値: 1,965円
/ 安値: 1,854円
/ 終値: 1,930円
出来高: 54,230,000株 / 対公開株数: 84.8% / 初値出来高: 16,615,900株 / 初値売買代金: 30,839,110,400円
堅調な初値が付いた。前夜にグレーマーケットの取引価格が1800円と伝わったこともあり、寄り前気配の段階で同価格が意識されることとなったが、買い気が強く9時直前には上振れるように。大型案件のため競り上がりは限定的ではあったが、1800円台半ば過ぎの売り買い一致となった。また、住信SBI銀が公開価格から約3割強上昇していたことからも、もともと3割の上昇は目安にされやすかったようだ。
寄り付き後は一段高となったが、1900円台には入ると値動きは乏しくなった。想定仮条件の上限1960円にも到達したことで2000円を前に一巡感が出た。週末を前に後場はやや売りに押され気味の展開だった。
セカンダリーはしっかりの展開を想定する。当面は2000円を前に足踏みだろうが、住信SBI銀にないアドバンテージとして、こちらはプライムに直接上場した強みがある。TOPIX組み入れのある来月末に向けて強含みやすい。SMBC日興証券ではリバランス日の需要を892万6000株と計算している。
また、来月10日には決算発表を控える。住信SBI銀と違って今期予想がまだ開示されていないため、この前後でも株価が動くイベントになり得る。さらに1カ月経過後にはカバレッジ解禁も控える。組み入れまでの各種イベントをこなすことで2000円台に乗せ、その過程で住信SBI銀にアドバンテージを取る展開もありそう。その際は潜在能力を参考に、PBRで並ぶ2400円程度までがめどになるのではないかとみる。
出来高: 54,230,000株 / 対公開株数: 84.8% / 初値出来高: 16,615,900株 / 初値売買代金: 30,839,110,400円
堅調な初値が付いた。前夜にグレーマーケットの取引価格が1800円と伝わったこともあり、寄り前気配の段階で同価格が意識されることとなったが、買い気が強く9時直前には上振れるように。大型案件のため競り上がりは限定的ではあったが、1800円台半ば過ぎの売り買い一致となった。また、住信SBI銀が公開価格から約3割強上昇していたことからも、もともと3割の上昇は目安にされやすかったようだ。
寄り付き後は一段高となったが、1900円台には入ると値動きは乏しくなった。想定仮条件の上限1960円にも到達したことで2000円を前に一巡感が出た。週末を前に後場はやや売りに押され気味の展開だった。
セカンダリーはしっかりの展開を想定する。当面は2000円を前に足踏みだろうが、住信SBI銀にないアドバンテージとして、こちらはプライムに直接上場した強みがある。TOPIX組み入れのある来月末に向けて強含みやすい。SMBC日興証券ではリバランス日の需要を892万6000株と計算している。
また、来月10日には決算発表を控える。住信SBI銀と違って今期予想がまだ開示されていないため、この前後でも株価が動くイベントになり得る。さらに1カ月経過後にはカバレッジ解禁も控える。組み入れまでの各種イベントをこなすことで2000円台に乗せ、その過程で住信SBI銀にアドバンテージを取る展開もありそう。その際は潜在能力を参考に、PBRで並ぶ2400円程度までがめどになるのではないかとみる。
追加情報
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楽天銀、グレー市場1800円の観測
一部報道によると楽天銀行株は20日午後、グレーマーケット(業者間相対取引)で1800円で取引されたもよう。
一部報道によると楽天銀行株は20日午後、グレーマーケット(業者間相対取引)で1800円で取引されたもよう。