IPO銘柄詳細
コード | 市場 | 業種 | 売買単位 | 注目度 |
---|---|---|---|---|
7944 | 東証1部 | その他製品 | 100株 | A |
注目のIPO銘柄
会員限定コンテンツ無料公開中!
こちらの銘柄は会員サイトでしか公開していない「仮条件分析」「初値予想」「初値分析」といった有料情報も上場一週間後にすべて公開しています。
スケジュール
スケジュール | |
---|---|
仮条件決定 | 2020/11/30 |
ブックビルディング期間 | 2020/12/01 - 12/07 |
公開価格決定 | 2020/12/08 |
申込期間 | 2020/12/09 - 12/14 |
払込期日 | - |
上場日 | 2020/12/16 |
価格情報 | |
---|---|
想定価格 | 2,810 - 3,710円 |
仮条件 | 2,810 - 3,710円 |
公開価格 | 3,100円 |
初値予想 | 3,000円 |
初値 | 2,954円 |
- スケジュールは上場企業都合により変更になる場合があります。
基本情報
代表者名 | 三木 純一(上場時65歳9カ月)/1955年生 |
---|---|
本店所在地 | 静岡県浜松市北区 |
設立年 | 1972年 |
従業員数 | 862人 (2020/09/30現在)(平均44.9歳、年収691.4万円)、連結2450人 |
事業内容 | 電子楽器、電子機器およびそのソフトウエアの製造販売ならびに輸出入 |
URL | https://www.roland.com/jp/ |
株主数 | 9人 (目論見書より) |
資本金 | 9,421,401,000円 (2020/11/11現在) |
上場時発行済株数 | 27,343,830株(別に潜在株式1,175,200株) |
公開株数 | 12,295,500株(売り出し11,710,000株、オーバーアロットメント585,500株) |
調達資金使途 | - |
連結会社 | 27社 |
シンジケート
公開株数4,947,500株(別に585,500株)/国内分
種別 | 証券会社名 | 株数 | 比率 |
---|---|---|---|
主幹事証券 | SMBC日興 | 2,781,600 | 56.22% |
主幹事証券 | UBS | 670,600 | 13.55% |
引受証券 | 野村 | 1,011,500 | 20.44% |
引受証券 | 松井 | 219,900 | 4.44% |
引受証券 | 楽天 | 175,900 | 3.56% |
引受証券 | SBI | 44,000 | 0.89% |
引受証券 | マネックス | 44,000 | 0.89% |
大株主(潜在株式を含む)
大株主名 | 摘要 | 株数 | 比率 |
---|---|---|---|
Taiyo Jupiter HD, L.P. | ベンチャーキャピタル(ファンド) | 25,949,430 | 90.98% |
三木純一 | 代表取締役社長上席執行役員など | 582,300 | 2.04% |
(株)日本カストディ銀行(信託口) | 特別利害関係者など | 491,010 | 1.72% |
社員持ち株会 | 特別利害関係者など | 347,520 | 1.21% |
柳瀬和也 | 上席執行役員など | 255,130 | 0.89% |
池上嘉宏 | 上席執行役員など | 252,820 | 0.88% |
ゴードン・レイゾン | 取締役上席執行役員など | 130,000 | 0.45% |
田村尚之 | 上席執行役員など | 98,320 | 0.34% |
ジェイ・ワナメイカー | 子会社従業員 | 78,000 | 0.27% |
湯川純郎 | 特別利害関係者など | 77,520 | 0.27% |
業績動向(単位:百万円)
決算期 | 種別 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 |
---|---|---|---|---|---|
2020/12 | 連結3Q累計実績 | 46,321 | 5,435 | 4,816 | 3,331 |
2020/12 | 連結予想 | 65,248 | 6,884 | 5,907 | 3,978 |
2019/12 | 連結実績 | 63,247 | 5,269 | 4,726 | 2,629 |
2018/12 | 連結実績 | 61,153 | 5,854 | 5,169 | 3,048 |
売上高
営業利益
経常利益
純利益
1株あたりの数値(単位:円)
決算期 | 種別 | EPS | BPS | 配当 |
---|---|---|---|---|
2020/12 | 連結予想 | 148.13 | 704.91 | 72.00 |
参考類似企業
事業詳細
電子楽器大手。電子ピアノや電子ドラム、シンセサイザー、ギター関連機器など電子楽器を開発、製造、販売している。収益の8割以上が海外から得ており、特に電子ドラムは世界最大の市場である北米で6割近いシェアを得て1位となっている。
社名は古フランス語の叙情詩「ローランの歌」の主人公「ローラン(Roland)」から取られたといわれる。楽器業界でそれまであまり使われていなかったRを頭文字に、二音節で濁音を含み、響がよく世界中で同じ発音で呼ばれるといった条件に当てはまることから名付けられた。
2014年10月に東京証券取引所第一部をMBO(経営陣が参加する企業買収)で上場廃止するまで、約25年間上場していた。この時から米投資ファンド、タイヨウ・ファンドの傘下にあり、今回の上場ではファンドの保有するうちの半分近くを売り出す。
なお、東証一部に上場するローランド ディー.ジー.はかつて子会社だったが、上場廃止と前後して株式売却を進めており、現在の保有株は発行済み株式の1%程度である。
2019年12月期の連結売上高構成比は、鍵盤楽器27.0%、管打楽器22.5%、ギター関連26.5%、クリエーション関連&サービス(シンセサイザーやダンス&DJ関連機器)13.1%、映像音響機器6.8%、その他4.2%。
社名は古フランス語の叙情詩「ローランの歌」の主人公「ローラン(Roland)」から取られたといわれる。楽器業界でそれまであまり使われていなかったRを頭文字に、二音節で濁音を含み、響がよく世界中で同じ発音で呼ばれるといった条件に当てはまることから名付けられた。
2014年10月に東京証券取引所第一部をMBO(経営陣が参加する企業買収)で上場廃止するまで、約25年間上場していた。この時から米投資ファンド、タイヨウ・ファンドの傘下にあり、今回の上場ではファンドの保有するうちの半分近くを売り出す。
なお、東証一部に上場するローランド ディー.ジー.はかつて子会社だったが、上場廃止と前後して株式売却を進めており、現在の保有株は発行済み株式の1%程度である。
2019年12月期の連結売上高構成比は、鍵盤楽器27.0%、管打楽器22.5%、ギター関連26.5%、クリエーション関連&サービス(シンセサイザーやダンス&DJ関連機器)13.1%、映像音響機器6.8%、その他4.2%。
コメント
会員限定コンテンツ無料公開中!
・一般個人2名を除く既存株主と新株予約権者には360日もしくは180日のロックアップが掛かる。
・新株予約権は全て行使期間入りしており、上場後に行使可能となる。
・海外配分株数は614万7700株(配分比率50.0%)。
〈ファーストインプレッション〉
ファンドの出口案件かつ大型再上場と不人気要素がそろう案件。ファンド案件にして珍しく上場廃止時と法人格が同じでのれんもなく、有利子負債も少ない。財務体質に問題はなさそうだが、今さら意見が分かれそうな業態でもなさそうなわりに想定価格がレンジ表示となっており、かなり広い。売却価格を巡ってファンドの希望価格と、主幹事の間に乖離(かいり)が大きかったのではないかと疑われる。そもそもレンジ下限でもズームと比べるとPERはかなり高い。大手の直接一部上場にはなるが、IPOラッシュさなかの同日3社上場でスルーされる可能性も高く、配当妙味もないため無理して取得する必要はなさそうに感じる。
・新株予約権は全て行使期間入りしており、上場後に行使可能となる。
・海外配分株数は614万7700株(配分比率50.0%)。
〈ファーストインプレッション〉
ファンドの出口案件かつ大型再上場と不人気要素がそろう案件。ファンド案件にして珍しく上場廃止時と法人格が同じでのれんもなく、有利子負債も少ない。財務体質に問題はなさそうだが、今さら意見が分かれそうな業態でもなさそうなわりに想定価格がレンジ表示となっており、かなり広い。売却価格を巡ってファンドの希望価格と、主幹事の間に乖離(かいり)が大きかったのではないかと疑われる。そもそもレンジ下限でもズームと比べるとPERはかなり高い。大手の直接一部上場にはなるが、IPOラッシュさなかの同日3社上場でスルーされる可能性も高く、配当妙味もないため無理して取得する必要はなさそうに感じる。
仮条件分析
(BB参加妙味
:C)
会員限定コンテンツ無料公開中!
想定価格: 2,810円 - 3,710円
吸収資金レンジ: 329.1億円 - 456.2億円(今期予想連結PER: 19.0倍 - 25.0倍)
時価総額レンジ: 768.4億円 - 1014.5億円
仮条件: 2,810円 - 3,710円
吸収資金レンジ: 329.1億円 - 456.2億円(今期予想連結PER: 19.0倍 - 25.0倍)
時価総額レンジ: 768.4億円 - 1014.5億円
仮条件は想定仮条件と同じレンジで設定された。
〈強材料〉
財務良好、経営指標改善、成長分野に特化、一部直接上場、モノ消費好調、ロックアップ期間長い、海外配分比率高い、平均PER上昇、来期期待の時期
〈弱材料〉
ファンド出口案件、成熟市場、国内少子化、再上場、同日3社、IPOラッシュ、アジアメーカーとの価格競争激化、仮条件レンジ狭まらず
〈結論〉
Cとする。公開価格は上限で決まらないものとみて、初値は公開価格比±5%程度を想定する。
成熟業態なのにやたらと広い想定仮条件レンジは、想定が取れても一切狭まらず。競合のPERが異常値となるなかマルチプル法では適正株価が算出しにくい状況にあるのは確かだが、赤字グロース株でももっと狭いレンジが適用される。それだけ評価が割れているということだろうが、そうなると選択肢の多い時期に、まだ評価の定まらない案件をあえて選ぶ必要性は低くなってくる。様子見姿勢から結果的に無視されてしまう展開になるのではないかと考える。
約6年ぶりに上場することになる電子楽器大手。電子ピアノや電子ドラム、ギター関連が主力で特に電子ドラムとギターエフェクター(音響効果機器)では、米国でのシェアがトップとなっている。
楽器市場は既に成熟段階にあるが、そうしたなかで電子と海外といった成長分野に特化していることが特徴である。電子楽器は市場が縮小するアコースティック楽器と違ってまだ成長している。また、国内では少子化で厳しいが、海外市場は成長を続けており、同社の売上高比率は8割以上と高い。また、コロナ禍のなかでは当初、生産停止による影響が大きかったが、巣ごもり需要で電子楽器は需要が伸びている。20.12期は後半の巻き返しにより増収増益を確保できる見込みで、営業利益は前期比30%増の68億円と予想されている。
なお、同社は2018年4月以降に、欧州の競争法当局からの調査が入っており関連費用がかかっている。この弁護士費用や上場関連費用などを戻した調整後の営業利益も公表しており、同利益では31%増の71億円との予想になっている。
電子楽器で直接競合する国内勢は、ヤマハと河合楽器、カシオなど。海外メーカーはギブソンが破綻してしまった現在、ほとんどが非公開会社である。どのメーカーも海外に重点を置くことは共通するが、河合楽器は音楽/体育教室の影響が大きく、国内比率が比較的高い。このためかコロナ前のPERはヤマハをアンダーパフォームする傾向にあった。なお、カシオは専業でないものの、海外比率は7割程度とヤマハと同程度である。
ヤマハはアコースティック分野も手掛けるが、楽器専業であり海外比率は70%と高い。今期はどちらにしろ新型コロナの影響で業績は落ち込むためPERは異常値になっているが、昨年は20~25倍程度と市場平均より高く推移していた。来期ベースのPERも河合楽器が低いのに対し、ヤマハ、カシオは20倍以上となっている。
これに対し、仮条件は調整後の純利益を使った希薄化後ベースで17.2~22.7倍の水準で設定された。ちょうどヤマハ基準に対し、1割強のディスカウントが与えられた格好だ。ローランドはアコースティックを抱えていない分、高く評価できると考えるとなかなかお得なプライシングではないかと考えられる。全体の株価が底上げされるなか、高めの評価がなされてもおかしくはない。
また、クリスマス商戦次第では業績上乗せも期待される。今3Q累計における売上高の進ちょく率は7割だが、これは昨年と同じペース。海外比率の高い同社はクリスマス商戦の比重が高い。今年の米クリスマス商戦は、コト消費消滅の結果、モノ消費の好調が予測されている。改革一巡で来期の増益ペースは落ちるとしても操業通期化などで10%程度を見込むとすると、来期PERは16~21倍といったところでやはり割安と判断できる。
(競合比較)来期PER 海外売上比率
ヤマハ 29.9倍 70%
河合楽器 13.4倍 39%
カシオ 23.3倍 69%
ズーム 9.4倍 91%
※来期予想はコンセンサスを使用。ズームのみ東洋経済社の予想。
しかしながら、広いレンジの想定仮条件は想定が取れても1円も狭まらないままブックビルディングに入ることになった。市場の評価、もしくは売り手と買い手の希望価格には開きがあるとみられる。成熟業態では珍しい事態だ。
要因の一つとして考えられるのが、出口案件に対する警戒感である。ここまで再上場やファンドの大型出口案件がことごとく公開価格割れし、テレワークで市場が成長するバリオセキュアでも駄目だった。
ファンドの出口案件は債務過剰なものが多く、大抵はPERで安く見えてもEV/EBITDAでは割高というパターンが多い。これに対し、ローランドはのれんがほとんどなく、有利子負債も資産の2割台と低い。これは上場廃止時の株式公開買い付け(TOB)がPBR1倍を基準に実施されためだろう。ソラストと同じパターンだ。つまりファンド特有の財務不良問題がない。だが、現実にはレンジは広いままの掲示になった。実態はどうあれ警戒はされているのだろう。
また、電子と海外の特化で立場が一番似るのは実はズームなのだが、ここに至ってはPERは10倍前後で低迷する。JASDAQで事業規模も小さいがゆえ、機関投資家の物色対象ならず安値放置されているだけではあろうが、全く無視してもよいものか。そもそもローランドはここまでコスト改善で利益率を高めてきたが、売上高の伸びは前期も今期も3%台にとどまる。上場までにコスト改善は一巡しているであろうから、今後の増益は緩やかなものになってくるとすると、絶対水準として20倍を超える評価にはちゅうちょするところもあろう。何せ同社自身、リーマンショック後の低迷に悩み上場を廃止したくらいだ。来期ベースの日経平均のPERはおよそ15倍程度だ。
いずれにしろ評価が割れているとなると、公開価格はレンジ上限で決まらない可能性がそれなりに高そうだ。こうなると選択肢が多い時期とあって、上場当日は結果的に様子見を決め込まれてしまう事態が想定され、売りを吸収できなくなってしまいそう。1カ月後の評価はともかく、出だしは厳しいのではないかと考える。
吸収資金レンジ: 329.1億円 - 456.2億円(今期予想連結PER: 19.0倍 - 25.0倍)
時価総額レンジ: 768.4億円 - 1014.5億円
仮条件: 2,810円 - 3,710円
吸収資金レンジ: 329.1億円 - 456.2億円(今期予想連結PER: 19.0倍 - 25.0倍)
時価総額レンジ: 768.4億円 - 1014.5億円
仮条件は想定仮条件と同じレンジで設定された。
〈強材料〉
財務良好、経営指標改善、成長分野に特化、一部直接上場、モノ消費好調、ロックアップ期間長い、海外配分比率高い、平均PER上昇、来期期待の時期
〈弱材料〉
ファンド出口案件、成熟市場、国内少子化、再上場、同日3社、IPOラッシュ、アジアメーカーとの価格競争激化、仮条件レンジ狭まらず
〈結論〉
Cとする。公開価格は上限で決まらないものとみて、初値は公開価格比±5%程度を想定する。
成熟業態なのにやたらと広い想定仮条件レンジは、想定が取れても一切狭まらず。競合のPERが異常値となるなかマルチプル法では適正株価が算出しにくい状況にあるのは確かだが、赤字グロース株でももっと狭いレンジが適用される。それだけ評価が割れているということだろうが、そうなると選択肢の多い時期に、まだ評価の定まらない案件をあえて選ぶ必要性は低くなってくる。様子見姿勢から結果的に無視されてしまう展開になるのではないかと考える。
約6年ぶりに上場することになる電子楽器大手。電子ピアノや電子ドラム、ギター関連が主力で特に電子ドラムとギターエフェクター(音響効果機器)では、米国でのシェアがトップとなっている。
楽器市場は既に成熟段階にあるが、そうしたなかで電子と海外といった成長分野に特化していることが特徴である。電子楽器は市場が縮小するアコースティック楽器と違ってまだ成長している。また、国内では少子化で厳しいが、海外市場は成長を続けており、同社の売上高比率は8割以上と高い。また、コロナ禍のなかでは当初、生産停止による影響が大きかったが、巣ごもり需要で電子楽器は需要が伸びている。20.12期は後半の巻き返しにより増収増益を確保できる見込みで、営業利益は前期比30%増の68億円と予想されている。
なお、同社は2018年4月以降に、欧州の競争法当局からの調査が入っており関連費用がかかっている。この弁護士費用や上場関連費用などを戻した調整後の営業利益も公表しており、同利益では31%増の71億円との予想になっている。
電子楽器で直接競合する国内勢は、ヤマハと河合楽器、カシオなど。海外メーカーはギブソンが破綻してしまった現在、ほとんどが非公開会社である。どのメーカーも海外に重点を置くことは共通するが、河合楽器は音楽/体育教室の影響が大きく、国内比率が比較的高い。このためかコロナ前のPERはヤマハをアンダーパフォームする傾向にあった。なお、カシオは専業でないものの、海外比率は7割程度とヤマハと同程度である。
ヤマハはアコースティック分野も手掛けるが、楽器専業であり海外比率は70%と高い。今期はどちらにしろ新型コロナの影響で業績は落ち込むためPERは異常値になっているが、昨年は20~25倍程度と市場平均より高く推移していた。来期ベースのPERも河合楽器が低いのに対し、ヤマハ、カシオは20倍以上となっている。
これに対し、仮条件は調整後の純利益を使った希薄化後ベースで17.2~22.7倍の水準で設定された。ちょうどヤマハ基準に対し、1割強のディスカウントが与えられた格好だ。ローランドはアコースティックを抱えていない分、高く評価できると考えるとなかなかお得なプライシングではないかと考えられる。全体の株価が底上げされるなか、高めの評価がなされてもおかしくはない。
また、クリスマス商戦次第では業績上乗せも期待される。今3Q累計における売上高の進ちょく率は7割だが、これは昨年と同じペース。海外比率の高い同社はクリスマス商戦の比重が高い。今年の米クリスマス商戦は、コト消費消滅の結果、モノ消費の好調が予測されている。改革一巡で来期の増益ペースは落ちるとしても操業通期化などで10%程度を見込むとすると、来期PERは16~21倍といったところでやはり割安と判断できる。
(競合比較)来期PER 海外売上比率
ヤマハ 29.9倍 70%
河合楽器 13.4倍 39%
カシオ 23.3倍 69%
ズーム 9.4倍 91%
※来期予想はコンセンサスを使用。ズームのみ東洋経済社の予想。
しかしながら、広いレンジの想定仮条件は想定が取れても1円も狭まらないままブックビルディングに入ることになった。市場の評価、もしくは売り手と買い手の希望価格には開きがあるとみられる。成熟業態では珍しい事態だ。
要因の一つとして考えられるのが、出口案件に対する警戒感である。ここまで再上場やファンドの大型出口案件がことごとく公開価格割れし、テレワークで市場が成長するバリオセキュアでも駄目だった。
ファンドの出口案件は債務過剰なものが多く、大抵はPERで安く見えてもEV/EBITDAでは割高というパターンが多い。これに対し、ローランドはのれんがほとんどなく、有利子負債も資産の2割台と低い。これは上場廃止時の株式公開買い付け(TOB)がPBR1倍を基準に実施されためだろう。ソラストと同じパターンだ。つまりファンド特有の財務不良問題がない。だが、現実にはレンジは広いままの掲示になった。実態はどうあれ警戒はされているのだろう。
また、電子と海外の特化で立場が一番似るのは実はズームなのだが、ここに至ってはPERは10倍前後で低迷する。JASDAQで事業規模も小さいがゆえ、機関投資家の物色対象ならず安値放置されているだけではあろうが、全く無視してもよいものか。そもそもローランドはここまでコスト改善で利益率を高めてきたが、売上高の伸びは前期も今期も3%台にとどまる。上場までにコスト改善は一巡しているであろうから、今後の増益は緩やかなものになってくるとすると、絶対水準として20倍を超える評価にはちゅうちょするところもあろう。何せ同社自身、リーマンショック後の低迷に悩み上場を廃止したくらいだ。来期ベースの日経平均のPERはおよそ15倍程度だ。
いずれにしろ評価が割れているとなると、公開価格はレンジ上限で決まらない可能性がそれなりに高そうだ。こうなると選択肢が多い時期とあって、上場当日は結果的に様子見を決め込まれてしまう事態が想定され、売りを吸収できなくなってしまいそう。1カ月後の評価はともかく、出だしは厳しいのではないかと考える。
公開価格分析
会員限定コンテンツ無料公開中!
公開価格: 3,100円
吸収資金: 381.2億円(今期予想連結PER: 20.9倍)
時価総額: 847.7億円
公開価格は仮条件平均価格より下方で決まった一方、追加売り出し株数は上限で決まった。引受価額は2954.30円。市場は正式に第1部に決まった。訂正目論見書によれば、ブックビルディングの状況は、申告された総需要株式数が売出株式数を十分に上回っていたうえ、総件数は多数にわたっていたことが特徴だった。価格についての言及はなく、札は上限には集まらなかったとみられる。株数や件数が多いのはいつものことだが、今回は引受部門を持つネット証券大手4社をそろってシ団に入れた成果でもあろう。
また、国内外の配分が予定から変更され、海外分が614万7700株→676万2500株へと増やされた。海外配分比率は50%→55%となった。
価格決定を受け想定初値は2954~3100円とする。上限で決まらないのは想定通り。価格がわりと下寄りに決まったことで、短期的にはネガティブに働こう。3100円はPER20倍が意識された形か。ロング系の札はレンジ下方に集まったもようだ。配当性向は5割目安と高いが、株価自体が低評価というわけでもないため配当利回りは2.32%にとどまる。
今でこそアナリストが強気に評価するヤマハにしても、数年前までは河合楽器と変わらない評価の時代もあった。業績低迷に悩んで上場を廃止した同社が帰って来ていきなり、ヤマハと変わらない評価を受けようというのは難しいようである。上場後の地道なIRが期待されるところだ。初値に関してはこれで様子見を決め込まれる可能性が高まったと考える。今年は公開価格割れでもシンジケートカバーは発動しないことが多いが、選択肢がいくらでもある日程だけに油断はできない。
吸収資金: 381.2億円(今期予想連結PER: 20.9倍)
時価総額: 847.7億円
公開価格は仮条件平均価格より下方で決まった一方、追加売り出し株数は上限で決まった。引受価額は2954.30円。市場は正式に第1部に決まった。訂正目論見書によれば、ブックビルディングの状況は、申告された総需要株式数が売出株式数を十分に上回っていたうえ、総件数は多数にわたっていたことが特徴だった。価格についての言及はなく、札は上限には集まらなかったとみられる。株数や件数が多いのはいつものことだが、今回は引受部門を持つネット証券大手4社をそろってシ団に入れた成果でもあろう。
また、国内外の配分が予定から変更され、海外分が614万7700株→676万2500株へと増やされた。海外配分比率は50%→55%となった。
価格決定を受け想定初値は2954~3100円とする。上限で決まらないのは想定通り。価格がわりと下寄りに決まったことで、短期的にはネガティブに働こう。3100円はPER20倍が意識された形か。ロング系の札はレンジ下方に集まったもようだ。配当性向は5割目安と高いが、株価自体が低評価というわけでもないため配当利回りは2.32%にとどまる。
今でこそアナリストが強気に評価するヤマハにしても、数年前までは河合楽器と変わらない評価の時代もあった。業績低迷に悩んで上場を廃止した同社が帰って来ていきなり、ヤマハと変わらない評価を受けようというのは難しいようである。上場後の地道なIRが期待されるところだ。初値に関してはこれで様子見を決め込まれる可能性が高まったと考える。今年は公開価格割れでもシンジケートカバーは発動しないことが多いが、選択肢がいくらでもある日程だけに油断はできない。
初値予想
会員限定コンテンツ無料公開中!
初値予想: 3,000円(今期予想連結PER: 20.3倍)
初値買い妙味: B
初値苦戦を予想する。幅広い仮条件でブックビルディングが実施されたうえ、公開価格はレンジ下方で決定。ファンドの出口案件にしては財務的な問題は抱えていないレアケースだが、目先的な値上がり期待は低い。選択肢も豊富ななか積極的な買い手は少ないとみられ、売り優勢からの初値を予想する。
6年2カ月ぶりに再上場する電子楽器専門の大手。社名は古フランス語の叙情詩「ローランの歌」の主人公「ローラン(Roland)」からといわれる。売上高の8割以上が海外から得ており、特に電子ドラムは世界最大の市場である北米で6割近いシェアを得てトップである。
現在は元子会社ローランドDGの大株主でもある米投資ファンド、タイヨウ・ファンドの傘下にある。今回の上場ではファンドの保有するうちの半分近くを売り出すが、残りは360日と通常の倍以上となるロックアップが掛かる。上場後の持ち分は49.93~52.08%(潜在株含まず)。
同社はリーマンショック後に業績が低迷し、子会社株の売却などを巡って経営が混乱。創業者との対立を経て上場を廃止した経緯がある。現在は経営も安定。国内楽器市場は少子化を背景に縮小するが、電子楽器は伝統的なアコースティックに比べ市場が拡大しているうえ、市場が拡大する海外を地盤に置くことで成長路線を取り戻している。
20.12期はコロナ禍のなかで工場の操業停止などに追い込まれ前半は苦戦したものの、後半は巣ごもり需要で需要が増加。営業利益は前期比30%増の68億円と予想されている。なお、同社は2018年4月以降に、欧州の競争法当局からの調査が入っており関連費用が計上されているが、この弁護士費用や上場関連費用などを戻した調整後の営業利益では31%増の71億円との予想になっている。
ただ公開価格は仮条件の上限では決まらず、レンジの下方となった。楽器大手の評価は開きがあり、海外売上比率の高いヤマハが高い評価を受ける半面、国内依存度が高い河合楽器は低迷する。国内楽器市場は少子化を背景に縮小しており、どのメーカーも海外を重視する傾向にはある。海外依存度がヤマハより高いうえに電子楽器に特化している分、高く評価されてもおかしくはないが、同社自身がかつて業績低迷に悩んで上場を廃止しており、そうした評価を受けるにはまだ時間がかかりそうである。また、格下メーカーにはなるものの、海外売上比率9割のズームはPER10倍前後で放置されたままにもなっている。
選択肢の多い時期に上場するとあって上限で決まらなかった株を競って買いに行くといった展開にはならないだろう。公開規模も今年最大で需給的にも不利なことから売り優勢でのスタートを想定する。
一方、同社は上場廃止時の株式公開買い付け(TOB)価格がPBR1倍を基準にして実施されたため、のれんはない。有利子負債も少なく財務面の問題は抱えていない。レバレッジを最大限に掛けるファンドが多いなかレアケースともいえる。また、同社の1~9月期の業績進ちょく率は昨年並みだが、今年はコト消費が消滅した反動でモノ消費が好調と予測されている。クリスマス商戦への期待があるほか、既存株主のロックアップ期間が長いことは当面の需給への安心感にもつながる。このためシンジケートカバーの発動には至らないとみて、初値は公開価格と引受価額の間で心理的な節目でもある3000円と予想する。
初値買い妙味: B
初値苦戦を予想する。幅広い仮条件でブックビルディングが実施されたうえ、公開価格はレンジ下方で決定。ファンドの出口案件にしては財務的な問題は抱えていないレアケースだが、目先的な値上がり期待は低い。選択肢も豊富ななか積極的な買い手は少ないとみられ、売り優勢からの初値を予想する。
6年2カ月ぶりに再上場する電子楽器専門の大手。社名は古フランス語の叙情詩「ローランの歌」の主人公「ローラン(Roland)」からといわれる。売上高の8割以上が海外から得ており、特に電子ドラムは世界最大の市場である北米で6割近いシェアを得てトップである。
現在は元子会社ローランドDGの大株主でもある米投資ファンド、タイヨウ・ファンドの傘下にある。今回の上場ではファンドの保有するうちの半分近くを売り出すが、残りは360日と通常の倍以上となるロックアップが掛かる。上場後の持ち分は49.93~52.08%(潜在株含まず)。
同社はリーマンショック後に業績が低迷し、子会社株の売却などを巡って経営が混乱。創業者との対立を経て上場を廃止した経緯がある。現在は経営も安定。国内楽器市場は少子化を背景に縮小するが、電子楽器は伝統的なアコースティックに比べ市場が拡大しているうえ、市場が拡大する海外を地盤に置くことで成長路線を取り戻している。
20.12期はコロナ禍のなかで工場の操業停止などに追い込まれ前半は苦戦したものの、後半は巣ごもり需要で需要が増加。営業利益は前期比30%増の68億円と予想されている。なお、同社は2018年4月以降に、欧州の競争法当局からの調査が入っており関連費用が計上されているが、この弁護士費用や上場関連費用などを戻した調整後の営業利益では31%増の71億円との予想になっている。
ただ公開価格は仮条件の上限では決まらず、レンジの下方となった。楽器大手の評価は開きがあり、海外売上比率の高いヤマハが高い評価を受ける半面、国内依存度が高い河合楽器は低迷する。国内楽器市場は少子化を背景に縮小しており、どのメーカーも海外を重視する傾向にはある。海外依存度がヤマハより高いうえに電子楽器に特化している分、高く評価されてもおかしくはないが、同社自身がかつて業績低迷に悩んで上場を廃止しており、そうした評価を受けるにはまだ時間がかかりそうである。また、格下メーカーにはなるものの、海外売上比率9割のズームはPER10倍前後で放置されたままにもなっている。
選択肢の多い時期に上場するとあって上限で決まらなかった株を競って買いに行くといった展開にはならないだろう。公開規模も今年最大で需給的にも不利なことから売り優勢でのスタートを想定する。
一方、同社は上場廃止時の株式公開買い付け(TOB)価格がPBR1倍を基準にして実施されたため、のれんはない。有利子負債も少なく財務面の問題は抱えていない。レバレッジを最大限に掛けるファンドが多いなかレアケースともいえる。また、同社の1~9月期の業績進ちょく率は昨年並みだが、今年はコト消費が消滅した反動でモノ消費が好調と予測されている。クリスマス商戦への期待があるほか、既存株主のロックアップ期間が長いことは当面の需給への安心感にもつながる。このためシンジケートカバーの発動には至らないとみて、初値は公開価格と引受価額の間で心理的な節目でもある3000円と予想する。
初値分析
会員限定コンテンツ無料公開中!
初値: 2,954円(今期予想連結PER: 19.9倍)
/ 上昇率: -4.7%
/ 高値: 2,955円
/ 安値: 2,851円
/ 終値: 2,920円
出来高: 2,061,500株 / 対公開株数: 16.8% / 初値出来高: 550,500株 / 初値売買代金: 1,626,177,000円
初値は苦戦した。今回は自然体で売りを吸収できず、シンジケートカバーの入る引受価額の呼び値相当価格での売り買い一致となった。コロナバブル発生後のIPOで、シンジケートカバーが初値で入ったのは初めてのこととなる。
これまでのファンド出口案件と比べ、公開規模が大きかったことに加え、同日3社上場、翌日は5社上場といった日程で資金流入量が細った。3000円にはまとった買いは入っていたものの、純粋な買いを示す寄り付き直前気配の2960円での買いは9億円弱にとどまっていた。これは自力で初値の付いた同じ東証1部の公開価格割れ案件だった雪国まいたけやDmMIXの初値売買代金を下回っていた。
寄り付き後もさえない展開は続いた。売りが一巡するとすぐに初値近くまで戻したが、その後は2900円を下値に横ばいで推移した。初値だけではシンジケートカバーは消化しきれておらず、その後も下値を支えたとみられるが、様子見姿勢は強く動意に薄い展開となった。
しばらくは様子見姿勢が続きそうだ。財務良好もここまではほとんど材料視されておらず、ファンドの出口案件としても不人気ぶりが際立つ。焦点は人工的な下支えがなくなった後に、どこで落ち着くかになってきた。
好評価のヤマハを基準にしたプライシングも、一度業績不振で退出した企業とあって、ヤマハほどの信頼は市場からまだ得られていないもようだ。国内市場が低迷するなか、中堅どころでは海外依存度が高くてもPERが10倍前後で放置されたままのところもあり、うかつには手を出しにくい。クリスマス商戦には期待するが、結果が分かるのは本決算の発表で当面先となる。12月決算の同社は2月12日に予定している。まずは1カ月後のカバレッジ解禁、そして月末のTOPIX組み入れでの出直りが期待される。
出来高: 2,061,500株 / 対公開株数: 16.8% / 初値出来高: 550,500株 / 初値売買代金: 1,626,177,000円
初値は苦戦した。今回は自然体で売りを吸収できず、シンジケートカバーの入る引受価額の呼び値相当価格での売り買い一致となった。コロナバブル発生後のIPOで、シンジケートカバーが初値で入ったのは初めてのこととなる。
これまでのファンド出口案件と比べ、公開規模が大きかったことに加え、同日3社上場、翌日は5社上場といった日程で資金流入量が細った。3000円にはまとった買いは入っていたものの、純粋な買いを示す寄り付き直前気配の2960円での買いは9億円弱にとどまっていた。これは自力で初値の付いた同じ東証1部の公開価格割れ案件だった雪国まいたけやDmMIXの初値売買代金を下回っていた。
寄り付き後もさえない展開は続いた。売りが一巡するとすぐに初値近くまで戻したが、その後は2900円を下値に横ばいで推移した。初値だけではシンジケートカバーは消化しきれておらず、その後も下値を支えたとみられるが、様子見姿勢は強く動意に薄い展開となった。
しばらくは様子見姿勢が続きそうだ。財務良好もここまではほとんど材料視されておらず、ファンドの出口案件としても不人気ぶりが際立つ。焦点は人工的な下支えがなくなった後に、どこで落ち着くかになってきた。
好評価のヤマハを基準にしたプライシングも、一度業績不振で退出した企業とあって、ヤマハほどの信頼は市場からまだ得られていないもようだ。国内市場が低迷するなか、中堅どころでは海外依存度が高くてもPERが10倍前後で放置されたままのところもあり、うかつには手を出しにくい。クリスマス商戦には期待するが、結果が分かるのは本決算の発表で当面先となる。12月決算の同社は2月12日に予定している。まずは1カ月後のカバレッジ解禁、そして月末のTOPIX組み入れでの出直りが期待される。