IPO銘柄詳細
コード | 市場 | 業種 | 売買単位 | 注目度 |
---|---|---|---|---|
260A | 東証グロース | 情報・通信業 | 100株 | A |
注目のIPO銘柄
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スケジュール
スケジュール | |
---|---|
仮条件決定 | 2024/09/25 |
ブックビルディング期間 | 2024/09/26 - 10/02 |
公開価格決定 | 2024/10/03 |
申込期間 | 2024/10/04 - 10/09 |
払込期日 | 2024/10/10 |
上場日 | 2024/10/11 |
価格情報 | |
---|---|
想定価格 | 510円 |
仮条件 | 510 - 540円 |
公開価格 | 540円 |
初値予想 | 520円 |
初値 | 570円 |
- スケジュールは上場企業都合により変更になる場合があります。
基本情報
代表者名 | 米倉 千貴(上場時47歳4カ月)/1977年生 |
---|---|
本店所在地 | 東京都港区六本木 |
設立年 | 2014年 |
従業員数 | 20人 (2024/08/31現在)(平均38.9歳、年収1093.9万円) |
事業内容 | デジタルクローンP.A.I.の開発を最終目的とした要素技術の研究開発とそれらを応用した製品群(Communication Intelligence「AI GIJIROKU」など)の展開、AI(人工知能)ソリューションの提供 |
URL | https://alt.ai/ |
株主数 | 41人 (目論見書より) |
資本金 | 100,000,000円 (2024/09/05現在) |
上場時発行済株数 | 33,344,700株(別に潜在株式2,718,100株) |
公開株数 | 10,350,000株(公募7,500,000株、売り出し1,500,000株、オーバーアロットメント1,350,000株) |
調達資金使途 | 広告宣伝費・販売促進費、研究開発費、採用関連費、借入金返済 |
連結会社 | 0社 |
シンジケート
公開株数9,000,000株(別に1,350,000株)/海外分含む
種別 | 証券会社名 | 株数 | 比率 |
---|---|---|---|
主幹事証券 | 大和 | 7,200,000 | 80.00% |
引受証券 | SBI | 819,000 | 9.10% |
引受証券 | 野村 | 738,000 | 8.20% |
引受証券 | あかつき | 117,000 | 1.30% |
引受証券 | 松井 | 117,000 | 1.30% |
引受証券 | 丸三 | 9,000 | 0.10% |
大株主(潜在株式を含む)
大株主名 | 摘要 | 株数 | 比率 |
---|---|---|---|
米倉千貴 | 代表取締役社長 | 6,000,000 | 21.01% |
VertexGrowth Fund II Pte. LTD. | 投資業(ファンド) | 3,796,500 | 13.29% |
ジャフコSV4共有投組 | 投資業(ファンド) | 2,620,000 | 9.17% |
SBI Ventures Two(株) | 投資業(ファンド) | 1,376,100 | 4.82% |
SBI AI&Blockchain投組 | 投資業(ファンド) | 1,100,000 | 3.85% |
イーストベンチャーズ2号投組 | 投資業(ファンド) | 840,000 | 2.94% |
SMBCベンチャーキャピタル6号投組 | 投資業(ファンド) | 825,800 | 2.89% |
Dawn Capital1号投組 | 投資業(ファンド) | 825,600 | 2.89% |
米倉豪志 | 元取締役、代表取締役の血族 | 800,000 | 2.80% |
SMBC日興証券(株) | 金融商品取引業者 | 605,000 | 2.12% |
ENEOSイノベーションパートナーズ(同) | 投資業(ファンド) | 550,700 | 1.93% |
業績動向(単位:百万円)
決算期 | 種別 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 |
---|---|---|---|---|---|
2024/12 | 単独中間実績 | 2,844 | -1,111 | -1,126 | -1,127 |
2024/12 | 単独会社予想 | 5,545 | -2,798 | -2,832 | -2,832 |
2023/12 | 単独実績 | 4,111 | -1,485 | -1,497 | -1,498 |
2022/12 | 単独実績 | 2,666 | -672 | -670 | -671 |
売上高
営業利益
経常利益
純利益
1株あたりの数値(単位:円)
決算期 | 種別 | EPS | BPS | 配当 |
---|---|---|---|---|
2024/12 | 単独会社予想 | -116.03 | 95.17 | - |
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事業詳細
AI(人工知能)ベンチャー。AI議事録作成ツール「AI GIJIROKU」などのプロダクトが主力。自身の意思をデジタル化し、それをクラウド上に配置してあらゆるデジタル作業をそのクローンにさせることを目的としたAI「P.A.I.(パーソナル人工知能)」を研究開発しており、その研究開発過程から生まれた対話エンジンなどの要素技術や、機械学習による個性モデル構築などのノウハウを、AIの活用を検討するクライアントに提供している。
社名「alt」は「alternative(オルタナティブ)」を略であり、"代替"を意味する。
1.AI Products事業
AIプロダクトを開発・提供している。具体的には、AIの学習機能を搭載した議事録作成ツール「AI GIJIROKU」を主力に、次世代型ボイスbot「AIコールセンター」、ノーコード生成AIプラットフォーム「altBRAIN」、デジタルクローン生成プラットフォーム「CloneDev」、M&Aマッチングシステム「CloneM&A(Clone matching)」、GPU(画像処理装置)計算リソース「EMETH GPU POOL」を手掛ける。
2.AI Solutions事業
AIの活用を検討するクライアントに対し、コンサルティング、PoC(概念実証)、本番開発から協業販売までのプロジェクト遂行の支援を手掛ける。
2023年12月期の売上高構成比は、AI Products事業93.0%、AI Solutions7.0%。主な販売先は販売パートナーのジークス47.6%、郵便ギフト18.5%、INFホールディングス11.8%。
社名「alt」は「alternative(オルタナティブ)」を略であり、"代替"を意味する。
1.AI Products事業
AIプロダクトを開発・提供している。具体的には、AIの学習機能を搭載した議事録作成ツール「AI GIJIROKU」を主力に、次世代型ボイスbot「AIコールセンター」、ノーコード生成AIプラットフォーム「altBRAIN」、デジタルクローン生成プラットフォーム「CloneDev」、M&Aマッチングシステム「CloneM&A(Clone matching)」、GPU(画像処理装置)計算リソース「EMETH GPU POOL」を手掛ける。
2.AI Solutions事業
AIの活用を検討するクライアントに対し、コンサルティング、PoC(概念実証)、本番開発から協業販売までのプロジェクト遂行の支援を手掛ける。
2023年12月期の売上高構成比は、AI Products事業93.0%、AI Solutions7.0%。主な販売先は販売パートナーのジークス47.6%、郵便ギフト18.5%、INFホールディングス11.8%。
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・直近(2023年9月)の第三者割当増資の発行単価は、転換や分割を遡及(そきゅう)修正すると363.3円。
・公募株式の一部は欧州やアジアを中心とする海外市場(北米除く)で販売される。
・1名(メタリアル?)を除く既存株主と、1名を除く新株予約権者にはロックアップが掛かる。ただし、ベンチャーキャピタルのうち計10社(14名義)661万6400株については公開価格の1.5倍以上なら解除される。
・上場時に売却可能な既存株は最大54万9500株。
〈ファーストインプレッション〉
かなり悩ましい案件。すっかり人気の低下した情報通信業のなかでもAI関連はまだ高い人気を保つが、赤字のまま上場してくるのは公開価格割れだったエクサウィザーズ以来か。しかも赤字は拡大する局面であるうえ、その額は2桁億円に達する。赤字の要因は意外なことに広告宣伝費であり、売上高の8割にも上る。今回調達する資金も大半は広告費に消える。
法人相手の事業でこの使い方は珍しいが、同社はこれまでのAIベンチャーとは違い、プロダクトが主力でありマーケティング費用先行にはなりやすい。しかも近年は新製品を次々と出している。祖業であるソリューション事業の比率は既に小さく、収益モデルはどちらかというとSaaS(Software as a Service)業態だ。これなら赤字上場は珍しくない。
ただ公開規模50億円の案件は中途半端さから公開価格割れしやすいクラスだ。広告費を削れば黒字にはなるが、解約率が記載されておらず売り上げを維持できそうなのか分からない。そもそも広告宣伝にカネをかけているわりに今期増収率35%には物足りなさを感じる。SaaS企業で投資の目安とされる40%ルール(増収率+営業利益率≧40%)は前期18.1%、今期-15.6%と全くクリアできていないどころか大幅な悪化だ。収益モデルは異なるが、過去に上場延期になったままのZEALSも2桁億円への営業赤字拡大、40%ルールもマイナス圏に沈むパターンだった。同じ主幹事ゆえ学習はしているのだろうが、なかなか簡単には行かないのではないか。主力の議事録ソフトやコールセンター向けボットには競合も複数存在する。あとはP.A.I.の可能性にどれだけ期待するかだろう。
・公募株式の一部は欧州やアジアを中心とする海外市場(北米除く)で販売される。
・1名(メタリアル?)を除く既存株主と、1名を除く新株予約権者にはロックアップが掛かる。ただし、ベンチャーキャピタルのうち計10社(14名義)661万6400株については公開価格の1.5倍以上なら解除される。
・上場時に売却可能な既存株は最大54万9500株。
〈ファーストインプレッション〉
かなり悩ましい案件。すっかり人気の低下した情報通信業のなかでもAI関連はまだ高い人気を保つが、赤字のまま上場してくるのは公開価格割れだったエクサウィザーズ以来か。しかも赤字は拡大する局面であるうえ、その額は2桁億円に達する。赤字の要因は意外なことに広告宣伝費であり、売上高の8割にも上る。今回調達する資金も大半は広告費に消える。
法人相手の事業でこの使い方は珍しいが、同社はこれまでのAIベンチャーとは違い、プロダクトが主力でありマーケティング費用先行にはなりやすい。しかも近年は新製品を次々と出している。祖業であるソリューション事業の比率は既に小さく、収益モデルはどちらかというとSaaS(Software as a Service)業態だ。これなら赤字上場は珍しくない。
ただ公開規模50億円の案件は中途半端さから公開価格割れしやすいクラスだ。広告費を削れば黒字にはなるが、解約率が記載されておらず売り上げを維持できそうなのか分からない。そもそも広告宣伝にカネをかけているわりに今期増収率35%には物足りなさを感じる。SaaS企業で投資の目安とされる40%ルール(増収率+営業利益率≧40%)は前期18.1%、今期-15.6%と全くクリアできていないどころか大幅な悪化だ。収益モデルは異なるが、過去に上場延期になったままのZEALSも2桁億円への営業赤字拡大、40%ルールもマイナス圏に沈むパターンだった。同じ主幹事ゆえ学習はしているのだろうが、なかなか簡単には行かないのではないか。主力の議事録ソフトやコールセンター向けボットには競合も複数存在する。あとはP.A.I.の可能性にどれだけ期待するかだろう。
仮条件分析
(BB参加妙味
:C)
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想定価格: 510円
吸収資金レンジ: 45.9億円 - 52.8億円(今期予想単独PER: -)
時価総額レンジ: 170.1億円
仮条件: 510円 - 540円
吸収資金レンジ: 45.9億円 - 55.9億円(今期予想単独PER: -)
時価総額レンジ: 170.1億円 - 180.1億円
仮条件は想定価格を下限に30円幅で設定された。上限価格は想定を5.88%上回る。
また、りそなアセットマネジメント系のファンドが計13億円相当の株式を取得することに関心を表明したと明らかにした。ロックアップの予定はないが、中長期の保有方針を有しているという。
〈強材料〉
仮条件上振れ、プロダクト多数、AI関連、低位株、関心表明あり
〈弱材料〉
赤字拡大、40%ルール2桁マイナス、公開規模大、VC多数、大株主の日興がシ団不在
〈結論〉
Cとする。公開価格が仮条件上限ならば、初値は500~600円(希薄化後PSR:3.3~3.9倍)を想定する。
手元にあるデータでは公開価格割れ濃厚な案件だが、意外なことにも仮条件はポジティブに設定されたうえ機関の関心表明も出され、さらに悩ましい案件と化した。個人的には赤字拡大で40%ルール2桁マイナスの赤字SaaS株に何の魅力も感じないのだが、公開価格割れする場合は下振れで設定される予兆があることが多い。ただ例外はあるため妥協案として初値は公開価格割れの決め打ちではなく、前後のレンジで想定する。
自身の意思をクラウド上にデジタル化したP.A.I.(パーソナル人工知能)の研究開発を掲げるが、肝心の収益化に関しては自社開発プロダクトの販売であり、いわゆるSaaS業態。AI議事録作成ツール「AI GIJIROKU」を主力に、複数のソフトを手掛ける。
現在は利益回収よりもマーケティング投資や研究開発投資が先行しており、赤字が続く。今期の営業損益は前期より13億円強赤字が拡大し、28億円近い赤字になるとの会社予想だ。プロダクツ事業、ソリューション事業ともに大幅増収を見込む一方、独自大規模言語モデル「LHTM-2」の次期バージョン開発と、世界中のGPU(画像処理装置)をつないだ巨大グリッドコンピューティングシステム「Emeth」の実用化などのため、研究開発費を前期比2.6倍に増やす。赤字の最大要因となっている広告宣伝費も2割強増加させる。人件費および業務委託費についてもCHRO(最高人事責任者)、CMO(最高マーケティング責任者)といった人材獲得や、営業人員の増員により9割近く増やす。
仮条件の希薄化後PSRは3.3~3.5倍。議事録作成ツールやコールセンター向けソフトで競合するアドバンストメディアの3.0倍。そのほか増収率の近いところでは、スパイダーが3.7倍、プレイドが3.6倍の一方、kubell(Chatwork)2.6倍、エルイズビー2.4倍となっている。3倍前後はSaaS企業としてわりと標準的ななかで、やや強めに設定された形だ。
問題は今期の赤字拡大をどう見るかだろう。ファーストインプレッションで指摘した40%ルールを満たすSaaS株はそれほど多くないのが実情だが、マイナスとなるとなかなかなく、マイナス成長に陥った企業くらいだ。
ただ過去にはフォトシンスが-39%で上場した例があったが、結果は公開価格割れした後、下値模索の展開。ZEALSは上場延期になった。いずれも大和主幹事の案件だ。
そもそも米国が利上げ局面に入ってからは、以前と変わらず高い水準を維持するも赤字が続いているフリーの株価は低迷している。純粋なSaaS企業とは異なるが、40%ルールは余裕でクリアしていたROXXも大幅安となっており、現在は40%ルールうんぬんの前に収支がより重視される傾向だ。公開規模もROXXに近く、多くのデータは公開価格割れを示唆する。
だが、仮条件は想定価格から上振れしたレンジで設定された。ROXXで赤字上場の厳しさを再確認した今、惑わされるべきではないのかもしれないが、公開価格割れする銘柄の多くは仮条件が下振れか中立に設定された場合だ。今回りそなAMの関心表明も出た。彼らはアセットマネジメントOneとは違い、何でも引き受ける便利屋のような存在ではない。直近ではカウリスやソラコムで関心表明していた。それだけP.A.I.など技術面への期待が大きいということなのだろう。
とはいえ、公開規模が56億円、りそなAMが吸い上げる分を差し引いても40億円強あるのに、AI人気と低位株効果だけで乗り切れるとも思いにくい。海外勢の反応が気になるところだが、40%ルールは海外発の目安だ。かなり悩ましい状況だが、関心表明も1社のみではアナウンス効果は限定的だ。妥協案ということにはなるが、初値は公開価格前後で想定しておく。
※機関投資家の関心表明について見落としがありましたので、いったん取り下げのうえで文章を修正しています。
吸収資金レンジ: 45.9億円 - 52.8億円(今期予想単独PER: -)
時価総額レンジ: 170.1億円
仮条件: 510円 - 540円
吸収資金レンジ: 45.9億円 - 55.9億円(今期予想単独PER: -)
時価総額レンジ: 170.1億円 - 180.1億円
仮条件は想定価格を下限に30円幅で設定された。上限価格は想定を5.88%上回る。
また、りそなアセットマネジメント系のファンドが計13億円相当の株式を取得することに関心を表明したと明らかにした。ロックアップの予定はないが、中長期の保有方針を有しているという。
〈強材料〉
仮条件上振れ、プロダクト多数、AI関連、低位株、関心表明あり
〈弱材料〉
赤字拡大、40%ルール2桁マイナス、公開規模大、VC多数、大株主の日興がシ団不在
〈結論〉
Cとする。公開価格が仮条件上限ならば、初値は500~600円(希薄化後PSR:3.3~3.9倍)を想定する。
手元にあるデータでは公開価格割れ濃厚な案件だが、意外なことにも仮条件はポジティブに設定されたうえ機関の関心表明も出され、さらに悩ましい案件と化した。個人的には赤字拡大で40%ルール2桁マイナスの赤字SaaS株に何の魅力も感じないのだが、公開価格割れする場合は下振れで設定される予兆があることが多い。ただ例外はあるため妥協案として初値は公開価格割れの決め打ちではなく、前後のレンジで想定する。
自身の意思をクラウド上にデジタル化したP.A.I.(パーソナル人工知能)の研究開発を掲げるが、肝心の収益化に関しては自社開発プロダクトの販売であり、いわゆるSaaS業態。AI議事録作成ツール「AI GIJIROKU」を主力に、複数のソフトを手掛ける。
現在は利益回収よりもマーケティング投資や研究開発投資が先行しており、赤字が続く。今期の営業損益は前期より13億円強赤字が拡大し、28億円近い赤字になるとの会社予想だ。プロダクツ事業、ソリューション事業ともに大幅増収を見込む一方、独自大規模言語モデル「LHTM-2」の次期バージョン開発と、世界中のGPU(画像処理装置)をつないだ巨大グリッドコンピューティングシステム「Emeth」の実用化などのため、研究開発費を前期比2.6倍に増やす。赤字の最大要因となっている広告宣伝費も2割強増加させる。人件費および業務委託費についてもCHRO(最高人事責任者)、CMO(最高マーケティング責任者)といった人材獲得や、営業人員の増員により9割近く増やす。
仮条件の希薄化後PSRは3.3~3.5倍。議事録作成ツールやコールセンター向けソフトで競合するアドバンストメディアの3.0倍。そのほか増収率の近いところでは、スパイダーが3.7倍、プレイドが3.6倍の一方、kubell(Chatwork)2.6倍、エルイズビー2.4倍となっている。3倍前後はSaaS企業としてわりと標準的ななかで、やや強めに設定された形だ。
問題は今期の赤字拡大をどう見るかだろう。ファーストインプレッションで指摘した40%ルールを満たすSaaS株はそれほど多くないのが実情だが、マイナスとなるとなかなかなく、マイナス成長に陥った企業くらいだ。
ただ過去にはフォトシンスが-39%で上場した例があったが、結果は公開価格割れした後、下値模索の展開。ZEALSは上場延期になった。いずれも大和主幹事の案件だ。
そもそも米国が利上げ局面に入ってからは、以前と変わらず高い水準を維持するも赤字が続いているフリーの株価は低迷している。純粋なSaaS企業とは異なるが、40%ルールは余裕でクリアしていたROXXも大幅安となっており、現在は40%ルールうんぬんの前に収支がより重視される傾向だ。公開規模もROXXに近く、多くのデータは公開価格割れを示唆する。
だが、仮条件は想定価格から上振れしたレンジで設定された。ROXXで赤字上場の厳しさを再確認した今、惑わされるべきではないのかもしれないが、公開価格割れする銘柄の多くは仮条件が下振れか中立に設定された場合だ。今回りそなAMの関心表明も出た。彼らはアセットマネジメントOneとは違い、何でも引き受ける便利屋のような存在ではない。直近ではカウリスやソラコムで関心表明していた。それだけP.A.I.など技術面への期待が大きいということなのだろう。
とはいえ、公開規模が56億円、りそなAMが吸い上げる分を差し引いても40億円強あるのに、AI人気と低位株効果だけで乗り切れるとも思いにくい。海外勢の反応が気になるところだが、40%ルールは海外発の目安だ。かなり悩ましい状況だが、関心表明も1社のみではアナウンス効果は限定的だ。妥協案ということにはなるが、初値は公開価格前後で想定しておく。
※機関投資家の関心表明について見落としがありましたので、いったん取り下げのうえで文章を修正しています。
公開価格分析
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公開価格: 540円
吸収資金: 55.9億円(今期予想単独PER: -)
時価総額: 180.1億円
公開価限、追加売り出し株数ともに上限で決まった。引受価額は496.80円。海外販売株数は公開株数の16.3%に当たる168万7000株となった。
訂正目論見書によるとブックビルディングの状況は、(1)申告された総需要株式数が売り出し株式数を十分に上回り、(2)総件数が多数にわたっていたうえ、(3)需要の相当数が仮条件の上限価格であったこと――の3点が特徴だった。
想定初値を496~550円に引き下げる。超人気業態の大型赤字上場ということで、見方は二分されているもようだが、海外販売比率に関しては案の定、抑えられた。ROXXの13.7%よりは若干高く、公開規模もこちらの方が2周り小さい分優位だが、結局は五十歩百歩という印象だ。経験上、この手の大型赤字グロース株は海外勢の支持が集まらないと成功しにくい。逆に仮条件が上振れ設定になり、人気から安易な期待がある分、逃げ足の速い短期筋を排除できていない可能性も高い。ROXXはさらに下値模索の展開になっており、ここが下げ止まらないうちは慎重にみるべきだろう。
吸収資金: 55.9億円(今期予想単独PER: -)
時価総額: 180.1億円
公開価限、追加売り出し株数ともに上限で決まった。引受価額は496.80円。海外販売株数は公開株数の16.3%に当たる168万7000株となった。
訂正目論見書によるとブックビルディングの状況は、(1)申告された総需要株式数が売り出し株式数を十分に上回り、(2)総件数が多数にわたっていたうえ、(3)需要の相当数が仮条件の上限価格であったこと――の3点が特徴だった。
想定初値を496~550円に引き下げる。超人気業態の大型赤字上場ということで、見方は二分されているもようだが、海外販売比率に関しては案の定、抑えられた。ROXXの13.7%よりは若干高く、公開規模もこちらの方が2周り小さい分優位だが、結局は五十歩百歩という印象だ。経験上、この手の大型赤字グロース株は海外勢の支持が集まらないと成功しにくい。逆に仮条件が上振れ設定になり、人気から安易な期待がある分、逃げ足の速い短期筋を排除できていない可能性も高い。ROXXはさらに下値模索の展開になっており、ここが下げ止まらないうちは慎重にみるべきだろう。
初値予想
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初値予想: 520円(今期予想単独PER: -)
初値買い妙味: C
初値苦戦を予想する。公開価格は想定から上振れし、機関投資家の関心表明もあるなど一定の評価を受けるが、赤字拡大で40%ルールは2桁のマイナス圏。見方は二分した状態だが、ROXXの大幅安を見る限り赤字グロースが海外勢の支持なしに買われることは難しいとみる。売り気配からのスタートを想定するが、関心を表明した機関の存在もあるため公開価格と引受価額の中間付近での売り買い一致を予想する。
AI(人工知能)議事録作成ツール「AI GIJIROKU」などSaaS(Software as a Service)型プロダクトが主力のAIベンチャー。ソリューションも手掛ける。自身の意思をデジタル化し、それをクラウド上に配置してあらゆるデジタル作業をそのクローンにさせることを目的としたAI「P.A.I.(パーソナル人工知能)」を研究開発しており、その副産物となる対話エンジンなどの要素技術や、機械学習による個性モデル構築などのノウハウを提供している。
これまでAIベンチャーというと、個別開発となるソリューションが主力というパターンが多かったが、今回は赤字先行となりやすいSaaS型プロダクトだ。もともとはソリューションからスタートしており現在も手掛けるが、2020年代に入ってからプロダクトの提供を始め、今では売上高の9割以上を占めるようになった。
今期の営業損益は前期より13億円強赤字が拡大し、28億円近い赤字になるとの会社予想だ。赤字の最大の要因は広告宣伝費だが、今期の赤字拡大の要因は研究開発投資の増加である。独自の大規模言語モデル「LHTM-2」の次期バージョン開発と、世界中のGPU(画像処理装置)をつないだ巨大グリッドコンピューティングシステム「Emeth」の実用化などのため、研究開発費を前期比2.6倍に増やす。人件費と業務委託費についてもCHRO(最高人事責任者)、CMO(最高マーケティング責任者)といった人材獲得や、営業人員の増員により9割近く増やす。
公開価格の希薄化後PSRは3.5倍。SaaS企業の多くは3倍前後に位置しており、その中ではやや強気な値付けとなった。想定価格からは6%弱の上振れだ。ポジティブな反応で値付けされた形だが、赤字上場のROXXが大幅安となったなか、見方は二分されている。
赤字SaaS企業の投資基準として知られる40%ルール(増収率+営業利益率≧40%)は、前期18.1%、今期-15.6%と全くクリアできていないどころか大幅な悪化だ。現実に国内で40%ルールをクリアする企業は少ないが、マイナス圏ともなると減収フェーズ入りした企業以外では珍しい。今期の赤字拡大の要因が目先の売り上げに直結するものではないためだが、過去のIPO例ではフォトシンスなどが挙げられ上場後は大きく売られたほか、ZEALSは上場延期に追い込まれたままだ。
また、議事録作成ソフトやコールセンター向けのAIソフトは、黒字の競合も複数上場している。独自性には欠ける印象であり、投資家側からすればわざわざ赤字ベンチャーを選んで投資する必然性に欠ける。公開株の海外配分比率も16%にとどまっており、海外勢への支持は広がっていないもようだ。
仮条件の段階から上振れした案件としては異例だが、経験的に赤字グロース株が海外勢の支持なしに買われることは難しい。ただ仮条件設定時に関心を表明したりそなアセットマネジメント系ファンドが買い増しに動く可能性はあるため、予想初値は公開価格割れながらも、引受価額との中値に近い520円で予想する。
初値買い妙味: C
初値苦戦を予想する。公開価格は想定から上振れし、機関投資家の関心表明もあるなど一定の評価を受けるが、赤字拡大で40%ルールは2桁のマイナス圏。見方は二分した状態だが、ROXXの大幅安を見る限り赤字グロースが海外勢の支持なしに買われることは難しいとみる。売り気配からのスタートを想定するが、関心を表明した機関の存在もあるため公開価格と引受価額の中間付近での売り買い一致を予想する。
AI(人工知能)議事録作成ツール「AI GIJIROKU」などSaaS(Software as a Service)型プロダクトが主力のAIベンチャー。ソリューションも手掛ける。自身の意思をデジタル化し、それをクラウド上に配置してあらゆるデジタル作業をそのクローンにさせることを目的としたAI「P.A.I.(パーソナル人工知能)」を研究開発しており、その副産物となる対話エンジンなどの要素技術や、機械学習による個性モデル構築などのノウハウを提供している。
これまでAIベンチャーというと、個別開発となるソリューションが主力というパターンが多かったが、今回は赤字先行となりやすいSaaS型プロダクトだ。もともとはソリューションからスタートしており現在も手掛けるが、2020年代に入ってからプロダクトの提供を始め、今では売上高の9割以上を占めるようになった。
今期の営業損益は前期より13億円強赤字が拡大し、28億円近い赤字になるとの会社予想だ。赤字の最大の要因は広告宣伝費だが、今期の赤字拡大の要因は研究開発投資の増加である。独自の大規模言語モデル「LHTM-2」の次期バージョン開発と、世界中のGPU(画像処理装置)をつないだ巨大グリッドコンピューティングシステム「Emeth」の実用化などのため、研究開発費を前期比2.6倍に増やす。人件費と業務委託費についてもCHRO(最高人事責任者)、CMO(最高マーケティング責任者)といった人材獲得や、営業人員の増員により9割近く増やす。
公開価格の希薄化後PSRは3.5倍。SaaS企業の多くは3倍前後に位置しており、その中ではやや強気な値付けとなった。想定価格からは6%弱の上振れだ。ポジティブな反応で値付けされた形だが、赤字上場のROXXが大幅安となったなか、見方は二分されている。
赤字SaaS企業の投資基準として知られる40%ルール(増収率+営業利益率≧40%)は、前期18.1%、今期-15.6%と全くクリアできていないどころか大幅な悪化だ。現実に国内で40%ルールをクリアする企業は少ないが、マイナス圏ともなると減収フェーズ入りした企業以外では珍しい。今期の赤字拡大の要因が目先の売り上げに直結するものではないためだが、過去のIPO例ではフォトシンスなどが挙げられ上場後は大きく売られたほか、ZEALSは上場延期に追い込まれたままだ。
また、議事録作成ソフトやコールセンター向けのAIソフトは、黒字の競合も複数上場している。独自性には欠ける印象であり、投資家側からすればわざわざ赤字ベンチャーを選んで投資する必然性に欠ける。公開株の海外配分比率も16%にとどまっており、海外勢への支持は広がっていないもようだ。
仮条件の段階から上振れした案件としては異例だが、経験的に赤字グロース株が海外勢の支持なしに買われることは難しい。ただ仮条件設定時に関心を表明したりそなアセットマネジメント系ファンドが買い増しに動く可能性はあるため、予想初値は公開価格割れながらも、引受価額との中値に近い520円で予想する。
初値分析
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初値: 570円(今期予想単独PER: -)
/ 上昇率: 5.6%
/ 高値: 590円
/ 安値: 519円
/ 終値: 585円
出来高: 12,330,500株 / 対公開株数: 119.1% / 初値出来高: 2,208,100株 / 初値売買代金: 1,258,617,000円
小じっかりした初値が付いた。AI人気に加えて今夜の経済ニュース番組「WBS」にて、同社が特集されると予告されたことが材料視されたもよう。ただ大幅赤字の案件とあって上値は重かった。
寄り付き後は急落するも、公開価格前後の攻防が続いた。14時を回ると引けにかけて買われ、高値引けとなった。番組特集に期待するもザラ場様子見していた短期筋が、値崩れしなかったことに安心し、最後に買いを集中させたのだろう。
ただ番組期待で上げたとなると、その次に警戒されるのは反動安だ。同社の技術は確かにすごいのかもしれないが、それがカネになるかどうかはまた別の話であり、今のところマネタイズ化できているのは競合の多い議事録作成ソフトくらいだ。当面はシェアと技術開発を優先する方針ともしており、黒字化は遠い。まずは3連休明けの株価がどう反応するかが注目されるが、WBSではこれまでもオルツの特集を何度かしており初めてではない。新材料が飛び出す可能性は低く、買い一巡後の軟調な展開を警戒しておきたい。
大和証券からはリポートが出ている。同社は「P.A.I.」(パーソナル人工知能)を開発するディープテック(社会課題を解決して生活や社会に大きなインパクトを与える科学的な発見や革新的な技術)企業だと指摘。24.12期の営業損益は会社予想をやや上回る赤字拡大の26.8億円(EPS-111.4円)の赤字、25.12期は22.5億円の赤字(-68.7円)、26.12期は0.6億円の黒字(0.3円)と再来期の黒字転換を予想した。広告宣伝費が26.12期に減少に転じ、増収効果以上に営業損益改善が進むと考察している。
出来高: 12,330,500株 / 対公開株数: 119.1% / 初値出来高: 2,208,100株 / 初値売買代金: 1,258,617,000円
小じっかりした初値が付いた。AI人気に加えて今夜の経済ニュース番組「WBS」にて、同社が特集されると予告されたことが材料視されたもよう。ただ大幅赤字の案件とあって上値は重かった。
寄り付き後は急落するも、公開価格前後の攻防が続いた。14時を回ると引けにかけて買われ、高値引けとなった。番組特集に期待するもザラ場様子見していた短期筋が、値崩れしなかったことに安心し、最後に買いを集中させたのだろう。
ただ番組期待で上げたとなると、その次に警戒されるのは反動安だ。同社の技術は確かにすごいのかもしれないが、それがカネになるかどうかはまた別の話であり、今のところマネタイズ化できているのは競合の多い議事録作成ソフトくらいだ。当面はシェアと技術開発を優先する方針ともしており、黒字化は遠い。まずは3連休明けの株価がどう反応するかが注目されるが、WBSではこれまでもオルツの特集を何度かしており初めてではない。新材料が飛び出す可能性は低く、買い一巡後の軟調な展開を警戒しておきたい。
大和証券からはリポートが出ている。同社は「P.A.I.」(パーソナル人工知能)を開発するディープテック(社会課題を解決して生活や社会に大きなインパクトを与える科学的な発見や革新的な技術)企業だと指摘。24.12期の営業損益は会社予想をやや上回る赤字拡大の26.8億円(EPS-111.4円)の赤字、25.12期は22.5億円の赤字(-68.7円)、26.12期は0.6億円の黒字(0.3円)と再来期の黒字転換を予想した。広告宣伝費が26.12期に減少に転じ、増収効果以上に営業損益改善が進むと考察している。