IPO銘柄詳細
コード | 市場 | 業種 | 売買単位 | 注目度 |
---|---|---|---|---|
6034 | マザーズ | サービス業 | 100株 | A |
注目のIPO銘柄
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スケジュール
スケジュール | |
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仮条件決定 | 2014/12/08 |
ブックビルディング期間 | 2014/12/10 - 12/16 |
公開価格決定 | 2014/12/17 |
申込期間 | 2014/12/18 - 12/24 |
払込期日 | 2014/12/25 |
上場日 | 2014/12/26 |
価格情報 | |
---|---|
想定価格 | 720円 |
仮条件 | 750 - 800円 |
公開価格 | 800円 |
初値予想 | 2,000円 |
初値 | 3,275円 |
- スケジュールは上場企業都合により変更になる場合があります。
基本情報
代表者名 | 馬場 稔正/1973年生 |
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本店所在地 | 東京都新宿区西新宿 新宿野村ビル36階 |
設立年 | 2000年 |
従業員数 | 57人 (2014/10/31現在) |
事業内容 | インターネットを活用した医療人材紹介事業 |
URL | http://medrt.co.jp/ |
株主数 | 71人 (目論見書より、潜在株式のみの株主も含む) |
資本金 | 49,000,000円 (2014/11/21現在) |
上場時発行済株数 | 2,260,000株(別に潜在株式334,700株) |
公開株数 | 839,500株(公募480,000株、売り出し250,000株、オーバーアロットメント109,500株) |
調達資金使途 | ソフトウエア開発、医師会員獲得の費用、人材採用の人件費、オフィス移転費 |
連結会社 | なし |
シンジケート
公開株数730,000株(別に109,500株)
種別 | 証券会社名 | 株数 | 比率 |
---|---|---|---|
主幹事証券 | 大和 | 657,000 | 90.00% |
引受証券 | SBI | 36,500 | 5.00% |
引受証券 | みずほ | 21,900 | 3.00% |
引受証券 | マネックス | 14,600 | 2.00% |
大株主(潜在株式を含む)
大株主名 | 摘要 | 株数 | 比率 |
---|---|---|---|
冨田医療研究所 | 役員らが議決権の過半数を所有する会社 | 600,000 | 28.36% |
馬場稔正 | 代表取締役執行役員社長 | 600,000 | 28.36% |
冨田兵衛 | 取締役会長 | 520,000 | 24.58% |
冨田留美 | 役員の配偶者 | 160,000 | 7.56% |
小川智也 | 取締役執行役員 | 80,000 | 3.78% |
工藤郁哉 | 取締役執行役員 | 20,000 | 0.95% |
西川潔 | 取締役 | 20,000 | 0.95% |
鷲尾州一郎 | 取締役執行役員 | 20,000 | 0.95% |
横山聡子 | 従業員 | 8,200 | 0.39% |
後藤志麻 | 従業員 | 8,200 | 0.39% |
業績動向(単位:百万円)
決算期 | 種別 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 |
---|---|---|---|---|---|
2015/03 | 単独予想 | 830 | 166 | 150 | 95 |
2014/09 | 単独中間実績 | 452 | 145 | 143 | 91 |
2014/03 | 単独実績 | 728 | 55 | 68 | 6 |
2013/03 | 単独実績 | 711 | 221 | 223 | 76 |
売上高
営業利益
経常利益
純利益
1株あたりの数値(単位:円)
決算期 | 種別 | EPS | BPS | 配当 |
---|---|---|---|---|
2015/03 | 単独予想 | 50.19 | 298.91 | 0.00 |
参考類似企業
事業詳細
医師紹介サイト「MedRT.com」(メッドアールティドットコム)を運営している。東京大学医学部附属病院の医師の互助組織として発足した経緯がある。医療分野の人材ネットワークを強みとし、非常勤医師や常勤医師の紹介を中心とした医療人材紹介事業を展開している。以前の社名はメディカル・リサーチ・テクノロジーで、2014年9月にその略に変更した。
医師ネット紹介は、大別すると非常勤医師紹介業務(外勤紹介)「Gaikin」と常勤医師紹介業務(医師転職紹介)「career」に分けられる。紹介手数料は医療機関から受け取る。前者については医師は同社のサイトを使用することで、換金性のあるMRTポイント付与される。
その他事業として、コメディカルといわれる看護師、薬剤師、臨床検査技師、臨床工学技士、放射線技師向けのアルバイト紹介、転職紹介も手掛けている。ただし、MRTポイント制度はない。
2014年3月期の売上高構成比は、医師ネット紹介93.2%(非常勤医師紹介業務75.4%、常勤医師紹介業務17.8%)、その他6.8%。
医師ネット紹介は、大別すると非常勤医師紹介業務(外勤紹介)「Gaikin」と常勤医師紹介業務(医師転職紹介)「career」に分けられる。紹介手数料は医療機関から受け取る。前者については医師は同社のサイトを使用することで、換金性のあるMRTポイント付与される。
その他事業として、コメディカルといわれる看護師、薬剤師、臨床検査技師、臨床工学技士、放射線技師向けのアルバイト紹介、転職紹介も手掛けている。ただし、MRTポイント制度はない。
2014年3月期の売上高構成比は、医師ネット紹介93.2%(非常勤医師紹介業務75.4%、常勤医師紹介業務17.8%)、その他6.8%。
コメント
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・直近(2012年8月)の第三者割当増資の発行単価は、分割を遡及(そきゅう)修正すると100円。
・大株主上位6名の持ち株(既存の現物株保有者全員)には90日間のロックアップが掛かる。
・ベンチャーキャピタル保有株はなし。
<ファーストインプレッション>
医師紹介はこれまで参入を試みる企業が多いが、あまり物になってはいない。既存の医局制度に阻まれることが多いとされるためで、このことでは同社はかなり有利な立ち位置にいる。ネットを使った外勤システムそのものにも新奇性があり、年内最後のIPOとして人気化しそうだ。訴訟3つに刑事事件を抱えたまま上場が承認されたことが一部で話題なっているが、既に引当金は計上されており、ひとまず問題はないだろう。
・大株主上位6名の持ち株(既存の現物株保有者全員)には90日間のロックアップが掛かる。
・ベンチャーキャピタル保有株はなし。
<ファーストインプレッション>
医師紹介はこれまで参入を試みる企業が多いが、あまり物になってはいない。既存の医局制度に阻まれることが多いとされるためで、このことでは同社はかなり有利な立ち位置にいる。ネットを使った外勤システムそのものにも新奇性があり、年内最後のIPOとして人気化しそうだ。訴訟3つに刑事事件を抱えたまま上場が承認されたことが一部で話題なっているが、既に引当金は計上されており、ひとまず問題はないだろう。
仮条件分析
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想定価格: 720円
吸収資金レンジ: 5.3億円 - 6.0億円(今期予想単独PER: 14.3倍)
時価総額レンジ: 16.3億円
仮条件: 750円 - 800円
吸収資金レンジ: 5.5億円 - 6.7億円(今期予想単独PER: 14.9倍 - 15.9倍)
時価総額レンジ: 17.0億円 - 18.1億円
仮条件は想定価格を4.17~11.11%上回って決まった。
<強気材料>
年内ラスト、同日上場なし、吸収金額少ない、ネット業態、業績堅調、VCなし、伸びしろあり
<弱気材料>
訴訟複数あり、ガバメンナンスに問題ありか、関東以外に課題、競合あり、ロック解除要件なし、既に伸び鈍化、前日にカヤック
<結論>
Sとする。公開価格が仮条件上限ならば、初値は3倍の2400円以上を予想する。
係争中の訴訟や刑事事件を抱えたままの上場になるが、引当金は積んでおり既にサンクコスト。年内ラストのIPOは短期資金が流入しやすく、小型のネット業態だけに今回も同様となろう。
前期の業績は社内外のセキュリティー強化や、成長のための営業や管理部門の人員増、広告宣伝などの費用がかさみ営業利益は前期比85%減。同社では2012年に情報漏えい事件を従業員が起こしており、対応に追われた。
この事件は今年10月に容疑者が逮捕されており、その時の報道によれば、元システムエンジニアは個人情報を持ち出し12年7月に退職。9月にメディカル社の元社長らが設立した競合(iDoctor)の設立にかかわったという。なお、元社長は情報利用を否定している。
同社では訴訟を複数抱えたまま承認されたことが話題となっているが、係争相手はいずれもシステム担当の役職員だ。内容はパワハラとなっているが、同事件を発端にしたゴタゴタとみられる。ただ、時系列的に見ると情報漏えい事件自体がパワハラによる腹いせが発端とも見られる。
ただ医師会員の登録や非常勤医師の紹介実績は順調に伸び、経営資源を減らした転職売上高が足を引っ張ったものの売上高は2.4%伸びた。医師会員は今期に入っても伸びており、今通期での売上高は14.0%増を会社は予想している。営業利益も急回復する見込み。
同社の強みは東大医学部付属病院の互助組織を前身にしている点で、業界の人事慣習を熟知し、医師同士のネットワークを既に持っている。医師転職サービスはさまざまな企業が参入しているが、医療業界独特の医師会制度に阻まれ、どこもものになっていない。なお、非常勤医師のマッチングについてもエムスリーが競合する。
医師の世界は組織に人事担当者がいるわけでなく、大抵は院長が権限を持って切り盛りする。別業界から参入しても営業がネックになりやすい。同社の伸びも速いわけではないが、その点で組織内部の医師が始めたことでは有利な立ち位置だ。
同社の創業者は現在代表権のない取締役会長の冨田兵衛氏で、家族で大株主の冨田留美氏とともに都内でクリニックを経営する現役の医師である。同社株は冨田家の資産管理会社が筆頭株主となっており、一族で上場後も過半数の議決権を維持する。同社は実質的には今も冨田会長の会社だと言える。
一方、現在の社長を務める馬場氏は医療事務畑を歩んできた人物で、過去には会長の医療法人で事務長や資産管理会社で代表を務めたことがある。経歴的に冨田家の子飼い番頭と言ったところ。上場前説明会では会長は出席せず社長が話していたが、いかにもそうした印象だった。社長として株式は60万株(うち潜在株20万株)を保有するが、売り出しに25万株回すため上場後は15%に落ちる。ストックオプションの分を除けば6.63%に過ぎなくなる。
実質的に現役医師が経営する会社としては、今夏にメドピアが上場し、ファンドによる買い付けも話題になった。市場は当初の段階ではエムスリーを含めた銘柄に対し、大幅に低いPERを修正しようとする動きを見せそうだ。仮条件も上限は2桁の上振れ設定で市場の買い付け意欲は高い。
同社の場合、今のところカネのなる木である医薬品業界への導線は持っていない。公開価格が大幅に割安というわけではないが、人気のネット業態であり、年内最後のIPOとして実力とはかけ離れた評価にはなるだろう。同社の会員はまだ1都3県が7割で、まだ成長余地も大きい。
メドピアの初値売買代金を基にそのまま算出すると初値は5.7倍にも上る。ただし、これでは初値は大納会になってしまう。需給的に次週への持ち越しは仕方がないが、エムスリーのような高成長シナリオは適用できないため、メドピアのように高値でもファンドが買うことはないだろう。
ただ半分と見ても3倍は視野に入る計算。短期筋主導のため直前の動向に大きく左右されることにはなるが、業態人気と規模の面では初日持ち越しで2日目も買い気配の可能性が高い。
なお、年内にCRIミドルウェアの上昇率を超える銘柄が出るとすれば需給的には最終週の可能性が高く、ネームバリューで勝るカヤックか、需給が有利な同社株だと考える(内容的にはサイジニアだが)。ただし、両社とも今年セカンダリーで高騰する銘柄の共通点となった技術面での個別材料には乏しい。鍵となるのは年末特有の勢づきやすい相場環境のみである。
吸収資金レンジ: 5.3億円 - 6.0億円(今期予想単独PER: 14.3倍)
時価総額レンジ: 16.3億円
仮条件: 750円 - 800円
吸収資金レンジ: 5.5億円 - 6.7億円(今期予想単独PER: 14.9倍 - 15.9倍)
時価総額レンジ: 17.0億円 - 18.1億円
仮条件は想定価格を4.17~11.11%上回って決まった。
<強気材料>
年内ラスト、同日上場なし、吸収金額少ない、ネット業態、業績堅調、VCなし、伸びしろあり
<弱気材料>
訴訟複数あり、ガバメンナンスに問題ありか、関東以外に課題、競合あり、ロック解除要件なし、既に伸び鈍化、前日にカヤック
<結論>
Sとする。公開価格が仮条件上限ならば、初値は3倍の2400円以上を予想する。
係争中の訴訟や刑事事件を抱えたままの上場になるが、引当金は積んでおり既にサンクコスト。年内ラストのIPOは短期資金が流入しやすく、小型のネット業態だけに今回も同様となろう。
前期の業績は社内外のセキュリティー強化や、成長のための営業や管理部門の人員増、広告宣伝などの費用がかさみ営業利益は前期比85%減。同社では2012年に情報漏えい事件を従業員が起こしており、対応に追われた。
この事件は今年10月に容疑者が逮捕されており、その時の報道によれば、元システムエンジニアは個人情報を持ち出し12年7月に退職。9月にメディカル社の元社長らが設立した競合(iDoctor)の設立にかかわったという。なお、元社長は情報利用を否定している。
同社では訴訟を複数抱えたまま承認されたことが話題となっているが、係争相手はいずれもシステム担当の役職員だ。内容はパワハラとなっているが、同事件を発端にしたゴタゴタとみられる。ただ、時系列的に見ると情報漏えい事件自体がパワハラによる腹いせが発端とも見られる。
ただ医師会員の登録や非常勤医師の紹介実績は順調に伸び、経営資源を減らした転職売上高が足を引っ張ったものの売上高は2.4%伸びた。医師会員は今期に入っても伸びており、今通期での売上高は14.0%増を会社は予想している。営業利益も急回復する見込み。
同社の強みは東大医学部付属病院の互助組織を前身にしている点で、業界の人事慣習を熟知し、医師同士のネットワークを既に持っている。医師転職サービスはさまざまな企業が参入しているが、医療業界独特の医師会制度に阻まれ、どこもものになっていない。なお、非常勤医師のマッチングについてもエムスリーが競合する。
医師の世界は組織に人事担当者がいるわけでなく、大抵は院長が権限を持って切り盛りする。別業界から参入しても営業がネックになりやすい。同社の伸びも速いわけではないが、その点で組織内部の医師が始めたことでは有利な立ち位置だ。
同社の創業者は現在代表権のない取締役会長の冨田兵衛氏で、家族で大株主の冨田留美氏とともに都内でクリニックを経営する現役の医師である。同社株は冨田家の資産管理会社が筆頭株主となっており、一族で上場後も過半数の議決権を維持する。同社は実質的には今も冨田会長の会社だと言える。
一方、現在の社長を務める馬場氏は医療事務畑を歩んできた人物で、過去には会長の医療法人で事務長や資産管理会社で代表を務めたことがある。経歴的に冨田家の子飼い番頭と言ったところ。上場前説明会では会長は出席せず社長が話していたが、いかにもそうした印象だった。社長として株式は60万株(うち潜在株20万株)を保有するが、売り出しに25万株回すため上場後は15%に落ちる。ストックオプションの分を除けば6.63%に過ぎなくなる。
実質的に現役医師が経営する会社としては、今夏にメドピアが上場し、ファンドによる買い付けも話題になった。市場は当初の段階ではエムスリーを含めた銘柄に対し、大幅に低いPERを修正しようとする動きを見せそうだ。仮条件も上限は2桁の上振れ設定で市場の買い付け意欲は高い。
同社の場合、今のところカネのなる木である医薬品業界への導線は持っていない。公開価格が大幅に割安というわけではないが、人気のネット業態であり、年内最後のIPOとして実力とはかけ離れた評価にはなるだろう。同社の会員はまだ1都3県が7割で、まだ成長余地も大きい。
メドピアの初値売買代金を基にそのまま算出すると初値は5.7倍にも上る。ただし、これでは初値は大納会になってしまう。需給的に次週への持ち越しは仕方がないが、エムスリーのような高成長シナリオは適用できないため、メドピアのように高値でもファンドが買うことはないだろう。
ただ半分と見ても3倍は視野に入る計算。短期筋主導のため直前の動向に大きく左右されることにはなるが、業態人気と規模の面では初日持ち越しで2日目も買い気配の可能性が高い。
なお、年内にCRIミドルウェアの上昇率を超える銘柄が出るとすれば需給的には最終週の可能性が高く、ネームバリューで勝るカヤックか、需給が有利な同社株だと考える(内容的にはサイジニアだが)。ただし、両社とも今年セカンダリーで高騰する銘柄の共通点となった技術面での個別材料には乏しい。鍵となるのは年末特有の勢づきやすい相場環境のみである。
公開価格分析
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公開価格: 800円
吸収資金: 6.7億円(今期予想単独PER: 15.9倍)
時価総額: 18.1億円
公開価格、追加売り出し株数ともに上限で決まった。引受価額は736円。訂正目論見書によれば、ブックビルディングの状況は、申告された総需要株式数が公開株式数を十分に上回り、総件数が多数にわたっていたうえ、相当数が仮条件の上限価格であったことが特徴だった。
IPOラッシュで買い手の勢いは欠けてきたが、今年のアンカーとしてマネーゲーム化を期待する。来週は大型案件がなくなり、海外投資家不在のクリスマス以降は毎年小型株相場になりやすい。特に同社株は吸収金額が少なく、VCも不在。人気の医療ネット系と初値飛ぶ条件を兼ねそろえている。スネに傷を持つ銘柄ではあるが、祭りの最後を飾るみこしとしては軽くて最適だ。
なお、退職した元取締役との紛争は、上場承認で新たな発展があった。退職時の合意書を解除して元取締役から取締役会長の冨田兵衛氏に譲渡された80株(株式分割後16万株)を、同元取締役に復帰させるよう通知する内容証明郵便物を会長が受け取ったとして18日に追加で訂正目論見書を発行している。
同社では合意書の解除は無効との見解だが、新たな訴訟や請求を受ける可能性があるとしている。ただその場合でも、会長は売り出し人となっておらず、オーバーアロットメントでの貸し出しも16万株を控除したとしても対応できるため、影響はないとの考え。議決権割合も約7.1%にとどまり、冨田家が過半数を保有することに変わらない。
吸収資金: 6.7億円(今期予想単独PER: 15.9倍)
時価総額: 18.1億円
公開価格、追加売り出し株数ともに上限で決まった。引受価額は736円。訂正目論見書によれば、ブックビルディングの状況は、申告された総需要株式数が公開株式数を十分に上回り、総件数が多数にわたっていたうえ、相当数が仮条件の上限価格であったことが特徴だった。
IPOラッシュで買い手の勢いは欠けてきたが、今年のアンカーとしてマネーゲーム化を期待する。来週は大型案件がなくなり、海外投資家不在のクリスマス以降は毎年小型株相場になりやすい。特に同社株は吸収金額が少なく、VCも不在。人気の医療ネット系と初値飛ぶ条件を兼ねそろえている。スネに傷を持つ銘柄ではあるが、祭りの最後を飾るみこしとしては軽くて最適だ。
なお、退職した元取締役との紛争は、上場承認で新たな発展があった。退職時の合意書を解除して元取締役から取締役会長の冨田兵衛氏に譲渡された80株(株式分割後16万株)を、同元取締役に復帰させるよう通知する内容証明郵便物を会長が受け取ったとして18日に追加で訂正目論見書を発行している。
同社では合意書の解除は無効との見解だが、新たな訴訟や請求を受ける可能性があるとしている。ただその場合でも、会長は売り出し人となっておらず、オーバーアロットメントでの貸し出しも16万株を控除したとしても対応できるため、影響はないとの考え。議決権割合も約7.1%にとどまり、冨田家が過半数を保有することに変わらない。
初値予想
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初値予想: 2,000円(今期予想単独PER: 39.8倍)
初値買い妙味: B
初値高騰を予想する。今年最後のIPOとして短期筋集合の公算。係争中の案件を抱えたまま上場する問題案件だが、一応は人気のネット業態でありベンチャーキャピタル(VC)も入っていない。年越し受け渡しとなることで、強まっていた売り姿勢も弱まろう。
医師紹介サイト「MedRT.com」(メッドアールティドットコム)の運営。現在は取締役会長の冨田兵衛氏が立ち上げた。冨田氏は東京大学医学部卒の現役医師で、都内でクリニックを経営する。なお、現在の社長を務める馬場稔正氏は医療事務畑を歩んでおり、過去には冨田会長の医療法人で事務長や、資産管理会社の代表を務めた。いわば冨田家の子飼い番頭に当たる人物だ。株式の過半は上場後も冨田氏の一族が握る。なお、MRTとは以前の社名であるメディカルリサーチアンドテクノロジーの略で、今年9月に商号変更した。
医師業界では大学病院勤務の医師が非常勤で系列の市中病院にも務め(外勤)、医師不足を解消する慣習がある。市中病院は常勤医師のみでは医療の質を確保できず、医師も一定キャリアを積むまでの収入不足を外勤で補う必要がある。同社は東京大学医学部付属病院の医師が相互に外勤を紹介し合う互助組織として始まり、2000年1月から会社化してインターネットによってシステム化した。現在は専任スタッフによる転職紹介も手掛け、売上高の2割弱を占める。
同社の強みは発足経緯から業界独特の人事慣習を熟知し、医師同士のネットワークを持っていることだ。従来は主任教授を頂点とする大学医局が外勤の調整役を担ってきたが、近年は医局の力が弱まり人材流動化の傾向が強まっている。同社はそれを補う形で紹介件数を蓄積してきた。また、医局の業務支援として、スケジュール管理や掲示板、医局員募集など管理業務の支援サービスも提供している。
業績は順調に売上高が拡大するも前期は営業利益が前期比85%減だった。社内外のセキュリティー強化や、成長のための営業や管理部門の人員増、広告宣伝などの費用がかさんだ。同社は2012年に情報漏えい事件を従業員が起こしており、対応に追われた。今期は増収効果に反動が加わり、4倍の1億6600万円を会社は予想している。
医師紹介は複数の企業が参入しているが、どこも芳しい成長とはなっていない。衰えたとはいえ、まだまだ医局の人事制度が崩壊したわけではないことが要因だ。同社の増収ペースも緩やかで創業から14年がたっても営業利益の水準は低い。今のところ医師会員は都内が中心で地方は限られる。ただ医局に近い立ち位置にいることでは、比較的優位といえよう。
それでもインターネット業態ということで、個人人気は高いと考えられる。年内最後のIPOは投機対象になりやすいアノマリーもあって事前期待は高い。低成長を反映してネット業態としてはPERは15.9倍と市場平均並みにも設定されている。そうでなくとも吸収金額は7億円弱と少なく、ベンチャーキャピタルの保有株はない。クリスマス休暇で外国人投資家不在となる年末は、小型株が物色されやすい時期であり、年末ラリーの軽いみこしとしては最適だ。情報漏えい事件に絡んで係争中の裁判や刑事事件を抱える異例の案件でもあるが、既に引当金は積んでいる。
公開価格決定後も過去に当該の元取締役から、冨田氏が買い戻した株式の復帰を請求されたことが目論見書に追加されたが、形式上は株主間の紛争だ。価格決定による引き受け契約締結後に新事実とは、普通ならば上場中止になってもおかしくない事態だが、買い手の多くは短期筋と考えられるだけに当初の株価には影響しないだろう。
IPOは12月のラッシュ初旬は初値後に急落するケースが相次ぎ、早売りの姿勢が強まっていた。年内受け渡しを意識し、税制対策で小型株は損出し、益出しの動きが相次いだ影響も受けたとみられる。しかし、上場日の売買は年越しの受け渡し。きょう上場した3社を見ると、前日のデータセクションの初値後ストップ高を受けてか、売り姿勢も弱まっており、初日は初値付かずが想定される。
ただ同じく以前に年越し受け渡しとなった2007年のトレジャー・ファクトリーを参考にすると高値圏での売却率は逆に上がりそうだ。トレファクでは初値2.9倍で売却率は95%に上った。他の例は既存株主の影響で正確な計算ができないが、全般的には公開株取得者は年内の利益確定を志向する傾向だろう。MRTは吸収金額がトレファクの倍近くに上る分、上値は抑えられると考えると初値は2日目の最初の節目が関門か。2000円での売り買い一致を予想する。
<追加分析>
大幅買い越しのまま初値が付かなかった。最終気配値は公開価格800円の2.3倍となる1840円で、差し引き51万9000株の買い越しだった。売り買いの差は2.5倍に上った。
週明けからは約定代金の即日徴収、成り行き買い禁止、自己売買部門の初値買い禁止――の規制が入る。
「1840円買い気配値――差し引き51万9000株の買い越し(対当価格2900円)」
売り 買い
294,000株 成り行き 221,900株
363,600株 2905円 360,800株
363,600株 2900円 371,900株
------------------------------------------
344,300株 1840円 863,300株
年内最後のIPOかつネット業態ということで買いが殺到し、初値は週明けに持ち越しになった。初日の逼迫(ひっぱく)状況は売り買いの差が2.5倍に達し、カヤックとエクストリームの間ということになる。
対当価格の2900円は公開価格から3.6倍で、きょう初値が付いた両銘柄の初値倍率の中間に当たる。公開株取得者はきのうから一転して売り渋りの姿勢となっており、MRTも同様とすれば3000円付近が落としどころになりそう。
しかし、翌日は大納会になる日程では、2銘柄ほど売り渋りとなるかは疑問なところ。過去の例を見ても年越しで持ちたい投資家は少ないと推測される。それでも吸収金額の軽さから持ち上げることは簡単なため、勢い的には3倍の2400円には乗ると考える。節目の2500円が初値としては適当なところか。
大和証券からはリポートが出ている。医師会員と医療機関登録数の増大を背景に、主力の外勤紹介サービスの売り上げが拡大すると期待。今後の営業利益は15.3期は会社予想を上振れする前期比3.2倍の1.8億円(EPS 52.8円)、16.3期は11%増の2.0億円(57.5円)と予想した。
初値買い妙味: B
初値高騰を予想する。今年最後のIPOとして短期筋集合の公算。係争中の案件を抱えたまま上場する問題案件だが、一応は人気のネット業態でありベンチャーキャピタル(VC)も入っていない。年越し受け渡しとなることで、強まっていた売り姿勢も弱まろう。
医師紹介サイト「MedRT.com」(メッドアールティドットコム)の運営。現在は取締役会長の冨田兵衛氏が立ち上げた。冨田氏は東京大学医学部卒の現役医師で、都内でクリニックを経営する。なお、現在の社長を務める馬場稔正氏は医療事務畑を歩んでおり、過去には冨田会長の医療法人で事務長や、資産管理会社の代表を務めた。いわば冨田家の子飼い番頭に当たる人物だ。株式の過半は上場後も冨田氏の一族が握る。なお、MRTとは以前の社名であるメディカルリサーチアンドテクノロジーの略で、今年9月に商号変更した。
医師業界では大学病院勤務の医師が非常勤で系列の市中病院にも務め(外勤)、医師不足を解消する慣習がある。市中病院は常勤医師のみでは医療の質を確保できず、医師も一定キャリアを積むまでの収入不足を外勤で補う必要がある。同社は東京大学医学部付属病院の医師が相互に外勤を紹介し合う互助組織として始まり、2000年1月から会社化してインターネットによってシステム化した。現在は専任スタッフによる転職紹介も手掛け、売上高の2割弱を占める。
同社の強みは発足経緯から業界独特の人事慣習を熟知し、医師同士のネットワークを持っていることだ。従来は主任教授を頂点とする大学医局が外勤の調整役を担ってきたが、近年は医局の力が弱まり人材流動化の傾向が強まっている。同社はそれを補う形で紹介件数を蓄積してきた。また、医局の業務支援として、スケジュール管理や掲示板、医局員募集など管理業務の支援サービスも提供している。
業績は順調に売上高が拡大するも前期は営業利益が前期比85%減だった。社内外のセキュリティー強化や、成長のための営業や管理部門の人員増、広告宣伝などの費用がかさんだ。同社は2012年に情報漏えい事件を従業員が起こしており、対応に追われた。今期は増収効果に反動が加わり、4倍の1億6600万円を会社は予想している。
医師紹介は複数の企業が参入しているが、どこも芳しい成長とはなっていない。衰えたとはいえ、まだまだ医局の人事制度が崩壊したわけではないことが要因だ。同社の増収ペースも緩やかで創業から14年がたっても営業利益の水準は低い。今のところ医師会員は都内が中心で地方は限られる。ただ医局に近い立ち位置にいることでは、比較的優位といえよう。
それでもインターネット業態ということで、個人人気は高いと考えられる。年内最後のIPOは投機対象になりやすいアノマリーもあって事前期待は高い。低成長を反映してネット業態としてはPERは15.9倍と市場平均並みにも設定されている。そうでなくとも吸収金額は7億円弱と少なく、ベンチャーキャピタルの保有株はない。クリスマス休暇で外国人投資家不在となる年末は、小型株が物色されやすい時期であり、年末ラリーの軽いみこしとしては最適だ。情報漏えい事件に絡んで係争中の裁判や刑事事件を抱える異例の案件でもあるが、既に引当金は積んでいる。
公開価格決定後も過去に当該の元取締役から、冨田氏が買い戻した株式の復帰を請求されたことが目論見書に追加されたが、形式上は株主間の紛争だ。価格決定による引き受け契約締結後に新事実とは、普通ならば上場中止になってもおかしくない事態だが、買い手の多くは短期筋と考えられるだけに当初の株価には影響しないだろう。
IPOは12月のラッシュ初旬は初値後に急落するケースが相次ぎ、早売りの姿勢が強まっていた。年内受け渡しを意識し、税制対策で小型株は損出し、益出しの動きが相次いだ影響も受けたとみられる。しかし、上場日の売買は年越しの受け渡し。きょう上場した3社を見ると、前日のデータセクションの初値後ストップ高を受けてか、売り姿勢も弱まっており、初日は初値付かずが想定される。
ただ同じく以前に年越し受け渡しとなった2007年のトレジャー・ファクトリーを参考にすると高値圏での売却率は逆に上がりそうだ。トレファクでは初値2.9倍で売却率は95%に上った。他の例は既存株主の影響で正確な計算ができないが、全般的には公開株取得者は年内の利益確定を志向する傾向だろう。MRTは吸収金額がトレファクの倍近くに上る分、上値は抑えられると考えると初値は2日目の最初の節目が関門か。2000円での売り買い一致を予想する。
<追加分析>
大幅買い越しのまま初値が付かなかった。最終気配値は公開価格800円の2.3倍となる1840円で、差し引き51万9000株の買い越しだった。売り買いの差は2.5倍に上った。
週明けからは約定代金の即日徴収、成り行き買い禁止、自己売買部門の初値買い禁止――の規制が入る。
「1840円買い気配値――差し引き51万9000株の買い越し(対当価格2900円)」
売り 買い
294,000株 成り行き 221,900株
363,600株 2905円 360,800株
363,600株 2900円 371,900株
------------------------------------------
344,300株 1840円 863,300株
年内最後のIPOかつネット業態ということで買いが殺到し、初値は週明けに持ち越しになった。初日の逼迫(ひっぱく)状況は売り買いの差が2.5倍に達し、カヤックとエクストリームの間ということになる。
対当価格の2900円は公開価格から3.6倍で、きょう初値が付いた両銘柄の初値倍率の中間に当たる。公開株取得者はきのうから一転して売り渋りの姿勢となっており、MRTも同様とすれば3000円付近が落としどころになりそう。
しかし、翌日は大納会になる日程では、2銘柄ほど売り渋りとなるかは疑問なところ。過去の例を見ても年越しで持ちたい投資家は少ないと推測される。それでも吸収金額の軽さから持ち上げることは簡単なため、勢い的には3倍の2400円には乗ると考える。節目の2500円が初値としては適当なところか。
大和証券からはリポートが出ている。医師会員と医療機関登録数の増大を背景に、主力の外勤紹介サービスの売り上げが拡大すると期待。今後の営業利益は15.3期は会社予想を上振れする前期比3.2倍の1.8億円(EPS 52.8円)、16.3期は11%増の2.0億円(57.5円)と予想した。
初値分析
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初値: 3,275円(今期予想単独PER: 65.3倍)
/ 上昇率: 309.4%
/ 高値: 3,385円
/ 安値: 2,900円
/ 終値: 3,100円
出来高: 1,395,300株 / 対公開株数: 166.2% / 初値出来高: 585,500株 / 初値売買代金: 1,917,512,500円
年内最後のIPOの初値は高騰した。上昇率は年間で5位。現役医師が立ち上げたネット業態として人気化。データセクションの一段高した効果でい手は強気を貫き、売り手の握力も回復した。買い付け規制が入った2日目の朝方に脱落した買い手は2、3割程度にとどまった。
初値での公開株式の売却率は70%だった。前日のカヤックやエクストリームに比べると高く、この点では年内決着を望んだ売り手が多かったと言えるが、年間を通して比較すると普通。顕著な売り急ぎが見られたわけではなく、弊社予想との誤差要因となった。
寄り付き後はもみ合いで推移した。前引け間際に初値が成立したことで、初値での売却を見送った売りてや初値買いした短期筋が後場寄りに集結し、セオリー通りに売り気配となるも反発狙いの買いも多く崩れず。主に3000~3400円弱を意識して上下した。規制解除明けの先回り買いが下支えしたが、きょう解除されたカヤックとエクストリームがそろって大幅安となるなか、積極的に上値を買う向きは限られた。
12月終盤にIPOの地合いは改善し、1月は空白が続く。来年の再開見込みの2月上旬まで直近上場株は短期筋により活気づきやすい。ただMRTの場合は年内最終として実力以上に祭り上げられている。
業界の立ち位置は優位とみられるが、既存の人事制度を壊すほどのイノベーションを実現しているわけではない。あくまで崩壊に伴う補完勢力としての成長であり、その分速度は緩やかだ。公開価格のPERが市場平均並みにとどまったのは、恐らくそれを織り込んでのこと。参入障壁も高いというわけではなく、優位性をいつまでも守れる保証もない。物色が続いたとしても長くは続かないだろう。年明けにも調整入りを色濃くするものと考える。
出来高: 1,395,300株 / 対公開株数: 166.2% / 初値出来高: 585,500株 / 初値売買代金: 1,917,512,500円
年内最後のIPOの初値は高騰した。上昇率は年間で5位。現役医師が立ち上げたネット業態として人気化。データセクションの一段高した効果でい手は強気を貫き、売り手の握力も回復した。買い付け規制が入った2日目の朝方に脱落した買い手は2、3割程度にとどまった。
初値での公開株式の売却率は70%だった。前日のカヤックやエクストリームに比べると高く、この点では年内決着を望んだ売り手が多かったと言えるが、年間を通して比較すると普通。顕著な売り急ぎが見られたわけではなく、弊社予想との誤差要因となった。
寄り付き後はもみ合いで推移した。前引け間際に初値が成立したことで、初値での売却を見送った売りてや初値買いした短期筋が後場寄りに集結し、セオリー通りに売り気配となるも反発狙いの買いも多く崩れず。主に3000~3400円弱を意識して上下した。規制解除明けの先回り買いが下支えしたが、きょう解除されたカヤックとエクストリームがそろって大幅安となるなか、積極的に上値を買う向きは限られた。
12月終盤にIPOの地合いは改善し、1月は空白が続く。来年の再開見込みの2月上旬まで直近上場株は短期筋により活気づきやすい。ただMRTの場合は年内最終として実力以上に祭り上げられている。
業界の立ち位置は優位とみられるが、既存の人事制度を壊すほどのイノベーションを実現しているわけではない。あくまで崩壊に伴う補完勢力としての成長であり、その分速度は緩やかだ。公開価格のPERが市場平均並みにとどまったのは、恐らくそれを織り込んでのこと。参入障壁も高いというわけではなく、優位性をいつまでも守れる保証もない。物色が続いたとしても長くは続かないだろう。年明けにも調整入りを色濃くするものと考える。
追加情報
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東洋経済新報社による今後の業績予想は、2015年3月期は売上高が前期比14%増の8.3億円、営業利益が2.9倍の1.6億円、EPS 42.0円、配当なしと会社予想をほぼ踏襲。学会などイベントへの参加や、医師会員向けのキャンペーンで医師登録件数が着実増。前年度の営業増員や社内インフラの整備も効き非常勤医師紹介も伸びる。16年3月期は売上高が12%増の9.3億円、営業利益が25%増の2億円、EPS 53.1円、配当なしとしている。