IPO銘柄詳細
コード | 市場 | 業種 | 売買単位 | 注目度 |
---|---|---|---|---|
9227 | 東証グロース | サービス業 | 100株 | A |
注目のIPO銘柄
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スケジュール
スケジュール | |
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仮条件決定 | 2022/06/08 |
ブックビルディング期間 | 2022/06/09 - 06/15 |
公開価格決定 | 2022/06/16 |
申込期間 | 2022/06/17 - 06/22 |
払込期日 | 2022/06/23 |
上場日 | 2022/06/24 |
価格情報 | |
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想定価格 | 580円 |
仮条件 | 580 - 605円 |
公開価格 | 605円 |
初値予想 | 700円 |
初値 | 550円 |
- スケジュールは上場企業都合により変更になる場合があります。
基本情報
代表者名 | 吉野 巌(上場時54歳11カ月)/1967年生 |
---|---|
本店所在地 | 大阪府大阪市住之江区平林南(最寄りの連絡所:吹田市山田丘) |
設立年 | 2007年 |
従業員数 | 55人 (2022/04/30現在)(平均42.5歳、年収594.2万円) |
事業内容 | マイクロ波化学プロセスの研究開発やエンジニアリング、ライセンス事業 |
URL | https://mwcc.jp/ |
株主数 | 26人 (目論見書より) |
資本金 | 2,298,446,000円 (2022/05/19現在) |
上場時発行済株数 | 15,143,400株(別に潜在株式1,607,100株) |
公開株数 | 3,486,600株(公募1,700,000株、売り出し1,331,900株、オーバーアロットメント454,700株) |
調達資金使途 | 設備投資、借入金の返済 |
連結会社 | 0社 |
シンジケート
公開株数3,031,900株(別に454,700株)/海外分含む
種別 | 証券会社名 | 株数 | 比率 |
---|---|---|---|
主幹事証券 | SMBC日興 | 2,728,900 | 90.01% |
引受証券 | SBI | 151,500 | 5.00% |
引受証券 | 三菱UFJモルガン・スタンレー | 121,200 | 4.00% |
引受証券 | 楽天 | 30,300 | 1.00% |
大株主(潜在株式を含む)
大株主名 | 摘要 | 株数 | 比率 |
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UTEC2号投組 | ベンチャーキャピタル(ファンド) | 2,985,700 | 19.84% |
ジャフコSV4共有投組 | ベンチャーキャピタル(ファンド) | 2,151,000 | 14.29% |
(株)INCJ | ベンチャーキャピタル(ファンド) | 1,893,600 | 12.58% |
吉野巌 | 代表取締役社長CEO | 1,484,300 | 9.86% |
塚原保徳 | 取締役CSO | 1,424,300 | 9.46% |
三井化学(株) | 資本業務提携先 | 771,700 | 5.13% |
PNB-INSPiRE EthicalFund1投組 | ベンチャーキャピタル(ファンド) | 642,800 | 4.27% |
OUVC1号投組 | ベンチャーキャピタル(ファンド) | 532,800 | 3.54% |
(株)新生銀行 | ベンチャーキャピタル(ファンド) | 280,000 | 1.86% |
DBJキャピタル投組 | ベンチャーキャピタル(ファンド) | 255,700 | 1.70% |
業績動向(単位:百万円)
決算期 | 種別 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 |
---|---|---|---|---|---|
2023/03 | 単独予想 | 1,133 | 67 | 30 | 45 |
2022/03 | 単独実績 | 860 | -87 | -98 | -110 |
2021/03 | 単独実績 | 458 | -348 | -355 | -1,036 |
2020/03 | 単独実績 | 1,052 | 28 | 27 | 32 |
売上高
営業利益
経常利益
純利益
1株あたりの数値(単位:円)
決算期 | 種別 | EPS | BPS | 配当 |
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2023/03 | 単独予想 | 3.08 | 104.41 | 0.00 |
参考類似企業
銘柄 | 今期予想PER(5/30) |
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GEI
|
108.5倍 (単独予想) |
事業詳細
大阪大学発のマイクロ波技術ベンチャー。電子レンジに使われるマイクロ波を産業用に大型化するプラットフォーム技術を独自開発しており、研究開発からエンジニアリング・製造支援までをワンストップでソリューションとして化学・エネルギー産業に提供している。顧客の課題解決を目指す研究開発会社としての側面と、マイクロ波プロセスを設計して反応器を納入するエンジニアリング会社的な側面を併せ持つ。
ソリューションは4つのフェーズで提供しており、収益区分はこれに従う。開発段階のフェーズ1(ラボ開発)ないし2(実証開発)では、共同開発費や実証機の設計費という形で収益を計上する。顧客が事業化するフェーズ3(実機導入)ないし4(製造支援)では、プロジェクトマネジメントフィーや設計費を計上した上で、ライセンス収入を一時金やロイヤルティーとして計上する。
2022年3月期の売上高構成比はフェーズ1 36.0%、フェーズ2 37.2%、フェーズ3 3.5%、フェーズ4 23.3%。主な販売先は三菱ケミカル25.0%、三井化学24.9%、食品乳化剤メーカーのティエムティ23.2%、大日本印刷10.7%。
ソリューションは4つのフェーズで提供しており、収益区分はこれに従う。開発段階のフェーズ1(ラボ開発)ないし2(実証開発)では、共同開発費や実証機の設計費という形で収益を計上する。顧客が事業化するフェーズ3(実機導入)ないし4(製造支援)では、プロジェクトマネジメントフィーや設計費を計上した上で、ライセンス収入を一時金やロイヤルティーとして計上する。
2022年3月期の売上高構成比はフェーズ1 36.0%、フェーズ2 37.2%、フェーズ3 3.5%、フェーズ4 23.3%。主な販売先は三菱ケミカル25.0%、三井化学24.9%、食品乳化剤メーカーのティエムティ23.2%、大日本印刷10.7%。
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・直近(2019年11月)の第三者割当増資の発行単価は、分割や転換を遡及(そきゅう)修正すると1150円。
・公開株式の一部は欧州やアジアを中心とする海外市場(米加除く)で販売される。
・既存株主行使期間入り済みの1万0800株分以上の新株予約権者、その他新株予約権者26名には180日(VCは90日)のロックアップが掛かる。ただし、ベンチャーキャピタル(計844万8500株)は公開価格の1.5倍以上では解除される。
・ロックアップ対象外の上場時に行使可能な新株予約権は最大推定11万1000株分。
〈ファーストインプレッション〉
社名が化学メーカーっぽいが業種分類はサービス業となっており、化学メーカーは顧客である。マイクロ波技術を使うと、従来の「熱と圧力」を使った製法に比べ、エネルギー消費量は3分の1、加熱時間は10分の1、用地面積は5分の1に低減できるという。これが本当ならエネルギー価格が高騰するなかで、まさに夢の技術だ。大手化学メーカーへの販売実績も複数あり、前期にはフェーズ4の売り上げ実績もできた。
ただ過去の業績推移はブレが大きく、利益も黒字化したばかりでまだ薄い。今の段階で上場するには評価が難しそうな案件だ。それゆえか想定価格は上場前株価の半額となっているが、初期段階で出資したとみられる上位ベンチャーキャピタルは売り出しに応じている。また、産業用のマイクロ波加熱装置なら未上場のメーカーが十数社確認でき、それほど新しいものでもないようだ。下位VCは出資価格の高さゆえ多少値上がりしたところで売ってこないだろうが、結局のところ初値段階でロックアップ解除価格を上回るのは難しそうである。
・公開株式の一部は欧州やアジアを中心とする海外市場(米加除く)で販売される。
・既存株主行使期間入り済みの1万0800株分以上の新株予約権者、その他新株予約権者26名には180日(VCは90日)のロックアップが掛かる。ただし、ベンチャーキャピタル(計844万8500株)は公開価格の1.5倍以上では解除される。
・ロックアップ対象外の上場時に行使可能な新株予約権は最大推定11万1000株分。
〈ファーストインプレッション〉
社名が化学メーカーっぽいが業種分類はサービス業となっており、化学メーカーは顧客である。マイクロ波技術を使うと、従来の「熱と圧力」を使った製法に比べ、エネルギー消費量は3分の1、加熱時間は10分の1、用地面積は5分の1に低減できるという。これが本当ならエネルギー価格が高騰するなかで、まさに夢の技術だ。大手化学メーカーへの販売実績も複数あり、前期にはフェーズ4の売り上げ実績もできた。
ただ過去の業績推移はブレが大きく、利益も黒字化したばかりでまだ薄い。今の段階で上場するには評価が難しそうな案件だ。それゆえか想定価格は上場前株価の半額となっているが、初期段階で出資したとみられる上位ベンチャーキャピタルは売り出しに応じている。また、産業用のマイクロ波加熱装置なら未上場のメーカーが十数社確認でき、それほど新しいものでもないようだ。下位VCは出資価格の高さゆえ多少値上がりしたところで売ってこないだろうが、結局のところ初値段階でロックアップ解除価格を上回るのは難しそうである。
仮条件分析
(BB参加妙味
:B)
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想定価格: 580円
吸収資金レンジ: 17.6億円 - 20.2億円(今期予想単独PER: 188.3倍)
時価総額レンジ: 87.8億円
仮条件: 580円 - 605円
吸収資金レンジ: 17.6億円 - 21.1億円(今期予想単独PER: 188.3倍 - 196.4倍)
時価総額レンジ: 87.8億円 - 91.6億円
仮条件は想定価格を下限に25円幅で設定された。上限価格は想定を4.31%上回る。
〈強材料〉
革新的省エネ技術、エネ価格高騰、大手が顧客、既存プラント老朽化、地合い改善
〈弱材料〉
電力不足、原発再稼働進まず、VC出口案件、業績不安定、安定収入なし、薄利グロース、ミニラッシュ
〈結論〉
Bとする。公開価格が仮条件上限ならば、初値は800~900円(PSR:10.7~12.0倍)前後を想定する。
革新的な省エネルギー技術をひっさげるも利益がまだ付いてきていないうえ、公開価格の1.5倍以上でロックアップ解除となる既存株が多数ある。薄利グロース株への警戒感はまだまだ強いと想定されるなか、上値を試す展開には限界がありそうだ。
化学メーカー向けに革新的なプラント技術を提供するベンチャーとして市場の注目を浴びそうだ。マイクロ波による加工は構想自体は従来からあったものの、大型化と制御に難がありこれまで実用化されなかった。それを同社が実現化したことで、化学メーカー各社への販売が増え始めている。マイクロ波を使えば従来の「熱と圧力」を使った製法に比べ、エネルギー消費量は3分の1、加熱時間は10分の1、用地面積は5分の1に低減できるとのことで、既存の化学プラントが老朽化するなかで建て替えのタイミングで置き換えられていくことが期待される。
直近の業績には大きなブレがあるが、21.3期はタイミング的に新型コロナ禍の影響を受けたことは明白だ。前の期にフェーズ3の案件が完了した反動もあり、実際にはまだ収益は安定していない要素も強いようだが、23.3期は新規の案件(フェーズ1)が急増する予想となっており、今後しばらくはこれらの案件が進ちょくしていくことで成長が続く局面になったと考えられる。
ただ妥当株価の算出はかなり難解だ。独自性が高すぎてこれぞといった比較対象がいないうえに利益はまだ薄い。同社の挙げた類似企業ではリサイクル技術ベンチャーの米アジリックスの親会社がノルウェーで上場するが、まだ赤字だ。PSRで見ると10倍程度であり、仮条件上限の8.1倍を上回る。また、国内では昨年末に上場した同じくUTEC出資案件のGEIが11倍とアジリックスに近い。PSR10倍程度を妥当とするなら仮条件は2割ほどディスカウントされているということになる。
ただ脱炭素の流れのなかで省エネはリサイクルと同列にされがちだが、エネルギー価格が高騰するなかで消費量が3分の1に激減するとの触れ込みが本当ならば、普及に政策的な後押しや消費者の倫理観は必要ない。脱炭素関連と違って自力成長が可能であり、あとはキャパシティーの問題となる。国内では既存の化学プラントの老朽化が指摘されており、それらの更新のタイミングなどでオセロのように置き換わっていくことが期待され、初動は上値を試しに行く展開になるのではないか。
ただ公開規模20億円に対し、公開価格の1.5倍ではさらに公開株数の2.4倍に上る既存株のロックアップが解除される。直近の出資価格が1150円と高く、解除価格では利益の出ない株主がいるが、それらを抜いても820万株弱だ。770円での出資も多いが、売り出しに応じた株主の分だけでも610万株強ある。既存株主の間でも新旧で立場は大きく異なるのだろうが、上位にファンドが並ぶ株主構造は出口案件との印象を強めやすい。エニーカラーは驚異的な人気を博したが、強烈な割安感と利益はしっかり出していたゆえ。まだまだ利益の出ていないグロース株への警戒感は強いと考えられる。評価の難しい案件ゆえ需給にはことさら敏感になる面もあろう。
また、国内では今夏にも再び電力不足に陥ることが懸念されており、節電要請が出された。いくら革新的な技術といっても電力を大量に消費する技術では、原発再稼働が進まないうちは移行を進めにくいのではないかとの疑念もある。解除価格を前に買いの勢いは鈍りやすく、手前で付くパターンとみたい。
<追加分析>
B継続だが、想定初値を650~700円前後に引き下げる。
エネルギー価格高騰や既存設備の老朽化で新規案件が増え始めたタイミングの上場は注目を浴びやすいかと思ったが、ヌーラボが大幅値下げの仮条件が設定され、薄利のグロース株に対する警戒感がうかがえた。インフレ懸念で将来キャッシュフローの価値が低下するなか、市場は足元の利益をより重視する傾向だ。ヌーラボのPSRは2倍台にまで低下したが、これはピーク時の相場の10分の1に近い。今現在の利益が出ていなければ、たとえ将来の回収可能性が高くとも売上高といった数字に表れる指標さえ機能しなくなっているということでもある。
マイクロ波化学に至ってはまだ継続収入自体がほとんどなく、将来利益は不確定要素が多い。上場前株価からは事前に大幅に引き下げられているゆえ、さらなる値下げを要求する動きにはなりにくいが、電力不足への懸念が連日のニュースで挙げられ始めたなか、大量に電気を使う技術への移行期待は高まりにくいだろう。新たな初値は時価総額100億円前後、上昇率1割前後をめどにした価格帯に引き下げる。
吸収資金レンジ: 17.6億円 - 20.2億円(今期予想単独PER: 188.3倍)
時価総額レンジ: 87.8億円
仮条件: 580円 - 605円
吸収資金レンジ: 17.6億円 - 21.1億円(今期予想単独PER: 188.3倍 - 196.4倍)
時価総額レンジ: 87.8億円 - 91.6億円
仮条件は想定価格を下限に25円幅で設定された。上限価格は想定を4.31%上回る。
〈強材料〉
革新的省エネ技術、エネ価格高騰、大手が顧客、既存プラント老朽化、地合い改善
〈弱材料〉
電力不足、原発再稼働進まず、VC出口案件、業績不安定、安定収入なし、薄利グロース、ミニラッシュ
〈結論〉
Bとする。公開価格が仮条件上限ならば、初値は800~900円(PSR:10.7~12.0倍)前後を想定する。
革新的な省エネルギー技術をひっさげるも利益がまだ付いてきていないうえ、公開価格の1.5倍以上でロックアップ解除となる既存株が多数ある。薄利グロース株への警戒感はまだまだ強いと想定されるなか、上値を試す展開には限界がありそうだ。
化学メーカー向けに革新的なプラント技術を提供するベンチャーとして市場の注目を浴びそうだ。マイクロ波による加工は構想自体は従来からあったものの、大型化と制御に難がありこれまで実用化されなかった。それを同社が実現化したことで、化学メーカー各社への販売が増え始めている。マイクロ波を使えば従来の「熱と圧力」を使った製法に比べ、エネルギー消費量は3分の1、加熱時間は10分の1、用地面積は5分の1に低減できるとのことで、既存の化学プラントが老朽化するなかで建て替えのタイミングで置き換えられていくことが期待される。
直近の業績には大きなブレがあるが、21.3期はタイミング的に新型コロナ禍の影響を受けたことは明白だ。前の期にフェーズ3の案件が完了した反動もあり、実際にはまだ収益は安定していない要素も強いようだが、23.3期は新規の案件(フェーズ1)が急増する予想となっており、今後しばらくはこれらの案件が進ちょくしていくことで成長が続く局面になったと考えられる。
ただ妥当株価の算出はかなり難解だ。独自性が高すぎてこれぞといった比較対象がいないうえに利益はまだ薄い。同社の挙げた類似企業ではリサイクル技術ベンチャーの米アジリックスの親会社がノルウェーで上場するが、まだ赤字だ。PSRで見ると10倍程度であり、仮条件上限の8.1倍を上回る。また、国内では昨年末に上場した同じくUTEC出資案件のGEIが11倍とアジリックスに近い。PSR10倍程度を妥当とするなら仮条件は2割ほどディスカウントされているということになる。
ただ脱炭素の流れのなかで省エネはリサイクルと同列にされがちだが、エネルギー価格が高騰するなかで消費量が3分の1に激減するとの触れ込みが本当ならば、普及に政策的な後押しや消費者の倫理観は必要ない。脱炭素関連と違って自力成長が可能であり、あとはキャパシティーの問題となる。国内では既存の化学プラントの老朽化が指摘されており、それらの更新のタイミングなどでオセロのように置き換わっていくことが期待され、初動は上値を試しに行く展開になるのではないか。
ただ公開規模20億円に対し、公開価格の1.5倍ではさらに公開株数の2.4倍に上る既存株のロックアップが解除される。直近の出資価格が1150円と高く、解除価格では利益の出ない株主がいるが、それらを抜いても820万株弱だ。770円での出資も多いが、売り出しに応じた株主の分だけでも610万株強ある。既存株主の間でも新旧で立場は大きく異なるのだろうが、上位にファンドが並ぶ株主構造は出口案件との印象を強めやすい。エニーカラーは驚異的な人気を博したが、強烈な割安感と利益はしっかり出していたゆえ。まだまだ利益の出ていないグロース株への警戒感は強いと考えられる。評価の難しい案件ゆえ需給にはことさら敏感になる面もあろう。
また、国内では今夏にも再び電力不足に陥ることが懸念されており、節電要請が出された。いくら革新的な技術といっても電力を大量に消費する技術では、原発再稼働が進まないうちは移行を進めにくいのではないかとの疑念もある。解除価格を前に買いの勢いは鈍りやすく、手前で付くパターンとみたい。
<追加分析>
B継続だが、想定初値を650~700円前後に引き下げる。
エネルギー価格高騰や既存設備の老朽化で新規案件が増え始めたタイミングの上場は注目を浴びやすいかと思ったが、ヌーラボが大幅値下げの仮条件が設定され、薄利のグロース株に対する警戒感がうかがえた。インフレ懸念で将来キャッシュフローの価値が低下するなか、市場は足元の利益をより重視する傾向だ。ヌーラボのPSRは2倍台にまで低下したが、これはピーク時の相場の10分の1に近い。今現在の利益が出ていなければ、たとえ将来の回収可能性が高くとも売上高といった数字に表れる指標さえ機能しなくなっているということでもある。
マイクロ波化学に至ってはまだ継続収入自体がほとんどなく、将来利益は不確定要素が多い。上場前株価からは事前に大幅に引き下げられているゆえ、さらなる値下げを要求する動きにはなりにくいが、電力不足への懸念が連日のニュースで挙げられ始めたなか、大量に電気を使う技術への移行期待は高まりにくいだろう。新たな初値は時価総額100億円前後、上昇率1割前後をめどにした価格帯に引き下げる。
公開価格分析
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公開価格: 605円
吸収資金: 21.1億円(今期予想単独PER: 196.4倍)
時価総額: 91.6億円
公開価格、追加売り出し株数ともに上限で決まった。引受価額は556.6円。訂正目論見書によればブックビルディングの状況は、申告された総需要株式数が公開株数を十分に上回り、総件数が多数にわたっていたうえ、価格ごとの分布は仮条件の上限価格に集中していたことが特徴だった。一方、海外への販売株数は公募74万8300株、売り出し58万6200株の計133万4500株で決まり、公開株数全体に対する比率は38.3%となった。
足元では再び株安となっており、マザーズ指数は安値面合わせだ。薄利のグロース株は投資家心理に大きく左右されるゆえ、油断ならない環境になってきた。一方、海外配分率はここ最近では高い4割弱に上ったことで、国内吸収額は13億円に縮小した。今のところ国内株式相場も土俵際で踏みとどまることから、引き続き堅調なスタートを想定する。
吸収資金: 21.1億円(今期予想単独PER: 196.4倍)
時価総額: 91.6億円
公開価格、追加売り出し株数ともに上限で決まった。引受価額は556.6円。訂正目論見書によればブックビルディングの状況は、申告された総需要株式数が公開株数を十分に上回り、総件数が多数にわたっていたうえ、価格ごとの分布は仮条件の上限価格に集中していたことが特徴だった。一方、海外への販売株数は公募74万8300株、売り出し58万6200株の計133万4500株で決まり、公開株数全体に対する比率は38.3%となった。
足元では再び株安となっており、マザーズ指数は安値面合わせだ。薄利のグロース株は投資家心理に大きく左右されるゆえ、油断ならない環境になってきた。一方、海外配分率はここ最近では高い4割弱に上ったことで、国内吸収額は13億円に縮小した。今のところ国内株式相場も土俵際で踏みとどまることから、引き続き堅調なスタートを想定する。
初値予想
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初値予想: 700円(今期予想単独PER: 227.3倍)
初値買い妙味: B
初値しっかりを予想する。エネルギー価格高騰や二酸化炭素削減が叫ばれるなか、革新的な省エネルギー技術を持つことで注目を浴びるが、まだ利益はわずか。現在の株式市場は利益至上主義となっており、将来性だけでは買われにくい。上場前価格からは大幅に値下げしたうえでの値付けとあって、さらなる値下げは求められないとみるが、上値は重いだろう。
大阪大学発のマイクロ波技術ベンチャー。マイクロ波を産業用に大型化するプラットフォーム技術を独自開発しており、化学・エネルギー産業に提供している。顧客の課題解決を目指す研究開発会社としての側面と、マイクロ波プロセスを設計して反応器を納入するエンジニアリング会社的な側面を併せ持つ。主要顧客には三菱ケミカルや三井化学などの大手化学メーカーなどが並ぶ。
マイクロ波技術を使うと直接的に過熱できるため、従来の「熱と圧力」を使った製法に比べ、エネルギー消費量は3分の1、加熱時間は10分の1、用地面積は5分の1に低減できるという。構想自体は従来からあったものの、大型化と制御に難があり実用化できなかった。
売上高の区分を進ちょく別に、フェーズ1(ラボ開発)、フェーズ2(実証開発)、フェーズ3(実機導入)、フェーズ4(製造支援)と分けているが、業績は一時新型コロナの影響を受けて大きく落ち込むも22.3期は回復基調となり、フェーズ4の売り上げを初めて計上した。23.3期は新規の案件が急増し、営業利益は3期ぶりに黒字化し、6700万円になると同社では予想している。これまでは導入可能性が低い案件も受注していたため、フェーズが進まない案件も多かったとのことだが、余裕が出てきたことで今では導入可能性の高い案件を選別して受注できるようにもなったという。国内では既存プラントの老朽化が進んでいるため、更新時などに置き換わっていくことが期待される。
エネルギー価格が高騰するなかで革新的な省エネ技術とあって市場の関心は高く、海外販売株式数の比率は今年最高の38%に及んだ。だが、グロース株には厳しい相場環境が続く。収入の質や将来性より何より、まず利益を出しているかどうかが最重要視されるようになっている。ベンチャーキャピタルからの出資が多い出口案件の側面も持つため、まだ薄利の同社株に対する買いは限定されそうだ。公開価格は上場前増資単価の半値近くにまで減額されるも仮条件の上限で値付けされたためディスカウント感は十分あり、買い気配では始まるとみるが、初値は700円前後にとどまるとみる。
初値買い妙味: B
初値しっかりを予想する。エネルギー価格高騰や二酸化炭素削減が叫ばれるなか、革新的な省エネルギー技術を持つことで注目を浴びるが、まだ利益はわずか。現在の株式市場は利益至上主義となっており、将来性だけでは買われにくい。上場前価格からは大幅に値下げしたうえでの値付けとあって、さらなる値下げは求められないとみるが、上値は重いだろう。
大阪大学発のマイクロ波技術ベンチャー。マイクロ波を産業用に大型化するプラットフォーム技術を独自開発しており、化学・エネルギー産業に提供している。顧客の課題解決を目指す研究開発会社としての側面と、マイクロ波プロセスを設計して反応器を納入するエンジニアリング会社的な側面を併せ持つ。主要顧客には三菱ケミカルや三井化学などの大手化学メーカーなどが並ぶ。
マイクロ波技術を使うと直接的に過熱できるため、従来の「熱と圧力」を使った製法に比べ、エネルギー消費量は3分の1、加熱時間は10分の1、用地面積は5分の1に低減できるという。構想自体は従来からあったものの、大型化と制御に難があり実用化できなかった。
売上高の区分を進ちょく別に、フェーズ1(ラボ開発)、フェーズ2(実証開発)、フェーズ3(実機導入)、フェーズ4(製造支援)と分けているが、業績は一時新型コロナの影響を受けて大きく落ち込むも22.3期は回復基調となり、フェーズ4の売り上げを初めて計上した。23.3期は新規の案件が急増し、営業利益は3期ぶりに黒字化し、6700万円になると同社では予想している。これまでは導入可能性が低い案件も受注していたため、フェーズが進まない案件も多かったとのことだが、余裕が出てきたことで今では導入可能性の高い案件を選別して受注できるようにもなったという。国内では既存プラントの老朽化が進んでいるため、更新時などに置き換わっていくことが期待される。
エネルギー価格が高騰するなかで革新的な省エネ技術とあって市場の関心は高く、海外販売株式数の比率は今年最高の38%に及んだ。だが、グロース株には厳しい相場環境が続く。収入の質や将来性より何より、まず利益を出しているかどうかが最重要視されるようになっている。ベンチャーキャピタルからの出資が多い出口案件の側面も持つため、まだ薄利の同社株に対する買いは限定されそうだ。公開価格は上場前増資単価の半値近くにまで減額されるも仮条件の上限で値付けされたためディスカウント感は十分あり、買い気配では始まるとみるが、初値は700円前後にとどまるとみる。
初値分析
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初値: 550円(今期予想単独PER: 178.6倍)
/ 上昇率: -9.1%
/ 高値: 650円
/ 安値: 539円
/ 終値: 650円
出来高: 5,991,600株 / 対公開株数: 171.8% / 初値出来高: 1,145,800株 / 初値売買代金: 630,190,000円
初値は苦戦した。内容的にはかなり興味深い案件だが、妥当価値の分かりにくい薄利グロース株への警戒感は強く、買いは不足した。半面、売り手は株式市場が不安定化するなかで早売りする傾向にあり、最終的には公開株数の3分の1もの投げ売りが殺到。シンジケートカバーでは吸収できず、初値は引受価額の556.6円を下回った。ただ買い手不在というわけではなく、初値出来高の6割は実需の買いではあった。
寄り付き後は一転して強い展開となった。公開価格に戻した時点では足踏みしたが、戻り待ちの売りを吸収すると急伸。吉野巌社長のストックボイス出演中にストップ高を付け、すぐに張り付いた。吉野社長は番組中、化学メーカーなどからの引き合いが強まっていることを述べていた。後場は商いが大引けの比例配分のみとなり、143万5500株の買い注文が残った。
同社株は最近では珍しく、公開株の海外配分比率が38%にも上っていた。利益がまだ付いてきていないということで、国内需要の弱さの裏返しといった面もあったのだろうが、大手化学メーカーがこぞって興味を示す技術にリスクの取れる海外勢が注目しても不思議はない。個人の投げ売りを、ごっそり買い上げた勢力が彼らのなかにあったのではないか。こうした大胆な手口は相場低迷時にたまに発生する。初値買いしたのが個人ならストップ高を付けた後、利益確定売りで押される場面が出てきたはずだ。ましてきょうは週末前だ。長期視線のファンドが吸い上げた結果、流動性が枯渇したのだろう。
勢いが付いたことで改めて短期筋も巻き込む形になっており、しばらくは上値を試す展開が期待される。妥当株価の分かりにくい案件だが、今度はそれを逆手に取って悪乗りした資金が入りやすい。ロックアップ解除価格の907円、上場前の株価の1150円が目先のめどか。
出来高: 5,991,600株 / 対公開株数: 171.8% / 初値出来高: 1,145,800株 / 初値売買代金: 630,190,000円
初値は苦戦した。内容的にはかなり興味深い案件だが、妥当価値の分かりにくい薄利グロース株への警戒感は強く、買いは不足した。半面、売り手は株式市場が不安定化するなかで早売りする傾向にあり、最終的には公開株数の3分の1もの投げ売りが殺到。シンジケートカバーでは吸収できず、初値は引受価額の556.6円を下回った。ただ買い手不在というわけではなく、初値出来高の6割は実需の買いではあった。
寄り付き後は一転して強い展開となった。公開価格に戻した時点では足踏みしたが、戻り待ちの売りを吸収すると急伸。吉野巌社長のストックボイス出演中にストップ高を付け、すぐに張り付いた。吉野社長は番組中、化学メーカーなどからの引き合いが強まっていることを述べていた。後場は商いが大引けの比例配分のみとなり、143万5500株の買い注文が残った。
同社株は最近では珍しく、公開株の海外配分比率が38%にも上っていた。利益がまだ付いてきていないということで、国内需要の弱さの裏返しといった面もあったのだろうが、大手化学メーカーがこぞって興味を示す技術にリスクの取れる海外勢が注目しても不思議はない。個人の投げ売りを、ごっそり買い上げた勢力が彼らのなかにあったのではないか。こうした大胆な手口は相場低迷時にたまに発生する。初値買いしたのが個人ならストップ高を付けた後、利益確定売りで押される場面が出てきたはずだ。ましてきょうは週末前だ。長期視線のファンドが吸い上げた結果、流動性が枯渇したのだろう。
勢いが付いたことで改めて短期筋も巻き込む形になっており、しばらくは上値を試す展開が期待される。妥当株価の分かりにくい案件だが、今度はそれを逆手に取って悪乗りした資金が入りやすい。ロックアップ解除価格の907円、上場前の株価の1150円が目先のめどか。