IPO銘柄詳細
コード | 市場 | 業種 | 売買単位 | 注目度 |
---|---|---|---|---|
5842 | 東証グロース | 証券商品先物 | 100株 | A |
注目のIPO銘柄
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スケジュール
スケジュール | |
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仮条件決定 | 2023/09/04 |
ブックビルディング期間 | 2023/09/05 - 09/08 |
公開価格決定 | 2023/09/11 |
申込期間 | 2023/09/12 - 09/15 |
払込期日 | 2023/09/19 |
上場日 | 2023/09/20 |
価格情報 | |
---|---|
想定価格 | 2,800 - 3,400円 |
仮条件 | 2,300 - 2,400円 |
公開価格 | 2,400円 |
初値予想 | 2,232円 |
初値 | 2,400円 |
- スケジュールは上場企業都合により変更になる場合があります。
基本情報
代表者名 | 山本 礼二郎(上場時62歳11カ月)/1960年生 |
---|---|
本店所在地 | 東京都千代田区丸の内 |
設立年 | 2006年 |
従業員数 | 67人 (2023/07/31現在)(平均37.9歳、年収1777.9万円)、連結67人 |
事業内容 | エクイティー投資およびエクイティー投資に付随する経営・財務に関するコンサルティング |
URL | https://www.integralkk.com/ |
株主数 | 15人 (目論見書より) |
資本金 | 1,077,750,000円 (2023/08/17現在) |
上場時発行済株数 | 34,300,000株(別に潜在株式2,596,000株) |
公開株数 | 8,625,000株(公募5,200,000株、売り出し2,300,000株、オーバーアロットメント1,125,000株) |
調達資金使途 | GP(無限責任組合員)出資、プリンシパル(自己資金)投資、i-Bridgeによるブリッジ・ファイナンス資金 |
連結会社 | 31社 |
シンジケート
公開株数3,465,000株(別に675,000株)/国内分
種別 | 証券会社名 | 株数 | 比率 |
---|---|---|---|
主幹事証券 | 大和 | 1,504,000 | 43.41% |
主幹事証券 | 野村 | 1,504,000 | 43.41% |
副幹事証券 | BofA | 600 | 0.02% |
引受証券 | 三菱UFJモルガン・スタンレー | 114,100 | 3.29% |
引受証券 | みずほ | 114,100 | 3.29% |
引受証券 | SMBC日興 | 114,100 | 3.29% |
引受証券 | 岩井コスモ | 16,300 | 0.47% |
引受証券 | 松井 | 16,300 | 0.47% |
引受証券 | マネックス | 16,300 | 0.47% |
引受証券 | 岡三 | 16,300 | 0.47% |
引受証券 | 楽天 | 16,300 | 0.47% |
引受証券 | SBI | 16,300 | 0.47% |
引受証券 | 東海東京 | 16,300 | 0.47% |
大株主(潜在株式を含む)
大株主名 | 摘要 | 株数 | 比率 |
---|---|---|---|
佐山展生 | 取締役パートナーなど | 10,637,000 | 35.64% |
山本礼二郎 | 代表取締役パートナーなど | 9,737,000 | 32.62% |
水谷謙作 | 取締役パートナーなど | 2,700,000 | 9.05% |
辺見芳弘 | 取締役パートナーなど | 2,126,000 | 7.12% |
片倉康就 | 従業員(子会社含む) | 850,000 | 2.85% |
澄川恭章 | 子会社の代表取締役など | 482,000 | 1.61% |
西岡成浩 | 元従業員(子会社含む) | 480,000 | 1.61% |
長谷川聡子 | 子会社の代表取締役など | 400,000 | 1.34% |
後藤英恒 | 従業員(子会社含む) | 400,000 | 1.34% |
仲田真紀子 | 従業員(子会社含む) | 400,000 | 1.34% |
山崎壮 | 従業員(子会社含む) | 400,000 | 1.34% |
竹内弘高 | 取締役 | 300,000 | 1.01% |
業績動向(単位:百万円)
決算期 | 種別 | 収益合計 | 営業利益 | 税引き前利益 | 純利益 |
---|---|---|---|---|---|
2023/12 | 連結中間実績 | 6,397 | 5,089 | 5,047 | 3,508 |
2023/12 | 連結予想 | - | - | - | - |
2022/12 | 連結実績 | 5,435 | 3,000 | 2,913 | 2,021 |
2021/12 | 連結実績 | 3,863 | 1,767 | 1,681 | 1,173 |
収益合計
営業利益
税引き前利益
純利益
1株あたりの数値(単位:円)
決算期 | 種別 | EPS | BPS | 配当 |
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2022/12 | 連結実績 | 74.52 | 712.78 | - |
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事業詳細
独立系未公開株(PE=プライベートエクイティー)投資大手。2023年6月時点のAUM(運用資産残高)は2769億円。主に未公開株式会社への投資を目的とするファンド「投資事業有限責任組合」「リミテッド・パートナーシップ」などを組成し、運用している。一定のルールの下にPEファンドを通じての投資と併せ、プリンシパル(自己資金)投資も行う(ハイブリッド型投資)。主に日本の中堅企業をターゲットにしている。
社名とロゴは「積み重ね」を意味する積分の演算子「∫」が由来。ステークホルダー全員の英知を「積み重ねる」ことにより、企業価値がどんどん「積み重なっていく」という思いが込められている。
グループの収益としては、ファンド残高の一定割合(1.85~2.0%/年)の管理報酬のほか、ファンド利益がハードルレート(出資履行金額に対して年率8%)を超過した際の利益累計額の20%となるキャリードインタレスト、役職員が投資先に常駐して経営支援活動する対価としての経営支援料を受領する。このほか自己資金による投資持ち分の売却益であるプリンシパル投資収益がある。
2022年12月期の連結収益の構成比は、投資収益総額26.0%、受け取り管理報酬70.2%、キャリードインタレスト --、経営支援料3.6%、その他営業収益0.1%、主な販売先はインテグラル4号投組25.1%、インテグラル3号投組15.5%、Initiative Delta IV L.P. 10.9%。
社名とロゴは「積み重ね」を意味する積分の演算子「∫」が由来。ステークホルダー全員の英知を「積み重ねる」ことにより、企業価値がどんどん「積み重なっていく」という思いが込められている。
グループの収益としては、ファンド残高の一定割合(1.85~2.0%/年)の管理報酬のほか、ファンド利益がハードルレート(出資履行金額に対して年率8%)を超過した際の利益累計額の20%となるキャリードインタレスト、役職員が投資先に常駐して経営支援活動する対価としての経営支援料を受領する。このほか自己資金による投資持ち分の売却益であるプリンシパル投資収益がある。
2022年12月期の連結収益の構成比は、投資収益総額26.0%、受け取り管理報酬70.2%、キャリードインタレスト --、経営支援料3.6%、その他営業収益0.1%、主な販売先はインテグラル4号投組25.1%、インテグラル3号投組15.5%、Initiative Delta IV L.P. 10.9%。
コメント
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・当初公開株式数の44.3%に当たる計382万5000株を海外で販売する予定だったが、公開価格決定時に52.0%に当たる計448万5000株に引き上げられた。
・既存株主と新株予約権者には5年間のロックアップが掛かる(自社ロックアップは180日)。ただし、1年後以降は担保提供、3~4年後は上場日(貸株人の佐山展生氏については2023年10月19日)時点で保有する保有株式)の4分の1、4~5年後はその2分の1をそれぞれ上限とする売却・譲渡が解禁される。
〈ファーストインプレッション〉
ベンチャーキャピタル(VC)ではない未公開株投資会社の上場は国内初とみられる。明確な区分があるわけではないが、一般的にVCはベンチャー企業に広く薄く出資し、経営権を握ることは少ない。これに対し投資ファンドは買収ファンドもとい企業再生ファンドともいい、成熟企業の経営再建や改善を目指し、経営権を握るため過半数を出資する。1件当たりの金額が大きくなるため、エグジットのタイミング次第で収益変動はVC以上に激しくなるうえ、上場承認にこぎつけても人気がなく上場に至れないケースも多い。このため会社自身にも収益予測は付けにくいもようで、今期業績予想は非開示となっている。
だが今期は上期のIPOがキタムラの上場延期により失敗したにもかかわらず、中間時点でスカイマークのIPOに成功した前期を上回る業績をたたきだした。下期入りしたばかりの7月にはJRCを見事に市場では付かない高い価格での売り抜けを成功させた。これまで彼らの養分にされてきた投資家も多いわけだが、今回は逆に吸い上げる側になると考えればこれほど心強い存在もないのではないか。公開株についても出口案件とは異なり売り出しより公募が多いうえ、ロックアップ期間は異例の長さだ。中間実績を単純に倍増させた希薄化後PERは14~17倍となるが、下期にはJRCの実績が計上される。
ただこれまで散々辛酸をなめさせられてきた相手とあって、個人の心証は相当に悪そう。どちらにしろ売り手も玄人の投資会社のIPOはうま味が少ないものだ。業績予想非開示では手探りにならざるを得ず、想定価格も広いレンジ掲示になっている。
また、今上期好調の要因のほとんどは投資収益によるものであり、しかもその大半はIFRS(国際会計基準)特有の未実現利益や公正価値(時価)変動、つまりは評価益で占められる。今期は増加しているAUMも前期末は前年比マイナスだった。これで時価総額はAUM3800億円のジャフコ並み。公開規模もかなり大きく、需給的にも様子見姿勢のスタートにならざるを得ないのではないか。
・既存株主と新株予約権者には5年間のロックアップが掛かる(自社ロックアップは180日)。ただし、1年後以降は担保提供、3~4年後は上場日(貸株人の佐山展生氏については2023年10月19日)時点で保有する保有株式)の4分の1、4~5年後はその2分の1をそれぞれ上限とする売却・譲渡が解禁される。
〈ファーストインプレッション〉
ベンチャーキャピタル(VC)ではない未公開株投資会社の上場は国内初とみられる。明確な区分があるわけではないが、一般的にVCはベンチャー企業に広く薄く出資し、経営権を握ることは少ない。これに対し投資ファンドは買収ファンドもとい企業再生ファンドともいい、成熟企業の経営再建や改善を目指し、経営権を握るため過半数を出資する。1件当たりの金額が大きくなるため、エグジットのタイミング次第で収益変動はVC以上に激しくなるうえ、上場承認にこぎつけても人気がなく上場に至れないケースも多い。このため会社自身にも収益予測は付けにくいもようで、今期業績予想は非開示となっている。
だが今期は上期のIPOがキタムラの上場延期により失敗したにもかかわらず、中間時点でスカイマークのIPOに成功した前期を上回る業績をたたきだした。下期入りしたばかりの7月にはJRCを見事に市場では付かない高い価格での売り抜けを成功させた。これまで彼らの養分にされてきた投資家も多いわけだが、今回は逆に吸い上げる側になると考えればこれほど心強い存在もないのではないか。公開株についても出口案件とは異なり売り出しより公募が多いうえ、ロックアップ期間は異例の長さだ。中間実績を単純に倍増させた希薄化後PERは14~17倍となるが、下期にはJRCの実績が計上される。
ただこれまで散々辛酸をなめさせられてきた相手とあって、個人の心証は相当に悪そう。どちらにしろ売り手も玄人の投資会社のIPOはうま味が少ないものだ。業績予想非開示では手探りにならざるを得ず、想定価格も広いレンジ掲示になっている。
また、今上期好調の要因のほとんどは投資収益によるものであり、しかもその大半はIFRS(国際会計基準)特有の未実現利益や公正価値(時価)変動、つまりは評価益で占められる。今期は増加しているAUMも前期末は前年比マイナスだった。これで時価総額はAUM3800億円のジャフコ並み。公開規模もかなり大きく、需給的にも様子見姿勢のスタートにならざるを得ないのではないか。
仮条件分析
(BB参加妙味
:C)
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想定価格: 2,800円 - 3,400円
吸収資金レンジ: 210.0億円 - 293.3億円(前期実績連結PER: 37.6倍 - 45.6倍)
時価総額レンジ: 960.4億円 - 1166.2億円
仮条件: 2,300円 - 2,400円
吸収資金レンジ: 172.5億円 - 207.0億円(前期実績連結PER: 30.9倍 - 32.2倍)
時価総額レンジ: 788.9億円 - 823.2億円
仮条件は想定仮条件を大幅に下回る100円幅に設定された。想定仮条件下限に対して17.86~14.29%、上限に対しては32.35~29.41%、中値同士なら24.19%下回る。
また、公開株数についての変更はなかったが、引受株数について内訳が変更された。ジョイント主幹事であるBofAの引受比率が1.00%→0.46%と約半分になった半面、それを主幹事2社が分け合うことになった。
〈強材料〉
今上期業績絶好調、高値売り抜け実績豊富、殴る側、ロックアップ長い
〈弱材料〉
仮条件大幅下振れ、IFRSマジック不認定か、大型案件
〈結論〉
Cとする。公開価格が仮条件上限ならば、初値は2300~2400円を想定する。
足元の業績は絶好調だが評価益でかさ上げされているに過ぎない。もともと評価の難しい業態がIFRS(国際会計基準)のせいでさらに難解になっているうえ、大幅引き下げでも割安感は見いだしにくい。公開規模が大きく需給懸念もあることから、初動は様子見ムードにならざるを得ないとみる。
佐山展生氏で有名な和製プライベートエクイティー。IPOの実績は2018年春の信和を皮切りに、コンヴァノ、DmMIX、スカイマーク、JRCと続き、このほかビッグツリーテクノロジー&コンサルティング(BTC)とキタムラHDが上場承認を受けるも延期になった。
なお、BTCについてはBTCから今年6月に、株主が仏系総合コンサルティングファームのキャップジェミニ社に変更されるとの発表があり、目論見書では「Exit済み」となっている。
同社の焦点はIFRSマジックによる評価益計上をどう見るかでもあろう。上期業績を単純に倍にすれば想定仮条件のPERは14~17倍と妥当にも見える価格だったが、IFRSでは投資会社の場合、評価益がトップラインに計上され、上期好調の要因の大半はこれによるものだ。実現ベースの営業利益は7億円弱に過ぎない。ジャフコなどが採用する日本基準での評価損益は減損の場合を除き、包括損益の段階になって初めて反映される項目だ。
ただ評価益を「後で回収できる利益」と考えれば、それが判明している段階で株価に反映されるべきとも考えられる。仮に上期に計上した評価益は全て下期に実現できると考えると、実現ベースの純利益は38億円と予想でき、仮条件の希薄化後PERは21~22倍と算出できる。成長企業なら妥当にも見える水準だ。
ただダウンラウンド上場も当たり前となるなか、評価益の実現性は不確かともみなされやすい。例えばジャフコは前回の四半期決算で包括損益が黒字化したが、当時の株価反応は限定的だった。遅れて8月中旬以降、足元で騰勢を強めているが、これは4割近くを出資するアヴィレンの上場承認が影響していると考えられる。つまり評価益が材料視されるのは、実現できる見通しが立ってから、ということになる。
そうした意味ではJRCの下期計上が確定しているうえ、BTCについても発表の時期的に実施は下期にずれ込んでいる可能性があり、これらについては材料視される可能性があるが、多大な評価益全てを織り込みには行かないだろう。
一方、変動の激しい業績に代わって重要視したいのが、安定収益の基盤となるAUM(預かり資産)とそこからもたらされる管理報酬だ。ジャフコは預かり資産が3800億円、管理報酬は年率2.75%であるのに対し、インテグラルはその7割となる2770億円、管理報酬も7割前後の1.85~2.0%となっている。インテグラルは経営に深く関与するため経営支援料もあるが、寄与度は小さい。安定収益力は70%×70%=49%であるため、時価総額はざっくりジャフコの半値が妥当と考えることができる。
AUM 管理報酬
ジャフコG :3800億円 2.75%
インテグラル:2770億円 1.85~2%
だが大幅に引き下げられた仮条件でも、時価総額はジャフコの8割前後ある。20倍台前半のPERにしても一過性の売却益でかさ上げされた結果なだけに微妙だ。そもそも今期のAUMは増えてはいるものの単に運用による結果であり、前期は減少だった。新規募集の結果ではない。成熟した投資会社のPERは市場平均並みが相場である。AUMと収益性の両面から適正な株価は1500円前後だと考える。
どちらにしろ業績変動の激しい業態だけに評価は難しいうえに、難解なIFRS採用、さらには公開規模が大きく需給妙味もないとなると手は出しにくい。散々彼らに殴られていた側からすれば、今回は殴る側に付ける絶好の機会でもあるが、評価が定まってからでも遅くはないだろう。
吸収資金レンジ: 210.0億円 - 293.3億円(前期実績連結PER: 37.6倍 - 45.6倍)
時価総額レンジ: 960.4億円 - 1166.2億円
仮条件: 2,300円 - 2,400円
吸収資金レンジ: 172.5億円 - 207.0億円(前期実績連結PER: 30.9倍 - 32.2倍)
時価総額レンジ: 788.9億円 - 823.2億円
仮条件は想定仮条件を大幅に下回る100円幅に設定された。想定仮条件下限に対して17.86~14.29%、上限に対しては32.35~29.41%、中値同士なら24.19%下回る。
また、公開株数についての変更はなかったが、引受株数について内訳が変更された。ジョイント主幹事であるBofAの引受比率が1.00%→0.46%と約半分になった半面、それを主幹事2社が分け合うことになった。
〈強材料〉
今上期業績絶好調、高値売り抜け実績豊富、殴る側、ロックアップ長い
〈弱材料〉
仮条件大幅下振れ、IFRSマジック不認定か、大型案件
〈結論〉
Cとする。公開価格が仮条件上限ならば、初値は2300~2400円を想定する。
足元の業績は絶好調だが評価益でかさ上げされているに過ぎない。もともと評価の難しい業態がIFRS(国際会計基準)のせいでさらに難解になっているうえ、大幅引き下げでも割安感は見いだしにくい。公開規模が大きく需給懸念もあることから、初動は様子見ムードにならざるを得ないとみる。
佐山展生氏で有名な和製プライベートエクイティー。IPOの実績は2018年春の信和を皮切りに、コンヴァノ、DmMIX、スカイマーク、JRCと続き、このほかビッグツリーテクノロジー&コンサルティング(BTC)とキタムラHDが上場承認を受けるも延期になった。
なお、BTCについてはBTCから今年6月に、株主が仏系総合コンサルティングファームのキャップジェミニ社に変更されるとの発表があり、目論見書では「Exit済み」となっている。
同社の焦点はIFRSマジックによる評価益計上をどう見るかでもあろう。上期業績を単純に倍にすれば想定仮条件のPERは14~17倍と妥当にも見える価格だったが、IFRSでは投資会社の場合、評価益がトップラインに計上され、上期好調の要因の大半はこれによるものだ。実現ベースの営業利益は7億円弱に過ぎない。ジャフコなどが採用する日本基準での評価損益は減損の場合を除き、包括損益の段階になって初めて反映される項目だ。
ただ評価益を「後で回収できる利益」と考えれば、それが判明している段階で株価に反映されるべきとも考えられる。仮に上期に計上した評価益は全て下期に実現できると考えると、実現ベースの純利益は38億円と予想でき、仮条件の希薄化後PERは21~22倍と算出できる。成長企業なら妥当にも見える水準だ。
ただダウンラウンド上場も当たり前となるなか、評価益の実現性は不確かともみなされやすい。例えばジャフコは前回の四半期決算で包括損益が黒字化したが、当時の株価反応は限定的だった。遅れて8月中旬以降、足元で騰勢を強めているが、これは4割近くを出資するアヴィレンの上場承認が影響していると考えられる。つまり評価益が材料視されるのは、実現できる見通しが立ってから、ということになる。
そうした意味ではJRCの下期計上が確定しているうえ、BTCについても発表の時期的に実施は下期にずれ込んでいる可能性があり、これらについては材料視される可能性があるが、多大な評価益全てを織り込みには行かないだろう。
一方、変動の激しい業績に代わって重要視したいのが、安定収益の基盤となるAUM(預かり資産)とそこからもたらされる管理報酬だ。ジャフコは預かり資産が3800億円、管理報酬は年率2.75%であるのに対し、インテグラルはその7割となる2770億円、管理報酬も7割前後の1.85~2.0%となっている。インテグラルは経営に深く関与するため経営支援料もあるが、寄与度は小さい。安定収益力は70%×70%=49%であるため、時価総額はざっくりジャフコの半値が妥当と考えることができる。
AUM 管理報酬
ジャフコG :3800億円 2.75%
インテグラル:2770億円 1.85~2%
だが大幅に引き下げられた仮条件でも、時価総額はジャフコの8割前後ある。20倍台前半のPERにしても一過性の売却益でかさ上げされた結果なだけに微妙だ。そもそも今期のAUMは増えてはいるものの単に運用による結果であり、前期は減少だった。新規募集の結果ではない。成熟した投資会社のPERは市場平均並みが相場である。AUMと収益性の両面から適正な株価は1500円前後だと考える。
どちらにしろ業績変動の激しい業態だけに評価は難しいうえに、難解なIFRS採用、さらには公開規模が大きく需給妙味もないとなると手は出しにくい。散々彼らに殴られていた側からすれば、今回は殴る側に付ける絶好の機会でもあるが、評価が定まってからでも遅くはないだろう。
公開価格分析
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公開価格: 2,400円
吸収資金: 207.0億円(前期実績連結PER: 32.2倍)
時価総額: 823.2億円
公開価格、追加売り出し株数ともに上限で決まった。引受価額は2232円。訂正目論見書によればブックビルディングの状況は、申告された総需要株式数が公開株数を十分に上回り、総件数が多数にわたっていたうえ、価格ごとの分布は仮条件の上限価格に集中していたことが特徴だった。
また、国内外の配分株数が見直され、海外公募株数は107万5000株→173万5000株となった。全株が海外配分の売り出しなどと合わせ海外販売株数は448万5000株となり、公開株数の52.0%を占めることになった。
ライズでファンド出口案件の連敗はひとまず棚上げにはなったが、値付けが大幅に下がった案件に対しての期待が高まるわけではない。旧村上ファンドに目を付けたように自己投資も行う投資会社の評価としてはPBRに含み損益を加味したNAV(純資産価値)倍率も重視されるが、ジャフコはPBRの段階でも1倍割れ、NAV倍率に至っては0.35倍に沈む一方、インテグラルのPBRは公募増資とJRCの自己保有分の上場益を反映させても2.54倍と高い。投資会社のNAVと時価総額のかい離はソフトバンクグループでも常態化しており、アームの上場益を織り込み始めた現在でもNAVには収れんせずPBR1倍前後となっている。公開価格は上限では決まったが、警戒感が緩むわけでもないため引き続き軟調な展開を想定する。
一方、日本経済新聞によれば上場後の配当方針について、「上場後は実施する。金額はまだ決めていない」(山本礼二郎代表取締役パートナー)とのこと。目論見書では「実施の可能性及び時期については未定」との記載にとどまっていた。
吸収資金: 207.0億円(前期実績連結PER: 32.2倍)
時価総額: 823.2億円
公開価格、追加売り出し株数ともに上限で決まった。引受価額は2232円。訂正目論見書によればブックビルディングの状況は、申告された総需要株式数が公開株数を十分に上回り、総件数が多数にわたっていたうえ、価格ごとの分布は仮条件の上限価格に集中していたことが特徴だった。
また、国内外の配分株数が見直され、海外公募株数は107万5000株→173万5000株となった。全株が海外配分の売り出しなどと合わせ海外販売株数は448万5000株となり、公開株数の52.0%を占めることになった。
ライズでファンド出口案件の連敗はひとまず棚上げにはなったが、値付けが大幅に下がった案件に対しての期待が高まるわけではない。旧村上ファンドに目を付けたように自己投資も行う投資会社の評価としてはPBRに含み損益を加味したNAV(純資産価値)倍率も重視されるが、ジャフコはPBRの段階でも1倍割れ、NAV倍率に至っては0.35倍に沈む一方、インテグラルのPBRは公募増資とJRCの自己保有分の上場益を反映させても2.54倍と高い。投資会社のNAVと時価総額のかい離はソフトバンクグループでも常態化しており、アームの上場益を織り込み始めた現在でもNAVには収れんせずPBR1倍前後となっている。公開価格は上限では決まったが、警戒感が緩むわけでもないため引き続き軟調な展開を想定する。
一方、日本経済新聞によれば上場後の配当方針について、「上場後は実施する。金額はまだ決めていない」(山本礼二郎代表取締役パートナー)とのこと。目論見書では「実施の可能性及び時期については未定」との記載にとどまっていた。
初値予想
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初値予想: 2,232円(前期実績連結PER: 30.0倍)
初値買い妙味: C
初値苦戦を予想する。近年IPO実績を積み上げる投資会社の上場だが、大幅に引き下げられての値決めとなっており上値期待は乏しい。さらに公開価格割れを連発させる手腕は本来称賛されるべきことだが、個人投資家からは恨みを買っており短期的にはマイナスに働くとみられる。公開規模が大きいこともあり厳しい船出となりそうだ。
知名度の高い佐山展生氏らが2006年に立ち上げたことで知られる和製プライベートエクイティー。IPOの実績は2018年春の信和を皮切りに、コンヴァノ、DmMIXに、昨年末のスカイマーク、今夏のJRCがある。このほか上場延期にはなったが、ビッグツリーテクノロジー&コンサルティング(BTC)とキタムラHDが上場承認を受けた。BTCについては今夏に仏系総合コンサルティングファームに「Exit済み」だ。
業績が不安定な投資会社の評価は難しく、日本会計基準では包括損益に含まれる含み損益をトップラインに計上するIFRS(国際会計基準)を採用することもあってか今期の業績予想は非開示となっている。ただ上期の業績は前年同期比で大幅な増収増益で、半期にして前通期の1.7倍の純利益を稼いだ。投資先1社の株式を売却したうえ、非上場の投資先各社の業績回復や成長に伴い、評価益が大幅に増加した。
業績絶好調の実績をもって満を持しての上場になるわけだが、値決めはすんなりとはいかず、公開価格は想定価格を14%下回る大幅ダウンとなった。最終的に仮条件の上限では決まったが、これにより上値期待の乏しい状況を確認したことになる。また、国内需要は低調とみえて海外への配分比率は当初予定の44%から52%に引き上げられた。
市場の見方が慎重な要因としては難解なIRFSを採用していることに加え、強気な価格が原因だろう。上期の好調な業績はほとんどが評価益によるものであって、IFRS特有の現象だ。また、通期の業績予想については一部項目を開示しているが、投資会社として根幹の収益源となる受け取り管理報酬は前期比2%弱の減少となる半面、営業費用は18%増える計画となっている。預かり資産(AUM)についても運用で増減する以外は横ばいだ。
また、上場承認時の想定時価総額は1000億円前後だったが、これはAUMが約1.4倍あるジャフコグループに匹敵する。ジャフコは前期にストック収益である投資事業組合からの管理収入を大きく落とし、インテグラルのリカーリング収益(管理報酬+経営指導料)との差が縮まった。だが、純資産はインテグラルの229億円に対し1275億円に上る。
経営指標としては時価NAVが重視される業界ではあるが、評価益がそのまま実現できる確証のない未公開株とあって、市場の評価は簿価に収れんする傾向にあり、足元アームで活気づいたソフトバンクでもPBRは1倍前後、ジャフコやアジア投資に至っては0.7倍前後でしかない。インテグラルには純資産のほか、未実現キャリードインタレストが227億円あり、下期入りした7月にはJRCの上場益も加わるが、これらを合わせても460億円弱でしかなく、823億円に上る時価総額は説明が付きにくい。株価としては1500円程度が妥当なのではないかとみる。
また、近年は数々のIPOを成功させ、市場で付く価格より高い価格での売り抜けに成功する同社だが、それだけに個人投資家の心証は悪い。株主側の立場から見れば本来「ナイストレード」と称賛されるべきことだが、個人の恨みを買っており短期的にはマイナスに働くとみられる。積極的な買い手は少なく、サイズ的に需給妙味もないことから売り気配からのスタートを想定し、引受価額での売り買い一致を予想する。
初値買い妙味: C
初値苦戦を予想する。近年IPO実績を積み上げる投資会社の上場だが、大幅に引き下げられての値決めとなっており上値期待は乏しい。さらに公開価格割れを連発させる手腕は本来称賛されるべきことだが、個人投資家からは恨みを買っており短期的にはマイナスに働くとみられる。公開規模が大きいこともあり厳しい船出となりそうだ。
知名度の高い佐山展生氏らが2006年に立ち上げたことで知られる和製プライベートエクイティー。IPOの実績は2018年春の信和を皮切りに、コンヴァノ、DmMIXに、昨年末のスカイマーク、今夏のJRCがある。このほか上場延期にはなったが、ビッグツリーテクノロジー&コンサルティング(BTC)とキタムラHDが上場承認を受けた。BTCについては今夏に仏系総合コンサルティングファームに「Exit済み」だ。
業績が不安定な投資会社の評価は難しく、日本会計基準では包括損益に含まれる含み損益をトップラインに計上するIFRS(国際会計基準)を採用することもあってか今期の業績予想は非開示となっている。ただ上期の業績は前年同期比で大幅な増収増益で、半期にして前通期の1.7倍の純利益を稼いだ。投資先1社の株式を売却したうえ、非上場の投資先各社の業績回復や成長に伴い、評価益が大幅に増加した。
業績絶好調の実績をもって満を持しての上場になるわけだが、値決めはすんなりとはいかず、公開価格は想定価格を14%下回る大幅ダウンとなった。最終的に仮条件の上限では決まったが、これにより上値期待の乏しい状況を確認したことになる。また、国内需要は低調とみえて海外への配分比率は当初予定の44%から52%に引き上げられた。
市場の見方が慎重な要因としては難解なIRFSを採用していることに加え、強気な価格が原因だろう。上期の好調な業績はほとんどが評価益によるものであって、IFRS特有の現象だ。また、通期の業績予想については一部項目を開示しているが、投資会社として根幹の収益源となる受け取り管理報酬は前期比2%弱の減少となる半面、営業費用は18%増える計画となっている。預かり資産(AUM)についても運用で増減する以外は横ばいだ。
また、上場承認時の想定時価総額は1000億円前後だったが、これはAUMが約1.4倍あるジャフコグループに匹敵する。ジャフコは前期にストック収益である投資事業組合からの管理収入を大きく落とし、インテグラルのリカーリング収益(管理報酬+経営指導料)との差が縮まった。だが、純資産はインテグラルの229億円に対し1275億円に上る。
経営指標としては時価NAVが重視される業界ではあるが、評価益がそのまま実現できる確証のない未公開株とあって、市場の評価は簿価に収れんする傾向にあり、足元アームで活気づいたソフトバンクでもPBRは1倍前後、ジャフコやアジア投資に至っては0.7倍前後でしかない。インテグラルには純資産のほか、未実現キャリードインタレストが227億円あり、下期入りした7月にはJRCの上場益も加わるが、これらを合わせても460億円弱でしかなく、823億円に上る時価総額は説明が付きにくい。株価としては1500円程度が妥当なのではないかとみる。
また、近年は数々のIPOを成功させ、市場で付く価格より高い価格での売り抜けに成功する同社だが、それだけに個人投資家の心証は悪い。株主側の立場から見れば本来「ナイストレード」と称賛されるべきことだが、個人の恨みを買っており短期的にはマイナスに働くとみられる。積極的な買い手は少なく、サイズ的に需給妙味もないことから売り気配からのスタートを想定し、引受価額での売り買い一致を予想する。
初値分析
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初値: 2,400円(前期実績連結PER: 32.2倍)
/ 上昇率: 0.0%
/ 高値: 2,480円
/ 安値: 2,244円
/ 終値: 2,475円
出来高: 2,314,300株 / 対公開株数: 26.8% / 初値出来高: 420,400株 / 初値売買代金: 1,008,960,000円
初値は公開価格と同値となった。寄り前気配は直前まで引受価額で支えられる状況だったが、直前に突如入った買いで同値スタートとなった。ライズコンサルティングに続き、主幹事側がセカンダリー対策をしてきたとみられる。負け戦が濃厚のなかでのブックビルディングだったことで、短期筋の事前排除が進み、売りが公開株数の5%弱に抑えられたことも大きかった。
寄り付き後は値動きの乏しい展開となった。不自然な初値の反動ゆえかすぐに下値を探る展開になったが、シンジケートカバー枠を丸々残したことで下値は堅かった。次第に自律反発するようになり、終盤は公開価格を上回って高値圏で引けた。
今後も上値の重い展開は続きそうだ。初日はいい形で引けたが、商いは低調のまま。振り返って見れば売りも閑散のなかで、初値と終値だけに絞って体裁を整えにいったかのような値動きだった。だが、ここから上は公開株の売りが待ち受ける。ライズは2日目以降も買い支えが入ったが、徐々に上値が重くなり、一週間が過ぎたきょうは終始公開価格を下回る値動きだった。
また、ライズは出口案件というだけで割安感もあるが、投資会社の評価は不安定な収益をどうみるかで大きく異なる。他社では公表している時価NAV(純資産価値)の開示についても、きょう新たに発表した資料に記載はなかった。需給も重いことからライズより早い段階で買い方は力尽きるとみる。なお、下値を支えるシンジケートカバーの取引期間は来月13日までの1カ月間ある。
出来高: 2,314,300株 / 対公開株数: 26.8% / 初値出来高: 420,400株 / 初値売買代金: 1,008,960,000円
初値は公開価格と同値となった。寄り前気配は直前まで引受価額で支えられる状況だったが、直前に突如入った買いで同値スタートとなった。ライズコンサルティングに続き、主幹事側がセカンダリー対策をしてきたとみられる。負け戦が濃厚のなかでのブックビルディングだったことで、短期筋の事前排除が進み、売りが公開株数の5%弱に抑えられたことも大きかった。
寄り付き後は値動きの乏しい展開となった。不自然な初値の反動ゆえかすぐに下値を探る展開になったが、シンジケートカバー枠を丸々残したことで下値は堅かった。次第に自律反発するようになり、終盤は公開価格を上回って高値圏で引けた。
今後も上値の重い展開は続きそうだ。初日はいい形で引けたが、商いは低調のまま。振り返って見れば売りも閑散のなかで、初値と終値だけに絞って体裁を整えにいったかのような値動きだった。だが、ここから上は公開株の売りが待ち受ける。ライズは2日目以降も買い支えが入ったが、徐々に上値が重くなり、一週間が過ぎたきょうは終始公開価格を下回る値動きだった。
また、ライズは出口案件というだけで割安感もあるが、投資会社の評価は不安定な収益をどうみるかで大きく異なる。他社では公表している時価NAV(純資産価値)の開示についても、きょう新たに発表した資料に記載はなかった。需給も重いことからライズより早い段階で買い方は力尽きるとみる。なお、下値を支えるシンジケートカバーの取引期間は来月13日までの1カ月間ある。