IPO銘柄詳細
コード | 市場 | 業種 | 売買単位 | 注目度 |
---|---|---|---|---|
6525 | 東証プライム | 電気機器 | 100株 | S |
注目のIPO銘柄
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スケジュール
スケジュール | |
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仮条件決定 | 2023/10/10 |
ブックビルディング期間 | 2023/10/10 - 10/13 |
公開価格決定 | 2023/10/16 |
申込期間 | 2023/10/17 - 10/20 |
払込期日 | - |
上場日 | 2023/10/25 |
価格情報 | |
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想定価格 | 1,890円 |
仮条件 | 1,830 - 1,840円 |
公開価格 | 1,840円 |
初値予想 | 1,840円 |
初値 | 2,116円 |
- スケジュールは上場企業都合により変更になる場合があります。
基本情報
代表者名 | 金井 史幸(上場時67歳1カ月)/1956年生 |
---|---|
本店所在地 | 東京都千代田区神田鍛冶町 |
設立年 | 2017年 |
従業員数 | 1129人 (2023/08/31現在)(平均44.2歳、年収976万円)、連結2473人 |
事業内容 | 半導体製造装置の開発・製造・販売・保守サービスおよびそれに付帯関連する事業 |
URL | https://www.kokusai-electric.com/ |
株主数 | 5人 (目論見書より) |
資本金 | 10,005,002,000円 (2023/09/21現在) |
上場時発行済株数 | 230,404,200株(別に潜在株式7,971,198株) |
公開株数 | 67,674,700株(売り出し58,847,600株、オーバーアロットメント8,827,100株) |
調達資金使途 | - |
連結会社 | 6社 |
シンジケート
公開株数21,626,500株(別に8,827,100株)/国内分
種別 | 証券会社名 | 株数 | 比率 |
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主幹事証券 | 野村 | 6,536,200 | 30.22% |
主幹事証券 | SMBC日興 | 6,439,800 | 29.78% |
主幹事証券 | みずほ | 3,556,300 | 16.44% |
主幹事証券 | 三菱UFJモルガン・スタンレー | 3,556,300 | 16.44% |
引受証券 | 大和 | 576,700 | 2.67% |
引受証券 | 東海東京 | 480,600 | 2.22% |
主幹事証券 | ゴールドマン・サックス | 480,600 | 2.22% |
大株主(潜在株式を含む)
大株主名 | 摘要 | 株数 | 比率 |
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KKR HKE Investment L.P. | 親会社、投資業(ファンド) | 168,700,500 | 70.77% |
Applied Materials Europe B.V. | 特別利害関係者など | 34,560,000 | 14.50% |
KSP Kokusai Investments, LLC | 投資業(ファンド) | 15,619,500 | 6.55% |
Qatar Holding LLC | 投資業(ファンド) | 11,520,000 | 4.83% |
金井史幸 | 代表取締役社長執行役員 | 592,923 | 0.25% |
小川雲龍 | 取締役専務執行役員 | 349,512 | 0.15% |
柳川秀宏 | 専務執行役員など | 348,432 | 0.15% |
神谷勇二 | 取締役専務執行役員 | 313,632 | 0.13% |
塚田和徳 | 常務執行役員など | 309,690 | 0.13% |
金山健司 | 執行役員 | 270,765 | 0.11% |
業績動向(単位:百万円)
決算期 | 種別 | 売上収益 | 営業利益 | 税引き前利益 | 純利益 |
---|---|---|---|---|---|
2024/03 | 連結1Q実績 | 32,710 | 3,990 | 3,727 | 2,655 |
2024/03 | 連結会社予想 | 180,000 | 29,109 | 28,280 | 20,200 |
2023/03 | 連結実績 | 245,721 | 56,064 | 55,895 | 40,305 |
2022/03 | 連結実績 | 245,425 | 70,652 | 69,264 | 51,339 |
売上収益
営業利益
税引き前利益
純利益
1株あたりの数値(単位:円)
決算期 | 種別 | EPS | BPS | 配当 |
---|---|---|---|---|
2024/03 | 連結会社予想 | 87.67 | 793.70 | 11.00 |
参考類似企業
事業詳細
半導体製造装置大手。旧日立国際電気の成膜プロセスソリューション事業を前身としており、米投資ファンドのKKR(コールバーグ・クラビス・ロバーツ)の傘下にある。日立国際電気はKKRによる株式公開買い付け(TOB)に伴い、2018年3月に東京証券取引所第一部の上場を廃止し、同年6月に会社分割された。
前工程における回路形成に必要な薄膜などを形成する「成膜」工程に特化した装置専業メーカーであり、数十枚以上のシリコンウエハーを一括処理するバッチ成膜装置を主力に、成膜後に熱をかけて結晶サイズをそろえる(アニール)「熱処理」工程のトリートメント(膜質改善)装置も製造販売している。中でも高難易度成膜と高生産性の両方を実現できるバッチALD(原子層堆積法)対応の成膜装置は売上高世界シェア1位、トリートメント装置においても2位に付ける。
2023年3月期の売上収益構成比は、製品69%(バッチ成膜装置59%、トリートメント装置10%)、サービス31%。地域別では日本13.4%、海外86.6%(米国5.5%、中国33.8%、台湾16.9%、韓国23.0%、その他アジア5.9%、欧州他1.6%)。主な販売先は韓国サムスン電子22.0%、台湾積体電路製造(TSMC)12.4%、米マイクロンテクノロジー10.2%。
前工程における回路形成に必要な薄膜などを形成する「成膜」工程に特化した装置専業メーカーであり、数十枚以上のシリコンウエハーを一括処理するバッチ成膜装置を主力に、成膜後に熱をかけて結晶サイズをそろえる(アニール)「熱処理」工程のトリートメント(膜質改善)装置も製造販売している。中でも高難易度成膜と高生産性の両方を実現できるバッチALD(原子層堆積法)対応の成膜装置は売上高世界シェア1位、トリートメント装置においても2位に付ける。
2023年3月期の売上収益構成比は、製品69%(バッチ成膜装置59%、トリートメント装置10%)、サービス31%。地域別では日本13.4%、海外86.6%(米国5.5%、中国33.8%、台湾16.9%、韓国23.0%、その他アジア5.9%、欧州他1.6%)。主な販売先は韓国サムスン電子22.0%、台湾積体電路製造(TSMC)12.4%、米マイクロンテクノロジー10.2%。
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・直近(2023年6月)の特別利害関係者らによる株式売買単価は1828円。
・公開株式数の45.0%に当たる3045万3600株を海外で販売する予定。
・大株主(新株予約権者含む)上位12名ほか、従業員(執行役員や子会社役員含む)5名には180日のロックアップが掛かる。
・上場時に行使可能なロックアップ対象外の新株予約権は最大推定433万9372株分。
・連結配当性向は20~30%程度を目安にすることを予定している(今期予想は12.5%)。また、ネットキャッシュプラス転換後は、有利子負債分割償還後フリー・キャッシュ・フローの70%程度に相当する金額を配当や自己株式取得に充当することを目指す。
〈ファーストインプレッション〉
2021年春の米アプライドマテリアルズの買収断念後に上場を模索していたことで知られ、昨年も上場観測のあった久々の超大型出口案件となるが、連続減益見通しであり、上場前株価も昨秋の2382円から今夏は1828円と大幅ダウンした。なぜ昨年のうちに出さずに、さらに業績の悪化する今年なのか理解に苦しむが、決算集計時期に不意に訪れたAIバブルによる半導体株高を受けての判断ということなのか。結果的には高く売れる時期を逃し逃してのエグジット上場となる。
想定価格の希薄化調整後のPERは約18倍。東京エレクなどに比べると安いが、このセクターはまちまちであり、平均を取った印象だ。薄膜装置専業ではオプトランが12倍強の一方、サムコは25倍となっている。ラインアップの多い東京エレクは指数寄与度が高く、プレミアムが乗る別格扱いとみるべきだろうが、サムコは業績が前期も今期も拡大が続いており期待が高まりやすい。半導体市況はシリコンサイクルが踊り場の一方、昨年に中国コロナの影響で部品不足の影響を受けた自動車向けなどの分野は活況とまちまちだが、コクサイエレはラインアップが少なく、前者のメモリー市況の影響を受けやすい体質のようだ。
膜装置市場全体では世界大手に後れを取るも、最先端技術として注目されるバッチALDの優位性により、市況回復期には大幅減益の反動でV字回復しやすい期待を踏まえれば、この程度のバリュエーションは受け入れられなくもなさそうだ。アプライドの買収提案価格は最終的に35億ドルに上り、断念後の21年秋に欧州子会社が出資した時は、実質41.9億ドルまで評価を引き上げていた。それに対し、想定価格のドル建て時価総額は1ドル150円なら29億ドルである。
ただアプライドの買収はラインアップの弱い部分を補完する役割があっての価格だ。利益も大きく減らしている現状で、上場後にこのギャップを埋めるような展開は想定しにくい。また、久々の超大型案件であるにもかかわらず、コーナーストーン投資家などの親引けはない。代わりに今夏に想定価格に近い価格でカタール投資庁のオイルマネーが入り、アプライドもナンピン買いに応じたわけだが、これだけの規模の案件で民間投資会社への親引けがないのもどうなのか。トップレフトの野村はここのところ営業力を動員しての初値形成で、地合い改善に取り組む様子もうかがえるが、せいぜい公開価格割れの時間稼ぎをする程度。AIバブル時と打って変わっての地合い悪化も重なり、どちらにしろ上値は重そうである。
・公開株式数の45.0%に当たる3045万3600株を海外で販売する予定。
・大株主(新株予約権者含む)上位12名ほか、従業員(執行役員や子会社役員含む)5名には180日のロックアップが掛かる。
・上場時に行使可能なロックアップ対象外の新株予約権は最大推定433万9372株分。
・連結配当性向は20~30%程度を目安にすることを予定している(今期予想は12.5%)。また、ネットキャッシュプラス転換後は、有利子負債分割償還後フリー・キャッシュ・フローの70%程度に相当する金額を配当や自己株式取得に充当することを目指す。
〈ファーストインプレッション〉
2021年春の米アプライドマテリアルズの買収断念後に上場を模索していたことで知られ、昨年も上場観測のあった久々の超大型出口案件となるが、連続減益見通しであり、上場前株価も昨秋の2382円から今夏は1828円と大幅ダウンした。なぜ昨年のうちに出さずに、さらに業績の悪化する今年なのか理解に苦しむが、決算集計時期に不意に訪れたAIバブルによる半導体株高を受けての判断ということなのか。結果的には高く売れる時期を逃し逃してのエグジット上場となる。
想定価格の希薄化調整後のPERは約18倍。東京エレクなどに比べると安いが、このセクターはまちまちであり、平均を取った印象だ。薄膜装置専業ではオプトランが12倍強の一方、サムコは25倍となっている。ラインアップの多い東京エレクは指数寄与度が高く、プレミアムが乗る別格扱いとみるべきだろうが、サムコは業績が前期も今期も拡大が続いており期待が高まりやすい。半導体市況はシリコンサイクルが踊り場の一方、昨年に中国コロナの影響で部品不足の影響を受けた自動車向けなどの分野は活況とまちまちだが、コクサイエレはラインアップが少なく、前者のメモリー市況の影響を受けやすい体質のようだ。
膜装置市場全体では世界大手に後れを取るも、最先端技術として注目されるバッチALDの優位性により、市況回復期には大幅減益の反動でV字回復しやすい期待を踏まえれば、この程度のバリュエーションは受け入れられなくもなさそうだ。アプライドの買収提案価格は最終的に35億ドルに上り、断念後の21年秋に欧州子会社が出資した時は、実質41.9億ドルまで評価を引き上げていた。それに対し、想定価格のドル建て時価総額は1ドル150円なら29億ドルである。
ただアプライドの買収はラインアップの弱い部分を補完する役割があっての価格だ。利益も大きく減らしている現状で、上場後にこのギャップを埋めるような展開は想定しにくい。また、久々の超大型案件であるにもかかわらず、コーナーストーン投資家などの親引けはない。代わりに今夏に想定価格に近い価格でカタール投資庁のオイルマネーが入り、アプライドもナンピン買いに応じたわけだが、これだけの規模の案件で民間投資会社への親引けがないのもどうなのか。トップレフトの野村はここのところ営業力を動員しての初値形成で、地合い改善に取り組む様子もうかがえるが、せいぜい公開価格割れの時間稼ぎをする程度。AIバブル時と打って変わっての地合い悪化も重なり、どちらにしろ上値は重そうである。
仮条件分析
(BB参加妙味
:C)
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想定価格: 1,890円
吸収資金レンジ: 1112.2億円 - 1279.1億円(今期予想連結PER: 21.6倍)
時価総額レンジ: 4354.6億円
仮条件: 1,830円 - 1,840円
吸収資金レンジ: 1076.9億円 - 1245.2億円(今期予想連結PER: 20.9倍 - 21.0倍)
時価総額レンジ: 4216.4億円 - 4239.4億円
仮条件は想定価格を3.17~2.65%下回る10円幅で設定された。また、国内外の株数配分を見直し、海外販売比率を公開株数の50%に引き上げた。
国内28,394,000株→25,010,300株
海外30,453,600株→33,837,300株(海外配分率45%→50%)
またロイターによると、同時に米運用大手のキャピタル・リサーチ・アンド・マネージメント(CRMC)とラザード・アセット・マネージメントがそれぞれ約1931万株、約586万株の購入を約束したことも明らかにしたという。
〈強材料〉
アプライド買収価格より安い、バッチALDの成長性、市況好転の兆し、増配期待あり、プライム上場、大口観測あり
〈弱材料〉
半導体株軟調、メモリー不況、業績半減、ラインアップ少ない、株数削減、仮条件下振れ、のれん資本倍率1倍未満、電気料金高騰、同日あり
〈結論〉
Cとする。公開価格が仮条件上限ならば、初値は1830~1850円(実質PER:17.3~17.5倍)を想定する。
何もかもが微妙な値付けであり、出口案件の不調と半導体株軟調のなかではスルーも選択肢の一つだが、一部で海外勢の積極姿勢もかいま見えるなか、初値は公開価格を強く意識することになりそうだ。
半導体製造装置のなかでも成膜工程に特化する同社だが、成膜装置特化のオプトランのPERは13倍弱、サムコは24倍強に対し、上場にかかる一時的な費用を除いた調整後利益と希薄化を織り込んだ仮条件の実質PERは17.3~17.4倍。成膜装置で国内勢トップの東京エレクは30倍と突出するが、ここは指数寄与度上位によるプレミアムが乗せられた結果とみられ、別格扱いとみる。
両社の中間が意識された格好だ。ただコクサイエレはリーマンショック級ともいわれるメモリー不況の影響を強く受けており、業績規模は前々期の半分未満に沈んでいる。サムコが今期も増収増益見通しで、高い評価を受けているのとは正反対だ。
一方、コクサイエレは高難易度成膜と高生産性の両方を実現できるバッチALDに強いといった面を持っている。メモリー市況は足元で回復の兆しも指摘されており、今後5年間の半導体製造装置の市場は年9.3%で成長すると予測されている。半導体構造の複雑化と3次元化に伴い、難易度の高い成膜と高い生産性の両立が求められるなか、市況回復時のV字回復を見込んだある程度高いバリュエーションは受け入れられよう。達成年度は設定されていないが、承認時に発表した中長期事業目標では売上収益3000億~3300億円、調整後営業利益率28~30%を掲げている。中国当局の横やりで断念したが、米アプライドマテリアルズも欲した技術力だ。
また、海外勢の方が需要が強いようで、公開株数の配分は国内外半々に変更された。ロイター報道の米運用会社については目論見書などには記載がなく、親引けや関心の表明より緩い扱いとみられるが、報道通りならCRMCは公開株数の25.5%、海外配分のうちの57.1%を持っていくことになり、議決権割合は8.38%とアプライドに次ぐ大株主3位に浮上することになる。かなりの積極性がかいま見え、アナウンスメント効果も期待できそう。米アプライドの買収提示価格35億ドルも市場関係者にはよく知られたところだ。
ただ半導体株は足元軟調な展開となっており、実質PER10倍強で値付けされたJETの株価は公開価格を3割近く下回る。株式市場の状態だけ見ればAIバブルまっただ中だった6月の価格1828円を下回ってもよさそうなものだが、仮条件はそれを避けるかのような狭いレンジに設定された。単純に見れば狭いレンジは機関投資家の見方は集約されていると解釈できるが、状況的には上場前価格を下回ることを売出人が嫌った結果とも疑える。
また、有利子負債の返済は進んでおり、EV/EBITDAは10.80~10.86倍と特に問題ない水準だが、無形資産とのれんの合計額は自己資本の0.73倍と1倍を下回る。財務面が良好とはいえず、国内勢は気に留める可能性がある。
結局はリーマンショック級ともいわれるメモリー不況の今後と、バッチALDのポテンシャルをどう見るかによるわけだが、業績急縮小のタイミングといい、バリュエーションといい、仮条件の下振れ具合といい、何もかもが微妙な案件といえる。ただそれだけに初値は様子見ムードの強い展開になりやすいとみる。
吸収資金レンジ: 1112.2億円 - 1279.1億円(今期予想連結PER: 21.6倍)
時価総額レンジ: 4354.6億円
仮条件: 1,830円 - 1,840円
吸収資金レンジ: 1076.9億円 - 1245.2億円(今期予想連結PER: 20.9倍 - 21.0倍)
時価総額レンジ: 4216.4億円 - 4239.4億円
仮条件は想定価格を3.17~2.65%下回る10円幅で設定された。また、国内外の株数配分を見直し、海外販売比率を公開株数の50%に引き上げた。
国内28,394,000株→25,010,300株
海外30,453,600株→33,837,300株(海外配分率45%→50%)
またロイターによると、同時に米運用大手のキャピタル・リサーチ・アンド・マネージメント(CRMC)とラザード・アセット・マネージメントがそれぞれ約1931万株、約586万株の購入を約束したことも明らかにしたという。
〈強材料〉
アプライド買収価格より安い、バッチALDの成長性、市況好転の兆し、増配期待あり、プライム上場、大口観測あり
〈弱材料〉
半導体株軟調、メモリー不況、業績半減、ラインアップ少ない、株数削減、仮条件下振れ、のれん資本倍率1倍未満、電気料金高騰、同日あり
〈結論〉
Cとする。公開価格が仮条件上限ならば、初値は1830~1850円(実質PER:17.3~17.5倍)を想定する。
何もかもが微妙な値付けであり、出口案件の不調と半導体株軟調のなかではスルーも選択肢の一つだが、一部で海外勢の積極姿勢もかいま見えるなか、初値は公開価格を強く意識することになりそうだ。
半導体製造装置のなかでも成膜工程に特化する同社だが、成膜装置特化のオプトランのPERは13倍弱、サムコは24倍強に対し、上場にかかる一時的な費用を除いた調整後利益と希薄化を織り込んだ仮条件の実質PERは17.3~17.4倍。成膜装置で国内勢トップの東京エレクは30倍と突出するが、ここは指数寄与度上位によるプレミアムが乗せられた結果とみられ、別格扱いとみる。
両社の中間が意識された格好だ。ただコクサイエレはリーマンショック級ともいわれるメモリー不況の影響を強く受けており、業績規模は前々期の半分未満に沈んでいる。サムコが今期も増収増益見通しで、高い評価を受けているのとは正反対だ。
一方、コクサイエレは高難易度成膜と高生産性の両方を実現できるバッチALDに強いといった面を持っている。メモリー市況は足元で回復の兆しも指摘されており、今後5年間の半導体製造装置の市場は年9.3%で成長すると予測されている。半導体構造の複雑化と3次元化に伴い、難易度の高い成膜と高い生産性の両立が求められるなか、市況回復時のV字回復を見込んだある程度高いバリュエーションは受け入れられよう。達成年度は設定されていないが、承認時に発表した中長期事業目標では売上収益3000億~3300億円、調整後営業利益率28~30%を掲げている。中国当局の横やりで断念したが、米アプライドマテリアルズも欲した技術力だ。
また、海外勢の方が需要が強いようで、公開株数の配分は国内外半々に変更された。ロイター報道の米運用会社については目論見書などには記載がなく、親引けや関心の表明より緩い扱いとみられるが、報道通りならCRMCは公開株数の25.5%、海外配分のうちの57.1%を持っていくことになり、議決権割合は8.38%とアプライドに次ぐ大株主3位に浮上することになる。かなりの積極性がかいま見え、アナウンスメント効果も期待できそう。米アプライドの買収提示価格35億ドルも市場関係者にはよく知られたところだ。
ただ半導体株は足元軟調な展開となっており、実質PER10倍強で値付けされたJETの株価は公開価格を3割近く下回る。株式市場の状態だけ見ればAIバブルまっただ中だった6月の価格1828円を下回ってもよさそうなものだが、仮条件はそれを避けるかのような狭いレンジに設定された。単純に見れば狭いレンジは機関投資家の見方は集約されていると解釈できるが、状況的には上場前価格を下回ることを売出人が嫌った結果とも疑える。
また、有利子負債の返済は進んでおり、EV/EBITDAは10.80~10.86倍と特に問題ない水準だが、無形資産とのれんの合計額は自己資本の0.73倍と1倍を下回る。財務面が良好とはいえず、国内勢は気に留める可能性がある。
結局はリーマンショック級ともいわれるメモリー不況の今後と、バッチALDのポテンシャルをどう見るかによるわけだが、業績急縮小のタイミングといい、バリュエーションといい、仮条件の下振れ具合といい、何もかもが微妙な案件といえる。ただそれだけに初値は様子見ムードの強い展開になりやすいとみる。
公開価格分析
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公開価格: 1,840円
吸収資金: 1,245.2億円(今期予想連結PER: 21.0倍)
時価総額: 4,239.4億円
公開価格、追加売り出し株数ともに上限で決まった。国内引受価額は1757.20円。訂正目論見書によればブックビルディングの状況は、申告された総需要株式数が売り出し株式数を十分に上回り、総件数が多数にわたっていたうえ、価格ごとの分布は仮条件の上限価格に集中していたことが特徴だった。
また、国内外の配分がさらに見直され、海外は公開株数の55%に当たる3722万1100株に引き上げられた。
海外分:30,453,600株→33,837,300株→37,221,100株(配分率45%→50%→55%)
仮条件とともに海外投資家の積極姿勢は伝わっていたため、さらなる海外配分の強化に意外感はない。ただ半導体関連株はここのところ一喜一憂の不安定な状態が続いている。半導体在庫の調整が進んで来年にかけての回復期待が高まる半面、中東情勢や米金利の動向に左右される。スマートフォンの性能向上が鈍化するなか、メモリー市況の回復に慎重な見方も出ている。東洋経済新報社の出した来期予想は回復を見込むものの、営業利益は前期比17%増の340億円にとどめられ今期予想と前期実績の中間にもとどかない。国際大型案件ゆえ東洋経済予想の直接的な影響力はないだろうが、いずれにしろ今のような不安定な地合いではなおのこと様子見姿勢になりやすいだろう。
吸収資金: 1,245.2億円(今期予想連結PER: 21.0倍)
時価総額: 4,239.4億円
公開価格、追加売り出し株数ともに上限で決まった。国内引受価額は1757.20円。訂正目論見書によればブックビルディングの状況は、申告された総需要株式数が売り出し株式数を十分に上回り、総件数が多数にわたっていたうえ、価格ごとの分布は仮条件の上限価格に集中していたことが特徴だった。
また、国内外の配分がさらに見直され、海外は公開株数の55%に当たる3722万1100株に引き上げられた。
海外分:30,453,600株→33,837,300株→37,221,100株(配分率45%→50%→55%)
仮条件とともに海外投資家の積極姿勢は伝わっていたため、さらなる海外配分の強化に意外感はない。ただ半導体関連株はここのところ一喜一憂の不安定な状態が続いている。半導体在庫の調整が進んで来年にかけての回復期待が高まる半面、中東情勢や米金利の動向に左右される。スマートフォンの性能向上が鈍化するなか、メモリー市況の回復に慎重な見方も出ている。東洋経済新報社の出した来期予想は回復を見込むものの、営業利益は前期比17%増の340億円にとどめられ今期予想と前期実績の中間にもとどかない。国際大型案件ゆえ東洋経済予想の直接的な影響力はないだろうが、いずれにしろ今のような不安定な地合いではなおのこと様子見姿勢になりやすいだろう。
初値予想
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初値予想: 1,840円(今期予想連結PER: 21.0倍)
初値買い妙味: B
初値同値を予想する。ファンドの超大型出口案件として強気な見方は少ない半面、9月以降野村証券が主幹事に入る案件の公開価格割れはない。今回のための布石だったと推測しており、半導体市況反転への期待や一部では海外投資家の積極姿勢も伝わることから同値での初値を予想する。
旧日立国際電気の成膜プロセスソリューション事業を前身とした半導体製造装置大手。中でも高難易度成膜と高生産性を両立する大量処理とバッチALD(原子層堆積法)対応の成膜装置と、トリートメント(膜質改善)装置において世界トップレベルのシェアを占める。ただ足元の業績はリーマンショック級ともいわれるメモリー不況の影響を強く受けており、今24.3期の調整後営業利益は前期比44%減の362.6億円の会社見通しとなっている。前々期からだと半減以下であり、公開価格は今年6月の取引価格を12円上回るものの、昨秋の2382円からは大幅ダウンした。
メモリー不況は在庫一巡が指摘され始めており、来年には回復するとの見方が強い。生成AI向けへの期待も絡み、ディスコなど半導体関連の一角は好調だ。ただ株式相場の地合いが悪化するなか多くは軟調な展開となっており、先月上場した洗浄装置のJETはPERが1桁台に沈み、公開価格を2割も下回る。成膜装置の競合では増収増益を継続するサムコのPERは25倍なのに対し、今期経常減益見通しのオプトランは10倍程度に沈む。コクサイエレの17倍強はどっちつかずだが、業績不調なタイミングであることを考慮すると、強気過ぎる値付けにも思える。上場前売買のあった6月はAIバブルで半導体関連が高かった時期でもあり、それを上回る公開価格には違和感もある。値付けは上場前の株価を下回ることを避けた政治的な背景があったのではないかとも疑える。
ただ9月以降、野村証券が主幹事に入った案件では初値の公開価格割れは出ていない。コクサイエレクトニック成功に向けての布石として営業力が駆使されたのではないかとみられ、今回も集大成として何とか体裁を整えてくるのではないかとの期待がある。正式な親引けや関心表明はなかったが、ロイター報道では海外機関投資家の大量取得方針も伝えられた。また、かつて米アプライドマテリアルズが35億ドルで買収しようとしていた件は広く知られる。どのみち来期市況回復なら業績も急回復が期待でき、多少の割高感は関係なくなる。超大型案件とあってさすがにブックビルディングの需要倍率はかなり低かったようで、初値買い需要をどれだけ残しているかの不安はあるが、トップレフトの営業力に期待し、同値でのスタートを予想する。
初値買い妙味: B
初値同値を予想する。ファンドの超大型出口案件として強気な見方は少ない半面、9月以降野村証券が主幹事に入る案件の公開価格割れはない。今回のための布石だったと推測しており、半導体市況反転への期待や一部では海外投資家の積極姿勢も伝わることから同値での初値を予想する。
旧日立国際電気の成膜プロセスソリューション事業を前身とした半導体製造装置大手。中でも高難易度成膜と高生産性を両立する大量処理とバッチALD(原子層堆積法)対応の成膜装置と、トリートメント(膜質改善)装置において世界トップレベルのシェアを占める。ただ足元の業績はリーマンショック級ともいわれるメモリー不況の影響を強く受けており、今24.3期の調整後営業利益は前期比44%減の362.6億円の会社見通しとなっている。前々期からだと半減以下であり、公開価格は今年6月の取引価格を12円上回るものの、昨秋の2382円からは大幅ダウンした。
メモリー不況は在庫一巡が指摘され始めており、来年には回復するとの見方が強い。生成AI向けへの期待も絡み、ディスコなど半導体関連の一角は好調だ。ただ株式相場の地合いが悪化するなか多くは軟調な展開となっており、先月上場した洗浄装置のJETはPERが1桁台に沈み、公開価格を2割も下回る。成膜装置の競合では増収増益を継続するサムコのPERは25倍なのに対し、今期経常減益見通しのオプトランは10倍程度に沈む。コクサイエレの17倍強はどっちつかずだが、業績不調なタイミングであることを考慮すると、強気過ぎる値付けにも思える。上場前売買のあった6月はAIバブルで半導体関連が高かった時期でもあり、それを上回る公開価格には違和感もある。値付けは上場前の株価を下回ることを避けた政治的な背景があったのではないかとも疑える。
ただ9月以降、野村証券が主幹事に入った案件では初値の公開価格割れは出ていない。コクサイエレクトニック成功に向けての布石として営業力が駆使されたのではないかとみられ、今回も集大成として何とか体裁を整えてくるのではないかとの期待がある。正式な親引けや関心表明はなかったが、ロイター報道では海外機関投資家の大量取得方針も伝えられた。また、かつて米アプライドマテリアルズが35億ドルで買収しようとしていた件は広く知られる。どのみち来期市況回復なら業績も急回復が期待でき、多少の割高感は関係なくなる。超大型案件とあってさすがにブックビルディングの需要倍率はかなり低かったようで、初値買い需要をどれだけ残しているかの不安はあるが、トップレフトの営業力に期待し、同値でのスタートを予想する。
初値分析
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初値: 2,116円(今期予想連結PER: 24.1倍)
/ 上昇率: 15.0%
/ 高値: 2,436円
/ 安値: 2,108円
/ 終値: 2,350円
出来高: 34,234,200株 / 対公開株数: 50.6% / 初値出来高: 6,472,300株 / 初値売買代金: 13,695,386,800円
しっかりした初値が付いた。公開価格より上では2000円と2100円、そして初値となったちょうど15%高の2116円に買い指し値が集中していた。さらに公開株のほとんどは長期保有方針の投資家に配られたとみられ、プラススタートにもかかわらず初値売却率は10%弱にとどまった。
心理的な節目でもない価格に買いが集中する例は少なく、自然体で付いたというより計算された初値といった印象だ。ブックビルディングの需要倍率は低かった観測だが、一部の海外機関投資家の強気姿勢が報じられるなどしていたことから、主幹事らの周到な根回しが奏功したのではないかとみられる。なぜ2116円が狙い撃ちされたのかについては、単純にちょうど15%高になることに加え、希薄化調整後の実質PERもちょうど20倍に当たること、さらには上場前の高値となる昨秋の増資単価(2382円)と公開価格の中間(2111円)に近いこと、この近辺ではKKR以外の大株主の最初の円建て出資価格にも近いこと――などが理由として考えられる。
寄り付き後は一段高となった。株式相場が日米ともに底入れムードとなり、来年の市況回復に目が向き始めたなか、本日の半導体関連は軒並み高となりザラ場も堅調に推移する傾向のなか、IPO株も例外とはならなかった。前日のSOX(フィラデルフィア半導体株指数)高に加え、岸田政権が半導体分野に支援を掲げたことも手掛かりになったとの指摘もあった。ただ昼過ぎに高値を付けた後は利益確定売りに押された。昨秋の増資単価も超えたことで警戒感が高まり、終値はその近辺に押し戻された形だ。
半導体市況低迷の来年反転への期待は今に始まったことでない。日米ともに株式指数が前日安値に接近し、さまざまな要素が重なりたまたま反発するタイミングに重なっただけともいえる。
また、出来高はまだ公開株数の半分程度にとどまる。大型案件ほど長期投資家に配分されるため出来高はさほど重要ではないが、上場前の株価も全て回収したことで目先の買いは一巡した可能性が高い。しばらくは換金売りで上値の重いなか、様子見ムードに移るとみる。
出来高: 34,234,200株 / 対公開株数: 50.6% / 初値出来高: 6,472,300株 / 初値売買代金: 13,695,386,800円
しっかりした初値が付いた。公開価格より上では2000円と2100円、そして初値となったちょうど15%高の2116円に買い指し値が集中していた。さらに公開株のほとんどは長期保有方針の投資家に配られたとみられ、プラススタートにもかかわらず初値売却率は10%弱にとどまった。
心理的な節目でもない価格に買いが集中する例は少なく、自然体で付いたというより計算された初値といった印象だ。ブックビルディングの需要倍率は低かった観測だが、一部の海外機関投資家の強気姿勢が報じられるなどしていたことから、主幹事らの周到な根回しが奏功したのではないかとみられる。なぜ2116円が狙い撃ちされたのかについては、単純にちょうど15%高になることに加え、希薄化調整後の実質PERもちょうど20倍に当たること、さらには上場前の高値となる昨秋の増資単価(2382円)と公開価格の中間(2111円)に近いこと、この近辺ではKKR以外の大株主の最初の円建て出資価格にも近いこと――などが理由として考えられる。
寄り付き後は一段高となった。株式相場が日米ともに底入れムードとなり、来年の市況回復に目が向き始めたなか、本日の半導体関連は軒並み高となりザラ場も堅調に推移する傾向のなか、IPO株も例外とはならなかった。前日のSOX(フィラデルフィア半導体株指数)高に加え、岸田政権が半導体分野に支援を掲げたことも手掛かりになったとの指摘もあった。ただ昼過ぎに高値を付けた後は利益確定売りに押された。昨秋の増資単価も超えたことで警戒感が高まり、終値はその近辺に押し戻された形だ。
半導体市況低迷の来年反転への期待は今に始まったことでない。日米ともに株式指数が前日安値に接近し、さまざまな要素が重なりたまたま反発するタイミングに重なっただけともいえる。
また、出来高はまだ公開株数の半分程度にとどまる。大型案件ほど長期投資家に配分されるため出来高はさほど重要ではないが、上場前の株価も全て回収したことで目先の買いは一巡した可能性が高い。しばらくは換金売りで上値の重いなか、様子見ムードに移るとみる。