IPO銘柄詳細

JTOWER

コード 市場 業種 売買単位 注目度
4485 マザーズ 情報・通信業 100株 A
スケジュール
スケジュール
仮条件決定 2019/12/02
ブックビルディング期間 2019/12/03 - 12/09
公開価格決定 2019/12/10
申込期間 2019/12/11 - 12/16
払込期日 2019/12/17
上場日 2019/12/18
価格情報
想定価格 1,550円
仮条件 1,550 - 1,600円
公開価格 1,600円
初値予想 2,100円
初値 2,620円
  • スケジュールは上場企業都合により変更になる場合があります。
基本情報
代表者名 田中 敦史 (上場時45歳4カ月)/1974年生
本店所在地 東京都港区赤坂
設立年 2012年
従業員数 50人 (2019/09/30現在)(平均38歳、年収699.7万円)、連結100人
事業内容 国内外における通信インフラシェアリングおよびその関連ソリューションの提供
URL https://www.jtower.co.jp/
株主数 16人 (目論見書より)
資本金 1,399,711,000円 (2019/11/13現在)
上場時発行済株数 19,354,472株(別に潜在株式793,600株)
公開株数 6,777,200株(公募2,987,000株、売り出し2,906,300株、オーバーアロットメント883,900株)
調達資金使途 設備投資、借入金の返済
連結会社 4社
シンジケート
公開株数2,987,500株(別に883,900株)/(国内分)
種別 証券会社名 株数 比率
主幹事証券 SMBC日興 2,540,200 85.03%
主幹事証券 大和 298,700 10.00%
引受証券 みずほ 59,600 1.99%
引受証券 野村 29,800 1.00%
引受証券 三菱UFJモルガン・スタンレー 14,800 0.50%
引受証券 SBI 14,800 0.50%
引受証券 楽天 14,800 0.50%
引受証券 マネックス 8,900 0.30%
引受証券 岩井コスモ 5,900 0.20%
大株主(潜在株式を含む)
大株主名 摘要 株数 比率
(株)カルティブ 役員らが議決権の過半数を所有する会社 5,000,000 29.14%
日本電信電話(株) 特別利害関係者など 3,639,600 21.21%
田中敦史 代表取締役社長、子会社の取締役 1,834,400 10.69%
JA三井リース(株) 特別利害関係者など 1,175,200 6.85%
三菱UFJキャピタル4号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 914,000 5.33%
日本郵政キャピタル(株) ベンチャーキャピタル(ファンド) 842,000 4.91%
アイティーファーム・のぞみ投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 571,600 3.33%
(株)INCJ ベンチャーキャピタル(ファンド) 463,160 2.70%
DBJキャピタル投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 457,200 2.66%
SMBCベンチャーキャピタル1号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 457,200 2.66%
みずほ成長支援投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 457,200 2.66%
業績動向(単位:百万円)
は予想
決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益
2020/03 連結中間実績 1,096 10 -3 -28
2020/03 連結予想 2,439 -165 -258 -289
2019/03 連結実績 1,377 -169 -166 -214
2018/03 連結実績 756 -474 -479 -577
売上高
営業利益
経常利益
純利益
1株あたりの数値(単位:円)
は予想
決算期 種別 EPS BPS 配当
2020/03 連結予想 -16.77 256.21 0.00
参考類似企業
銘柄 今期予想PER11/18
アルテリア
14.7倍 (連結予想)
ファイバーGT
38.8倍 (連結予想)
事業詳細
 携帯キャリアへの屋内基地局貸し。従来は携帯キャリア各社単独で行われてきた携帯基地局関連インフラに関連する装置、アンテナ、工事、構築物、電源、ファイバーなどの設備投資をグループで一本化し、各社へシェアリングする事業を国内外で展開している。

1.国内IBS(In-Building-Solution)事業
 屋内携帯インフラの設備投資を、独自に開発した共用設備により一本化するソリューションを提供している。

2.海外IBS事業
 主にベトナムやミャンマーといった海外でIBS事業を展開している。2019年1月にはマレーシアの通信インフラシェアリング最大手、イードットコグループと戦略的事業提携しており、同国で協業の取り組みを始めた。

3.タワー事業
 5G(第5世代移動通信システム)や第4の携帯キャリア参入に対応するため、屋外での通信インフラ設備提供を目指している。2019年9月末時点では、本格展開開始に向け各携帯キャリアと協議している段階である。

4.ソリューション事業
(a)クラウドWi-Fiソリューション
 不動産事業者に対してクラウドWi-Fiソリューションを提供している。

(b)SITE LOCATORサービス
 屋上への基地局設置許可を得た不動産事業者情報を集約したデータベース「SITE LOCATOR」を活用し、屋上の遊休スペースを貸し出したい不動産事業者と、屋上に基地局を設置したいる携帯キャリアをマッチングするサービスを展開している。

 2019年3月期の連結売上高構成比は、国内IBS事業62.7%、海外IBS事業(全てベトナム)33.0%、ソリューション事業4.3%。
コメント
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・10億4900万円に相当する株式数を上限に日本電信電話に親引け販売する。
・直近(2019年7月)の特別利害関係者らによる売買単価は分割や転換を遡及(そきゅう)修正すると1924.5円。
・公開株の一部は欧州やアジアを中心とする海外市場(北米除く)で販売される。
・上場時点で現物株式を保有する千本倖生氏以外の既存株主と、執行役員4名の新株予約権保有者にはロックアップ(投資事業組合90日、それ以外は180日もしくは半年)が掛かる。ただし投資組合は公開価格の1.5倍以上では解除される。制度ロックアップ分を除いた投資組合の保有株は147万0600株。


<ファーストインプレッション>
 5Gでは各社の投資額を抑えるため設備を共通化する方向にあり、そのど真ん中の銘柄ということになる。ただ一本化するとはいえ各社の投資を肩代わりするだけに負担は重く、買収も繰り返していることから足元の業績は赤字だ。EBITDAは黒字化しているものの、水準はまだ低くEV/EBIDAは50倍弱にも上る。5Gはまだ始まっていないため本格的な需要拡大はこれからなのだろうが、どこまで先取りが許されるのか。どちらにしろ公開規模も膨らんでおり、年末のIPOラッシュで選択肢の多いなか、わざわざ参加する意義は薄そうだ。
仮条件分析 (BB参加妙味 :B)
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想定価格: 1,550円
 吸収資金レンジ: 91.3億円 - 105.0億円(今期予想連結PER: -)
 時価総額レンジ: 300.0億円

仮条件: 1,550円 - 1,600円
 吸収資金レンジ: 91.3億円 - 108.4億円(今期予想連結PER: -)
 時価総額レンジ: 300.0億円 - 309.7億円

 仮条件は想定価格を下限に、上限価格は3.23%、50円幅上振れしたレンジに設定された。また、NTTへの親引け上限を56万6800株とした。金額は最大9億0688万円になるため、当初予算の10億4900万円からは事実上の下方修正となる。

〈強材料〉
EITDA黒字化、独占企業、5G期待あり、第4のキャリア登場、NTTの出資価格下回る、売上高急拡大、仮条件上振れ、グロース株回復

〈弱材料〉
赤字グロース、バリュエーション高い、出口案件、ファンド出口案件、大型案件、IPOラッシュ、同日3社、VC多い

〈結論〉
 弱めBとする。公開価格が仮条件上限ならば、初値は1600~1800円を想定する。
 仮条件はNTTの実質出資単価1924.5円と、VCの直近出資単価1187.5円の中間を意識した価格。業績はようやくEBITDAで黒字化したばかりだが、海外事業者の事例を参考にすると成長性はかなり大きい。5Gスタートを来春に控え、今後は屋外アンテナも共有にする方向となっており、長期的には大きなポテンシャルを秘める。IPOラッシュのなか個人には分かりづらい案件でもあるが、機関投資家の理解は一定程度得られていると推測され、買い優勢でのスタートを想定したい。

 同社は携帯電話の基地局を国内と東南アジアで運営する。社長の田中敦史氏はもともとはゴールドマン・サックス証券の通信アナリストの出で、2000年4月イー・アクセスに入社し、その後イー・モバイルに転じた。
 国内では屋内で基地局を運営しており、携帯キャリアに貸して収益を得ている。従来なら一社単独で設置していた基地局を同社が代わって運営することでキャリアはコストを抑えられ、同社は基地局を使うキャリアが増えるほど超過利益を得られる仕組みだ。国内ではまだなじみのない業態ではあるが、あえていうなら放送電波設備を運営するスカイツリーをはじめとする各地テレビ塔運営会社の事業モデルに近い。
 当初のユーザーは基地局設置に出遅れていたソフトバンクだけだったが、今では3キャリアがそろって使うようになった。1施設当たりの参画キャリア数は2.8社に上るという。また、以前は競合として日立がいたが、現在は撤退済みで、国内では独占企業となっている。

 これまで基地局の共有は屋内のみだったが、第5世代移動通信システム「5G」への移行を機に屋外基地局に関しても共有化が進むと期待される。総務省はこれまで競争を促すためにも、キャリアごとの設備投資を推奨していた。だが5Gは多数の基地局を立てる必要があることから、費用を抑えるため共有化を推奨する方向にかじを切っている。また、第4の携帯キャリアの参入により、既存設備についても使用者が増えることにより収益機会は増加することになる。既存顧客からの値下げ圧力はあるだろうが、今後の成長余地はかなり大きい。

 仮条件の評価については、国内に同業がないため今回は海外業者と比較したい。本来なら通信業者の比較としては、EBITDAの予想も出ていることからEV/EBITDAを使いたいところだが、同社はEBITDAで黒字化したといってもまだ薄利。EV/売上高を使用する。海外各社との各指標による比較は以下の通り。

企業名    EV/売上高 EV/EBITDA 時価総額$
中国鉄塔      4.52    6.74   362億
念タワーバーサマ  9.59   11.18    18億
念サラナメナラ   7.11    8.60    27億
西セルネックス  12.14   17.61   165億
伊INWIT   12.59   16.72    58億
印バーティ     3.84    8.78   328億
墨テレサイツ    9.51   11.16    23億
アメリカンタワー 14.23   22.78   935億
米クラウンカスル 11.91   20.34   557億
米SBAC    17.15   24.02   264億
※米企業はいずれもREIT形態。各社数字はロイターより。

 JTOWERのEV/売上高は11倍前後となり、REIT形態を除いた海外同業他社のうちで高い西セルネックステレコムや伊インフラストラクチャー・ワイヤレス・イタリアーヌ(INWIT)の12倍台をやや下回る。この2社は上記のなかでも特に成長余地が高いとみられており、ともに2桁成長が予想されている企業だ。

 また、時価総額を参考にすると、同社の時価総額が米ドルベースだと2.8億ドルなのに対し、中国鉄塔は約362億ドルにも上る。中国鉄塔は三大キャリアが共同設立した経緯から、中国国内シェア97.25%(2017年)を占める事実上の独占企業である。中国三大キャリアの売上高は約21.7兆円と、日本3大キャリアの合計の14.6兆円を上回る。単純に見れば国内キャリアの少ない分の3割強を割り引いて、JTOWERは将来的に時価総額250億ドルをもうかがうポテンシャルを持っていることになる。
 そのほか安いところでも、インドネシアのタワーバーサマが約18億ドル、サラナ・メナラ・ヌサンタラが27億ドル、メキシコのテレサイツが23億ドルとなっており、いずれもJTOWERを大きく上回る。

 また、上場前の価格についても今回は参考になりそう。今年7月にNTTと資本業務提携した際、既存株主のINCJから株式を買い取っているが、そのときの単価は1924.5円(そ及修正済み)だった。10月末を基準に役員に配られたストックオプションの行使価格も1924円だ。
 その前年となる2018年には3月と10月に増資しているが、このときの単価は1187.5円だった。仮条件はほぼこの2つの価格の中間となっており、VCには一定の配慮をしつつも、今年行われた資本取引価格を下回る価格となっている。

 海外業者の事例を見ると夢は広がる。そうしたなかで半年前の価格よりも安く出資でき、役員の一部のストックオプションの行使価格より安いなら、かなり「お得」には感じる。今回は機関投資家からの引き合いが強く、彼らにかなり厚めに配分するとのことで、当初は35%を予定していたところ50%に引き上げるという。海外は未定だが、かなり引き合いは強いようである。この事業は海外で先行するため、海外投資家の方が成長をイメージしやいのではないか。

 ただEV/EBITDAでは53倍と高いのが現状である。また、屋外基地局の共有化がいつから本格化するかも分からない。屋内基地局で実績を持つ同社ではあるが、屋外はまだこれから。同社の他には競合もないためいずれは同社に任されることになろうが、環境条件の厳しい屋外はノウハウ不足からすんなりとは行かない可能性もある。海外では屋外も既に展開する同社だが、国内キャリアは海外に比べ通信品質には厳しい。災害復旧の体制も備えていく必要がある。また、IPOラッシュのなかではこんな重くベンチャーキャピタルの多い株で短期筋がわざわざ勝負する必要性もなく、「様子見」ということにもなりかねない。

 ただ繰り返しになるが、長期的にはテンバガーどころかフィフティバガーの可能性さえあるわけで、まさしく短期的な損益は無視して「目をつぶって買う」のがふさわしい株といえよう。成長性の高さと長期保有目的の投資家への厚めの配分方針を考慮。売りは少なく、初値買いにも機関投資家の買い増しが入ることで、プラスでのスタートをみておきたい。あまり目先の小さな損益にはとらわれず、長期的に大きく育てたい案件といえる。
公開価格分析
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公開価格: 1,600円
 吸収資金: 108.4億円(今期予想連結PER: -)
 時価総額: 309.7億円

 公開価格、追加売り出し株数ともに上限で決まった。引受価額は1480円。訂正目論見書によればブックビルディングの状況は、申告された総需要株式数が公開株式数を十分に上回り、総件数が多数にわたっていたうえ、価格ごとの分布は仮条件の上限価格に集中していたことが特徴だった。
 一方、海外販売分については公募分から147万2800株、売り出し分から143万3000株の合計290万5800株が割り当てられることになった。公開株数全体に対する比率は43%となる。

 想定初値を1800~2000円に引き上げる。海外の比率が予想以上に高くなった。もともと高くなるだろうことは想定していたが、たかだか100億円程度の案件で海外勢にここまで渡すのは珍しい。簡易型のグローバルオファリングはあくまで国内分の一部を割り当てる建て前があるため、海外配分は全体の半分以下が不文律。OAを含めない場合の配分比率は49%に上り、今回はほぼ限界ギリギリまで海外に配分したことになる。

 赤字企業とあってバリュエーションの計りにくい案件ではあるが、海外での成功事例があると機関投資家は話に乗りやいもの。そうした事例を多く知る海外勢は特にそうだろう。ここまで海外勢を優遇して逆に国内部門、特にリテール部門から怒られないのかとも思うが、これで国内公開規模は約62億円まで縮んだ。海外勢が積極参加する案件としては小ぶりといってもよく、今夏のNTT出資価格前後を射程圏としておく必要がありそうだ。
初値予想
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初値予想: 2,100円(今期予想連結PER: -)
初値買い妙味: B

 初値堅調を予想する。来年に本格スタートを控える5Gでは通信インフラの共同投資が推進されているが、その本命銘柄として期待は高い。海外での先行事例も背景に機関投資家を中心に買い進まれそうだ。

 携帯キャリアへの屋内基地局貸し出しを国内と東南アジアで展開する。従来なら一社単独で設置していた基地局を同社が代わって運営することでキャリアはコストを抑えられ、同社は基地局を使うキャリアが増えるほど超過利益を得られる仕組み。今では3キャリアがそろって使っており、1施設当たりの参画キャリア数は2.8社に上る。
 第5世代移動通信システム「5G」への移行を機に屋外にも進出を図りたい考えで、本格展開開始に向け各携帯キャリアと協議している。また、今夏にNTTが1株当たり1924.5円にて出資。今回の公募売り出しでも56万6800株を親引けで引き受けており、上場時の持ち株比率は20.88%となる。

 海外では通信基地局の共同投資が進んでいるが、国内ではこれまで競争を促すこともあり政府は個別の設備投資を推奨してきた。だが5Gでは基地局を細かく設置する必要があり、キャリアの負担が大きい。費用を抑えるため総務省は共有化を推奨する方向にかじを切っている。国内で共同基地局を手掛けるのは現在、同社のみとなっており、その担い手として期待される。また、目先は都心の相次ぐ大型不動産開発に伴いエリアを広げている。
 ただ同社の業績はまだ赤字が先行している。2020年3月期の業績は売上高が前期比77%増の24億円に対し、営業損益は1億6500万円の赤字見通し。EBITDAはすでに黒字化しており、3倍近い5億円が見込まれているが、減価償却費は重い。

 JTOWERの時価総額は米ドル換算だと約2.8億ドルなのに対し、海外の業者は比較的時価総額の小さいインドネシアのタワーバーサマでも約18億ドルある。大きいところではREIT形態を採る米国を除くと中国三大キャリアが共同設立した中国鉄塔の約360億ドルが挙げられる。中国のインフラシェアリング市場は一強多弱といった状況で、実質中国鉄塔の独占に近い。JTOWERがお手本とするところでは、スペインのセルネックステレコムが挙げられ、ここは約165億ドルだ。
 国内市場の屋外基地局の行方はまだ不透明ではあるが、NTTの出資により信用力も補完されており、今のところ国内唯一の担い手として同社が任される公算は大きそうだ。これがドコモの出資なら障害になってしまうが、表向きは競合しない通信大手の出資といったところがミソともいえる。設備投資負担の大きい産業だけに、時価総額の拡大は追加増資を伴うものになろうが、海外の事例を背景に成長期待は高いと考えられる。

 今回の公募売り出しでは海外事例をよく知る海外機関投資の引き合いが強かったようで、海外への配分比率は公開株式全体の43%にも上った。これはオーバーアロットメントを含めない比率では49%であり、国内分の一部を割り当てるのが建前となっている北米を除くグローバルオファリングでは実質的に限界値である。このため親引けを除いた国内吸収金額は実質53億円弱しかない計算である。

 海外勢の旺盛な投資意欲が観測されることで初値は順調に買い進まれそうだ。赤字企業ではあるが、国内の機関投資家も海外での事例があると説明がしやすく投資に踏み切りやすいだろう。ここまで海外勢の強気姿勢が観測された今月の大型グロース株の初値上昇率はJMDCの32.5%、フリーの25.0%となっており、25~30%が意識されてきた。NTTの前回出資単価も勘案すると、心理的な節目にもなる2000円は非常に意識されやすいと考えられる。公開規模が3社の中では最も少ないことも勘案し、オーバーシュート気味の2100円での初値形成を予想する。
初値分析
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初値: 2,620円(今期予想連結PER: -) / 上昇率: 63.7% / 高値: 2,748円 / 安値: 2,260円 / 終値: 2,600円
出来高: 6,799,200株 / 対公開株数: 100.3% / 初値出来高: 2,139,500株 / 初値売買代金: 5,605,490,000円

 好調な初値が付いた。5G投資への税制優遇も決まるなか、屋内基地局の国内独占企業としての期待は高く買いが殺到。需給は逼迫し、既存株主からの売りが出るロックアップ解除価格を超えてからようやく売り買いが一致することになった。
 海外の成功事例を見れば多少高く買いすぎても将来的には誤差でしかない。現状は実績がほとんど出ていないがゆえ、バリュエーションも測りにくいことで買い方も大胆になりやすかったか。結局、REIT形態を採ることで高く評価されている米企業にEV/売上高が並ぶ水準まで買い進まれたことになる。

 寄り付き後は乱高下した。すぐに買いが一巡すると反動で急落。ロックアップ解除価格を上回ったことで売り圧力が強かったもよう。解除価格を下回るところまでいったんは押し戻された。解除価格以下では売り圧力が和らぎもみ合いで推移してたいが、14時を過ぎると反発し、初値前後まで戻して終えた。ロックアップを外したことで出来高は積み上がり、形式上は公開株数が一回転した。

 しばらくは解除価格をはさんだせめぎ合いか。同社株は今月のラインアップのなかでも、機関投資家が買える銘柄としては群を抜いて成長期待が高い。ベンチャーキャピタルの保有株は公開株数に比べると特別多いわけではないが、分母の大きさを踏まえると簡単には消化しづらいだろう。初日は個人短期筋も多く、そのうち買いの勢いも緩んでくる。

 ただし、海外類似企業の時価総額にいずれは追いつくと考えると、きょうの乱高下はやはり誤差でしかなく目先の上げ下げにこだわる必要は全くない。少なくも10年単位で見たい株ではあるが、ひとまず本格上昇のきっかけとしては、国内で5Gの屋外基地局が正式に同社に任されるようになるかが焦点になる。

(追加)
 大和証券からリポートが出ている。強みは3キャリアが認めた運用ノウハウの蓄積であると考察。20.3期の連結EBITDAを会社予想と同じ前期比3.0倍の5.0億円(EPS -16.9円)、21.3期は3.3倍の16.6円(20.1円)、22.3期は2.1倍の35.0億円(64.0円)と予想した。
IPOスケジュール
マーケットデータ
日経平均 37,068.35 -1011.35
TOPIX 2,626.32 -51.13
グロース250 638.74 -21.13
NYダウ 37,986.40 +211.02
ナスダック総合 15,282.01 -319.49
ドル/円 154.42 -0.22
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