IPO銘柄詳細
コード | 市場 | 業種 | 売買単位 | 注目度 |
---|---|---|---|---|
6526 | 東証プライム | 電気機器 | 100株 | S |
注目のIPO銘柄
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スケジュール
スケジュール | |
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仮条件決定 | 2022/09/26 |
ブックビルディング期間 | 2022/09/27 - 09/30 |
公開価格決定 | 2022/10/03 |
申込期間 | 2022/10/04 - 10/07 |
払込期日 | - |
上場日 | 2022/10/12 |
価格情報 | |
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想定価格 | 3,480円 |
仮条件 | 3,480 - 3,650円 |
公開価格 | 3,650円 |
初値予想 | 3,800円 |
初値 | 3,835円 |
- スケジュールは上場企業都合により変更になる場合があります。
基本情報
代表者名 | 肥塚 雅博(上場時70歳9カ月)/1951年生 |
---|---|
本店所在地 | 神奈川県横浜市港北区新横浜 |
設立年 | 2014年 |
従業員数 | 3人 (2022/07/31現在)(平均49.2歳、年収799万円)、連結2549人 |
事業内容 | ファブレス形態によるSoC(System on Chip)の設計・開発および販売 |
URL | https://www.socionext.com/jp/ |
株主数 | 2177人 (目論見書より) |
資本金 | 30,200,000,000円 (2022/09/06現在) |
上場時発行済株数 | 33,666,666株(別に潜在株式2,625,350株) |
公開株数 | 21,041,800株(売り出し18,297,300株、オーバーアロットメント2,744,500株) |
調達資金使途 | - |
連結会社 | 7社 |
シンジケート
公開株数10,841,200株(別に1,783,900株)/国内分
種別 | 証券会社名 | 株数 | 比率 |
---|---|---|---|
主幹事証券 | SMBC日興 | 4,336,500 | 40.00% |
主幹事証券 | 野村 | 4,336,500 | 40.00% |
引受証券 | 大和 | 1,463,600 | 13.50% |
引受証券 | みずほ | 379,400 | 3.50% |
引受証券 | SBI | 108,400 | 1.00% |
引受証券 | 楽天 | 108,400 | 1.00% |
引受証券 | マネックス | 108,400 | 1.00% |
大株主(潜在株式を含む)
大株主名 | 摘要 | 株数 | 比率 |
---|---|---|---|
富士通(株) | その他の関係会社 | 14,400,000 | 39.68% |
(株)日本政策投資銀行 | 特別利害関係者など | 13,466,666 | 37.10% |
パナソニックホールディングス(株) | その他の関係会社 | 5,800,000 | 15.99% |
肥塚雅博 | 代表取締役会長兼社長兼CEO | 21,725 | 0.06% |
西口泰夫 | 前代表取締役会長、元顧問 | 21,600 | 0.06% |
岡本吉史 | 前代表取締役社長、顧問 | 15,025 | 0.04% |
井上あまね | 元代表取締役社長 | 14,400 | 0.04% |
大槻浩一 | 取締役執行役員副社長 | 12,875 | 0.04% |
佐久間剛 | 取締役 | 12,325 | 0.03% |
野崎勉 | 元取締役、元監査役 | 10,800 | 0.03% |
業績動向(単位:百万円)
決算期 | 種別 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 |
---|---|---|---|---|---|
2023/03 | 連結1Q実績 | 39,934 | 5,594 | 6,644 | 5,058 |
2023/03 | 連結会社予想 | 170,000 | 17,000 | 17,000 | 13,000 |
2022/03 | 連結実績 | 117,009 | 8,463 | 9,050 | 7,480 |
2021/03 | 連結実績 | 99,746 | 1,552 | 1,969 | 1,460 |
売上高
営業利益
経常利益
純利益
1株あたりの数値(単位:円)
決算期 | 種別 | EPS | BPS | 配当 |
---|---|---|---|---|
2023/03 | 連結会社予想 | 386.14 | 3,065.16 | 160.00 |
参考類似企業
事業詳細
ファブレス半導体ベンダー。富士通とパナソニック(現パナソニックホールディングス)のSoC(System on Chip)事業を統合し、日本政策投資銀行の出資を受け2015年3月に事業を開始した。SoCは広義ではシステムLSIとも呼ばれ、装置やシステムの動作に必要な機能を一つのチップ(半導体)に実装したものを指す。
社名はラテン語の「社会」を意味する「Socio」と、ネクストジェネレーションの「Next」の組み合せがベースとなっている。前半部分に「SoC」と、注力していく分野のイメージングとオプティカルネットワークの頭文字「I」と「O」を含めた。
グループは現在、ロジック半導体市場の中で特定の顧客固有に設計されるカスタムSoCを開発・提供している。工場を持たないファブレス形態を採っており、製造については専業メーカーに委託している。収益は設計開発段階において、顧客から設計開発に要する費用の大半をNRE(Non-Recurring Engineering)売り上げとして段階的に受領し、量産段階では製品売り上げを受領している。その他、知的財産などの譲渡やライセンスによる収入を得ている。
2022年3月期の売上高構成比は、製品販売72.3%、NRE売り上げ24.0%、その他3.7%。主な販売先は加賀FEI36.2%、KAGA FEI AMERICA 10.3%。地域別では日本52.4%、アジア26.2%(中国18.0%)、米州18.0%(米国17.9%)、欧州3.5%。
社名はラテン語の「社会」を意味する「Socio」と、ネクストジェネレーションの「Next」の組み合せがベースとなっている。前半部分に「SoC」と、注力していく分野のイメージングとオプティカルネットワークの頭文字「I」と「O」を含めた。
グループは現在、ロジック半導体市場の中で特定の顧客固有に設計されるカスタムSoCを開発・提供している。工場を持たないファブレス形態を採っており、製造については専業メーカーに委託している。収益は設計開発段階において、顧客から設計開発に要する費用の大半をNRE(Non-Recurring Engineering)売り上げとして段階的に受領し、量産段階では製品売り上げを受領している。その他、知的財産などの譲渡やライセンスによる収入を得ている。
2022年3月期の売上高構成比は、製品販売72.3%、NRE売り上げ24.0%、その他3.7%。主な販売先は加賀FEI36.2%、KAGA FEI AMERICA 10.3%。地域別では日本52.4%、アジア26.2%(中国18.0%)、米州18.0%(米国17.9%)、欧州3.5%。
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・直近(2015年3月)の第三者割当増資の発行単価は、併合や転換(種類株式のみ)を遡及(そきゅう)修正すると2000円(普通株式およびB種株式)と1485.14円(A種株式)。
・売り出し株のうち354万4800株、オーバーアロットメントによる売り出し株のうち53万1700株、合計407万6500株(配分比率30%)は海外で販売される。
・既存株主には180日のロックアップが掛かる。
・新株予約権は上場後6カ月間は行使できない。
〈ファーストインプレッション〉
売り出しのみの出口色が強いうえ、半導体市況が後退しているタイミングとあって個人には不評そう。大手電機からの寄せ集めの事業体はこれまでうまくいった試しがほとんどなく、株式市場にとってはトラウマだ。また、目論見書には市場シェアの説明が図解されているが、自社製品にしか供給しない最大手アップルを除いた市場で8%しかないのに、世界2位とドヤ顔されても「何だそりゃ」である。
だが色眼鏡を外して見れば、ファブレス形態で身軽なうえ、19.3期から取り組む先端分野の上流設計工程にシフトする改革の成果が出始めている。今期増収率は45%と高く、営業利益率もついに2桁乗せの会社予想だ。これまで獲得した商談の設計開発や顧客の評価が徐々に完了し、本格的に量産段階に入ってきているという。シェアの低さも成長段階に入れば伸び代の多さとも解釈できる。これで希薄化後のPERが約10倍、配当利回り4.6%なら悪くはないのではないか。前提為替レートは年平均1ドル125円で設定されており、上振れも期待できそう。船頭多くして船山に上るの前例が多く、同社も当初は迷走していたようなので注意は必要だが、初値よりセカンダリーで健闘するタイプか。
・売り出し株のうち354万4800株、オーバーアロットメントによる売り出し株のうち53万1700株、合計407万6500株(配分比率30%)は海外で販売される。
・既存株主には180日のロックアップが掛かる。
・新株予約権は上場後6カ月間は行使できない。
〈ファーストインプレッション〉
売り出しのみの出口色が強いうえ、半導体市況が後退しているタイミングとあって個人には不評そう。大手電機からの寄せ集めの事業体はこれまでうまくいった試しがほとんどなく、株式市場にとってはトラウマだ。また、目論見書には市場シェアの説明が図解されているが、自社製品にしか供給しない最大手アップルを除いた市場で8%しかないのに、世界2位とドヤ顔されても「何だそりゃ」である。
だが色眼鏡を外して見れば、ファブレス形態で身軽なうえ、19.3期から取り組む先端分野の上流設計工程にシフトする改革の成果が出始めている。今期増収率は45%と高く、営業利益率もついに2桁乗せの会社予想だ。これまで獲得した商談の設計開発や顧客の評価が徐々に完了し、本格的に量産段階に入ってきているという。シェアの低さも成長段階に入れば伸び代の多さとも解釈できる。これで希薄化後のPERが約10倍、配当利回り4.6%なら悪くはないのではないか。前提為替レートは年平均1ドル125円で設定されており、上振れも期待できそう。船頭多くして船山に上るの前例が多く、同社も当初は迷走していたようなので注意は必要だが、初値よりセカンダリーで健闘するタイプか。
仮条件分析
(BB参加妙味
:B)
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想定価格: 3,480円
吸収資金レンジ: 411.2億円 - 472.9億円(今期予想連結PER: 9.0倍)
時価総額レンジ: 1171.6億円
仮条件: 3,480円 - 3,650円
吸収資金レンジ: 636.7億円 - 768.0億円(今期予想連結PER: 9.0倍 - 9.5倍)
時価総額レンジ: 1171.6億円 - 1228.8億円
仮条件は想定価格を下限に170円幅に設定された。上限価格は想定を4.89%上回る。
また、売り出し株数が以下のように上乗せされ、最大吸収金額は62%増加、海外配分比率は35%に上昇した。流動性向上を受けて、目論見書のリスク項目から流動性についての記載を削除した。
〈主な変更点〉
公開株式数:1358万8600株→2104万1800株(+54.8%)
売り出し:1181万6200株→1829万7300株
国内 : 827万1400株→1189万3300株
海外 : 354万4800株→ 640万4000株
OA : 177万2400株→ 274万4500株
国内 : 124万0700株→ 178万3900株
海外 : 53万1700株→ 96万0600株
吸収資金:411.2億~472.9億円→636.7億~768.0億円(+62.5%)
時価総額:1171.6億円→1171.6億~1228.8億円
オファリング比率:40.4%→62.5%
海外配分比率:30.0%→35.0%
※売り出しのみのため上場時発行済み株式数は変化なし
〈強材料〉
公開株数大幅上乗せ、仮条件上振れ、業績急拡大、割安、量産本格化、高配当、円安、初のプライム直接上場
〈弱材料〉
寄せ集め、半導体市況悪化、世界大手との格差大、売り出しのみの出口案件、超大型案件
〈結論〉
Bとする。公開価格が上限ならば、初値は4000~4500円(希薄化後PER:11.2~12.6倍)を想定する。
大手電機からのスピンアウト半導体連合に失敗例が続くことや、半導体市況の悪化、売り出しのみの出口案件であることから個人の第一印象は悪いようだが、機関投資家の評価は真逆なもよう。人気を裏付ける公開株数上乗せ措置が取られたことで、警戒していた個人も手のひら返しだろう。ただ吸収額は桁違いになるうえ、SOXが安値を更新する逆風下では、さすがに今回は跳ねにくいとみる。
同社は富士通とパナソニックのSoC(System on Chip)事業を統合して発足したファブレス半導体企業である。大手電機からの事業切り出しによる弱者連合の成功例は少なく、当初は同社も迷走したもようだ。だが、2018年4月に富士通出身で準備会社時代の代表取締役も務めた肥塚雅博氏がトップに就くと風向きが変わった。
それまではどの分野に注力するかの軸足が定まらなかったが、19.3期からは先端分野の上流設計工程にシフトする改革を開始。同時に縦割り組織を抜本的に見直した。具体的には、市場アプリケーションごとのチームを設置し、市場展開を積極的に進める一方、技術開発部門は大くくりにし、会社全体で技術・ノウハウを共有できる体制に変更したという(産業電子デバイス新聞より)。
足元ではこの改革の成果が実り始めており、今期の増収率は前期比45%に上り、営業利益に至っては倍増の170億円に拡大する会社予想だ。半導体不足を背景にした前倒し受注に加え、これまで獲得した商談の設計開発や顧客の評価が徐々に完了し、本格的に量産段階に入ってきているとのことだ。製品販売の売上高構成比は前期の72.3%から今期は81.5%に拡大する。研究開発段階でもらうNRE売り上げの割合は低下するが、前期比では10.3%伸びる予想となっており、さらなる成長の種もまかれている。中期事業目標では売上高の年平均成長率目標を「10%台後半」、営業利益率は「10%前半~半ば」としている。
仮条件は最大5%弱の上振れレンジで設定され、上限での希薄化後PERは10.2倍に設定された。これに対し、競合の米ブロードコムは26日現在11.63倍、米マーベルは16.46倍(ロイター)だ。国内のファブレス半導体も異常値を除けばこれに沿ったバリュエーションになっている。
比較できる相手は少ないが、ブロードコムの評価が相対的に低いのはシェアの圧倒的大きさゆえに市況の影響をより受けやすいためだろう。海外2社はともに今後も増収増益が続くコンセンサスだが、来期増収率はマーベルが16%なのに対し、ブロードコムは6%にとどまる。ソシオネクストも来期減速はさけられないだろうが、現在のシェアはマーベルに近く、中期目標の観点からもベンチマークにするならマーベルがよりふさわしいといえる。マーベルのPERにサヤ寄せなら株価は5900円が狙える計算だ。
加えて前提為替レートは年平均1ドル125円(上期130円、下期120円)であり、売上高の半分は海外向けのため、このまま円安が続けば上方修正によるさらなる株価上昇が狙える。円安効果は上場企業なら業績予想修正前に織り込むことが多いが、EDPの時はあれだけ見え見えにもかかわらず株価が上昇したのは修正後だった。IPOしたばかりだと機関投資家の参戦がまだ限られカバレッジも付かないため、結果が出てからでないと織り込めない。円安効果の果実回収は中期セカンダリーとみておきたい。
一方、エルピーダやジャパンディスプレイといった複数の大手電機からスピンアウトさせた半導体関連事業連合の失敗例の多さと、売り出しのみの出口案件に個人の第一印象は最悪なもよう。だが、日の丸半導体が破れた一因には海外の競合に比べて弱腰な設備投資姿勢と垂直統合へのこだわりにあったとされるが、ファブレス業態なら設備投資の必要はなく、分業もされている。カスタムなら中韓勢との競争の激しい汎用品とは一線を画す。また、売出人のうちの政投銀は民間の投資会社とは違い、変に価格をつり上げようとする交渉相手でもない。
そもそも今回のような規模の大きい案件での株価は機関投資家が主導することになり、個人の関与する余地は少ない。個人の評価は中身よりも外見や経験によるところが大きく、株数上乗せによる強気メッセージを受け、個人の態度も手のひら返しになろう。
ただ上乗せ措置により公開規模は最大768億円に膨れ上がる。これまで公開株数が上乗せされると、呼び水効果によりさらに買いが増え、結果的には規模拡大が重しにならないといった現象が見られたが、今回は文字通り桁が違う。さらに海外勢の日本株投資熱は冷めたままで、彼らへの配分比率は上がったといっても35%だ。そのうえ、今年の半導体株は下落基調が続いており、フィラデルフィア半導体株指数は26日も52週安値を更新した。やがてはマーベルに収れんするとしても、マーベル側から下りてくる恐怖がのし掛かる。
加えて市場では今のところマイナーなマーベルよりも、圧倒的最大手のブロードコムの方が意識されているもようだ。このため初値の段階ではメジャーなブロードコムのバリュエーションを参考にすべきと考え、心理的な節目も考慮し4000円台前半で想定する。初値は売り場ではなく、買い増し機会と捉えたい。
吸収資金レンジ: 411.2億円 - 472.9億円(今期予想連結PER: 9.0倍)
時価総額レンジ: 1171.6億円
仮条件: 3,480円 - 3,650円
吸収資金レンジ: 636.7億円 - 768.0億円(今期予想連結PER: 9.0倍 - 9.5倍)
時価総額レンジ: 1171.6億円 - 1228.8億円
仮条件は想定価格を下限に170円幅に設定された。上限価格は想定を4.89%上回る。
また、売り出し株数が以下のように上乗せされ、最大吸収金額は62%増加、海外配分比率は35%に上昇した。流動性向上を受けて、目論見書のリスク項目から流動性についての記載を削除した。
〈主な変更点〉
公開株式数:1358万8600株→2104万1800株(+54.8%)
売り出し:1181万6200株→1829万7300株
国内 : 827万1400株→1189万3300株
海外 : 354万4800株→ 640万4000株
OA : 177万2400株→ 274万4500株
国内 : 124万0700株→ 178万3900株
海外 : 53万1700株→ 96万0600株
吸収資金:411.2億~472.9億円→636.7億~768.0億円(+62.5%)
時価総額:1171.6億円→1171.6億~1228.8億円
オファリング比率:40.4%→62.5%
海外配分比率:30.0%→35.0%
※売り出しのみのため上場時発行済み株式数は変化なし
〈強材料〉
公開株数大幅上乗せ、仮条件上振れ、業績急拡大、割安、量産本格化、高配当、円安、初のプライム直接上場
〈弱材料〉
寄せ集め、半導体市況悪化、世界大手との格差大、売り出しのみの出口案件、超大型案件
〈結論〉
Bとする。公開価格が上限ならば、初値は4000~4500円(希薄化後PER:11.2~12.6倍)を想定する。
大手電機からのスピンアウト半導体連合に失敗例が続くことや、半導体市況の悪化、売り出しのみの出口案件であることから個人の第一印象は悪いようだが、機関投資家の評価は真逆なもよう。人気を裏付ける公開株数上乗せ措置が取られたことで、警戒していた個人も手のひら返しだろう。ただ吸収額は桁違いになるうえ、SOXが安値を更新する逆風下では、さすがに今回は跳ねにくいとみる。
同社は富士通とパナソニックのSoC(System on Chip)事業を統合して発足したファブレス半導体企業である。大手電機からの事業切り出しによる弱者連合の成功例は少なく、当初は同社も迷走したもようだ。だが、2018年4月に富士通出身で準備会社時代の代表取締役も務めた肥塚雅博氏がトップに就くと風向きが変わった。
それまではどの分野に注力するかの軸足が定まらなかったが、19.3期からは先端分野の上流設計工程にシフトする改革を開始。同時に縦割り組織を抜本的に見直した。具体的には、市場アプリケーションごとのチームを設置し、市場展開を積極的に進める一方、技術開発部門は大くくりにし、会社全体で技術・ノウハウを共有できる体制に変更したという(産業電子デバイス新聞より)。
足元ではこの改革の成果が実り始めており、今期の増収率は前期比45%に上り、営業利益に至っては倍増の170億円に拡大する会社予想だ。半導体不足を背景にした前倒し受注に加え、これまで獲得した商談の設計開発や顧客の評価が徐々に完了し、本格的に量産段階に入ってきているとのことだ。製品販売の売上高構成比は前期の72.3%から今期は81.5%に拡大する。研究開発段階でもらうNRE売り上げの割合は低下するが、前期比では10.3%伸びる予想となっており、さらなる成長の種もまかれている。中期事業目標では売上高の年平均成長率目標を「10%台後半」、営業利益率は「10%前半~半ば」としている。
仮条件は最大5%弱の上振れレンジで設定され、上限での希薄化後PERは10.2倍に設定された。これに対し、競合の米ブロードコム
比較できる相手は少ないが、ブロードコムの評価が相対的に低いのはシェアの圧倒的大きさゆえに市況の影響をより受けやすいためだろう。海外2社はともに今後も増収増益が続くコンセンサスだが、来期増収率はマーベルが16%なのに対し、ブロードコムは6%にとどまる。ソシオネクストも来期減速はさけられないだろうが、現在のシェアはマーベルに近く、中期目標の観点からもベンチマークにするならマーベルがよりふさわしいといえる。マーベルのPERにサヤ寄せなら株価は5900円が狙える計算だ。
加えて前提為替レートは年平均1ドル125円(上期130円、下期120円)であり、売上高の半分は海外向けのため、このまま円安が続けば上方修正によるさらなる株価上昇が狙える。円安効果は上場企業なら業績予想修正前に織り込むことが多いが、EDPの時はあれだけ見え見えにもかかわらず株価が上昇したのは修正後だった。IPOしたばかりだと機関投資家の参戦がまだ限られカバレッジも付かないため、結果が出てからでないと織り込めない。円安効果の果実回収は中期セカンダリーとみておきたい。
一方、エルピーダやジャパンディスプレイといった複数の大手電機からスピンアウトさせた半導体関連事業連合の失敗例の多さと、売り出しのみの出口案件に個人の第一印象は最悪なもよう。だが、日の丸半導体が破れた一因には海外の競合に比べて弱腰な設備投資姿勢と垂直統合へのこだわりにあったとされるが、ファブレス業態なら設備投資の必要はなく、分業もされている。カスタムなら中韓勢との競争の激しい汎用品とは一線を画す。また、売出人のうちの政投銀は民間の投資会社とは違い、変に価格をつり上げようとする交渉相手でもない。
そもそも今回のような規模の大きい案件での株価は機関投資家が主導することになり、個人の関与する余地は少ない。個人の評価は中身よりも外見や経験によるところが大きく、株数上乗せによる強気メッセージを受け、個人の態度も手のひら返しになろう。
ただ上乗せ措置により公開規模は最大768億円に膨れ上がる。これまで公開株数が上乗せされると、呼び水効果によりさらに買いが増え、結果的には規模拡大が重しにならないといった現象が見られたが、今回は文字通り桁が違う。さらに海外勢の日本株投資熱は冷めたままで、彼らへの配分比率は上がったといっても35%だ。そのうえ、今年の半導体株は下落基調が続いており、フィラデルフィア半導体株指数は26日も52週安値を更新した。やがてはマーベルに収れんするとしても、マーベル側から下りてくる恐怖がのし掛かる。
加えて市場では今のところマイナーなマーベルよりも、圧倒的最大手のブロードコムの方が意識されているもようだ。このため初値の段階ではメジャーなブロードコムのバリュエーションを参考にすべきと考え、心理的な節目も考慮し4000円台前半で想定する。初値は売り場ではなく、買い増し機会と捉えたい。
公開価格分析
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公開価格: 3,650円
吸収資金: 768.0億円(今期予想連結PER: 9.5倍)
時価総額: 1,228.8億円
公開価格、追加売り出し株数ともに上限で決まった。引受価額は3476.62円。訂正目論見書によればブックビルディングの状況は、申告された総需要株式数が公開株数を十分に上回り、総件数が多数にわたっていたうえ、価格ごとの分布は仮条件の上限価格に集中していたことが特徴だった。
また、国内外の売り出し株数の配分を国内1189万3300株→1084万1200株、海外640万4000株→745万6100株と再変更(OAは変更なし)。合計の海外配分比率を40%に引き上げた。
海外は初日に需要の数倍を埋めたとの観測が流れ、最終的には10倍台半ばに上ったもよう。一方、国内リテールは手のひら返しとはいかず、最終的には強気な姿勢にうながされながらも最後まで半信半疑に何とか積み上げた様子。個人と機関の間の温度差は激しいままのようだ。
ただ観測された海外倍率は昨年までのコロナバブル時では低い部類に入る。下落相場のなかでのこの規模の案件としては良好とみるが、一方、海外競合の株価はさらに下げている。当面のベンチマークとしたブロードコムの現在のPERに合わせると4000円に届くかどうかだ。国内個人はもともと早売り前提だが、9月終盤はリスク回避の動きも強まった。海外競合株は10月に入ってからは反発しているため想定初値は据え置くが、現状では想定初値下限が予想の軸になる。
なお、相場低迷時のIPOで内外の温度差の激しかった案件といえば、日本航空の再上場が思い起こされる。野村が不祥事でトップレフトを務めず営業力をカバーする狙いもあって、ANAのPER15倍前後に対し、実質8倍程度と格安に値付けされ、それに海外勢が好反応を示したが、初値は0.53%の上昇にとどまった。初日から一部外資系証券では強気カバレッジが開始され、セカンダリーでも海外勢は実際に執ように買いを入れてきたが、明確に株価が公開価格を上回るようになったのは半年近くたって実質的な増配を発表してからだった。相場低迷といっても民主党政権の当時とは投資意欲に大きな差があるためあまり参考にはならないが、今回も円安効果による上方修正まで視野に入れれば長い目で見る必要がある。
吸収資金: 768.0億円(今期予想連結PER: 9.5倍)
時価総額: 1,228.8億円
公開価格、追加売り出し株数ともに上限で決まった。引受価額は3476.62円。訂正目論見書によればブックビルディングの状況は、申告された総需要株式数が公開株数を十分に上回り、総件数が多数にわたっていたうえ、価格ごとの分布は仮条件の上限価格に集中していたことが特徴だった。
また、国内外の売り出し株数の配分を国内1189万3300株→1084万1200株、海外640万4000株→745万6100株と再変更(OAは変更なし)。合計の海外配分比率を40%に引き上げた。
海外は初日に需要の数倍を埋めたとの観測が流れ、最終的には10倍台半ばに上ったもよう。一方、国内リテールは手のひら返しとはいかず、最終的には強気な姿勢にうながされながらも最後まで半信半疑に何とか積み上げた様子。個人と機関の間の温度差は激しいままのようだ。
ただ観測された海外倍率は昨年までのコロナバブル時では低い部類に入る。下落相場のなかでのこの規模の案件としては良好とみるが、一方、海外競合の株価はさらに下げている。当面のベンチマークとしたブロードコムの現在のPERに合わせると4000円に届くかどうかだ。国内個人はもともと早売り前提だが、9月終盤はリスク回避の動きも強まった。海外競合株は10月に入ってからは反発しているため想定初値は据え置くが、現状では想定初値下限が予想の軸になる。
なお、相場低迷時のIPOで内外の温度差の激しかった案件といえば、日本航空の再上場が思い起こされる。野村が不祥事でトップレフトを務めず営業力をカバーする狙いもあって、ANAのPER15倍前後に対し、実質8倍程度と格安に値付けされ、それに海外勢が好反応を示したが、初値は0.53%の上昇にとどまった。初日から一部外資系証券では強気カバレッジが開始され、セカンダリーでも海外勢は実際に執ように買いを入れてきたが、明確に株価が公開価格を上回るようになったのは半年近くたって実質的な増配を発表してからだった。相場低迷といっても民主党政権の当時とは投資意欲に大きな差があるためあまり参考にはならないが、今回も円安効果による上方修正まで視野に入れれば長い目で見る必要がある。
初値予想
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初値予想: 3,800円(今期予想連結PER: 9.8倍)
初値買い妙味: A
初値小じっかりを予想する。割安感を背景に海外勢の強い買い意欲が観測され、公開株数上乗せまで実施された案件だが、官製再編日の丸半導体の相次ぐ失敗例などを背景に国内勢は冷ややかと温度差は激しい。フィラデルフィア半導体株指数(SOX)が連休前と比べて1割近く急落したタイミングと重なったこともあり、上げ幅は小さいとみる。
同社はSoC(System on Chip)のファブレス半導体ベンダーであり、富士通とパナソニック(現パナソニックホールディングス)の同事業を統合し、日本政策投資銀行の出資を受け2015年3月に事業を開始した。SoCはシステムLSI(高密度集積回路)とも呼ばれ、装置やシステムの動作に必要な機能を一つのチップ(半導体)に実装したものを指す。
足元の業績は絶好調だ。大手電機からの事業切り出しによる弱者連合の成功例は少なく、当初は同社も迷走したもようだが、2018年4月に富士通出身で準備会社時代の代表取締役も務めた肥塚雅博氏がトップに就くと風向きが変わった。
それまではどの分野に注力するかの軸足が定まらなかったが、19.3期からは先端分野の上流設計工程にシフトする改革を開始。同時に縦割り組織を抜本的に見直した。具体的には、市場アプリケーションごとのチームを設置し、市場展開を積極的に進める一方、技術開発部門は大くくりにし、会社全体で技術・ノウハウを共有できる体制に変更したという(産業電子デバイス新聞より)。
足元ではこの改革の成果が実り始めており、今期の増収率は前期比45%に上り、営業利益に至っては倍増の170億円に拡大する会社予想だ。半導体不足を背景にした前倒し受注に加え、これまで獲得した商談の設計開発や顧客の評価が徐々に完了し、本格的に量産段階に入ってきている。なお、同社の海外販売比率は約半分だが、前提の為替レートは1ドル125円で、下期は120円である。
半導体不足解消を背景に来期以降の減速は避けられないだろうが、中期事業目標では売上高の年平均成長率目標を「10%台後半」、営業利益率は「10%前半~半ば」としている。
公開価格の希薄化後PERは10.2倍であり、競合の米ブロードコムの11倍台半ば、米マーベルの16倍弱に比べて割安だ。前者との比較ではそれほどでもないが、現在の成長ステージ的には後者への収れんが期待でき、2000円程度の値上がりが想定される。
好調な業績や割安な値付けに加え、シリコンサイクルに左右されにくい自動車やデータセンターなどの分野に強いことなども評価され、ブックビルディングは海外勢の旺盛な投資意欲が観測された。ブックビルディングは開始時に公開株数を55%上乗せされ、価格も5%引き上げられた。海外勢への配分は当初の30%から最終的には40%に引き上げられた。
ただ海外勢に比べて国内勢は冷ややかで、リテールについてはブックビルは終盤まで苦戦が観測された。機関投資家も静観の構えで、国内配分のほとんどは個人に回されたもようだ。海外勢への手厚い配分は国内勢の様子見姿勢の裏返しでもある。官主導による半導体事業の再編案件に失敗が相次ぐうえ、今年に入ってSOXは下落基調だ。半導体企業の失敗要因は大抵が設備投資の失敗によるもので、今回はその必要ないファブレス業態なわけだが、その違いは重視されていない。
加えて10月に入って反発していたSOXが足元で再び下落しており、3連休中の急落により年初来安値を更新した。また、中期的にはマーベルへの収れんが期待される一方、短期では圧倒的な存在感のブロードコムと比較されやすい。国内では自動車分野に強いルネサスや代表的なファブレス半導体のメガチップスのPERも10~11倍前後となっており、これらとの割安感は弱い。強気な措置に促されながらも半信半疑のままの個人の逃げ足は速いとみられる。海外勢の強気な姿勢を背景に買い優勢スタートも、国内勢の早売りが値を抑えることになりそうだ。特にSOXの急落とタイミングが重なったことで従来目安としていた4000円乗せは難しくなったとみて、そこまでの中間に近い3800円での初値形成を予想する。
初値買い妙味: A
初値小じっかりを予想する。割安感を背景に海外勢の強い買い意欲が観測され、公開株数上乗せまで実施された案件だが、官製再編日の丸半導体の相次ぐ失敗例などを背景に国内勢は冷ややかと温度差は激しい。フィラデルフィア半導体株指数(SOX)が連休前と比べて1割近く急落したタイミングと重なったこともあり、上げ幅は小さいとみる。
同社はSoC(System on Chip)のファブレス半導体ベンダーであり、富士通とパナソニック(現パナソニックホールディングス)の同事業を統合し、日本政策投資銀行の出資を受け2015年3月に事業を開始した。SoCはシステムLSI(高密度集積回路)とも呼ばれ、装置やシステムの動作に必要な機能を一つのチップ(半導体)に実装したものを指す。
足元の業績は絶好調だ。大手電機からの事業切り出しによる弱者連合の成功例は少なく、当初は同社も迷走したもようだが、2018年4月に富士通出身で準備会社時代の代表取締役も務めた肥塚雅博氏がトップに就くと風向きが変わった。
それまではどの分野に注力するかの軸足が定まらなかったが、19.3期からは先端分野の上流設計工程にシフトする改革を開始。同時に縦割り組織を抜本的に見直した。具体的には、市場アプリケーションごとのチームを設置し、市場展開を積極的に進める一方、技術開発部門は大くくりにし、会社全体で技術・ノウハウを共有できる体制に変更したという(産業電子デバイス新聞より)。
足元ではこの改革の成果が実り始めており、今期の増収率は前期比45%に上り、営業利益に至っては倍増の170億円に拡大する会社予想だ。半導体不足を背景にした前倒し受注に加え、これまで獲得した商談の設計開発や顧客の評価が徐々に完了し、本格的に量産段階に入ってきている。なお、同社の海外販売比率は約半分だが、前提の為替レートは1ドル125円で、下期は120円である。
半導体不足解消を背景に来期以降の減速は避けられないだろうが、中期事業目標では売上高の年平均成長率目標を「10%台後半」、営業利益率は「10%前半~半ば」としている。
公開価格の希薄化後PERは10.2倍であり、競合の米ブロードコムの11倍台半ば、米マーベルの16倍弱に比べて割安だ。前者との比較ではそれほどでもないが、現在の成長ステージ的には後者への収れんが期待でき、2000円程度の値上がりが想定される。
好調な業績や割安な値付けに加え、シリコンサイクルに左右されにくい自動車やデータセンターなどの分野に強いことなども評価され、ブックビルディングは海外勢の旺盛な投資意欲が観測された。ブックビルディングは開始時に公開株数を55%上乗せされ、価格も5%引き上げられた。海外勢への配分は当初の30%から最終的には40%に引き上げられた。
ただ海外勢に比べて国内勢は冷ややかで、リテールについてはブックビルは終盤まで苦戦が観測された。機関投資家も静観の構えで、国内配分のほとんどは個人に回されたもようだ。海外勢への手厚い配分は国内勢の様子見姿勢の裏返しでもある。官主導による半導体事業の再編案件に失敗が相次ぐうえ、今年に入ってSOXは下落基調だ。半導体企業の失敗要因は大抵が設備投資の失敗によるもので、今回はその必要ないファブレス業態なわけだが、その違いは重視されていない。
加えて10月に入って反発していたSOXが足元で再び下落しており、3連休中の急落により年初来安値を更新した。また、中期的にはマーベルへの収れんが期待される一方、短期では圧倒的な存在感のブロードコムと比較されやすい。国内では自動車分野に強いルネサスや代表的なファブレス半導体のメガチップスのPERも10~11倍前後となっており、これらとの割安感は弱い。強気な措置に促されながらも半信半疑のままの個人の逃げ足は速いとみられる。海外勢の強気な姿勢を背景に買い優勢スタートも、国内勢の早売りが値を抑えることになりそうだ。特にSOXの急落とタイミングが重なったことで従来目安としていた4000円乗せは難しくなったとみて、そこまでの中間に近い3800円での初値形成を予想する。
初値分析
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初値: 3,835円(今期予想連結PER: 9.9倍)
/ 上昇率: 5.1%
/ 高値: 4,200円
/ 安値: 3,690円
/ 終値: 4,200円
出来高: 12,725,800株 / 対公開株数: 60.5% / 初値出来高: 3,028,100株 / 初値売買代金: 11,612,763,500円
小じっかりした初値が付いた。連日のフィラデルフィア半導体指数(SOX)の安値更新のなか、110億円を超える買いが入った。ただ売り手側の価格弾力性は大きく、公開価格の時点では買いの半分ほどしかなかった売りは少しの値上がりで倍増。今年最大の公開規模とあって初値は5%強の上昇にとどまった。公開株の多くが配分された個人は複数単元もらった人も多く、半導体株安の恐怖のなかで手数料抜けするやいなや利益を確定しに行ったとみられる。
寄り付き後は一段高となった。1時間ほどは3800円を挟んだもみ合いだったが、売りが一巡した矢先に急伸。一気に4000円台に突入した。その後は4000円を挟んだもみ合いで推移したが、終盤に買い上げられ高値引けした。
SOX安値更新を受け、国内でも半導体関連株の売りが広がるなかで初日から早くも4000円台を固める展開は弱気だった国内勢にとってはポジティブサプライズだろう。買い手は海外勢が主体だろうが、中期的なベンチマークとする米マーベルの株価に収れんさせるにはまだまだ上げ余地がある。ただ世界的に半導体株安が止まらないなか、米マーベルも例外ではなく11日も4%強下落した。ベンチマーク側の下げによって収れんする可能性は常にちらつくゆえ、当面は4000円台を固める展開とみる。
出来高: 12,725,800株 / 対公開株数: 60.5% / 初値出来高: 3,028,100株 / 初値売買代金: 11,612,763,500円
小じっかりした初値が付いた。連日のフィラデルフィア半導体指数(SOX)の安値更新のなか、110億円を超える買いが入った。ただ売り手側の価格弾力性は大きく、公開価格の時点では買いの半分ほどしかなかった売りは少しの値上がりで倍増。今年最大の公開規模とあって初値は5%強の上昇にとどまった。公開株の多くが配分された個人は複数単元もらった人も多く、半導体株安の恐怖のなかで手数料抜けするやいなや利益を確定しに行ったとみられる。
寄り付き後は一段高となった。1時間ほどは3800円を挟んだもみ合いだったが、売りが一巡した矢先に急伸。一気に4000円台に突入した。その後は4000円を挟んだもみ合いで推移したが、終盤に買い上げられ高値引けした。
SOX安値更新を受け、国内でも半導体関連株の売りが広がるなかで初日から早くも4000円台を固める展開は弱気だった国内勢にとってはポジティブサプライズだろう。買い手は海外勢が主体だろうが、中期的なベンチマークとする米マーベルの株価に収れんさせるにはまだまだ上げ余地がある。ただ世界的に半導体株安が止まらないなか、米マーベルも例外ではなく11日も4%強下落した。ベンチマーク側の下げによって収れんする可能性は常にちらつくゆえ、当面は4000円台を固める展開とみる。