IPO銘柄詳細

ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ

コード 市場 業種 売買単位 注目度
6090 マザーズ 100株 A
スケジュール
スケジュール
仮条件決定 2013/12/04
ブックビルディング期間 2013/12/05 - 12/11
公開価格決定 2013/12/12
申込期間 2013/12/13 - 12/18
払込期日 2013/12/23
上場日 2013/12/24
価格情報
想定価格 1,300円
仮条件 1,300 - 1,400円
公開価格 1,400円
初値予想 2,100円
初値 3,100円
  • スケジュールは上場企業都合により変更になる場合があります。
基本情報
代表者名 菅野 隆二/1950年生
本店所在地 山形県鶴岡市
設立年 2003年
従業員数 49人 (2013/10/31現在)(連結)
事業内容 メタボローム解析試験受託事業およびバイオマーカー開発事業
URL http://humanmetabolome.com/
株主数 62人 (目論見書より、潜在株式のみの株主も含む)
資本金 531,000,000円 (2013/10/16現在)
上場時発行済株数 4,735,000株(別に潜在株式646,500株)
公開株数 1,571,500株(公募850,000株、売り出し571,500株、オーバーアロットメント150,000株)
調達資金使途 質量分析計などの設備資金、米子会社の運転資金、残額は研究開発費
連結会社 子会社1社
シンジケート
公開株数1,421,500株(別に150,000株)
種別 証券会社名 株数 比率
主幹事証券 いちよし 995,300 70.02%
引受証券 極東 142,100 10.00%
引受証券 野村 142,100 10.00%
引受証券 東洋 28,400 2.00%
引受証券 SMBC日興 28,400 2.00%
引受証券 エース 28,400 2.00%
引受証券 岩井コスモ 14,200 1.00%
引受証券 マネックス 14,200 1.00%
引受証券 丸三 14,200 1.00%
引受証券 岡三 14,200 1.00%
大株主(潜在株式を含む)
大株主名 摘要 株数 比率
サミット・バイオテクノロジー・ジャパン ベンチャーキャピタル(ファンド) 792,900 17.50%
冨田 勝 創業者 570,000 12.58%
曽我 朋義 創業者 570,000 12.58%
大阪ライフサイエンス ベンチャーキャピタル(ファンド) 557,100 12.29%
慶応義塾 特別利害関係者等 199,500 4.40%
東北インキュベーション ベンチャーキャピタル(ファンド) 195,000 4.30%
大岸 治行 特別利害関係者等 165,000 3.64%
西岡 孝明 特別利害関係者等 150,000 3.31%
東北グロース ベンチャーキャピタル(ファンド) 135,000 2.98%
TICC大学連携 ベンチャーキャピタル(ファンド) 90,000 1.99%
菅野 隆二 代表取締役社長 90,000 1.99%
業績動向(単位:百万円)
は予想
決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益
2014/03 連結予想 638 10 26 23
2013/09 連結中間実績 203 -82 -59 -60
2013/03 連結実績 496 -104 -93 -95
2012/03 単独実績 521 -106 -47 -46
売上高
営業利益
経常利益
純利益
1株あたりの数値(単位:円)
は予想
決算期 種別 EPS BPS 配当
2014/03 連結予想 5.60 253.05 -
参考類似企業
銘柄 時価総額(12/3)
カイノス
28億円
医学生物
133億円
カイオム
348億円
事業詳細
 慶応義塾大学発のバイオベンチャー。メタボローム解析試験の受託と、診断薬開発のシーズとなるバイオマーカーの開発を手掛ける。設立母体の慶応大・先端生命科学研究所(山形県鶴岡市)、山形県や鶴岡市などの地方自治体と、産官学連携の下に事業を展開している。
 メタボロームとは生体由来の代謝物質の総称で、ATP(アデノシン三リン酸)などの高エネルギー物質や有機酸、アミノ酸などを指す。個々の代謝物質を指す場合にはメタボライトとも言う。
 バイオマーカーは血液や尿などに含まれる物質で、疾患などの生体内の変化を定量的に評価するための指標を指す。糖尿病における血糖値や、痛風にかける血液尿酸値などが一例。

 創業者である同研究所の曽我朋義教授は、生体内のメタボロームの測定方法「CE-MS法」を2001年に開発した。生体内のイオン性(水溶中で電荷を帯びる)代謝物質(メタボローム)を一斉に、かつ、網羅的に測定できる点が画期的だった。当該技術を基盤として曽我教授のほか、冨田勝教授、慶応大学などが中心となり、2003年7月に同社を設立した。

1.メタボローム解析事業
 主に製薬や食品などの民間企業、大学や公的研究機関からメタボローム解析試験を受託している。顧客から送られた試料の試験結果を、報告書として納品している。大学・研究機関での疾患メカニズムの研究や、製薬企業での探索・薬理研究や毒性試験、発酵を利用した物質生産の生産性向上、食品の成分分析や機能性の探索・確認などに活用されている。
 2012年8月からはがん研究向け解析サービス「C-SCOPE」の販売も開始。がん細胞において変化している特定の代謝物質(ターゲット)を、より高感度、より精密に測定したいというニーズに対応した。

2.バイオマーカー事業
 大学や診断薬企業との共同研究開発を通じ、メタボローム解析技術を用いたバイオマーカー探索と臨床検査薬の研究開発を進めている。対象疾病は大うつ病性障害、線維筋痛症、感染症関連脳症、糖尿病性腎症、非アルコール性肝炎。

3.メタボロミクスキット事業
 アジレント・テクノロジー社と共同で、企業や大学、公的研究機関向けに「メタボロミクスキット」を販売している。アジレント社製の「CE-TOFMS」システムに、HMTが開発したメタボローム解析用試薬キットやノウハウ、トレーニング、各種サポートなどをパッケージ化して提供している。

4.人材派遣事業
 技術員や事務員を研究機関へ派遣している。試薬キットやサポートの提供により顧客の研究開発活動を支援するメタボロミクスキット事業と併せて、人材面から顧客の研究活動を支援している。

 2013年3月期の売上高構成比は、メタボローム解析事業75.6%、バイオマーカー事業3.6%、メタボロミクスキット事業10.4%、人材派遣事業10.4%。主な販売先は慶応義塾13.1%、味の素10.7%。
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・直近(2011年12月)の第三者割当増資の発行価格は、分割を遡及(そきゅう)修正して666.67円。
・サニーヘルスと山形銀行を除く大株主上位19名と、株主順位26位で1万5000株ずつ保有するベンチャーキャピタル(VC)4名にはロックアップが掛かる。ただし、シスメックスを除き公開価格の1.5倍以上では解除される。うちVC保有株は推定9社・219万4500株。
・VCにはすべてロックアップが掛かる。金融機関でロックアップがないのは山形銀の7万5000株のみ。


<ファーストインプレッション>
 珍しい私大発のベンチャー。慶応大学のアントレプレナー資金制度による出資を受けた、同大学発ベンチャー企業の第1号とのこと。事業内容が難解で新しいタイプのバイオベンチャーだが、それだけに競合は少なく、世界では同社の他は米国とドイツにある2社のみ。国内は独占している。と言ってもメタボローム解析の市場はまだ限られるが、大手有名企業との提携が初期から進み数多く、今期は11期目にして黒字浮上。将来的には大うつ病などの診断薬が上市されれば、さらなる収益拡大が見込まれる。年末最後のIPOは短期資金が集中しやすいアノマリーもあり、新奇性などからにぎわいそうな内容だ。ただ、ベンチャーキャピタル保有株が多く、ロックアップが解除される上値は重い展開か。
仮条件分析 (BB参加妙味 :A)
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想定価格: 1,300円
 吸収資金レンジ: 18.5億円 - 20.4億円(今期予想連結PER: 232.1倍)
 時価総額レンジ: 61.6億円

仮条件: 1,300円 - 1,400円
 吸収資金レンジ: 18.5億円 - 22.0億円(今期予想連結PER: 232.1倍 - 250.0倍)
 時価総額レンジ: 61.6億円 - 66.3億円

仮条件は想定価格を下限にして決められた。上限価格は想定から7.7%上回る。

<強気材料>
年内最後のIPO、独自性高い、技術力高い、今期黒字化予想、産官学連携、慶大初の大学発ベンチャー、大手との提携多い

<弱気材料>
事業内容が難解、違う内容を連想しやすい、足元赤字、収益不安定、設立母体の依存度高い、VC多い、将来未知数、創業教授不在、海外投資家不在の週

<機関投資家の指摘事項>
1.代謝物を網羅的に解析できる競争力のある高いメタボローム解析技術を持ち、受託解析事業が安定的な収益源となっていること。
2.がん研究に特化した解析プランの発売や、大うつ病性障害のバイオマーカーに関するアライアンスなど、将来の成長に関する実績が出始めていること。
3.バイオマーカー事業において、想定どおり開発が進まないリスクがあること。
(訂正目論見書より)


<結論>
Aとする。公開価格が仮条件上限ならば2500~3000円(PER:446.4~535.7倍)を想定初値とする。

 慶応大学発のバイオベンチャーで、メタボローム解析を事業基盤に、バイオマーカーの開発も手掛ける。代謝物は病状を確認するためなどに解析するが、従来のやり方は事前の診察などで仮設を立ててから特定の診断へという手順になる。それに対し、同社の技術では数百種の代謝物を一度に診断できることから、データに基づいた先入観のない診断ができるようになるという。

 メタボローム解析の受託を事業化しているのは、世界では同社を含め3社のみ。米メタボロンと独メタノミクスヘルス社がある。HMTのコア技術である測定方法「CE-MS法」を持っているのは同社のみ。代謝物の研究は近年盛んとなっており、予防診断の市場拡大などが期待されている。

 会社設立初期から大手との提携が盛んだ。設立翌年の2004年1月にミツカン、6月に味の素、05年2月三菱ウェルファーマ(現・田辺三菱製薬)、9月に中外製薬とそれぞれ共同研究契約を締結。13年5月にはシスメックスと共同研究開発の契約を結んだ。シスメックスは12年12月に第三者割当増資を引き受けており、資本・業務提携となる。また、設立母体の慶応義塾のほか、日本大学や静岡県立の静岡がんセンターとも共同研究の契約を結んでいる。海外展開では米アジレントテクノロジーズ社との共同開発、韓国ヤング・イン・フロンティアへの独占販売権供与のほか、2012年10月に米国に販売子会社を設立した。

 解析事業の伸長により今期は3期ぶりの営業黒字に浮上できる見通し。中間期はまだ赤字だが、顧客が大学や公的機関などが含まれるため期末に計上する案件が多い。営業黒字額は2011年3月期(単独)に及ばないが、売上高は上回る。
 一方、バイオマーカー事業は赤字が続くが、大うつ病の診断薬が臨床検査開発(実用的な臨床検査法の確立と大規模臨床試験への導入)の段階にある。うつ病診断は従来医師の問診が中心だが、データに基づいた投薬判断ができるようになり、さらに経過観察で複数回の販売機会が生じる。また、判断の難しい病気であるため、治療薬開発時の被験者を選ぶ際、本当にうつ病患者なのか、よく似た症状の患者なのかを区別する際にも需要が見込める。新薬開発時にはターゲットとなる病気の患者を確実に被験者にしないと、本来と違う結果が出てしまう可能性がある。開発は診断薬企業との共同研究契約の下に行っており、開発に成功した後は当該企業に製造販売契約の優先交渉権を付与する。

 今期黒字化が上場に踏み切る判断の根拠とのことだが、売上高はまだ波があり、業績水準がまだ小さいため収益はまだ不安定さが残る。黒字額も11年3月期には届かない。大うつ病の診断薬は期待大だが、上市まではまだ2~4年が少なくとも必要だ。上場時の売り出し元はベンチャーキャピタルよりも、むしろ現在は会社を去っている設立メンバーが中心。設立から10年以上がたつことで、相場が回復したタイミングでの資金回収が狙いと考えられる。現在の社長である菅野隆二氏は協力会社のアジレント・テクノロジーで代表取締役副社長などを務め、2008年2月から就任した。

 とはいえ、大手の提携が多いことや黒字化は今夏に上場したペプチドリームのミニ版といった印象を受ける。事業の状況から上場はまだ早いと感じるが、年内最後のIPOということもあり吸収金額22億円の吸収は今の相場ならば容易だろう。独自性や技術力も高く、海外同業との競争に至っても優位性を保てそうだ。なお、メタボローム解析の市場については、代謝物の研究論文数が急増しており、大きく拡大すると会社側は見込んでいる。

 一方、ベンチャーキャピタルの保有株数は、219万4500株(売り出し後)と公開株数を上回る。全てロックアップが掛かるが、公開価格の1.5倍以上では初値に関係なく解除される。9社と株主も散らばっている。また、創業者らも既に会社を去っているため、追加で売ってくる可能性は否定できない。
 事業内容が難解で市場性が理解しづらい、もしくは未知な部分が多いため、どの程度強い買いが入るのか仮説を立てにくい内容だが、直近IPOの売買代金を参考にすると少なくとも30億円程度の買いは入ると考える。売却率を高く設定しても2100円には乗せ、ロックアップ解除の価格には到達しそうだ。
 その後はVC次第となるが、年内最後となると買い手は強気に拍車がかかりやすい。2000円台後半での初値をみておく。公開価格での時価総額は60億円台に過ぎないため、盛り上がり次第ではセカンダリーでも早期にVC株を消化してしまいそうだ。
公開価格分析
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公開価格: 1,400円
 吸収資金: 22.0億円(今期予想連結PER: 250.0倍)
 時価総額: 66.3億円

 公開価格、追加売り出し株数ともに上限で決まった。引受価額は1,288円。ブックビルディングの状況は、申告された総需要株式数が公開株式数を十分に上回り、件数が多数にわたっていたうえ、価格ごとの分布は仮条件の上限価格に集中していたことが特徴だった。なお、エンカレッジ・テクノロジの売り手の状況を参考に想定レンジは2100~2600円に引き下げる。

 今秋から野村系主幹事が導入している「初値でも1.5倍ならばロックアップ解除」の扱い。これまでは対象となるベンチャーキャピタルが1社か2社もしくは、リードVC以外は少ないというケースだったが、エンカレッジでは3社と若干ながら増えたところ、ほとんど売りに統制が利かず、解除された途端に売りが殺到した。結果的に公開株数+VC保有株に対する売却率は、初日に値が付いたにもかかわらず、1社か2社のときの3割台から6割台へと跳ね上がった。6割は最初からロックアップがない場合、もしくはVC保有株がない場合などに多く見られるノーマルな売却率である。
 9社とさらに散らばるHMTのケースでは、さらなる殺到が考えられる。年内最後の案件で今までにないタイプのバイオベンチャーということでは、かなりの人気化を想定しているが、あてが当たっても外れても必然的に1.5倍への収れんが強くなりそうだ。解除価格を下限に節目の2500円からの上振れ分を考慮すると2600円がせいぜいだろう。
初値予想
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初値予想: 2,100円(今期予想連結PER: 375.0倍)
初値買い妙味: B

 初値好調を予想する。初値コンセンサスは「2000~3200円」。新しいタイプのバイオベンチャーでかつ珍しい私大発。大手との提携がいくつもあることや、今期黒字回復といった材料を抱え、年内最終便としても注目を集めやすい。上場ラッシュ一巡で需給も改善が期待される。半面、公開価格の1.5倍以上ではロックアップが解除されることが重しになる。

 慶応義塾大学・先端生命科学研究所(山形県鶴岡市)発のバイオベンチャー。同大学発ベンチャー企業としては第1号に当たる。メタボローム測定方法「CE-MS法」をコア技術とし、生体内のイオン性(水溶中で電荷を帯びる)代謝物質(メタボローム)を一斉に、かつ、網羅的に測定できる点を特長とする。
 代謝物は病状を確認するためなどに解析されるが、従来のやり方は診察などである程度狙いを付けてから特定の診断をする手順になる。それに対し、同社の技術を使うと数百種の代謝物を一度に診断できることから、先入観なくデータに基づいた診断ができるようになるという。

 技術力を背景に会社設立初期から食品・医薬品大手との提携が盛んだ。設立翌年の2004年1月にミツカン、6月に味の素、05年2月三菱ウェルファーマ(現・田辺三菱製薬)、9月に中外製薬とそれぞれ共同研究契約を締結。13年5月にはシスメックスと共同研究開発の契約を結んだ。シスメックスは12年12月に第三者割当増資を引き受けている。また、設立母体の慶応義塾は当然として、日本大学や静岡県立の静岡がんセンターとも共同研究の契約を結んでいる。海外では米アジレントテクノロジーズ社との共同開発、韓国ヤング・イン・フロンティアへの独占販売権を供与した。
 解析事業の伸長により今期は3期ぶりの営業黒字に浮上できる見通し。大うつ病などの診断薬開発のバイオマーカー事業は赤字が続き、営業黒字額は2011年3月期(単独)に及ばないが売上高は上回る。大うつ病は判断の難しい病気で現状は問診に頼る。診断薬とはいえ、科学的手法として期待が掛かる。
 
 大手との相次ぐ提携や黒字化といった点は、今夏に上場して人気化したペプチドリームをほうふつさせる。スケールは異なるが、これまでと異なるタイプのバイオベンチャーでもあり、新奇性からも注目が集まりそう。
 事業内容がかなり難解ではあるが、バイオベンチャー全般に言えることでもあり、地合いが強い時には競合が存在しにくい立ち位置がかえって好感されやすい。IPOは初値騰落率が直近10社中央値で1桁台まで急落したが、過密日程が招いた自滅といった面が強い。上場ラッシュも一巡し、同日上場もなく年内のIPOは同社で最後となるだけに、再び人気化が見込まれる。

 半面、税制変更を前に個人の売り急ぎは続くだろう。セカンダリーで高騰するIPOが出ても売り渋りへの姿勢転換は今のところ見られない。10%税制の締め切りを翌日に控え、利益が載れば売りたい動機はますます強まる。
 ベンチャーキャピタル(VC)保有株の存在も踏まえる必要がある。基本的にロックアップが掛かるが、公開価格の1.5倍以上では初値形成に関係なく解除される。業態が業態だけに推定で合計9社・219万4500株と公開株式数を越える多さ。社数も散らばっており出資から年数もたっているだけに、解除後は売りが殺到することになろう。
 2000円台に乗せれば買いもいったん緩みやすい。必然的に1.5倍の2100円に収れんする力が働き、初値もそのタイミングで付くと予想する。PERは黒字浮上するところのためあまり意味をなさないが、ペプチドリームと並ぶ水準でもある。
初値分析
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初値: 3,100円(今期予想連結PER: 553.6倍) / 上昇率: 121.4% / 高値: 3,200円 / 安値: 2,810円 / 終値: 2,842円
出来高: 2,480,100株 / 対公開株数: 157.8% / 初値出来高: 1,036,400株 / 初値売買代金: 3,212,840,000円

 初値は高騰し、公開価格の2.2倍に上昇した。年内最後のIPOとして人気を集め買い上がった。
 ただバイオ関連株はきょう全面安で、売買代金は直近に上場したバイオ関連株のオンコリスバイオファーマの40.5億円を下回った。上昇の最大の要因はどちらかというと売り渋りにあり、公開株数とベンチャーキャピタル(VC)保有株に対する売却率は27%にとどまった。
 12月に入ってからのIPO株では税制変更を前に売り急ぎが目立つなか、珍しい結果となった。いちよし証券主幹事による前回IPOのメディアドゥが初値倍率3.56倍に高騰したことで、営業員や投資家の間で期待値が高まり安値売りに走らなかったのではないかと考える。
 また、2100円でロックアップが解除された後の売りの増え方も、VC社数が多いわりには緩やかだった。金融系VCの保有株が相対的に少なかったことが影響したか。リードVCの運営母体はバイオフロンティアパートナーズ(東京・中央)で、バイオベンチャーへの投資が専門。経営陣に関連分野の博士号取得者などの専門家をそろえる。

 ただし、売り渋りの反動は初値形成後に現れた。活発な売買によりすぐに公開株数を上回ったが、上値は重かった。しばらく3000円台でもみ合ったが、いったん割り込むと見切り売りを誘発しそのまま安値圏で引けた。

 今後も続落が見込まれる。出来高は公開株式数+VC保有株の合計(384万1000株)を大幅に下回る。バイオフロンティアにしても過去の投資実績では保有したままだったということは一切なかっただけに、これからも彼らからの売りが上値を抑える、もしくは下押しの要因となろう。目先は高値を売り逃した個人の売却も25日の税制変更締め切りを前に想定される。
 26日以降にいったん反発する可能性があるが、バイオ関連株のブームはすっかり終わっており、一時的な動きにとどまろう。収益も黒字化するとはいうものの、診断薬の上市はかなり先のことで当面は低収益だと考えられるだけに、今の株価を保つのは難しい。

 いちよし証券からリポートが出ている。メタボローム解析事業ではこれまで基礎研究領域がメーンだったが、近年、がん領域に特化した新サービス「C-SCOPE」により、製薬会社を対象とする応用領域へと受託領域を広げ始めたと指摘。C-SCOPEの寄与により2014年3月期の経常利益は2000万円(修正EPS 4.9円)、15年3月期は前期比3.5倍の7000万円(14.8円)、16年3月期は72%増の1億2000万円(23.3円)と予想した。
追加情報
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 東洋経済新報社による今後の業績予想は、2014年3月期の売上高が前期比29%増の6.4億円、経常利益が3000万円、EPS 4.2円、配当なしと会社予想を踏襲。分析受託サービスが伸長し黒字化する。15年3月期は売上高が9%増の7億円、経常利益が33%増の4000万円、EPS 6.3円、配当なしと予想している。
IPOスケジュール
マーケットデータ
日経平均 37,306.12 -773.58
TOPIX 2,639.53 -37.92
グロース250 645.61 -14.26
NYダウ 37,775.38 +22.07
ナスダック総合 15,601.50 -81.87
ドル/円 154.60 -0.04
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