IPO銘柄詳細
コード | 市場 | 業種 | 売買単位 | 注目度 |
---|---|---|---|---|
6571 | 東証1部 | サービス業 | 100株 | A |
注目のIPO銘柄
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スケジュール
スケジュール | |
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仮条件決定 | 2018/03/05 |
ブックビルディング期間 | 2018/03/07 - 03/13 |
公開価格決定 | 2018/03/14 |
申込期間 | 2018/03/15 - 03/20 |
払込期日 | - |
上場日 | 2018/03/23 |
価格情報 | |
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想定価格 | 2,250円 |
仮条件 | 2,000 - 2,250円 |
公開価格 | 2,250円 |
初値予想 | 2,115円 |
初値 | 2,115円 |
- スケジュールは上場企業都合により変更になる場合があります。
基本情報
代表者名 | 北野 泰男 (上場時48歳8カ月)/1969年生 |
---|---|
本店所在地 | 東京都渋谷区渋谷 |
設立年 | 2014年 |
従業員数 | 2人 (2018/01/31現在)(平均49.4歳、年収1061.1万円)、連結1724人 |
事業内容 | ヘアカット専門店チェーン「QB HOUSE」などを運営するキュービーネットをはじめとしたグループ会社の経営管理全般 |
URL | http://www.qbnet.jp/ |
株主数 | 7人 (目論見書より) |
資本金 | 1,000,000,000円 (2018/02/19現在) |
上場時発行済株数 | 12,000,000株(別に潜在株式1,644,000株) |
公開株数 | 11,253,700株(売り出し9,785,900株、オーバーアロットメント1,467,800株) |
調達資金使途 | - |
連結会社 | 6社 |
シンジケート
公開株数8,259,100株(別に1,467,800株)/(国内分)
種別 | 証券会社名 | 株数 | 比率 |
---|---|---|---|
主幹事証券 | 大和 | 4,790,600 | 58.00% |
主幹事証券 | 三菱UFJモルガン・スタンレー | 2,643,200 | 32.00% |
引受証券 | みずほ | 247,700 | 3.00% |
引受証券 | SMBC日興 | 247,700 | 3.00% |
引受証券 | 東海東京 | 82,500 | 1.00% |
引受証券 | 岡三 | 82,500 | 1.00% |
引受証券 | 岩井コスモ | 82,500 | 1.00% |
引受証券 | マネックス | 41,200 | 0.50% |
引受証券 | SBI | 41,200 | 0.50% |
大株主(潜在株式を含む)
大株主名 | 摘要 | 株数 | 比率 |
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インテグラル2号投組 | ベンチャーキャピタル(ファンド) | 10,133,500 | 74.27% |
Integral Fund II(A) | ベンチャーキャピタル(ファンド) | 1,120,200 | 8.21% |
インテグラル(株) | ベンチャーキャピタル(ファンド) | 592,300 | 4.34% |
北野 泰男 | 代表取締役社長 | 536,000 | 3.93% |
入山 裕左 | 常務取締役 | 142,000 | 1.04% |
宮崎 誠 | 取締役 | 108,000 | 0.79% |
松本 修 | 取締役 | 108,000 | 0.79% |
松尾 香織 | 執行役員 | 23,000 | 0.17% |
新見 哲也 | 従業員 | 12,000 | 0.09% |
古谷 亮二 | 従業員 | 12,000 | 0.09% |
業績動向(単位:百万円)
決算期 | 種別 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 |
---|---|---|---|---|---|
2018/06 | 連結中間実績 | 9,614 | 930 | 888 | 594 |
2018/06 | 連結予想 | 19,090 | 1,714 | 1,631 | 1,100 |
2017/06 | 連結実績 | 17,971 | 1,502 | 1,417 | 1,023 |
2016/06 | 連結実績 | 16,675 | 1,416 | 822 | 565 |
売上高
営業利益
経常利益
純利益
1株あたりの数値(単位:円)
決算期 | 種別 | EPS | BPS | 配当 |
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2018/06 | 連結予想 | 91.67 | 715.62 | - |
事業詳細
理容室チェーン。低価格・短時間のヘアカット専門店「QB HOUSE」と、多様なニーズに合わせた業態「FaSS(ファス)」を展開している。ファスはお手軽さを踏まえたうえで、20~40代の男女をメーンターゲットにしている。カットとスタイリングを中心に「前髪だけカット」「スタイリングだけ」などニーズに合わせたメニューも取りそろえている。
店舗の運営形態は同社グループが設置して運営も行う(1)直営・直轄店舗、運営はエリアマネジャーに業務委託する(2)直営・業務委託店舗、フランチャイジーが店舗を設置するも同社グループが運営する(3)FC・直轄店舗、運営はエリアマネジャーに業務委託する(4)FC・業務委託店舗――の4形態ある。
店舗数は2017年末現在、国内544店舗(QBハウス534店舗、ファス10店舗)、海外120店舗(香港59店舗、台湾26店舗、シンガポール34店舗、米国1店舗)。運営形態別では直営・直轄395店舗(うち海外117店舗)、直営・業務委託182店舗、FC直轄22店舗、FC業務委託52店舗。
2017年6月期の売上収益構成比は、直営店95.2%、その他(FC店からのロイヤルティーなど)4.8%。地域別では国内事業84.7%、海外事業15.3%。
店舗の運営形態は同社グループが設置して運営も行う(1)直営・直轄店舗、運営はエリアマネジャーに業務委託する(2)直営・業務委託店舗、フランチャイジーが店舗を設置するも同社グループが運営する(3)FC・直轄店舗、運営はエリアマネジャーに業務委託する(4)FC・業務委託店舗――の4形態ある。
店舗数は2017年末現在、国内544店舗(QBハウス534店舗、ファス10店舗)、海外120店舗(香港59店舗、台湾26店舗、シンガポール34店舗、米国1店舗)。運営形態別では直営・直轄395店舗(うち海外117店舗)、直営・業務委託182店舗、FC直轄22店舗、FC業務委託52店舗。
2017年6月期の売上収益構成比は、直営店95.2%、その他(FC店からのロイヤルティーなど)4.8%。地域別では国内事業84.7%、海外事業15.3%。
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・直近(2014年12月)の第三者割当増資による株式の発行単価は、分割を遡及(そきゅう)修正すると500円。
・直近(2014年12月)の第三者割当増資の発行単価は、遡及(そきゅう)修正後で500円。
・既存の現物株主には180日間のロックアップが掛かる。
・ロックアップ対象外の新株予約権が行使できるのは早くて2018年9月末から。
<ファーストインプレッション>
美容室チェーンの上場は例があるものの、なぜか理容室はなし(男性の多い理容師の方が独立志向が強いためチェーンを展開しづらい?)。初モノということにはなるが、もちろん新味はない。人手不足と人口減少、既存業者による政治圧力を背景とした自治体の規制で成長イメージには乏しいが、最近は海外出店に力を入れておりこれが成長をけん引しているようだ。ただ信和と違ってのれんが自己資本の2倍近くあり、突然死リスクのある財務内容。国内頭打ちの懸念が強いなかでPER20倍台半ばのプライシングも疑問なところ。時価総額を一部直接上場に合わせただけの疑念も残る。基本的に見送りでいいのではないか。
・直近(2014年12月)の第三者割当増資の発行単価は、遡及(そきゅう)修正後で500円。
・既存の現物株主には180日間のロックアップが掛かる。
・ロックアップ対象外の新株予約権が行使できるのは早くて2018年9月末から。
<ファーストインプレッション>
美容室チェーンの上場は例があるものの、なぜか理容室はなし(男性の多い理容師の方が独立志向が強いためチェーンを展開しづらい?)。初モノということにはなるが、もちろん新味はない。人手不足と人口減少、既存業者による政治圧力を背景とした自治体の規制で成長イメージには乏しいが、最近は海外出店に力を入れておりこれが成長をけん引しているようだ。ただ信和と違ってのれんが自己資本の2倍近くあり、突然死リスクのある財務内容。国内頭打ちの懸念が強いなかでPER20倍台半ばのプライシングも疑問なところ。時価総額を一部直接上場に合わせただけの疑念も残る。基本的に見送りでいいのではないか。
仮条件分析
(BB参加妙味
:C)
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想定価格: 2,250円
吸収資金レンジ: 220.2億円 - 253.2億円(今期予想連結PER: 24.5倍)
時価総額レンジ: 270.0億円
仮条件: 2,000円 - 2,250円
吸収資金レンジ: 195.7億円 - 253.2億円(今期予想連結PER: 21.8倍 - 24.5倍)
時価総額レンジ: 240.0億円 - 270.0億円
仮条件は想定価格を上限にして決められた。下限価格は想定を11.11%下回る。直接1部上場の要件である時価総額250億円を挟む形となっており、2083円以下ならば2部上場になる。
<強材料>
国際売り出し、海外出店で成長、知名度高い、直接1部上場の可能性、既存店来店数堅調
<弱材料>
のれん多い、斜陽産業、参入障壁低い、PER高め、ファンド出口案件、吸収額多い、自治体で規制あり、人手不足
<結論>
Cとする。初値は公開価格比-10~±0%を想定する。公開価格が上限では決まらないケースも想定しておきたい。レンジが下に広がったことで2部上場の可能性も浮上しており、リスクの高さを踏まえると全く割に合わない案件だ。
低価格・短時間の理髪専門店「QB HOUSE」を中核事業とする持ち株会社。お手軽さはそのままに、20~40代の男女を狙った新業態「FaSS」も展開している。また、未経験者やブランク者を対象とした教育研修施設を東京・大阪・名古屋に保有。今後は福岡や札幌にも展開する予定だ。
これも創業者の手を離れてからはファンド間で売買が繰り返されてきた案件で、以前はオリックス系、次にジャフコ系の傘下にあった。現在の株主であるインテグラルの傘下に入ったのは2015年6月から。今回の上場ではインテグラル本体で保有している株式は残るが、ファンドで保有している分はグリーンシューオプション行使後に全てなくなる。
足元の業績は堅調だ。国内の理容市場は既に縮小する斜陽産業ではあるが、既存店の来客数はプラス傾向。カット専門への需要は拡大しており、新規に28店舗を出店する計画だ。海外では16店舗を計画している。前期に出店した国内39店舗、海外13店舗の通期寄与もあり、営業利益は前期比14.1%増の17億円を予想している。
比較対象となる美容室チェーンのPERが優待による高止まりなどで異常値のものが多く、評価の難しい案件だが、仮条件は割高だと考える。美容室3社のなかで唯一異常値でないアルテサロンは23倍弱なのに対し、仮条件は希薄化後で24.8~27.9倍。既にプレミアムが付いている。斜陽産業のなかにあって、カット専門店は節約志向を背景に需要は拡大しているが、売り上げの伸びは6%にとどまる。参入障壁の低い業態としてはむしろ過大評価ではないかと考える。配当利回りも1%を切っており、優待もないため株主還元の観点からも妙味はまったくないといえる。
既存の理容店でも最近はカットのみのメニューをもうけるところも増えており、競争は激化している。自治体によっては理容組合の政治圧力によって、洗髪設備を義務化する条例が制定される動きも相変わらずある。洗髪設備は水回りの工事を伴うため最もコストが掛かる。染髪の必要ないカット専門店にこれを義務付けることで、事実上の締めだしを狙うものだ。
加えて少子化の影響で理容師試験の受験者数は年々減少しており、人手不足は深刻だ。既に自前で育成する力を持った同社は逆に優位な地位にあるとも解釈できるが、競合への転職や独立を妨げることはできない。この点を積極的に評価するのは難しいだろう。独立してもFC店にとどまってくれるならいいが、一通りの技術を身に付ければ本部の継続した指導が必要な業態とも考えにくく、上納金を払い続けるメリットは薄そうだ。
また、ファンド間を渡り歩いた末の出口案件とあって財務体質の問題も抱える。同じインテグラルの案件でも信和と違って、のれんは自己資本の1.9倍に上り、減損による突然死リスクを抱えている。こうした案件はすぐに買いが入りにくい傾向にある。後々に見直されることはあっても、カバレッジなどが入ってからのことがほとんどだ。そもそも仮条件以上に上値の余地は乏しい。
吸収金額にしてもインテグラルはほとんどの株式を売るとあって大きい。レンジが下方に伸びたことで、市場区分が2部になる可能性も出てきた。可能性は低いと思うが、仮条件のバリュエーションにまったくうま味がないとあって、油断はできない。2部では到底吸収しきれる規模ではない。バリュエーション、利回り、財務、どれを取っても買い手掛かりに乏しい。東証1部直接上場に合わせるため無理やりプライシングしている可能性も踏まえ、初値が付いてからも下値を探る展開に気を付けたい。
吸収資金レンジ: 220.2億円 - 253.2億円(今期予想連結PER: 24.5倍)
時価総額レンジ: 270.0億円
仮条件: 2,000円 - 2,250円
吸収資金レンジ: 195.7億円 - 253.2億円(今期予想連結PER: 21.8倍 - 24.5倍)
時価総額レンジ: 240.0億円 - 270.0億円
仮条件は想定価格を上限にして決められた。下限価格は想定を11.11%下回る。直接1部上場の要件である時価総額250億円を挟む形となっており、2083円以下ならば2部上場になる。
<強材料>
国際売り出し、海外出店で成長、知名度高い、直接1部上場の可能性、既存店来店数堅調
<弱材料>
のれん多い、斜陽産業、参入障壁低い、PER高め、ファンド出口案件、吸収額多い、自治体で規制あり、人手不足
<結論>
Cとする。初値は公開価格比-10~±0%を想定する。公開価格が上限では決まらないケースも想定しておきたい。レンジが下に広がったことで2部上場の可能性も浮上しており、リスクの高さを踏まえると全く割に合わない案件だ。
低価格・短時間の理髪専門店「QB HOUSE」を中核事業とする持ち株会社。お手軽さはそのままに、20~40代の男女を狙った新業態「FaSS」も展開している。また、未経験者やブランク者を対象とした教育研修施設を東京・大阪・名古屋に保有。今後は福岡や札幌にも展開する予定だ。
これも創業者の手を離れてからはファンド間で売買が繰り返されてきた案件で、以前はオリックス系、次にジャフコ系の傘下にあった。現在の株主であるインテグラルの傘下に入ったのは2015年6月から。今回の上場ではインテグラル本体で保有している株式は残るが、ファンドで保有している分はグリーンシューオプション行使後に全てなくなる。
足元の業績は堅調だ。国内の理容市場は既に縮小する斜陽産業ではあるが、既存店の来客数はプラス傾向。カット専門への需要は拡大しており、新規に28店舗を出店する計画だ。海外では16店舗を計画している。前期に出店した国内39店舗、海外13店舗の通期寄与もあり、営業利益は前期比14.1%増の17億円を予想している。
比較対象となる美容室チェーンのPERが優待による高止まりなどで異常値のものが多く、評価の難しい案件だが、仮条件は割高だと考える。美容室3社のなかで唯一異常値でないアルテサロンは23倍弱なのに対し、仮条件は希薄化後で24.8~27.9倍。既にプレミアムが付いている。斜陽産業のなかにあって、カット専門店は節約志向を背景に需要は拡大しているが、売り上げの伸びは6%にとどまる。参入障壁の低い業態としてはむしろ過大評価ではないかと考える。配当利回りも1%を切っており、優待もないため株主還元の観点からも妙味はまったくないといえる。
既存の理容店でも最近はカットのみのメニューをもうけるところも増えており、競争は激化している。自治体によっては理容組合の政治圧力によって、洗髪設備を義務化する条例が制定される動きも相変わらずある。洗髪設備は水回りの工事を伴うため最もコストが掛かる。染髪の必要ないカット専門店にこれを義務付けることで、事実上の締めだしを狙うものだ。
加えて少子化の影響で理容師試験の受験者数は年々減少しており、人手不足は深刻だ。既に自前で育成する力を持った同社は逆に優位な地位にあるとも解釈できるが、競合への転職や独立を妨げることはできない。この点を積極的に評価するのは難しいだろう。独立してもFC店にとどまってくれるならいいが、一通りの技術を身に付ければ本部の継続した指導が必要な業態とも考えにくく、上納金を払い続けるメリットは薄そうだ。
また、ファンド間を渡り歩いた末の出口案件とあって財務体質の問題も抱える。同じインテグラルの案件でも信和と違って、のれんは自己資本の1.9倍に上り、減損による突然死リスクを抱えている。こうした案件はすぐに買いが入りにくい傾向にある。後々に見直されることはあっても、カバレッジなどが入ってからのことがほとんどだ。そもそも仮条件以上に上値の余地は乏しい。
吸収金額にしてもインテグラルはほとんどの株式を売るとあって大きい。レンジが下方に伸びたことで、市場区分が2部になる可能性も出てきた。可能性は低いと思うが、仮条件のバリュエーションにまったくうま味がないとあって、油断はできない。2部では到底吸収しきれる規模ではない。バリュエーション、利回り、財務、どれを取っても買い手掛かりに乏しい。東証1部直接上場に合わせるため無理やりプライシングしている可能性も踏まえ、初値が付いてからも下値を探る展開に気を付けたい。
公開価格分析
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公開価格: 2,250円
吸収資金: 253.2億円(今期予想連結PER: 24.5倍)
時価総額: 270.0億円
公開価格、追加売り出し株数ともに上限で決まった。引受価額は2115円。訂正目論見書によればブックビルディングの状況は、申告された総需要株式数が公開株式数を十分に上回り、総件数が多数にわたっていたうえ、価格ごとの分布は仮条件の上限価格に集中していたことが特徴だった。一方、海外販売分は公開株数の13.6%となる152万6800株で決まった。価格が決定したことを受け、想定初値は2115~2250円とする。
上限価格での決定は意外感あり。地合いの強さに加えて知名度の高さが幸いしたか。販売は意外と苦戦しなかったとの情報もある。ただ大和と三菱モルガンの組み合わせ出口案件としては、コメダHDもわりと人気で上限で決まりながらも引受価額での初値だった。もともと大和は野村ほどには価格を下げてこない傾向があり、これで安心というわけではない。どちらにしろ既に増収率1桁台に成長が鈍化した銘柄に、実質28倍弱のPERは過大評価だと考える。
日本経済新聞の社長インタビュー記事によれば2017年末で544ある国内店舗について、「将来は少なくとも2~3倍に増やしたい」(北野泰男社長)とのことだが、時間軸については書かれていなかった。海外展開についての期待もあるが、同社は各地の理容組合から目の敵にされていることからも分かるように、地域カルテルに守られた産業の間隙を突いて成長してきた面がある。もともとそうした事情のない海外は、国内よりも厳しいのではないか。成長性を最大限反映させたとしても公開価格の評価が精いっぱいではないか。
IPO株の地合いは想像以上に強固で無尽蔵に買いがわき出てくる状態だが、ラッシュ突入で資金が分散しやすくなってきたところで油断はできない。
出口案件が選別される傾向は変わらないとみる。
吸収資金: 253.2億円(今期予想連結PER: 24.5倍)
時価総額: 270.0億円
公開価格、追加売り出し株数ともに上限で決まった。引受価額は2115円。訂正目論見書によればブックビルディングの状況は、申告された総需要株式数が公開株式数を十分に上回り、総件数が多数にわたっていたうえ、価格ごとの分布は仮条件の上限価格に集中していたことが特徴だった。一方、海外販売分は公開株数の13.6%となる152万6800株で決まった。価格が決定したことを受け、想定初値は2115~2250円とする。
上限価格での決定は意外感あり。地合いの強さに加えて知名度の高さが幸いしたか。販売は意外と苦戦しなかったとの情報もある。ただ大和と三菱モルガンの組み合わせ出口案件としては、コメダHDもわりと人気で上限で決まりながらも引受価額での初値だった。もともと大和は野村ほどには価格を下げてこない傾向があり、これで安心というわけではない。どちらにしろ既に増収率1桁台に成長が鈍化した銘柄に、実質28倍弱のPERは過大評価だと考える。
日本経済新聞の社長インタビュー記事によれば2017年末で544ある国内店舗について、「将来は少なくとも2~3倍に増やしたい」(北野泰男社長)とのことだが、時間軸については書かれていなかった。海外展開についての期待もあるが、同社は各地の理容組合から目の敵にされていることからも分かるように、地域カルテルに守られた産業の間隙を突いて成長してきた面がある。もともとそうした事情のない海外は、国内よりも厳しいのではないか。成長性を最大限反映させたとしても公開価格の評価が精いっぱいではないか。
IPO株の地合いは想像以上に強固で無尽蔵に買いがわき出てくる状態だが、ラッシュ突入で資金が分散しやすくなってきたところで油断はできない。
出口案件が選別される傾向は変わらないとみる。
初値予想
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初値予想: 2,115円(今期予想連結PER: 23.1倍)
初値買い妙味: C
初値苦戦を予想する。長らく上場観測が根強かった案件ではあるが、ファンドの出口上場で人気は高まりにくい。斜陽産業ともいえるうえ、人手不足も顕著な業界とあって成長期待も低い。増収率が1桁台にとどまるなかで希薄化後PERが28倍弱は十分な評価といえ、売り越しからのスタートを想定する。
1000円カットで知られるカット専門の理容室チェーン「QBハウス」の運営会社。理容市場は既に縮小する斜陽産業ではあるが、節約志向を背景にカット専門で価格を抑えたサービスへの需要は拡大しているもよう。同社の既存店の来店客数はプラスで推移している。海外にも進出しており、2018年6月期は新規に国内で28店舗、海外で16店舗を出店する。前期に出店した国内39店舗、海外13店舗の通期寄与もあり、営業利益は前期比14.1%増の17億円を予想している。
ただ売上収益の伸びは6%にとどまる。ビジネスモデルにこれといった参入障壁はなく、似たようなチェーンも登場するほか、既存の個人経営店でもカットのみのメニューを用意する店舗は増えている。海外への進出にしても、これまで同社は地域カルテルに守られた規制業態のすきを付いて成長してきた経緯があるだけに、未知数の部分もある。理容組合が洗髪台を義務化させようとするのは、その裏返しだろう。
人手不足の問題も深刻で、少子化で理容師試験の受験者数は年々減少している。同社では育成施設を東京、名古屋、大阪の3拠点に持ち、札幌や福岡にも新設する予定で、自前で育成できる体制を整えるものの、競合への流出や独立を妨げることはできず、この点を積極的に評価するのは難しい。一通りの技術を身に付ければ本部の継続した指導が必要な業態とも考えにくく、独立を上納金の必要なFC店でやるメリットも薄そうだ。
成長してはいるが、こうした背景を踏まえると希薄化後PERで28倍の公開価格は既に十分な評価だろう。上場市場は異なるが22日に上場したSOUはほぼ同じ利益水準で、成長スピードがより速いにもかかわらず、初値の同PERは25倍弱だった。
同じインテグラルの出口案件である信和と違い公開価格は仮条件の上限で決まったが、東証1部であること以外は買う理由が見つからない。信和は配当利回りがよかったが、QBネットは1%未満。美容室株と違って優待も未設定だ。信和ののれんが自己資本内だったのに対し、QBネットは倍近くあり、財務の問題も抱える。知名度の高さと上限決定でかえって短期売却目的の投資家が排除されていないとも考えられることから、買い手不足のスタートを想定し、引受価額での初値を予想する。
初値買い妙味: C
初値苦戦を予想する。長らく上場観測が根強かった案件ではあるが、ファンドの出口上場で人気は高まりにくい。斜陽産業ともいえるうえ、人手不足も顕著な業界とあって成長期待も低い。増収率が1桁台にとどまるなかで希薄化後PERが28倍弱は十分な評価といえ、売り越しからのスタートを想定する。
1000円カットで知られるカット専門の理容室チェーン「QBハウス」の運営会社。理容市場は既に縮小する斜陽産業ではあるが、節約志向を背景にカット専門で価格を抑えたサービスへの需要は拡大しているもよう。同社の既存店の来店客数はプラスで推移している。海外にも進出しており、2018年6月期は新規に国内で28店舗、海外で16店舗を出店する。前期に出店した国内39店舗、海外13店舗の通期寄与もあり、営業利益は前期比14.1%増の17億円を予想している。
ただ売上収益の伸びは6%にとどまる。ビジネスモデルにこれといった参入障壁はなく、似たようなチェーンも登場するほか、既存の個人経営店でもカットのみのメニューを用意する店舗は増えている。海外への進出にしても、これまで同社は地域カルテルに守られた規制業態のすきを付いて成長してきた経緯があるだけに、未知数の部分もある。理容組合が洗髪台を義務化させようとするのは、その裏返しだろう。
人手不足の問題も深刻で、少子化で理容師試験の受験者数は年々減少している。同社では育成施設を東京、名古屋、大阪の3拠点に持ち、札幌や福岡にも新設する予定で、自前で育成できる体制を整えるものの、競合への流出や独立を妨げることはできず、この点を積極的に評価するのは難しい。一通りの技術を身に付ければ本部の継続した指導が必要な業態とも考えにくく、独立を上納金の必要なFC店でやるメリットも薄そうだ。
成長してはいるが、こうした背景を踏まえると希薄化後PERで28倍の公開価格は既に十分な評価だろう。上場市場は異なるが22日に上場したSOUはほぼ同じ利益水準で、成長スピードがより速いにもかかわらず、初値の同PERは25倍弱だった。
同じインテグラルの出口案件である信和と違い公開価格は仮条件の上限で決まったが、東証1部であること以外は買う理由が見つからない。信和は配当利回りがよかったが、QBネットは1%未満。美容室株と違って優待も未設定だ。信和ののれんが自己資本内だったのに対し、QBネットは倍近くあり、財務の問題も抱える。知名度の高さと上限決定でかえって短期売却目的の投資家が排除されていないとも考えられることから、買い手不足のスタートを想定し、引受価額での初値を予想する。
初値分析
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初値: 2,115円(今期予想連結PER: 23.1倍)
/ 上昇率: -6.0%
/ 高値: 2,260円
/ 安値: 2,101円
/ 終値: 2,225円
出来高: 3,632,900株 / 対公開株数: 32.3% / 初値出来高: 991,400株 / 初値売買代金: 2,096,811,000円
初値は引受価額と同額だった。米国株安を受けて全面安で相場が始まるなか、ファンドの出口上場で人気が乏しいにもかかわらず、公開規模は大きいことから、売りを吸収できず。シンジケートカバーの助けを受けての売り買い一致となった。
寄り付き後はしっかりの展開だった。初値出来高のうち純粋な買いは半分程度だったとみられ、シンジケートカバーの余力を残しての売り買い一致になったことで、下値安心感が生まれた。取りあえずの投げをこなした後は公開価格まで空白地帯となり、同価格までバンジージャンプの様相。ただし戻り売りへの警戒から同価格を上回る場面は長くなく、薄商いとともに公開価格をやや下回る水準で落ち着いた。
当面は底堅く推移することになりそうだ。引受価額以下の取引は初値とその直後のみで、シンジケートカバーの玉はまだ多くを残しているものとみられる。取引期間は4月19日までと1カ月ほどあり、当面は下値を支えることになりそうだ。終了直後にはカバレッジ解禁となるため、主幹事証券当たりから強気なリポートが出てくるものと推測される。日程的にはTOPIX組み入れも意識され、そこからは強含みの展開が期待される。ただ、同社の成長速度では公開価格は既に十分な評価といえ、主幹事以外の証券会社が追随するのかは不透明さが残る。TOPIX組み入れ後には軟調に推移すると考える。
出来高: 3,632,900株 / 対公開株数: 32.3% / 初値出来高: 991,400株 / 初値売買代金: 2,096,811,000円
初値は引受価額と同額だった。米国株安を受けて全面安で相場が始まるなか、ファンドの出口上場で人気が乏しいにもかかわらず、公開規模は大きいことから、売りを吸収できず。シンジケートカバーの助けを受けての売り買い一致となった。
寄り付き後はしっかりの展開だった。初値出来高のうち純粋な買いは半分程度だったとみられ、シンジケートカバーの余力を残しての売り買い一致になったことで、下値安心感が生まれた。取りあえずの投げをこなした後は公開価格まで空白地帯となり、同価格までバンジージャンプの様相。ただし戻り売りへの警戒から同価格を上回る場面は長くなく、薄商いとともに公開価格をやや下回る水準で落ち着いた。
当面は底堅く推移することになりそうだ。引受価額以下の取引は初値とその直後のみで、シンジケートカバーの玉はまだ多くを残しているものとみられる。取引期間は4月19日までと1カ月ほどあり、当面は下値を支えることになりそうだ。終了直後にはカバレッジ解禁となるため、主幹事証券当たりから強気なリポートが出てくるものと推測される。日程的にはTOPIX組み入れも意識され、そこからは強含みの展開が期待される。ただ、同社の成長速度では公開価格は既に十分な評価といえ、主幹事以外の証券会社が追随するのかは不透明さが残る。TOPIX組み入れ後には軟調に推移すると考える。