IPO銘柄詳細

CYBERDYNE

コード 市場 業種 売買単位 注目度
7779 マザーズ 精密機器 100株 A
スケジュール
スケジュール
仮条件決定 2014/03/07
ブックビルディング期間 2014/03/10 - 03/14
公開価格決定 2014/03/17
申込期間 2014/03/18 - 03/20
払込期日 2014/03/25
上場日 2014/03/26
価格情報
想定価格 2,700円
仮条件 2,700 - 3,700円
公開価格 3,700円
初値予想 7,000円
初値 8,510円
  • スケジュールは上場企業都合により変更になる場合があります。
基本情報
代表者名 山海 嘉之/1958年生
本店所在地 茨城県つくば市
設立年 2004年
従業員数 94人 (2014/01/31現在)(連結)
事業内容 医療・介護福祉・生活支援分野などで活用されるロボットスーツの研究開発・製造・販売および製品を利用したサービスの提供
URL http://www.cyberdyne.jp/
株主数 25人 (目論見書より、潜在株式のみの株主も含む)
資本金 3,349,075,000円 (2014/02/19現在)
上場時発行済株数 10,853,400株(別に潜在株式7,770,000株)
公開株数 2,421,900株(公募1,222,000株、売り出し895,700株、オーバーアロットメント304,200株)
調達資金使途 研究開発、ロボットスーツ「HAL」の保有増、販売促進用の固定資産の取得、海外展開における初期費用
連結会社 2社
シンジケート
公開株数2,117,700株(別に304,200株)
種別 証券会社名 株数 比率
主幹事証券 SMBC日興 - -
引受証券 野村 - -
引受証券 大和 - -
引受証券 SBI - -
引受証券 みずほ - -
引受証券 いちよし - -
引受証券 岡三 - -
引受証券 マネックス - -
大株主(潜在株式を含む)
大株主名 摘要 株数 比率
山海 嘉之 代表取締役社長 8,579,800 49.31%
大和ハウス工業 特別利害関係者等 4,463,200 25.65%
ジャフコ・スーパーV3共有 ベンチャーキャピタル(ファンド) 1,524,600 8.76%
東京センチュリーリース 特別利害関係者等 555,400 3.19%
ふくしま成長産業育成 ベンチャーキャピタル(ファンド) 500,000 2.87%
DBJ新規事業 ベンチャーキャピタル(ファンド) 400,000 2.30%
ニッセイ・キャピタル4号 ベンチャーキャピタル(ファンド) 255,400 1.47%
いばらきベンチャー企業育成 ベンチャーキャピタル(ファンド) 237,600 1.37%
ジャフコ・産学バイオインキュベーション ベンチャーキャピタル(ファンド) 222,200 1.28%
SBIビービー・メディア ベンチャーキャピタル(ファンド) 200,000 1.15%
業績動向(単位:百万円)
は予想
決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益
2014/03 連結予想 469 - -646 -659
2013/12 連結3Q累計実績 269 -605 -450 -450
2013/03 単独実績 286 -855 -565 -573
2012/03 単独実績 341 -865 -588 -590
売上高
営業利益
経常利益
純利益
1株あたりの数値(単位:円)
は予想
決算期 種別 EPS BPS 配当
2014/03 連結予想 -37.87 333.53 -
参考類似企業
銘柄 今期予想PER
菊池製
116.6倍 (連結予想)
富士機械
29.2倍 (連結予想)
安川電
23.7倍 (連結予想)
船井電機
404.6倍 (連結予想)
事業詳細
 筑波大学発ロボットベンチャー。同大学大学院のシステム情報工学研究科教授で同社代表取締役社長の山海嘉之氏が1991年からロボットスーツの開発に着手し、人間とロボット、情報技術を複合融合させた新しい学術領域、「サイバニクス」を創出。研究成果を広く社会に還元するため2004年6月に起業した。

 ロボットスーツ「HAL」に代表される日本製最先端ロボット医療機器や最先端人支援機器、最先端医療機器の研究開発・社会実装、および当該技術を核とした世界規模でのサービス産業を推進。医療や介護福祉、生活支援から、災害レスキューなどの重作業支援と機能改善・機能再生治療の分野の事業を展開する。
 人が体を動かそうとする際、運動意思は微弱なイオン電流の神経系指令信号として、脳、せき髄、運動神経、筋肉へと伝達され、最終的に筋骨格系が動く。その際、微弱な生体電位信号が皮膚表面にも到達する。HALは皮膚表面に貼り付けたセンサーでこれを検出し、機能する。また、重度の運動障害で生体電位信号が検出できないような状態では、人間の動きを記憶したプログラムによってロボットのように動作する。

1.医療サービス分野
 脳神経系疾患の患者への機能改善・機能再生治療サービス提供。

2.医療機器分野
 HAL医療用に代表される脳神経系疾患の患者向けの機能改善治療を行うロボット医療機器(メディカルロボット)の研究開発・製造・販売など。
 日欧で臨床試験を実施しており(米は準備中)、欧州連合(EU)での医療機器認証を2013年7月に取得。ドイツでは同年8月に公的労災保険の適用を受けることになった。1回当たりの治療の診察報酬500ユーロ(約7万円)が全額カバーされる。

3.生活支援サービス分野
 高齢者や障がい者への健康トレーニング提供。

4.生活支援機器分野
 生活支援ロボットの研究開発・製造・販売など。HAL福祉用に代表される介護福祉ロボットや、移乗介助支援用ロボットスーツHAL、外出支援用ロボット機器「RoboCart」などがある。
 そのほかに、工場や屋外、災害現場での作業者向けの作業支援ロボットの研究開発や製造など。また、災害対策用ロボットスーツHALの開発事業をNEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)から受託している。

 2013年3月期の売上高構成比はロボットスーツHAL関連事業100%。主な販売先は大和ハウス工業15.2%。
コメント
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・潜在株式はB種類株式による。上場する株券は普通株式のみで、上場時発行済み株式数は普通株式のみの株数。時価総額も普通株式のみによる算出。
・B種類株式は単元株が10株となっており、普通株の10倍の議決権を有する。余剰金の配当と、残余財産の分配は普通株式と同順位かつ同額で行われる。また、いつでも1株につき普通株式1株に交換できる。
・上場後の山海嘉之社長の議決権保有率は88%。株式保有率は43%。
・直近(2013年9月)の特別利害関係者らによる売買単価は、遡及(そきゅう)修正して900円。
・子会社含めた役員には180日間のロックアップが掛かる。その他の既存普通株主には90日間のロックアップが掛かるが、公開価格の1.5倍以上ならば解除される。
・公開価格の1.5倍以上で解除される株式はほぼ全てがベンチャー出資で、合計13社841万1700株。うち投資組合による出資は計10社446万3200株。


<ファーストインプレッション>
 メディアでもおなじみのロボットベンチャーが満を持して登場。業績推移は一向に赤字を抜け出せる気配がないが、ロボット関連銘柄の急騰ぶりからして、冷静な業績分析は役立たない。近未来的な事業内容かつ、これまで株式市場ではなかったロボットスーツというテーマ性、さらに散々メディアでも紹介されてきた知名度の高さからして、お祭り騒ぎの買いが殺到しそうだ。昨年のリプロセル以上の売買代金になる可能性さえある。
 上場タイミングの大義名分は、欧州連合(EU)での医療機器認証とドイツの保険適用が昨夏に実現したことだろう。今後の販売拡大に弾みが付くとのストーリーが描ける。サンプル数が飛躍的に増えることで、他の地域でも当局の承認が降りやすくなる期待もある。人種などによる効果の違いはなく、データが流用できるという。
仮条件分析 (BB参加妙味 :S)
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想定価格: 2,700円
 吸収資金レンジ: 57.2億円 - 65.4億円(今期予想PER: -)
 時価総額レンジ: 293.0億円

仮条件: 2,700円 - 3,700円
 吸収資金レンジ: 57.2億円 - 89.6億円(今期予想PER: -)
 時価総額レンジ: 293.0億円 - 401.6億円

仮条件は想定価格を下限に、上限は1000円幅、37%と大幅に上回って設定された。

<強気材料>
注目高い、メディア露出多い、近未来的、新奇性あり、ドイツで保険適用、政府プロジェクトの対象

<弱気材料>
ハイスペック過ぎ、赤字垂れ流し、VC保有株多い、研究者志向の経営、軍事用否定、吸収金額多い、ドイツ保険適用後の稼働増加わずか

<結論>
 Sとする。公開価格が3700円とすれば想定初値は7400~8700円とする。
 一言で言うとこれはIPOというよりも「お祭り」。理屈うんぬんを言い出せば切りがないが、みこしは担ぐためにある。

 筑波大学発のロボットベンチャー。現在実用化されているのは、スーツ分野としては下肢用のみ。自立動作を支援する生活支援ロボットとして国内では福祉機器、欧州では医療機器としての位置付けになっている。周辺機器のほか、富士重工から2013年7月に受け継いだビル清掃用や搬送用のロボットがある。
 下肢用スーツは欧州連合(EU)の医療機器認証「CEマーキング」を13年6月に取得しており、ドイツでは同年8月に公的労災保険の適用を受けた。ロボットスーツは生体信号を検知して動くが、人種間の違いがないため各地域の申請時には基本的にデータの流用が可能。ドイツの労災保険適用により、実際のデータを集めやすくなり、他地域の保険適用にも弾みが付くことが期待される。ドイツには8月に現地子会社を設けた。

 ロボットスーツはレンタル販売を基本としており、稼働台数は年々上昇。13年12月末現在計361台に達する。うち医療用は39台。欧州で臨床試験が始まった昨年1~3月期に8台→32台と跳ね上がった。ただ認証後、保険的用後の推移はまだ鈍い。

 商売になるか、という面で見ればまだまだ同社のロボットスーツ事業は夢の段階だろう。ドイツの保険適用が上場の大義名分なのだろうが、足元の収益は厳しい。売上高はレンタル販売の増加に伴い順調に増加するが、多額の販売管理費がネックとなっている。研究開発費はもちろんその他の販管費も多い。多くは人件費だが、減価償却費や支払手数料だけでも黒字化を阻害するには十分な額である。
 同社のロボットスーツに比べ、他社が開発するスーツはオモチャのようなもの。だが、オーバースペックだと採算に乗らないのが現実だ。
 日経ビジネスによればパナソニックの子会社は来年に50万円で軽作業用の装着型ロボットを販売するという。同社では100kg以上の重作業は重機の領域と割り切る。既にある重機と人の境界を狙う戦略だ。ちなみにサイバダインの下肢用スーツはレンタル販売の初期費用だけで単脚40万円(両脚55万円)し、毎月単脚11万8000~13万9000円(15万8000~18万8000円)も掛かる。作業用と医療・福祉用では目的が全く異なるが、今の時点では採算度外視の開発であることは言うまでもない。
 最先端のロボット開発はバイオベンチャー以上に厳しい。東京大学発のロボットベンチャー、SHAFTが米グーグルに買収されたことは大いに話題になったが、背景には開発費をどう調達するかの問題が大きいとみられている。経済産業省のプロジェクトにも参加し、補助金を受けているが額は少なく全く足しになっていない。
 こうした費用を賄うには桁が異なる軍事(防衛)予算が付くのが一番の特効薬だが、サイバダインでは社名とは裏腹にそれを完全に否定している。種類株を発行してまで議決権を社長に集中させているのも、軍事転用を防ぐためだ。災害用と軍事用は現実には紙一重。実際に防衛省でもロボットスーツ(隊員用パワーアシスト技術)の開発は進められているが、毒マンジュウを食べる選択肢はないというわけだ。

 だが今回は相場の状況からして、採算性のことは無視した夢を買う展開になると考える。ロボットスーツというかつてない近未来的なテーマに既に市場は沸き立っている。同じくロボットスーツ開発を手掛ける菊池製作所や、サイバダインの取引先となっているハーモニック・ドライブ・システムズの株価は承認直後から売買代金が急拡大し高騰した。また、仮条件が1000円幅という異例の広さで、かつ上限が想定価格から4割近く跳ね上がる設定だ。プレヒアリングに応じた機関投資家も値段が付けられない状態と見える。
 過去の新興市場の事前期待が高かった大型案件を参考にすると、少なくとも200億円は期待できる。新奇性や知名度するとリプロセルを超え、500億円近くに膨れ上がる可能性もある。

 半面、それを向い打つのは最大90億円に上る吸収金額と、ベンチャーキャピタル(VC)などの既存株主である。売り出し株を除いたVC保有株363万8800株には、全てロックアップが掛かるが公開価格の1.5倍以上では初値形成を待たずに解除される。また、金融業の30万9700株はもちろん、取引先にもなっている大和ハウス工業(446万3200株)もベンチャー出資の扱いであるとみられる。

 公開株数を大きく上回る既存株は重い。初日の規制が掛からないうちのバイイングパワーを利用して売り抜けようとする株主も多いだろう。大和ハウス以外の株主は分散している。仮に初値が2日目に持ち越したとしても規制の影響は大きく、売り気配になりかねない。

 肝心の大和ハウスがどう動くかは不明だ。目論見書では大和ハウスをベンチャーキャピタルに位置付けていないが、同社はさまざまなベンチャー企業に出資していることでも知られる。しかし、実際に大量保有報告書の対象となる銘柄が上場するのは初めて。事業会社のベンチャー出資で多いパターンは、「何もしないまま売り時を逃す」だが、今回のような赤字企業にそれを期待していいいものか。取引先の関係としては今の比率を維持する必要はない。
 それでも大和ハウスが全く動かなければ初値付かずになってしまい、今度は買い付け規制の影響を受ける。吸収金額が大きい銘柄は小粒な銘柄と違って影響をはね返すことは難しい。このことから想定価格の上限は初日の初値限界を考慮し、下限は倍値からとする。
公開価格分析
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公開価格: 3,700円
 吸収資金: 89.6億円(今期予想PER: -)
 時価総額: 401.6億円

 公開価格、追加売り出し株数ともに上限で決まった。引受価額は3404円。訂正目論見書によればブックビルディングは申告された総需要株式数が公開株式数を十分に上回り、総需要件数が多数にわたっていたうえ、価格ごとの分布は仮条件の上限価格に集中していたことが特徴だった。足元の相場状況を踏まえ想定初値は7000~8700円に下限を引き下げる。

 想定価格から4割近い引き上げにもかかわらず、ブックビルは盛況。商売になるかといえば、軍事用を拒否している以上難しいと言わざるを得ないが、市場に冷静な判断を下す雰囲気はない。ロボットスーツはテレビ的に「絵になる」だけに、上場時もメディアの注目が期待される。
 半面、相場全体は14日の急落で再び弱気に傾きつつあるところも。今週予定されるマクセルとジャパンディスプレイの初値後の行方も心配される。ただ、リプロセルほどの勢いを超えられなかったとしても、上場初日に初値が付くだけで大幅高には変わらないだろう。相場急落を踏まえ下限をやや広げるが、強気な見方は維持したい。
初値予想
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初値予想: 7,000円(今期予想PER: -)
初値買い妙味: C

 初値高騰を予想する。公開規模90億円と新興市場としては大型になるが、マスコミの注目が高くそれ以上に買いが集中するとみられる。単なるIPOではなく、一種の「祭り」として考えるほかない。みこしは担ぐためにある。ただし、既存株主の大量売りが上値を抑えるだろう。

 筑波大学発のロボットベンチャー。同大学大学院のシステム情報工学研究科教授で同社代表取締役社長の山海嘉之氏が、研究成果の社会還元を目的に2004年6月に起業した。医療用や福祉用、災害現場向けとしてのロボットスーツ「HAL」を開発・製造している。

 足元の業績は大幅赤字が続いており、今期も6.5億円の経常赤字となる見込み。だが、昨夏に欧州連合(EU)での医療機器認証を取得し、ドイツでは公的労災保険に適用。保険診察報酬が全額工面される。症例データ数が増えることで他地域の保険適用にも弾みが付くと期待される。

 最近ではロボットに関する動きが活発化してきており、上場承認直後から同様にロボスーツ開発に取り組む菊池製作所の株価が急騰。目論見書で取引先の1つと判明したハーモニック・ドライブ・システムも物色された。日経ビジネスによれば、パナソニックは来年にも50万円で作業用ロボスーツを発売するという。グーグルによる東大のロボベンチャー買収のニュースも昨年末に大きく報じられた。
 同社の製品が他社と異なるのは脳から発する生体信号を捉えて動く、最先端の仕組みを備える点だ。絵としても映える製品はマスコミにとっても格好の題材といえ、これまで何度も報道されてきた。株式市場ではこれまでなかった近未来的なテーマにわき躍る。

 過去のお祭り級IPOとなった銘柄を参考にすると、初値売買代金は少なくとも200億円を超えてきそうだ。昨夏に上場したリプロセル以来の人気化が予想される。一方、吸収金額は90億円に上るうえ、公開価格の1.5倍以上では役員以外の既存株主のロックアップが初値形成前でも解除される。純粋なベンチャーキャピタル分だけでも363万8800株あり、公開株数の1.5倍に上る。このため、たとえ初日が初値付かずで終わったとしても、2日目は折り返す可能性が濃厚だ。
 販売代理店でもある大和ハウス工業が持つ446万3200株の動向も警戒される。事業会社の場合、一番多いパターンは「特に動かず、売り時を逃す」。大和ハウスは複数のベンチャー出資でも知られるが、実際にIPOが実現するのは初めて。不慣れな可能性がある。
 大和ハウスが売らないとすれば、初値は倍値を超えた8000円台を目指すことになりそう。だが、大和ハウスが筆頭株主の山海社長に次ぐ保有数を維持し続けるほどの理由はない。決算対策で益出しするなら、上場初日は今期最後の機会でもある。仮に一部を処分するとすれば一段下での価格にとどまるか。
 ドリームI含めたVCのほとんどは3月決算であり、翌日売却になっては今期業績に計上できない。売却姿勢はいつもに増して強くなるだろう。年度内最後の受渡日売買となることも考慮し、1.5倍と2倍の間で節目となる7000円での初値形成を予想する。

 ただし、上場後の値動きは弱気に見ておきたい。大量のVC株式が重しになるうえ、業績も黒字浮上への道のりは遠いからだ。
 ロボット開発には多額の資金を必要とする。さらにその他の販売管理費も同じくらい膨大だ。下肢用両足の貸出料は5年間では累計1000万円にも上るが、高額なレンタル価格にもかかわらず、採算は全く取れていない。2013年12月までの累積赤字は45億円にも上る。欧州での販売がどれだけ伸びていくかが今後の注目点だが、販売台数に顕著な伸びは今のところ見られない。
 採算度外視の多額な開発費を賄おうとすれば、軍事(防衛)予算の対象になるのが特効薬。だが、同社では社名とは裏腹にそれを完全否定する。純粋な民間企業としては初となる議決優先株を発行しているのは、軍事転用を阻止するためだ。自衛隊でもロボスーツの開発は進められており、軍事用と災害用は紙一重でもあるが、毒マンジュウを食らう選択肢はない。
初値分析
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初値: 8,510円(今期予想PER: -) / 上昇率: 130.0% / 高値: 10,010円 / 安値: 7,950円 / 終値: 9,600円
出来高: 4,973,700株 / 対公開株数: 205.4% / 初値出来高: 1,647,700株 / 初値売買代金: 14,021,927,000円

 初値は高騰した。売買代金は140億円と過去のお祭り級IPOと比べかなり低水準だったが、公開株取得者の売り渋りが強烈に発生。ロックアップ解除となる5550円以上ではベンチャーキャピタル(VC)からと見られる大口売りが並んだが、当初の売り渋りが利いて押し上げられた。また、売り板は特に気配上限に集中していた。VCらが今期の決算計上に向け、初値付かずを阻止しようとしたとみられる。

 寄り付き後は乱高下した。上値を取りに行くも売り気配に。8000円割れでリバウンドし、再度高値を取りに行き一時ストップ高を付けた。驚くべきは相場全体への影響で、同日上場のディー・エル・イーはもちろん、日経平均株価までがサイバダイン株の乱高下に連動した。乱高下で売買は膨れ上がり、売買代金は新興市場では断トツ。全体でも三菱UFJフィナンシャルグループに次ぐ4位に入った。

 今後の値動きは軟調か。新年度入りでVCらの売りは一時的に緩む可能性があるが、基本的に上値は重くなる方向だろう。出来高は公開株数の2倍を超えたものの、VC保有株や金融系を合わせた株数(606万6200株)には達していない。さらに446万3200株を保有する大和ハウス工業の動向も注目される。彼らの売りが消化できていない以上、上値は抑えられる。
 また、1万円以下で寄ったことで値頃感があったことが、買い上がった一因ではないかと考えられるが、既に一時的に大台にも載せ、今後は達成感も広がりかねない。初日の買い手はほとんどが短期筋とみられ、逃げ足は速いと推測される。
追加情報
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 東洋経済新報社による今後の業績予想は、2014年3月期の売上高が64%増の4億6900万円、経常損益6億4600万円、EPS -60.7円、配当なしと会社予想を踏襲。独子会社の治療サービスがけん引し、大幅増収だが、研究費や人件費が負担で赤字続く。15年3月期は売上高が28%増の6億円、経常損益6億円の赤字、EPS -55.3円、配当なしと増収赤字縮小を予想している。

 いちよし経済研究所では、2016年3月期の経常黒字浮上を予想した。14年3月期4Q(1~3月)には売上高2.00億円と直近9カ月に対して大きく増える見通し。13年8月にドイツで公的労災医療保険適用が開始され、年初から施設数の増加から関連売上高が寄与し始める。同経済研究所では欧州連合(EU)での医療関連収入が順調に増えると考察。14年3月期の経常利益は会社予想6.46億円の赤字に対し、6.49億円の赤字(EPS -35.4円)、15年3月期3.80億円の赤字(-24.2円)、15年3月期4.00億円の黒字(20.9円)と予想した。
 なお、26日付日本経済新聞電子版によれば、上場後の記者会見で山海嘉之社長は「15年3月期に売上高を今期予想比3~4倍に伸ばし、黒字化を目指す」と語ったという。
IPO更新情報
IPOニュース
マーケットデータ
日経平均 38,026.17 -326.17
TOPIX 2,682.81 -15.48
グロース250 635.64 +4.48
NYダウ 43,408.47 +139.53
ナスダック総合 18,966.14 -21.33
ドル/円 154.97 -0.46
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